「・・・ウェンディ!」
「何だ?知り合いか?」
「間違いない。天空の巫女!」
ブレインの答えに六魔はウェンディを見る。
「これはいいものを拾った」
そう言うと杖から放たれた緑色の魔力は手を形作りウェンディを拘束する。
「ウェンディ!」
動けるのはハッピーとシャルルだけ。ブレインがいるところに引き寄せられるウェンディを追いかける。
「金に上下の隔てなし・・・デスネ!」
ナツたちは起き上がろうとするがホットアイの魔法で地面が抉れたようになり皆は大きく後ろへと吹き飛ばされてしまう。一方でウェンディたちのほうはシャルルが手を伸ばしウェンディの手を掴もうとしたのだがウェンディが掴んだのはハッピーの手で・・・。
「えっ⁉︎」
そのままウェンディとハッピーは杖の中に引き込まれてしまった。
「もううぬらに用はない! ダークロンド!」
叩きつけるように放たれたダークロンド。皆が死を覚悟しリオンはシェリーをヒビキはルーシィを守ろうと覆い被さる。
「魔障壁!」
そこへ駆けつけたゼオンは薄い膜のような壁を創りだし皆を守った。六魔の姿はすでに無く、何処かへ消えていた。
「ジュラさん。ご無事でよかった」
しかしそう話しかけるリオンにジュラは横に口を振る。
「いや、危ういところだった。今は一夜殿の痛み止めのパルファムで一次的に抑えているだけだ」
「オラシオンセイスめ。我々を見た瞬間逃げ出すとは・・・さては我々に恐れをなしたな」
「あんたボロボロの癖に何言ってんだよ⁉︎」
決めポーズをしている一夜に皆の気持ちを代弁したようなグレイのツッコミが入ったが都合の悪い事は無視する傾向にある一夜はスルー。
「皆さんにも痛み止めのパルファムを」
試験管から漂う香り。それは皆の痛みを和らげていく。するとナツは立ち上がり
「あいつらよくもハッピーとウェンディを!」
六魔を追いかけようと走り出すナツだったが翼を生やしたシャルルにマフラーを引っ張られ情け無い声を出して転ぶ。
「これは翼(エーラ)って魔法。まぁ、初めて見るのなら驚くのも無理はないでしょうけど」
「ハッピーと同じだ!」
ナツの言葉に怒りマークを額に張り付けるシャルルだが
「そんなくだらない話よりこれで分かった筈だ。奴らを倒すのは容易ではないと」
ゼオンが話を切り出した。
「だけどよ兄ちゃんなら簡単じゃねえの?」
「俺が手を出せるのは雑兵共とオラシオンセイス一人のみ。これがマスターたちからの命令だ」
皆の顔が暗くなる。中でもフェアリーテイルの顔は絶望に落とされたかのようだ。しかし仕方がない。ゼオンが任された仕事はそれだけリスクを伴うモノなのだから。
「聖十が一人戦えないとは痛いですわね」
シェリーがそう言う。皆も気持ちは同じのようだ。
「ああ。それに・・・」
右腕を押さえるエルザを見る。先程より毒の範囲が広がっているようだった。それを見た一夜が痛み止めのパルファムを増強するがむしろエルザは痛がるような様子を見せる。するとエルザは近くにいたルーシィのベルトを取り腕に巻き付けこう言った。
「切り落とせ」
と。覚悟を決めた様子のエルザを見たリオンは落ちていた剣を拾いエルザの腕を切ろうとする。しかし振り上げたところで間に入ったグレイが剣を凍らした。
「貴様はこの女の命より腕のほうが大事か?」
「まだ何か方法がある筈だ。少しだけ待ってくれ」
そう言うグレイだったがエルザは倒れてしまいナツとルーシィが駆け寄った。
「・・・確かに方法はある」
ゼオンのその言葉に皆が注目する。
「本当か⁉︎」
エルザに近付いたゼオンは右腕に手を翻す。黒が混じった緑色の魔力を纏っている彼の手を翻していると段々と毒は消え、エルザの顔色もよくなってきた。しかし皆は驚いていた。治癒魔法とは失われた魔法 ロストマジックなのだから。
「これで大丈夫だ。しかし作戦は変更せざるを得ないな。順序としてはウェンディとハッピーの救出と六魔の撃退。最後にニルヴァーナを破壊だ」
「ニルヴァーナを破壊ってそんな事できるの?クリスティーナもないのに」
シャルルのその言葉は確かに理に適っているだろう。だがゼオンはニルヴァーナをよく知っている。内部構造に至るまで全てを。
「乗り込むんだ。ニルヴァーナに。それしか方法はない」
「面白え!燃えてきたぞ!」
ナツの言葉を皮切りに皆もやる気を出す。確かにそうするしか方法はないだろう。しかしそんな中でレンは首を傾げる。
「だが・・・何故ウェンディは連れて行かれたんだ?あの子にそれだけの価値があるという事か?」
「あの子は天空の滅竜魔導士 天竜のウェンディ!そこのあんたがやったような治癒ができるの」
ゼオンを指差しながらそう言うシャルルにゼオンを除く皆は驚く。
「行くぞ!皆!ハッピーとウェンディを助け出すんだ!」
ワース樹海の奥 そこではかつて都があった場所だ。そこの奥の洞窟では巫女が神の声を聞く場所だったという。しかし今はオラシオンセイスの隠れ場所となっていた。地面に乱暴に落とされたウェンディとハッピーは小さな悲鳴を上げる。すぐにハッピーは立ち上がり
「何をするんだ⁉︎ウェンディは女の子なんだぞ!」
ブレインにそう抗議したのだが顔を掴まれ投げられる。目を回し少し気が飛んでしまっていた。そんなハッピーを抱き抱えるウェンディ。
「ハッピー!大丈夫?」
「・・・あい」
ウェンディを注視している六魔のメンバーたち。そしてゆっくりとレーサーが口を開いた。
「で此奴はなんなんだ?」
「ニルヴィーナに関係してんのか?」
「でもそんな風には見えないゾ」
コブラの言葉を否定するエンジェルにホットアイはポンと手を叩く。
「売ってお金にするつもり・・・デスネ!」
「お前は金しか考えられねえのか!」
ツッコむコブラにホットアイは金さえあれば愛さえ手に入ると言って彼を呆れさせていた。
「こやつは 天空魔法、治癒魔法の使い手だ」
ブレインの言葉に驚愕する六魔たち。
「治癒魔法⁉︎」
「ロストマジック・・・」
「失われた古代の魔法・・・」
「ん〜金の匂いがプンプンしますね」
ホットアイはここでも金の事しか考えられないようだった。ブレインに近付くコブラは彼女が使う治癒魔法である可能性に行き着く。ブレインはニヤリと笑いコブラが行き着いた可能性を肯定した。
「奴を復活させる!レーサー!奴を連れて来い」
ブレインの言葉に怠そうな表情を見せるレーサー。
「俺でも連れて来るのに一時間は掛かるぜ」
「構わん!コブラ、エンジェル、ホットアイ!お前たちは引き続きニルヴァーナを探せ!」
「でもあの人が復活すればその必要もないと思うゾ」
彼らの会話についていけないハッピーとウェンディは戸惑っていた。
「だが万が一という事もある。ミッドと私はここに残ろう」
「ミッドは動く気がないようですが」
寝ているミッドナイト。そして渋々というようにコブラは了承した。
「面倒臭えが仕方ねえか」
「ねぇ、競争しない?ニルヴァーナを見つけた人が「賞金百万J!」それは高すぎるゾ」
呆れた顔でそう言うエンジェル。
「一体ニルヴァーナって・・・どんな魔法なの?」
「光と闇を入れ替える魔法さ」
一方その頃 連合チームはハッピーとウェンディを救出する為幾つかの組に分かれていた。
まず一つがナツ、グレイ、シャルルチーム
次にジュラ、リオン、シェリーチーム
三つ目がイヴ、レン、一夜チームなのだが
「レン!一夜様がいないよ!」
一夜は二人と逸れてしまっていた。
「レーン!イヴー!どこだ〜!メェーン」
そんな一夜に影が迫っている事を彼が知らなかった。
そしてまだ目を覚まさないエルザの傍にいるゼオン、ルーシィ、ヒビキチーム
「ねぇ、まだエルザは目を覚まさないの?」
「ああ。治癒魔法はコントロールが細かすぎるからな。俺はその手のスペシャリストじゃないからエルザが目覚めるにはまだ少し掛かる」
「まぁ、焦っても仕方がない」
そう言ってアーカイブを起動させたヒビキはカタカタと動かしていく。
「僕たちは即席の連合だけどチームとして機能しなくてはならない」
「確かにな。じゃなきゃニルヴァーナを破壊するなんて夢のまた夢だ」
アーカイブを使ってヒビキはナツたちの居場所を特定する。
〜ナツチーム〜
樹海を走る二人はエーラの魔法で飛んでいるシャルル。そんな彼らの前に現れた猿のような男たち。闇ギルド裸の包帯男のメンバーたち。逃げるようと考えるシャルルとは違いナツとグレイは戦う気満々だった。他のメンバーたちの前にも六魔傘下の闇ギルドが。
そして場所はウェンディたちがいる洞窟 そこにレーサーが持ってきた巨大な棺桶があった。
「よくやった。レーサー」
「ありがとよ」
「さて、ウェンディ。うぬにはこやつを治してもらおう」
そう話すブレインにウェンディは治さないと言う。しかしブレインは必ず治すと確信しているかのように言った。棺桶を縛っていた鎖が外れ棺桶の中にいた人物が姿を現した。
「「ジェラール⁉︎」」
姿を現したのはかつて評議員に潜入していたジェラールだった。ハッピーは後退り、ウェンディは呆然としていた。
「今はエーテルナノを浴びてこうなっておるが死んではいない。こやつはうぬの恩人なのだろう。治してくれるな?」