闇ギルドメンバーたちを倒しウェンディとハッピーたちを救出したナツたちだがその心は晴れない。あのジェラールが復活してしまったからだ。その当人は今ワース樹海の奥へと突き進んでいた。
その頃 グレイはレーザーと対峙していた。彼はナツたちを助ける為に氷の壁を創る等をしてレーサーの足止めを行った。しかしそれはレーサーのプライドを何より傷付けたのだ。レーサーがこのままグレイを逃がす筈がなかった。
「お前は二度も俺の走りを止めた。そのまま引き下げるってのは俺のプライドが許さねえ」
「ああ、そうかよ?」
「その気になればあの小僧に追いつくのは造作もない・・・」
一瞬でグレイの後ろに回ったレーサーの動きがグレイには見えなかった。移動するレーサーは話を続ける。
「だが、お前を倒さねえと気が済まねえ。奴らに追いつくのはその後でも大丈夫だしな」
「させるかよ!」
地面を凍らせてレーサーの動きを止めようとしたグレイだったがその氷の侵食を凌ぐスピードで全てを躱されてしまった。後ろに回りグレイを蹴り飛ばしたレーサーは追撃しようと移動する。すぐに立ち上がったグレイだがレーサーの動きを見る事は出来ない。
「クソッ!目が追いつかねえ」
「遅えよ!」
殴られたグレイは地に伏せる。グレイを挑発したレーサーは手を上げ、振り下ろした。
「デッドグランプリ!開幕だ!」
その声と共にたくさんの魔導二輪がこちらに向かってくる。赤い魔導二輪にレーサーは乗り、緑色の魔導二輪にグレイは乗って彼を追いかけて行く。
「ご丁寧にSEプラグまで付いてやがる」
カチャリと右腕に魔力を内部に送り込む装置であるプラグをつける。いつの間にか場所は最初の地点から離れている。
「アイスメイク!ランス!」
片手で発動するグレイだったが運転しながらでは上手く魔法を使えなかった。
「ほう。正規ギルドの割にはやるじゃねえか。だがこれならどうだ?」
レーサーがタイヤを召喚して攻撃するがそれらを素晴らしいテクニックで躱したグレイ。しかしトンネルのような所に入ったところでレーサーの魔導二輪の後尾からミサイルが発射される。トンネルを抜けた時グレイは少し傷を負いながらも無事だったがさらにミサイルを放たれる。逃げるグレイだったがミサイルは放たれ続け・・・。
「ん?何の音だ?」
グレイたちの近くにいたリオンとシェリー。ナツたちと同じように闇ギルドメンバーたちを全員倒した二人はそこで待機していたのだがレーサーが放つミサイルの音に気付き辺りを見渡す。
「リオン様!あれを」
シェリーが指差した場所を見ると大木が橋代わりになっている場所を走るレーサーの姿が。
「オラシオンセイス!」
「リオン!いいところに!乗れ!」
そこへ現れたグレイの後ろに乗ったリオン。
「シェリー!お前はそこで待機していろ!」
二人はレーサーを追い、走り去ってしまいシェリーだけが残された。
「待機しろと言われましても」
レーサーを追いかけるグレイたち。
「ウェンディたちは助けたのか?」
そう問いかけるリオンにグレイは首を縦に振る。
「ああ、ナツが助けた」
「そうか、流石だ」
「それよりさ、あいつやってくんないかな?運転しながらだとやり辛くてよ」
「そういう事なら見ておけ。造形魔法の手本を見せてやる」
そう言うと余裕の笑みを見せるリオンにグレイは一言余計だとツッコむ。それを無視し、リオンは両手で構える。
「リオン・・・お前!」
グレイはリオンが両手で構えた事に驚く。何故ならかつてリオンと戦った時彼は片手で構えていたのだ。だが
「ウルの教えだからな」
その言葉に笑顔を浮かべる二人。
「アイスメイク・・・」
後ろを向くレーサーにリオンは魔法を発動する。
「イーグル!」
大量の鷲がレーサーに向かって放たれる。その攻撃で魔導二輪は破壊されたがレーサーは逃れていた。
「遊びは終わりだ」
仕返しとばかりにグレイたちが乗っていた魔導二輪も破壊され、二人は宙に浮く。しかし空中で二人は構えた。
「アイスメイク!エイプ!」
リオンは巨大な猿を創り出し
「アイスメイク!ハンマー!」
グレイは巨大なハンマーを創り出した。
「中々素早い造形魔法だな・・・」
レーサーは二人の攻撃を容易く避け、反撃した。
「だが当たらないんじゃ意味がねえ」
「焦るな、グレイ!四時の方向だ!集中しろ」
すると何を思ったか服を脱ぐ二人。
「俺の合図で撃て!全力でな!」
「(何故服を脱ぐ?そして何故早い?)」
しかもそれを二人を追いかけて来たシェリーが見ていた。
「(何故服をお脱ぎに?それもまた愛なのですね)」
「見えた!五十メートル先だ!」
凄まじいスピードで走るレーサーに向かって攻撃を仕掛ける。
「アイス・・・ゲイザー!」
「スノードラゴン!」
しかしまた二人の攻撃は避けられ連続でさらなる攻撃を与えられた。だがリオンは遠くで飛ぶ鳥を見た。そのスピードは凄まじかった。
「(そういう事か・・・)」
「耳を貸せ、グレイ」
「ん?」
「奴の弱点を見つけた」
〜フェアリーテイル〜
「調査の結果が出た」
一枚の紙を見ながらそう呟くマカロフに目を向けるミラ。
「オラシオンセイスのですか?」
「うむ。ブレインなる者じゃがかつては魔法局に属していた可能性がある。それに楽園の塔にも関わっていたらしい」
「じゃあジェラールと何か関係が・・・」
険しい目を向けてそう問いかけるミラにマカロフは頷く。
「一体・・・ブレインなる者は魔法を何処へ導くつもりなのか」
「大丈夫ですよ。彼処にはゼオンたちがいます。むしろゼオンが辺り一帯を荒地に変えないかとかのほうが心配です」
「確かにあやつらがものを壊し過ぎないかのほうが心配じぁあああ!(じゃが大丈夫な筈じゃ。あそこにはゼオンの大切な者がいるらしいからのぅ。いや、奴なら関係無くやりそうじゃあ。ああ!どうすればいいんじゃ⁉︎)」
不安を拭い去れないマカロフだった。
場面をグレイたちに戻しリオンはグレイの耳元でなにかを呟いていた。
「そういう事だ。お前は必要ない!」
突如グレイを氷の中に閉じ込めたリオン。その氷はどんどん高くなりグレイも上に上がっていく。
「仲間割れか?」
「リオン様!一体どういう事ですの?」
近くに走り寄ったシェリーだが
「心配するな。手柄は俺たちラミアスケイルがいただく。いくぞ!シェリー」
「はい!人形劇!ロック・ドール!」
岩で創られたゴーレムがレーサーに殴りかかるが簡単に躱される。
「パワーはあるが速さが足りねえ」
「なら、ウッド・ドール!」
今度は木が動き攻撃するがそれも躱されたと思いきや木がレーサーの身体に絡み拘束する。しかしすぐに抜け出され吹き飛ばされてしまう。レーサーは追撃しようとするがスノードラゴンが攻撃しかてくる。それを躱しリオンがいる場所を向く。
「こっちだ!ノロマ!」
「調子にのんじゃねえよ!」
グレイとは反対側へと走るリオンは吹き飛ばされたがすぐに立ち上がり走り出す。
「アイスメイクヘッジホッグ」
追撃しようときたレーサーだったがリオンが無数の針を創り出し背中に身に纏うと攻撃を中断した。
「ギアチェンジ!レッドゾーン!」
すると先程とは比べ物にならないスピードでリオンを吹き飛ばしたレーサー。その衝撃でリオンが創った氷は砕け散ってしまったがリオンはまた立ち上がり走りを再開する。何度も吹き飛ばされるが立ち上がり走るリオン。それを繰り返しているといつの間にか崖近くまで差し掛かっていた。
「アイスメイク・・・イーグル!」
魔法を発動するリオンだったがそれは全て躱されてしまい組み伏せられリオンが発動した氷を取り首に向ける。
「俺のスピードがあればお前が何かの魔法を使う前に仕留められる。お前は中々やるようだが相手が悪かったな。俺はオラシオンセイスだ」
六つの魔、六つの祈り。決して崩れる事のない六つの柱だとレーサーは言い、それを揺らす者には死あるのみだと言い放つ。しかしリオンは冷静に遠くの鳥が早く見えた事を話す。するとレーサーの額には汗が浮かび上がる。
「お前の魔法は自分自身を速くする魔法じゃない。一定範囲内の体感速度を下げる魔法。つまりお前を遠くから見た時お前のスピードは意味をなさない」
リオンが創った氷の柱の頂上が砕け、グレイが姿を現す。手には造形魔法で創られた弓矢がありまっすぐレーサーを射抜こうとしていた。
「なるほど・・・だがあんな遠くからじゃ当たる筈がない!」
「当てる。なんたってあいつは俺と同じウルの弟子だからな!」
「スーパーフリーズアロー!」
グレイが放った矢はレーサーに見事命中。レーサーは地に伏せ、グレイとシェリーはリオンがいる場所にいた。しかし突如起き上がったレーサーは自身に爆弾のラクリマを身に付け三人を道連れにして死のうとする。グレイが止めようとするが魔力切れのせいで動けず膝をつく。しかしリオンはレーサーの身体と一緒に崖の下に自ら落ち
「リオン⁉︎」
「リオン様⁉︎」
大きな爆発が起こった。
その頃 洞窟にいたブレインの身体に変化が起きていた。身体にある線が一つ消えたのだ。それにとても狼狽えるブレインは寝ているミッドナイトを起こす。
「起きろ!ミッド!」
小さな唸り声と共に立ち上がったミッドナイトは辺りを見渡す。
「ミッド!奴らを全員消せ!」
「はい・・・父上」
オラシオンセイスの逆襲が始まろうとしていた。