フェアリーテイル 戦いの果てに待つもの   作:NAGI

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新たな決意

ゼオンは闇ギルドを破壊した後とある古びた屋敷にいた。ゼオンはその屋敷の椅子に座る。そんなゼオンの足元には黄色い小さな竜が居りその小さな身体には似つかない鋭い二つの瞳でゼオンを真っ直ぐ見つめている。

 

「良かったのか?ゼオンよ。」

 

竜はゼオンの前にある机の上に立ち純粋な疑問をぶつける。

 

「何がだ?」

 

「あのギルドの者共は彼奴から創り出された者とはいえ倒してしまって良かったのか?」

 

「グランド 前にも言った筈だ。彼奴が創り出したものは全て破壊する。たとえそれが人間であろうともな。」

 

ゼオンはグランドを見つめながらもどこか遠くを見つめるように答える。目は氷のように冷たく怒りに支配されているようだった。

 

「そうか•••••。」

 

グランドはゼオンの答えにそう返事する事しか出来なかった。四百年前ゼオンは不老不死となりある一つの目的の為だけに生きてきたと言っても過言では無い。その残酷な時の流れがゼオンを変えてしまったのかもしれない。昔のゼオンに戻って欲しい。それが叶わぬ夢と知りながらもグランドはそう願わずにはいられなかった。

 

「しかし、またハズレか。これで何回目だ?」

 

「167回目だ。」

 

「そうか。彼奴を捕まえるのはもう少し掛かりそうだな。」

 

「ああ。それにしても雷小僧がマグノリアで派手に暴れているようだがどうする?」

 

ゼオンはグランドが問い掛けに答えるように立ち屋敷を焼失させる。これにはグランドも目を丸くするがゼオンは全く気にしない。いつも通りのマイペース振りである。

 

「行くか。メイビスとの約束の一つにそれは含まれるしな。」

 

「で、どうするのだ?あの雷小僧は」

 

「そうだな、場合によっては始末する。」

 

「なっ⁉︎あの小僧はあのユーリの子孫なのだぞ。」

 

「例えユーリの血を引いていようとも関係無い。ただ排除するのみだ。」

 

「やはり変わってしまったな。ゼオン。」

 

グランドは悲しい表情でゼオンを見つめる。

 

「俺は変わってなどいない。ただやり方を変えただけだ。」

 

そう呟くゼオンの手は固く拳を作っていた。その様子を見たグランドが一つの思い出を語りだす。

 

「お前は覚えているか?あの時の事を•••••。」

 

「何をだ?」

 

「儂は今でも忘れん。いや、忘れる事などできん。」

 

四百年前、お前がまだ王となる前に儂が住んでいた秘境と呼ぶに相応しい場所にお前は単身乗り込んできたな。その時はとても驚いたものだ。

 

「お前が雷竜 グランドか?俺はゼオンだ。よろしくな。」

 

そしてしばらくしてお前は儂に滅竜魔法を教えて欲しいと頼んできた。だがその時儂は断った。

 

「人間は好かん」

 

と言ってな。

 

お前はその日は大人しく帰ったがまた次の日も来て頼んできた。そして儂が断るとまた大人しく帰りまた次の日も来るという日が続いた。

 

そして何度も来るうちに不思議に思った儂はこう訊いた。

 

「何故そんなに滅竜魔法を欲する?」

 

とな。その答えにお前はこう答えた。

 

「皆を守る為」

 

と甘ちゃんらしい答えにあの時、儂は大声で笑ったものだ。

だが、その言葉の通りにお前は皆を守る為だけに雷の滅竜魔法を習得した。だからこそ儂はお前だけは心の底から信じることが出来た。

 

 

そして王となったお前に心から仕えてくれた者たちが数多くいた。あの時代では到底ありえない事をお前は容易く行ったのだ。それはお前の絆を大切にする心と仲間を国を思う心がその者たちに伝わったからだろう。

 

 

「だが、俺は竜王祭でその親友とも言える仲間たちを失った!生き残ったのはじいを始めとする十人だけ。俺が最も信頼する奴らも俺を庇って死んでいった!絆など死の前には何の意味もない!」

 

ゼオンは声を荒げて言う。それは今までの記憶の中でも片手で数える程度だった為、グランドは驚きながらもゼオンの核心を突く言葉を言い放つ。

 

「ならば何故未だにお前の部屋には仲間の遺したあの銀のブレスレットがある?」

 

「 お前が後悔しているからでは無いのか?自分の仲間を救う事が出来なかった事を••••。」

 

「俺は••••。」

 

ゼオンは言葉を発そうとするもうまく言葉に出来ない。それが後悔している事の何よりの証拠と言えるだろう。

 

「お前はお前の新たな家族たちに味あわせるつもりか!仲間を失った痛みを!苦しみを!悲しみを!お前が力を得た理由は何な

んだ!お前の仲間を思う気持ちはそんなものか!」

 

グランドの声に耳を傾けながらゼオンは空を見上げる。

 

「俺が力を得た理由••••。それは仲間を守る為。仲間の命を、心を守る為。なら、ラクサスの命を奪うのではなく心を救う事が俺がやるべき事。だろ?」

 

空は青い。ゼオンはそれを見ていると今まで自分が悩んでいた事がおかしく感じた。そして仲間を救うと決意する。もう仲間を二度と失わない為に。

 

「ああ!」

 

グランドは黄金の龍へと姿を変えその頭の上にゼオンは乗る。グランドはゼオンが乗った事を確認すると空高く舞い上がりマグノリアを目指して飛んでいく。

 

「待っていろ ラクサス。本当に必要な大事なものを教えてやる。」

 

 

ひとまずグランドの説得によりゼオンの暴走は止まりラクサスを倒す為では無く止める為にマグノリアへ向かう。また異変に気付いたミストガンもマグノリアを目指す。殆どのS級魔導士が集まりつつある。最強と囁かれるゼオンと自らを最強と自負するラクサス 二人がぶつかった時一体どうなるのか?それは誰にも分からない。

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