リオンとシェリーとは別行動を取っていたジュラに突如地面が沼のようになり覆おうとする。しかしそれを逆に操り気配がする方へと攻撃を放つが柔らかくなり当たる事はなかった。
「流石は聖十といったところ・・・デスネ!」
ジュラの魔法は土を固くする魔法、ホットアイは土を柔らかくする魔法。相性は最悪だ。しかし
「勝負を決めるのは魔法の優劣にあらず。勝つのはいつも強い理念を持つ者だ!」
ジュラは負けるつもりなど微塵も無かった。むしろ勝つ気だ。だがそんなジュラを目の前にしてもホットアイは余裕を崩さず下卑た笑みを浮かべている。
「違いますね。勝つのはいつも金持ち・・・デスネ!」
その頃ウェンディ、ハッピー、シャルルを抱えていたナツはゼオンたちと合流していた。
「無事に救出できたようだな・・・」
「おう!だけどよグレイがオラシオンセイスの奴と戦ってんだ」
グレイの心配をしているのかと思ったルーシィだがそれは容易く裏切られた。
「ズリいぞ!俺もあいつらと戦いてぇー!」
ナツの頭の中には戦う事しか無いのかとルーシィが疑い始めているとは知らず盛り上げるナツに呆れた目を向けるゼオンとシャルルは小さく溜め息を吐いた。今はそんな事している場合じゃないだろうと。
一方 ジェラールはワース樹海の再奥へと辿り着こうとしていた。しかし彼にバレないようその後を尾けているコブラは違和感を感じていた。
「(どういう事だ?奴の心の声が聴こえねえ。聴けさえすれば尾ける必要もねえっていうのによ・・・)何だあれは⁉︎」
ジェラールが止まりニルヴァーナに辿り着いたのかと思ったコブラだがその異質な光景に目を奪われる。一つの巨大な木に伸びている鎖は何かを封印するかのように存在していた。
「まさか・・・これがニルヴァーナか?」
ジェラールがその木に触れると大きな爆発を起こし光が上がる。それを見たコブラは歓喜で震えていた。ついに自分たちが追い求めた力が手に入るのだ。嬉しくない訳がないだろう。
「やっと見つけた!俺たちの未来‼︎」
場面をゼオンたちに戻し・・・。少ししてウェンディ、ハッピー、シャルルは意識を取り戻した。
「ウェンディちゃんたちの救出に成功したんだから次は六魔の全員撃破だ。その為にも皆と連絡が取れるといいんだけど・・・っ⁉︎」
突如鳴り響く地響き。異変を察しその方向を皆が見るとそこには黒い光の柱があった。
「ニルヴァーナの封印が解かれたか・・・」
「そんな⁉︎」
黒い光は周囲に様々な変化を齎した。
ジュラと対峙していたホットアイは突如金より愛が大切だと語り、ジュラに協力すると言い出し彼を唖然とさせ、
反対にグレイと共にリオンを探していたシェリーはグレイを倒し他のフェアリーテイルメンバーを攻撃しようと考え始めた。
正に闇と光が反転してしまったかのようだ。
「あの光の場所にジェラールがいる!」
ナツの言葉を聞くと罪悪感を感じているかのようにウェンディが顔を暗くする。一方でジェラールが死んでいたと思っていたルーシィはナツに問い質すがナツは答える事なく光の方へと走っていく。
「あー‼︎エルザがいない!」
運悪く意識を取り戻していたエルザもそれを聞いていたらしく何時の間にか姿を消していた。それを知ったウェンディは自責の念に駆られていた。自分がジェラールを治したせいだと。
「私のせいで・・・エルザさんが・・・ごめんなさい!」
そんなウェンディに鋭い目を向けるゼオンとヒビキ。
「寝ていろ・・・」
ゼオンは光弾をウェンディに向かって放ち、ルーシィとシャルルを驚愕させる。
「ちょっとあんた!何してんのよ⁉︎」
「それは走りながら説明しよう。僕たちもナツ君を追うんだ」
気絶したウェンディをヒビキが背負うと森を走り出す。
「でどういうことか説明してもらおうかしら?確かにウェンディはすぐぐずるけどそんな荒っぽいやり方・・・」
「そうだ!そうだ!」
シャルルの言葉に同意するハッピーを見てルーシィを見る。彼女も口にはしないが同じ気持ちのようだ。あの魔法は意識すると危険だが彼女たちを見て説明したほうが良いだろうと感じた。後々の関係にヒビが入ればかなり困る。その為、まずゼオンが話し出す。
「俺とヒビキはニルヴァーナを知っているんだ。そしてアレは人間の心のあり方を変える危険な魔法でもある」
「心のあり方を変える?どういう事?」
チャームなどの洗脳系の魔法は聞いた事があるが心のあり方を変えるとは聞いた事もなく。どのような魔法なのか想像もつかなかった。
「ニルヴァーナというのは人間の心を変える魔法だ。善人を悪人に、悪人を善人に変える。そんな事ができる」
「だけどそれは最終段階。まず封印が解けると黒い光が上がる。さっきみたいにね。その段階ではまず光と闇の狭間で揺れている者の属性を変えてしまうんだ」
ゼオンの言葉に続くように話し始めるヒビキ。
「そう、自責の念などの強烈な負の感情を持つ者は闇に堕ちる」
その言葉に得心がいったルーシィとシャルル。
「じゃあ、ウェンディを気絶させたのは・・・」
「あのままだと闇の堕ちてもおかしくなかったからね」
「え?どういう事?」
一人分かっていない様子のハッピーに呆れた目を向けるシャルルは分かりやすく説明する。
「つまり正義と悪で揺れている人が性格変わっちゃうって事でしょう?」
「でもじゃあ怒りは?ナツも危ないの?」
「なんとも言えないがあいつが闇に堕ちたところで破壊という点では何も変わらんだろ」
確かにと納得してしまうルーシィとハッピーにシャルルは一体どんなギルドなのかと感じる。しかしゼオンも偶にしかないとはいえ一度の破壊規模でいえばギルド一だ。
レンと分かれたイヴは傷を負いながら移動していた。怯えた表情を見せ、それを振り払うかのように後ろへと向き攻撃を放つ。
「ホワイトフューリ!」
イヴは雪の魔法を放つが突如脇腹に襲いかかる痛み。自分が攻撃されたと分かるのにそう時間は掛からなかった。そこへ現れたミッドナイトの攻撃のカラクリが分からない。
「さあ、狩りの時間だ」