「うおおおお‼︎」
浮遊島を止めようとしているナツたち 人間とハッピーたち エクシード。そのエクシードの女王であるシャゴットも止めようと向かっていた。しかし彼女は右翼がない。片翼であるシャゴットの飛行は当然不安定で・・・ついに墜ちてしまう。しかし
「嘘をつくのに疲れたのかい?女王様」
リリーが腕の中に抱え、シャゴットは無事であった。
「リリー!」
「俺もそうさ・・・どれだけ憎もうとしても憎みきれなかった」
かつてリリーは傷ついたある一人の少年の手当てをする為にエクスタリアへと連れて来た。けれど人間をエクスタリアへ連れて来る事は禁忌。
『リリー!お前を堕天とする!』
追放されたリリーはその少年と共に王都に行き、王国軍に所属した。そしてついには魔戦部隊の隊長にまで上り詰めたのだ。しかし
「エクスタリアはやっぱり俺の故郷なんだ」
「リリー・・・」
涙を流し、言葉を紡ぐリリー。
「けどもう無理だ。どれだけ皆が束になろうと浮遊島は止められねえ!俺なら止められた。人間たちを止められたのに!すまねえ!」
「願いはきっと届きます」
エクシードが一つとなり浮遊島を押す。
「私たちも押すのよ!」
「あいさ‼︎」
青いエクシード マールと白いエクシード ラッキーの姿もあった。彼らは本人は知らない事であるがハッピーの両親だ。
マールたち自身の使命がドラゴンスレイヤーを捕獲することだと知り、精神が不安定になっている彼らを立ち直らせた。そして同時に自身の息子が成長している姿を見て嬉しく思っていた。
因みに彼らも堕天である。
そしてエクシードだけでなくゼオンを始めとする魔道士たち、革命軍とココといったこの世界に生きる人間たち。皆が浮遊島を押していた。さらにはジークの姿もあった。
「状況は分かんないっすけど手伝うっす!」
「当然だ・・・」
「やっぱりこの世界のゼオンとは大違いっすね〜」
「何?」
眉を顰めるゼオンはやはり何らかの陰謀が生じていると感じた。
「おい、お前ら!炎をもっと燃やすんだ!」
ジオの声を聞き、革命軍の者は炎を燈す。皆は足にある炎をさらに高めていく。
ゼオンたちも力一杯押していた。そしてついに浮遊島はエクスタリアから離れて行った。しかし突如ラクリマが光り、皆は目を閉じる。やがて光が収まり、皆が目を開けるとラクリマだけが浮遊島から消えていた。
「どういうこと⁉︎なんでラクリマが消えちゃったの⁉︎」
「アースランドに帰ったのだ」
「ミストガン!」
上から声が聞こえ、見上げるとそこにはレギオンに乗ったミストガンの姿があった。
「まずはアニマの残痕を探し、遅くなったことを詫びよう。しかし皆のおかげで元に戻す事ができた。感謝する」
「元に戻したって・・・」
「そうだ。ラクリマはもう一度アニマを通り、アースランドで元の姿に戻る。全て終わったのだ」
その言葉に皆は歓喜する。
「俺たち、エクスタリアを守れたのか⁉︎」
「やったんだ‼︎俺たちはエクスタリアを守れたんだ!」
「リリー、君に助けられた命だ。君の故郷を守れてよかった」
ミストガンは自身の顔を隠していた布を取り、素顔を見せる。
「ありがとうございます。王子」
「王子が帰って来たよ〜」
「王子⁉︎」
皆とは少し離れたところにいるゼオンと革命軍の者たちもホッとした気持ちと嬉しさを隠し切れなかった。
『今だ。ジオを撃て。ヒョウガ』
しかし二つの銃声が響く。一つはリリーの腹部を貫き、一つはジオの左肩を貫いた。
「てめぇ、どういうつもりだ⁉︎ヒョウガ‼︎」
手に銃を持つヒョウガがジオを撃ったのだ。そしてリリーを撃ったのは
「ナイトウォーカー!」
「スカーレット!」
ナイトウォーカーである。リリーは墜落し、たくさんのレギオン隊と兵を連れている彼女はアースランドのエルザと睨みあうがそれをミストガンが制した。し
「お前は王子であるこの私に刃を向ける気か?ナイトウォーカー」
「くっ・・・」
『お主はもはや王子ではない!今までこの七年間、お主がアニマを塞いで回っていたのは知っているぞ。売国奴め!』
声の主を探すがファウストの姿は見えない。
「貴方のアニマ計画は失敗したんだ。もう戦う意味はないだろう?」
『意味?戦う意味だと?否!これは王に仇なす者への制裁・・・一方的な殲滅』
突如地響きのような足音が聞こえる。
「な、何あれ⁉︎」
『儂に逆らうというのならたとえ貴様でも跡形もなく消してやる』
「父上・・・」
『儂は父ではない。エドラス王である。そうだ。貴様を殺せばアニマを塞げる者は地上からいなくなる』
ゆっくりとしかし確実に足音は近付いてくる。
『巨大なラクリマを創り上げ、エクシードを融合させることなどいくらでもできるではないか!』
ファウストの高笑いと共に姿を現した。
『ふはははは‼︎王の力は絶対!絶対なのだ!』
「ドロマ・・・アニム」
エドラスの言葉で竜騎士という意味だ。ドラゴンのような装甲をした兵器であるドロマ・アニム。
「ドラゴンの強化装甲だと⁉︎」
強化装甲とは対魔戦用魔水晶(マジックキャンセラー) 外部からの魔法を無効にしてしまう搭乗型の甲冑ことだ。ファウストはその中でドロマ・アニムを操作しているのである。
『我が兵たちよ!エクシードを捕らえろ!』
「まずい、逃げろ!」
ミストガンの言葉を聞いたエクシードの皆は散り散りになって逃げて行く。しかし兵の一人が照明のような物で光を彼らに浴びせる。光を浴びた数人のエクシードたちはラクリマにされてしまう。
「逃げろーー‼︎」
呆然としていた残りのエクシードたちはミストガンの声を聞いて我に返ると逃げて行く。
「全員逃すなーーーー‼︎」
ナイトウォーカー率いる魔戦部隊はエクシードを次々にラクリマへと変えようと彼らを追いかける。そしてそれを止めようと魔戦部隊を追いかけるアースランドのエルザたち。
一方でゼオンは凄まじい勢いで森の中へと落ちていった。何故そうなったなかはジオたちが撃たれた時まで遡る。
ジオの左肩を撃ったヒョウガを戸惑いと驚きの目で見つめるマナたちと彼を睨むジオの姿があった。
「てめぇ、どういうつもりだ⁉︎ヒョウガ‼︎」
「すまない。しかし俺にもやらなければならない事がある。悪いが死んでくれ」
一瞬、目を伏せたヒョウガはそう告げると再び引き金を引こうとする。しかしその前にゼオンによって破壊され、撃つ事は適わなかった。突然の裏切り。これに動揺している革命軍の者たちはまだ裏切り者がいないかと疑心暗鬼に陥ってしまう。
「(仲間割れとはまずいな。だがこれで確信した。やはり誰かが裏で糸を引いてるな)」
ジオの隣にまで移動したゼオンはそう考えており、実際にその考えは当たっていた。
「くっ・・・邪魔をするな‼︎開匣(かいこう)!」
ヒョウガはリングに雨属性の炎を燈し、ボックスの穴に差し込む。ボックスが開くと一本の長刀が現れ、ヒョウガはそれを左手で握る。
「俺はたとえお前が別世界の者であろうと容赦はしない!」
そう話すと刀身に死ぬ気の炎が燈る。そんな状況の中ゼオンは笑う。
「望むところだ。ジオ、お前は下がっていろ」
しかしジオにしか聞こえない声でこう言った。
「少ししたらヒョウガは任せる」
「・・・ああ」
そして戦いが始まろうとしていた。
ゼオンは刀を持つ彼に対抗する為、自身の愛剣である黒い剣を換装した。かつて竜の次に堅甲な身体を持つと言われた種族の鱗を使ったその剣は黒き炎をその刀身に纏う。
「さて、やるか」
戦いの雰囲気を感じ取ったジオは少し下がると
「左肩の活性化を頼む」
マナにそう頼んだ。彼の頼みに頷くとマナはリングに晴の炎を燈すとボックスを開匣した。ボックスからは葉のような形をした物が出てきて、晴の炎を帯びている。
「少し痒いけど我慢してよ」
葉が触れるとジオの左肩の傷は瞬く間に塞がった。それは晴の炎が持つ特性のおかげである。
晴の炎の特性は活性化。その特性によって傷の治りを活性化させ、傷が塞がったのだ。因みにヒョウガの持つ雨の特性は鎮静。相手の動きを静止に近付ける力。純度の高い炎だと身体が完全に静止する事もある。
「ねぇ、なんでヒョウガはジオを撃ったの?」
「知らねえよ。だが裏に誰かがいるのは間違いねえ。だから俺たちはそれを暴く」
「俺たち?」
マナは首を傾げるがゼオンとヒョウガの殺気を肌で感じたジオはまた下がろうとする。
「もう少し下がった方がいいな。けど、奴らも心配だ。アレス!お前はチームを率いて魔戦部隊を叩き潰してこい!」
「おやおや。僕も真相を知りたかったのですがね。まぁ、いいでしょう。彼は頼みましたよ」
そう話すパイナップルのような髪型をした青年 アレスもまたヒョウガの後ろに何者かがいることを察していた。
「ああ。マナ!お前も行け!お前らもだ!」
「しかしジオさん。まだ裏切り者がいるかもしれないのに「いるのならもう出てきてもおかしくはないですよ。それに僕たちを騙したところでメリットがあるようには思えないのですがね〜」アレスさん」
ジオの指示に懸念を示す革命軍の者たちだったがそれはアレスが否定した。
「そういうことだ。お前ら!今は仲間を疑っている時じゃねえ!信頼し、信用する時であり、団結する時だ!俺たちは王国軍を、王を止める為にここにいる。戦え!奴らと。安寧の世界を創る為に!」
ジオの言葉に迷いは消えたのか我先にと彼らは向かって行く。それを呆れたように見るアレスだったが彼も後を追う。
二人の刀と剣が幾度もぶつかり合う。
「中々・・・」
「流石はゼオンだ。しかし俺は負けん!」
「なら、もっとおもいっきり来いよ」
「俺は負けられないんだーーーー‼︎」
凄まじい気迫で叫ぶヒョウガに一体何があったのか?そして暗躍するエドラスのゼオンと黒幕を引きずり出そうとするアースンドのゼオンたち。彼らが戦う時は近い。