太陽は永遠に   作:ウェスト3世

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立ちはだかる者

 天城琴音の正体はA-RISEの新メンバー。それは単なる事実であり、驚愕することはあるにしても、それ以外の感情は不要である。

 だが、ズキズキと胸が痛む。真っ先に脳裏に浮かんだ言葉は「裏切られた」の一言。そう認識してしまうのはやはり天城琴音と穂乃果を同一視するせいなのだろう。

 

「A-RISEの新メンバー……?」

 

 私以外のμ'sメンバーも目を見開いていた。きっと私と同様の気持ちなのかもしれない。

 

「ふふっ。これからは私もスクールアイドルだよ!海未ちゃん、皆んな、よろしくね!」

 

 ずっと手を繋いでいるのだと思っていた。だが、その手は別の道を行くために拒んでいたのだろうか。

 

「何故………。」

「ん?」

「何故、A-RISEに……。」

 

 想いは留まらず、言葉となって零れる。すると、先程まで朗らかな態度から一変する。まるで凍てつく氷に触れるようだった。

 

「言ったはずだよ。私は高坂穂乃果じゃない、天城琴音。どれだけ似てようと、私は別人だよ。」

「そ、それは……。」

 

 全く彼女の言う通りだ。何も言い返せない。彼女からしてみれば、高坂穂乃果と認識されることは些か不愉快だろう。

 

「それに私がA-RISEに入ろうと思ったのは貴女達に勝ちたいからだよ。」

「勝つ?」

「ううん、勝ちたいっていうのは正確な言葉じゃないな。」

 

 その声色は野望を秘めているようだった。

 

「そうだよ。高坂穂乃果が創り上げたμ's。彼女が創り上げた希望や理想全てを堕としてやりたいと思った。」

 

 手足が震える。彼女の言葉と視線は冷ややかだった。一言一言に嫌悪が込められていた。

 

「貴女はμ'sが嫌いなの?」

 

 口を開いたのは絵里だった。琴音の急な変貌ぶりに彼女も疑問を抱いているのだろう。

 

「いいや、曲は純粋に好きだよ。でもね、貴女達を見てると夢物語を見てるようで嫌い。愛とか友情とか……。そんなまやかしの希望を抱いてラブライブ優勝?笑わせないで。」

 

 μ'sという存在を否定する言葉だった。酷く現実的な思考を持つせいなのだろう。私たちの夢や希望は遠い国の唄のように聞こえるのかもしれない。

 

「一流のアーティストは皆んな歌唱力とダンス力でその名を轟かせている。つまり必要なのは技術力。感情は不要なもので、夢希望は偽善者が考える欺瞞でしかない。」

「何が言いたいのですか?」

「貴女達にスクールアイドルを語る資格はないってことかな。」

 衝撃な一言。人一倍、アイドルの想いが強いにこは耐えきれず、琴音に詰め寄る。

 

「アンタに、私達の何がわかるのよっ!?」

「にこちゃん駄目よ!」

「私達の気持ちも知らずに、勝手に決めつけないでよ!」

 

 胸に衝動が走る。

 スクールアイドルを語る資格がない。

 何故、そんなことを言われなければならないのだろう?

 

 確かに私達は一流と比較したら平凡な存在でしかない。一流の歌唱力とダンス力があるわけでもない。

 それでも―――。

 スクールアイドルの魅力を教えてくれた少女がいて、スクールアイドルを心の底からやりたいと思った。誰かのために歌う尊さを知った。

 

 きっと私達はいつまで経っても一流にはなれないかもしれない。

 けれど、誰かの為に歌いたいという気持ちが悪なはずがない。私は彼女の言葉を信じ続ける。

 

 世界中の誰もが敵であったとしても。

 

「にこちゃん、落ち着くにゃー!り、凛だって…。」

「そうだよ、ことりだってそんなの……。」

 

「静かにしてください!」

 

 声を張り上げ、喧騒を制する。すると、双方視線をこちらに移す。

 

「琴音。確かに貴女の言う通り私達は平凡です。一流の貴女方から見たら私達の理想、希望は不愉快に見えるでしょう。けれど、何も知らない貴女にそんなことを言われたくありません。穂乃果が創り上げた理想と希望を絶やす者は許しませんよ。」

 

 私と琴音は暫く睨み合っていた。互いに譲れない信念がある故に摩擦が生じる。

 

「ふーん、そっか。その感じだとやめる気はないようだね。」

 

 すると、琴音は終始、黙視していたツバサの方を向く。

 

「ツバサさん。UTXの屋上でライブしようよ。μ'sの皆さんも招待してさ。」

「勿論、私は良いけど。μ'sの皆さんはどうするのかしら?」

 

 逡巡はない。真っ向から向かっていくのみである。

 

「いいでしょう。その提案に乗りましょう。」

 

 すると、にこが信じられないという風に声を荒げる。

 

「ちょ、海未!本気なの!?」

「いずれはA-RISEと対決しなければいけないのです。それが少し早まっただけですよ。」

 

 きっと穂乃果ならそうする筈だ。

 たとえ、どれだけ現実的な恐怖があるのだとしても、夢と希望を忘れない。だから私はどうしようもなく彼女に焦がれたのだろう。

 

「そっか。なら楽しみにしてるよ。ライブ。」

 

 琴音はにこりと微笑む。やはり微笑みは穂乃果を彷彿とさせるけれど、彼女と穂乃果は明確な別人だった。




μ’s六年間ありがとうございました!
ファイナルライブ最高でした!
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