BLEACH El fuego no se apaga.   作:更夜

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BLEACH El fuego no se apaga.70

 

 

 

 

 

空に立つのは柳が如き人影。

ゆらりゆらり、のらりくらり、そんな雰囲気を纏った人影だった。

口元に浮かぶ笑みは裂けたように深く刻まれ、月光を照り返す白銀の髪が僅か風に揺れる。

半ば目を隠すほど伸びた前髪、キラキラと美しく輝くその髪の奥には怪しさ漂う双瞳。

細く緩やかに弧を描くそれは口元と相まって笑顔と呼ぶべきもの。

薄ら笑いではあるがそれでもその顔の形は笑顔と呼べるものだったが、しかし覗く瞳には喜や楽といった感情は見えない。

あるのはただ怪しさ、踏み込まれる事を拒み決して奥底など見せないかのような、何を考えているのか判らないような、そんな怪しさだけがその男の瞳には見て取れた。

 

 

「貴様…… 市丸(いちまる)……ギン」

 

 

夜一が呟いたそれが人影の名。

市丸 ギン、藍染惣右介と共に尸魂界(ソウルソサエティ)を離反した元護廷十三隊三番隊隊長。

月を背にして立ち、その後ろには彼以上に背の高い巨躯で黒髪の破面らしき男を従えている彼。

そんな裏切りの蛇を思わせる顔を持つその男が今、現世へとその姿を現したのだ。

 

 

(何故彼奴(あやつ)が此処に…… 離反した彼奴が態々我等に姿を晒す意味など無い筈……)

 

 

予期せぬ人物の登場に夜一は、戦いの最中にあっても刹那の思考を巡らせる。

藍染と共に尸魂界を離反した市丸、それは明確な反意の行動であり重罪に他ならない。

それを犯した者が尸魂界から干渉不可能である虚圏(ウェコムンド)に留まっているのではなく、現状死神が多数駐在している状態の現世、空座(からくら)町に現われる意味などある筈がないと。

 

 

「あら? これはこれは、元二番隊の隊長さんやないですか。まさかこない大物まで出て来とるとは驚いた。こらもうちょっと早めに連れ戻しに来た(・・・・・・・)方が良かったみたいやなぁ」

 

 

夜一の方へと目をやり、あたかも今気が付いたかのような反応を見せる市丸。

視界、そして霊圧が感じられる時点で誰がいるかなど判りそうなものだが、こうして自らのペースに他人を巻き込んでいくあたり、流石は藍染惣右介の右腕か、と彼を睨む夜一の視線が険しくなる。

しかし夜一は市丸の言葉に彼の目的を見ていた。

連れ戻しに来た、市丸は確かにそう言ったのだ。

そして誰を連れ戻しに来たのかという部分は言わずともかな、今もそこかしこで戦闘を繰り広げている現世へと侵攻した破面達だろう。

言葉から察するにではあるが、おそらくこの侵攻は彼の、ひいては藍染の本意ではないのだろうと当たりをつける夜一だったが、残念ながらそれ以上の思考は続かなかった。

 

 

「時に…… こっちばっかり見とったら「余所見してんじゃねぇよ!女ぁあぁぁぁあ!!」

 

 

外したのはほんの一瞬、予期せぬ人物の登場につられほんの一瞬外した視線。

しかしその一瞬は大きい。

聞こえた声は既に彼女の間合いの内側、感じる濃密な殺気と霊圧は既にそこに居るのだ。

振り被られた左腕、既に放たれつつあるそれを視界に捉えた夜一は自分の失態を責めた。

如何に予期せぬ事態があったとて今は戦いの内側、その中で敵から僅かでも注意を逸らす事の愚かさを。

驚きながらも聞こえた言葉に、同じ藍染の配下であり味方と呼べるであろう市丸の言葉に目の前の男は止まると。

“そこまでだ ”という意味合いの市丸が発した言葉に、目の前の破面はその拳を収めると決め付けてしまったと。

 

 

だが現実は違う。

 

 

制止の言葉など意味を成さない。

聞こえていないのか、聞こえていて無視しているのか、おそらくは前者であろうその破面フェルナンド。

高揚が、歓喜が、愉悦が彼の視界と思考から、戦い以外のものを排除しているのだ。

今ある戦いこそすべて、それ以外は必要無いとしているのだ。

 

避わせない、そう判断した夜一、そして叩きつけられる拳を彼女は遂にまともに右腕で防ぐ破目となった。

右腕だけでは足りない、本能的にそう感じた夜一は畳み込んだ右腕の裏に更に左腕を押し付け衝撃に備える。

直後襲ったのは腕が拉げるような衝撃、大地を踏みしめていた脚などお構い無しに彼女の身体は吹き飛ばされ、現世の建物を薙ぎ倒しながら吹き飛ばされる。

たった一撃、今まで払い避わしす事で正面から受ける事のなかった衝撃は、彼女がその中で感じていた通り凄まじく、圧倒的だった。

 

 

「オラ! 一発で死ぬ程ヤワじゃ無ぇだろうが!もっとだ!もっと魅せ付けてやるよ! 俺の力を!!だからアンタも俺に魅せろ!もっと上を……なぁ!!」

 

 

歓喜の叫びを上げながら夜一がふき飛ばされた方向へと駆けるフェルナンド。

まともに入ったとはいえこの程度で敵を倒した、等と思える方がどうかしていると。

この程度では今相対している敵は死なないという確信が、彼にはあるのだ。

 

それはある意味信頼に似ている。

たった一撃、自分が放ったたった一撃で死ぬような者の筈が無い。

そんな者が自分にあんな一撃を見舞える筈が無い。

自分以上に途方も無い時間を、ただ敵を無手にて殺す事に費やしたであろう人物が、この程度の訳が無いと。

故に緩めない、気も、霊圧も、攻勢も。

緩める事は即ち侮辱ですらある。

こうしてフェルナンドが攻め立てる事こそある意味歪な彼なりの信頼であり、敬意ですらあるのだ。

 

そしてそれを越え、殺してこそ自分が高まるのだと。

 

嗤い駆けるフェルナンド、獲物以外映らぬその瞳がギラギラと輝いていた。

 

 

 

 

 

 

 

「こっちばっかり見とったら、危ないで……って言おうとしたんやけど、遅かったかなぁ」

 

「ケケ。 まぁ遅いか遅くないかなら、ちっとばかし遅かったんでしょうね。市丸のニイサン 」

 

 

空に立ち戦いを見下ろしていた市丸。

夜一にフェルナンドの急襲を教えようとしたようだが、それは遅きに失した。

建物やら塀やらを薙ぎ倒し、一直線の砂煙を立てながら吹き飛ばされる夜一。

それを追う様にして駆けるフェルナンド、戦場は移り彼ともう一人は言うなれば置いてけぼりを食らった状態となっていた。

 

 

「ひどいなぁサラマ君。 ボクの親切心からの言葉をそんな風に」

 

「ケッケケ。 そういう物言い、藍染サマそっくりですよ?市丸のニイサン 」

 

 

市丸以外のもう一人、黒髪に巨躯の男はフェルナンドの子分兼首輪役の破面、サラマ・R・アルゴスであった。

首輪役などというものは本来相手に気付かれないように置くものだが、彼の場合は別。

なにせ自ら「自分はお前に着けられる首輪だ」と言い放ったのだから。

なんともおかしな物言い、しかし彼は現にフェルナンドの子分としての立場を得ている。

言う方も言う方だが、許す方も許す方という事だろう。

 

まぁ実際のところその“首輪”は形骸的なものに成り下がり、今回も機能していなかった訳ではあるが。

 

 

「ホンマやったらボクは来ぇへんでもよかったんやで?キミが(ぼん)をちゃ~んと見張っといてくれたら……なぁ」

 

「ケケ、そりゃ面目ないですねぇ」

 

 

藍染に似ている、というサラマの言葉にどこか嫌そうな雰囲気を醸す市丸。

しかしそれも僅かな事で、サラマに対してはチクリと刺さる棘が存分に生えた言葉を返した。

その言葉にサラマは悪びれる様子もなく答える。

元々サラマにフェルナンドの行動を制限など出来ないのだ。

弁は立ってもそれだけで彼を止められるはずも無く、今回はフェルナンドの方も藍染への意趣返しを込めた侵攻ゆえ、サラマに告げることもまた見つかる事も無い様事を進めていた。

結果見事出し抜かれたサラマは、一応の任務という事で市丸に同行し、こうして現世まで足を運んだのだ。

 

 

「にしても ……口で言うて止まるとは思うてへんかったけど、まさか完全に無視されるいうんは予想外やったなぁ」

 

「なんか随分楽しそうでしたからねぇ。 俺と戦った時とは比べ物にならないですよ、あの気配は…… 」

 

 

実際のところ市丸の方も、そう簡単にフェルナンドが止まるとは思っていなかった。

グリムジョーの方には同じように藍染と共に離反した東仙が向かっており、そちらは彼が治めるだろうと。

しかし、まさか気付かれもしないとは考えていなかった様で、どうしたものかと思案している様子。

そうしている間にもまた衝撃音と大きな煙の柱が一つ立ち上り、そこから飛び出してきた夜一を追うフェルナンドの姿が見える。

夜一の方も応戦している様子で、どうやら防御に使った右腕もかろうじて無事、といった様子だった。

 

 

「なんや、羨ましいんか? サラマ君 」

 

「冗談。 あの時だってこっちは必死こいて戦ってたんですよ?それを誰が好き好んでそれ以上を求める、って言うんですかい。ただの首輪には割に合いませんよ、割にね。 ……ただ、そういった意味ではあのアネサンも只者じゃない…… って事なんでしょうねぇ 」

 

 

フェルナンドの気配、そして表情から鑑みて随分と意気が上がっていると判断したサラマ。

そんな彼の言葉に市丸は悪戯っぽく声を掛けた。

自分の時以上と言うサラマの言葉に、その時以上を引き出した彼女が羨ましいのか、と。

しかしサラマは半眼でベェと舌を出し、両手を挙げて首を振りながらそれを否定する。

あの時は彼自身思った以上に随分と必死で、結果二度とは御免だとすら思った戦い。

それ以上のものを求めるのは、どうにも割に合う気がしないと。

本音か嘘か、しかしそれを引き出している夜一をサラマは高く評価していた。

 

 

 

だが、この二人随分と悠長である。

 

 

 

戦いは今だ進行形。

今し方も夜一の蹴りがフェルナンドを捉え、一度彼を蹴った足は地に戻る事無く、返す刀で引かれた足が今度は彼の顎を打ちぬいた所だった。

それを先程の場所からまるで眺めるようにして見ている二人。

もう片方の戦い、一護とグリムジョーのそれは東仙がいち早く止めている事だろう。

実直、忠実、忠烈の士を絵に描いたような東仙(とうせん)(かなめ)という人物の人柄を鑑みれば、それは容易に想像できた。

 

ではこちらの二人はどうか。

片方はゆらりくらりと、わざとらしさすら感じられる程の道化ぶりを見せながらも、時にそれに紛れて真実を穿ち、しかし腹の底は決して見せない。

もう片方はこちらも道化の類、分を弁えていると言えば聞こえはいいが、その実やはり本心は見せない。

 

要はどちらも道化師であり此処へきたのも命令に忠実だから、と言うわけでは断じてないのだ。

 

彼らが藍染から命ぜられたのは、現世に侵攻した者達を帰還させる事であり、それを思えばこうして放っておいても事は成る。

フェルナンドが夜一を倒してしまえさえすれば、後は勝手に彼も帰るのだからと。

だが結局のところそうも言っていられないのが現実、フェルナンドが夜一を倒せば済むとも言ったが、もしフェルナンドが夜一に倒されてしまう等ということが起これば問題であり、そうならないという保障はどこにもない。

今もフェルナンドの突撃を避わしざまに、夜一がフェルナンドの突進力を利用して彼の腹に自分の膝を突き刺している。

身体をくの字に折り曲げながらそれでも嬉々としてフェルナンドは嗤いながら裏拳を夜一に見舞ってはいるのだが、一方的に圧しているとは言い難いものだった。

 

そして何より、市丸にとってあまり死神側の(・・・・)戦力が減るのは望ましくなかった。

 

 

(さて、どないしたもんやろか。 坊はあれで大概頑固やからなぁ、そもそも口でどうこう出来そうもあらへんし…… かといってあんまり尸魂界の戦力減らしてもうたら隙が出来けへん(・・・・・・・)かもしらんしなぁ…… )

 

 

市丸の脳裏に流れるそんな思惑。

薄ら笑いの仮面の下に潜む蛇、今は時を待ち、とぐろを巻いているその蛇が思考を練る。

戦いはどちらに転ぶか判らない。

諸々を考えたとき止めた方が良いのは事実としてあるのだが、一方でここであまり積極的に動くのもどうか、という思考も市丸には浮かんでいた。

そこで問題になるのは止め方、いかにして止めるかという部分なのだ。

 

 

「いや~それにしても坊はすごいなぁ。 相手にしとるんは尸魂界でも有数の白打(はくだ)の使い手やのに。けど流石にそろそろ止めなアカン、と思わへんか?サラマ君」

 

「なら自分で止めたらどうですかい? 首輪ってのは巻かれてる事が重要で、そこから鎖を引っ張る役目ってのは他に居るんですよ」

 

「ま、今回の場合は巻かれてすらおらんかったけどなぁ」

 

 

さりげなくサラマに水を差し向けてみる市丸。

止めた方がいいと君も思うだろう、と。

ここで相手が「そうだ」と同意してくれれば、そう思うならお前が止めてくれと言えば済むのだが、流石に透いた流れだったのかサラマもそう簡単には引っ掛からない。

彼からすれば、態々死地に飛び込むような真似は割りに合わな過ぎる、と言ったところか。

自分はあくまでも“首輪”であり、それを巻いて鎖をつけ、鎖を引くことで行動を制するのはあくまでも“飼い主”側の仕事だと切り返す。

言ってしまえばどちらも自分から積極的に関わる心算がないのだ。

 

所詮はやりたくも無い仕事、ならやらずに済むようにするのが上手い生き方であるとして。

 

 

「……痛いとこ突きますねぇ。 でも残念な事に俺、フェルナンドのニイサンに“俺の戦いの邪魔はするな”って言われてるんですよ。どうしても止めろ、って言うなら(やぶさ)かじゃないですが、その後きっと俺殺されますよ?そしたらせっかく嵌めた首輪が無くなっちまいますねぇ。なんとも残念な事(・・・・)に……ねぇ 」

 

 

ここでサラマが切り札を切る。

彼がフェルナンドの子分となったとき、唯一彼がサラマへと架した条件。

 

戦いの邪魔だけはするな。

 

それがサラマが子分となる為のたった一つの条件だった。

現状を見ればフェルナンドは明らかに夜一と戦闘を行っており、ここにサラマが割って入りでもすれば、それは明らかに約定を反故にしたという事。

そしてその報いはおそらくサラマ自身の命に関わる。

フェルナンドがそう明言した訳ではない、しかし充分すぎるほどそれは予測出来るのだ。

 

もしここでサラマを失うような事があれば、せっかく嵌めた首輪は外れ、また獣は自由の身となる。

半ば形骸化し、現状巻かれてすらいなかったかの様な首輪ではあるが、それでもあるとないでは違うのだろう。

そして首輪をつける事を決めた藍染自身が、この首輪の失態を責めていない事からまだ彼は必要とされている事が伺える。

以上を持って切り札、面倒事、割に合わない仕事から逃れる為にサラマが用意した、なんともそれらしい理由(・・・・・・・)だった。

 

 

「あ~、こら、どうにも歩が悪そうやなぁ 」

 

 

サラマが放った切り札に、少し前と同じように嫌そうな雰囲気を見せた市丸。

そして言うなればそれは敗北宣言に近いもの。

こうもそれらしい理由(・・・・・・・)を出されたのでは、退くべきは自分だと言う意思が見える声。

まいったまいったという雰囲気も出しながら、観念したように市丸はそう零した。

 

 

「でもサラマ君。 キミよう頭が切れるなぁ、まるで藍染隊長みたいやで?ボクなんかよりずっとなぁ…… 」

 

「……なんでしょうねぇ。 前にも誰かに同じ様なこと言われたんですが…… 今の、ぜんぜん褒められてる気がしないんですがねぇ……」

 

「そうなん? ま、どうでもエエかそんな事 」

 

 

サラマの切り札に敗北宣言を出した市丸。

止めに行くのはもう仕方が無い事として、しかし言いたい事は言う様子だった。

やれない事は無い、やってもいい意思もある、しかし。

それをすれば残るのは何か、 メリットかデメリットか、そのどちらが多くなるのか。

二つを見比べた時、最良の選択肢はこれなのかどうか、示された判断材料を元にまるでキミはどう思う(・・・・・・・)と問いかけるかの様な手法。

条件と結末、そしてそれに至る道筋までの殆どを示しながら、あくまで自分が選択したと思わせるその手法はまさしく藍染惣右介そのもの。

感じたままのそれを、お前の方がよっぽどそうだ(・・・・・・・)という思いを放り投げる市丸。

 

対してサラマはそれを渇いた笑みで受け止める。

前にも、正確にはほんの数日前にぶつけられたものに酷似したそれ。

頭が切れる、という言葉の後に続くよく似ているという言葉。

完全に嫌味であるそれをあえて、何故か褒められている気がし無いと言えるのはサラマらしい部分。

その後に続く“どうでもいいか”というような趣旨の言葉に、若干気落ちした彼を他所に市丸は行動に移ろうとしていた。

 

 

「ま、しゃ~ない。 ボクが坊を止めるよって。どうせ言うても聞かんのや、ここはさっさと帰ってもらう事にしよか。ボクらとは別々に(・・・)やけどなぁ」

 

 

そんな言葉を残しその場から消える市丸。

しょうがないと、あくまでも自分は仕方が無くフェルナンドを止めるのだと。

そう言い残した市丸であったがその実は違う。

 

何故なら彼はさっさとこの戦いを止めたかったのだから。

ただ、積極的に動くのは要らぬ誤解と詮索を招く種。

自身が演じる人柄にそぐわぬ行動は、その種を芽吹かせる恐れがある。

敵戦力を減らせる好機、減らせずとも深手を負わせられる機会を前に無理にでも味方を退かせる事の違和感。

命令を額面通りに受け取ればそれは正解なのだが、藍染惣右介の望む部下はそうではない。

命令の裏を読み、尚且つ命令以上の戦果を暗に求められるのだ。

その点から見れば今までそれを忠実に実行してきた市丸という人物が、そそくさと命令を遂行する事には微々たるものだが拭いきれない違和感が生まれるのだ。

 

だが今は違う。

何故なら彼は今、免罪符を得たのだ。

 

仕方が無いから(・・・・・・・)自ら動くという免罪符を。

サラマが何かそれらしい理由さえ出してくれれば、彼にはそれで良かった。

後は渋々自分が折れたという事にすれば、自分が動く事に違和感は無い。

少なくともフェルナンドが圧倒的優勢と判断できない現状、死なれる前に回収したという面目は立つ。

 

何故ならそれは仕方が無い事だから。

結果的に死神を助ける事になろうとも、それは命令を遂行する上で仕方が無かった事になるのだ。

 

巧く事を運んだのは市丸。

自分が今被る仮面は、東仙ほど実直ではない。

そんな自分が東仙よろしく命令の為にひた駆けるのは、どうしても違和感がある。

その違和感はある程度は消した、後はどれだけ早く、どれだけ多く死神側の戦力を残せるかに掛かっている。

市丸の思惑のためには死神側の戦力は多ければ多いだけ良い。

その為にはフェルナンドにいち早く退場してもらうのが一番なのだ。

言葉で止まればそれが一番良かったのだが、もうそれに意味はない事は証明済み。

なら残るは一つだけであり、既にどうするかの算段はついている。

 

またしても立ち昇る砂煙の柱、それを目印に市丸は夜空を駆けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

市丸達が他人事のように眺めていた戦いは未だ続いていた。

何度目になるか判らぬ交錯、黒と白の線、その線と線が交わり交点から弾かれ距離をとる。

黒い方は勿論夜一、息を切らせ苦痛からか僅かに顔を歪ませる彼女、口元から一筋の血を流し、衣服もあちらこちらが破けてはいるが五体は満足。

両手両足に多々怪我はあれど欠けは無かった。

対する白い方はフェルナンド、こちらも僅かに息が上がっているが顔には今だ笑みが浮かんでいる。

身体の方も夜一に打ち据えられた痕をそこかしこに残してはいるが、動かない、失ったという事はない様子だった。

 

 

(くっ……! やはりやりよる…… 体躯も儂と頭一つ分程度しか変わらんというのに何という頑強さじゃ……あの外皮に守られている、というだけではないのぉ。こちらも騙し騙し打ち込んではいるがジリ貧じゃ、いずれ拳も脚も壊れるッ)

 

 

距離をとった夜一、巡らせる思考は解決を見出す事は無く。

白打の使い手、という事は早い段階で判ってはいた。

しかしあそこまで練られているとは正直考えていなかった夜一。

自身が扱う“風車(かざぐるま)”と呼ばれる技にも似た二段式の回転蹴り、その後ほぼ真下から襲ってきた蹴り上げ、初見で防げたのは僥倖の一言であり積み上げた年月と技量があればこそであった。

しかし技術も然ることながら肉体の方もそうとう頑丈で、夜一が幾度打ち込もうとも決して膝を折るような事は無く。

打ち込めば打ち込むほど気勢が上がっていく敵に、果たしでどれ程のダメージを与えているのか、正直判断に窮していた。

 

拳も脚も、何とか壊す事無く此処まで渡り合っては来た夜一。

それは一重に彼女の技量が成せる技であり、ヤミーの時とは違い彼等の外皮が高い霊圧硬度を持っている事が判っているのならば、彼女にもやりようはある。

要は打ち方を変えればいい問題であり、急場凌ぎではあるがそれは成功していた。

しかしそれはあくまでも急場凌ぎ、そのまま勝敗を決する事が出来れば御の字であるというだけ、長引けばいずれ拳も脚も激しい攻撃と鋼皮(イエロ)の硬度に耐え切れず、壊れるのは明白だった。

 

敵がどの程度ダメージを受けているのかは判らず、彼女自身は刻一刻と終わりの時が近付くというのが今の状況。

事此処に至っては現世への影響はあれど、“瞬閧(しゅんこう) ”の使用すら頭を過ぎる。

確かに影響はあるだろう、しかしこの男を後々まで残している方が余程危険なのではという思いが、夜一には過ぎってならなかった。

 

 

「ハッ! 最高だなぁ…… こっちも返しちゃいるが、ここまで好き放題殴られたのは久方ぶりだ。ククッ、だがどうしてだろうな……震える(・・・)んだよ。クハハ、これが喜びなのか、それとも恐怖なのかは判らねぇが……な。なぁ、テメェを倒せば判んのか? テメェを殺せば判るのかよ!この震えが歓喜か恐怖か! それともこれこそが、俺の求めるモノなのかがよぉぉぉお!!」

 

 

それはまるで熱風のように吹き荒れる“ 気 ”。

殺気であり闘気であり覇気、それらが混ざり合ったかのような存在が放つ気の奔流。

攻撃を受けた量では明らかにフェルナンドの方が多く、肉体にもまったくダメージが無い等ということはあり得ない。

そんな事は当たり前の事、不死の生命など存在しない、傷を負わない戦士などいない、生命としてそこに存在する以上“ 死 ”は常に隣人として傍らに居るのだ。

彼とて殴られ、蹴られ、斬られれば傷を負いそれに痛みを感じるのだ。

 

そして傷が深ければ死ぬのだ、そこに例外は存在しない、フェルナンドとて死ぬのだ。

 

だが、彼にとって大事なのは“ 今 ”しかない。

今という刹那を生きられない者に先は無い、今という一瞬を懸命に生きようとしない者に未来は微笑まない。

 

今に全てを賭けなければ、手に入れられないものがこの世には確かにあるのだ。

 

フェルナンドはその為に今を生きる。

先の事は考えない、明日やればいいという考えも無い。

やるべき今が、戦うべき今がそこにあるのならばそれに全力になれなければ手に入らないと。

少なくとも彼がそう信じている時点で、それは彼にとっての真実で譲れず、曲げられない生き方なのだ。

 

愚直、不器用、頑固者。

だがそれでいい。

彼という男はそれでいいのだ。

ただ前に進む事しか知らない、後ろを振り返り後悔する事はない、目指す先をただ見据え進む。

手に入るかも定かではないものを見据え、視線を逸らす事無く歩を進めるのが彼なのだから。

 

今もそうなのだろう。

はじめはただ自分の業がどの程度通用するのかが知りたかっただけ。

通じようが通じまいがその後にあるのは結局同じ事なのだ。

通じれば更に昇華し、通じなければ通じるように研鑽する。

そこに終わりは無くただ“ 殺す ”という一点に集約していく作業なのだから。

 

しかしフェルナンドは今現世に来た事を正解だと感じていいた。

彼の前居にいる女性は彼よりも小さく、細く、脆い。

それは破面という生物の強度と鑑みれば当然なのだがそれでも、そう見える。

だが、目の前の女性はその小さく細く脆いその腕で、脚で彼を吹き飛ばすのだ。

純粋な技量の差、研鑽し積み重ねた年月の差、踏んできた場数の差、それが彼を吹き飛ばすのだ。

 

だが彼はそれを嫉まない。

その差はあって当然の差であるから。

敵と自分がまったく同じである筈が無い、差とは常に存在し敵の方が上である事も往々にしてありえると。

しかし、その差が全てではない。

その差を覆してこその業であり力であり意志なのだ。

 

 

夜一へと駆けるフェルナンド。

腹部に貰った一撃は彼の速度を落としてはいたがそれでも、駆ける事を止める筈は無い。

見えるのは最早敵の姿だけ、他は排しただ敵を倒し殺す事だけが彼の頭を満たしていく。

今という戦いの果てに、今に全てを賭けたからこそ“ 先 ”があると信じて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「射殺せ…… 『 神槍(しんそう) 』 」

 

 

 

 

 

今まさに激突しようとしたフェルナンドと夜一。

しかし、再び降り注いだのは声。

 

そして降り注いだのは声だけではなかった。

 

二人が激突するその丁度中心点に突き立てられたのは刃。

それもただの刃ではない、そこには柄も鍔もどこにあるのか判らないほど長い刀身(・・・・)が突き立てられていたのだ。

声は届かずとも嫌がおうにも目に入るそれ、フェルナンドとて同じ事で反射的に後方へと飛び退く。

そして突き立てられた刀身の根元を目で追えば、そこに見えるのは蛇の笑み。

此処にきて漸くフェルナンドは、市丸の存在を認識していた。

 

 

「漸く気ぃついたか? 駄目やないか坊、楽しすぎて周り見えんくなるんは悪い癖やで」

 

「……テメェ、市丸。 何しやがる……!」

 

 

あくまでもニコニコと笑みを浮かべる市丸と、怒気を隠そうともしないフェルナンド。

勝負、殺し合いに水を差されたフェルナンドが怒りを顕にするのは無理も無い。

しかし感じただけで肌が粟立つようなその怒気と殺気を前に、市丸はその笑みを崩さずそれどころか余裕すら見える。

 

底が見えない。

その市丸を見て夜一はそう感じていた。

笑みで覆い隠された腹の底も然る事ながら、あの場所に平然と立っている事の意味。

腹の底だけではなく“ 力 ”の底すら見せないような市丸に、夜一は敵対した者達の力を改めて確認していた。

 

 

「何するもなにも無いわ。 無断での現世侵攻は命令違反やで?せやからキミをボクが、グリムジョーを要が連れ戻しに来たんや。キミ等十刃(エスパーダ)を止められるのなんて、同じ十刃かボク等くらいなもんやからなぁ」

 

「知るかよ。 俺は藍染の配下になった心算は無ぇ。 “命令”を聞いてやる義理も無ぇ、それよりテメェは俺の戦いの邪魔をしたんだ……この落とし前、どうつけてくれる心算だ」

 

「こらおかしな事ぬかしよるわ。 別にキミの都合はボクに何の関係もあらへん。それにキミのご機嫌伺うんがボクの仕事とちゃうからね、ボクは言われた通りキミを虚圏に連れ戻せさえすればエエねん。ちゃっちゃと戻ってくれるとボクも楽できて助かるんやけどなぁ」

 

 

あくまでスラスラと状況を説明する市丸。

現世侵攻、それも無断であるフェルナンド、そしてグリムジョーの行動は命令違反である。

命令とは守られるべきもの、そして守らせるべきもの。

それを虚夜宮最高戦力の一角がこうも容易く破ってしまっては示しがつかず、規律の緩みに繋がる。

まぁこの程度の事で藍染が恐怖によって縛る鎖が解ける訳も無いのだが、命令違反は裁かれねばならない。

 

故に市丸は此処に来ているのだ。

グリムジョーの方へと向かった東仙も同じ事。

そして彼等が出向いた理由など一つしか無い、それは彼等(・・)でなければ連れ戻せない(・・・・・・)からだ。

虚夜宮最高戦力『十刃』、その力は伊達ではない。

数字持ち(ヌメロス)や下官など幾ら向かわせても意味など無く、同じ十刃を向かわせるという手もあったが、もし万が一そこで拗れる様な事があれば意味が無い。

故に統括官という立場にある死神二人にお鉢が廻ってきたという次第。

 

この市丸の発言にフェルナンドの実力がやはり想像していた以上だと確信した夜一。

市丸、そして東仙の二人が連れ戻すというそれだけの為に派遣された事実。

藍染直属の部下、その力を鑑みれば自ずと二体の破面の力をより推し量れるというものだろう。

 

 

だがフェルナンドにそんなものは関係なかった。

 

 

あるのは邪魔された事への不快感と怒り。

それを存分に乗せた言葉を市丸へと投げるフェルナンドであったが、市丸も然る者。

お前の事情など関係ないとフェルナンドの怒りを一刀の下に切り伏せたのだ。

フェルナンドはもとより市丸もまた意志の強さを覗かせる。

互いに通すべきは自分の意思だけであり、態々気を使ってやる必要など無いと。

 

 

「そうかよ。 なら俺にもテメェの都合は関係ない、って訳だな…… 失せろ市丸。 二度は言わねぇ、まだ邪魔するならテメェから殺す」

 

「お~こわいこわい。 でも判るやろ? そんな事言うたかてボクが退く訳無いやないの。それに…… 」

 

 

邪魔された事への苛立ちと、まったく退く様子を見せない市丸に業を煮やしたフェルナンド。

これ以上邪魔をするのならばお前から殺す、言葉と同時に更に殺気を市丸へと叩きつける。

普段の彼からすればここまで苛立ちを見せるのは珍しい事だろう。

だが、せっかく愉しんでいた戦いに横槍を入れられた事は、彼を事の外苛立たせるのに十分だった。

 

だが市丸はその薄ら笑いを崩さない。

どこまでも道化じみた態度、怖いと口にしながら欠片もそれを感じていないかのような振る舞い。

そして殺気を幾ら叩き付けたとて、自分が退く事等ありえないと言い放つのだ。

その退く訳がないという言葉を合図に、市丸へと飛び出そうとするフェルナンド。

怒りに彩られた拳をそのいけ好かない薄ら笑いに叩き込んでやると決め、脚に力を込めた瞬間、全ては終わっていた。

 

 

「これで終いや。 そっちでちょっと頭冷やして来たらエエ……」

 

 

気がついた時には既に市丸はフェルナンドの間合いの中にいた。

怒りが視野を狭める、その典型。

フェルナンドが市丸の存在を認識した瞬間に、全ては終わっていたのだ。

市丸の掌、その上にあるのは指の第一関節ほどの大きさしかない小さな匪。

その匪は既にフェルナンドの胸の中心に開いた孔に翳されており、そこからの展開は激烈だった。

 

小さな匪は一瞬にして解けるように。

無数の光の帯となり四方八方からフェルナンドを覆い隠す。

白い光の帯、しかしその裏は闇の様に黒く相反する属性が背中合わせに縫い付けられ、覆い隠すのだ。

 

 

「クソッ! こいつは! 」

 

反膜の匪(カハ・ネガシオン )。 本来は数字持ちへの懲罰用やけど、暴れる獣を運ぶ檻には充分や。ほな、また向こうでなぁ、坊」

 

 

市丸の言葉に何事か叫ぼうとするフェルナンドだったが、その叫びが届く前に光の帯は周囲の空間ごとフェルナンドを包み込み、その姿を消し去った。

反膜の匪、十刃が部下とした従属官(フラシオン)の処罰用に使用するその小さな匪は、捕らえた対象を永久に閉次元に幽閉する機能を持っている。

しかしそれはあくまで従属官、数字持ちを対象とした場合でありそれ以上の霊圧を持つ十刃を対象とした設計ではない。

故に強大な霊圧を持った者を捕らえられる時間は限られ、永久幽閉は叶わないのだ。

それを可能としているのは藍染だけが持つ連反膜の匪(カハ・ネガシオン・アタール)なのだが、今語るべき事でもなく。

市丸にとって要はフェルナンドを捕らえられさえすれば方法は何でも良かった。

それこそ縄で簀巻きにして連れ帰ったとて結果は変らないのだ。

ただ反膜の匪の方が何かと便利で早かった、というだけ。

数時間の後に破られはするだろうが、その時には既に全て終わった後であり、もしフェルナンドが今だ怒りを抱えていようとももうどうしようもない事なのだった。

 

 

「あ~こわかった。 あんなのが十人も居って(・・・・・・)、彼かてまだその七番目(・・・)やと思うとボクは怖ろしゅうてかなわんわ。さて、坊は消えたけどアンタはどうします?元二番隊隊長さん?」

 

 

姿を消したフェルナンド、その後に残った市丸はパンと一度手を叩くとあっけらかんとした声を上げる。

本当にそう思っているのか疑わしい限りのその声、蛇、腹を見せぬ蛇の声。

フェルナンドが消えた事によりその場に残ったのは夜一と市丸。

正確に言えば戦いによって負傷している夜一と、着物に埃一つつけていない万全の市丸である。

勝敗は誰の目にも明らか、少なくとも現状のままでは夜一の勝ち目は薄いだろう。

 

 

「……無論、捕らえるに決まっておろう。 貴様を捕らえれば藍染の目的も見えるやもしれん」

 

 

だが、それでも夜一は行く。

勝ち目が薄いから戦わない、というのは既に敗者の思考だ。

そもそも勝ち目とは自ら生み出すもので、戦いの前から決まっているものではない。

敵の幹部がのこのことこちらの目の前に姿を現したのだ、捕らえて根こそぎ吐かせるが常道と。

その為に身体よ、もう少しだけ保ってくれと願う夜一であったが、形勢は更に悪くなる。

 

 

「お? 終わったんですかい? 市丸のニイサン」

 

「あ~、サラマ君やないの。 こら見物どうもご苦労さん」

 

「……意外と根に持つんですねぇ。ならこっちも退くとしますか、どうにも現世ってのは息が苦しくて」

 

「そうやね。 用事は済んだしちゃっちゃと行こうか」

 

 

そう、更なる敵方の増援である。

黒髪に巨躯の男、先程も市丸の後ろに立ってはいたが弱くはない、と見抜く夜一。

流石にこの状況で二対一は歩が悪いか、と思う夜一であったがそんな彼女を他所に、市丸と黒髪の破面はさっさと撤退を決定する。

 

 

「ま! 待て! 」

 

 

声をかける事におそらく意味は無い。

あるとしたらそれは咄嗟に口をついた、というだけでありそれで敵が止まるほど、世界は優しく出来てはいないのだ。

夜一を他所に黒髪の破面がそっと空に触れる(・・・・・)

直後、空が横一直線に割け、更に縦に切込みが入るとそれらが段違いに開いていく。

出来上がったのはまるで歯並びの悪い化物の顎のような穴、空が割けて後に見えるのは何処までも暗い道筋だった。

 

黒髪の破面、それに次いで市丸がその中に入っていく。

夜一に背を向けて、その行為になんら危機を覚えないといった風に。

屈辱的なことだ、それは。

要するに今、夜一は敵に見逃されたのと同じ(・・・・・・・・・)だった。

負傷を負った自分を仕留める事無く、悠々と帰還される。

命は助かったがしかし、誇りは抉られたかのように。

 

割けた空の穴、解空(デスコレール)と呼ばれる破面の現世と虚圏の移動術に足を踏み入れた市丸が振り返る。

そして割けた空が再び元に戻ろうとするなか、締まる直前のそこでやや身を屈めるようにして薄笑いを浮かべた市丸は、夜一に手を振りながらどこまでも気軽に言い残し去っていった。

 

 

 

「ほな、バイバーイ 」

 

 

 

空が閉じ、残ったのは静寂と戦いの残り香。

長い長い夜、時間にしておそらく1時間にも満たないであろうがそれでも長い夜。

その夜が漸く明けようとしていた。

残された者達それぞれに、悉く苦さを残したままで……

 

 

 

 

 

 

 

裁き

 

王の意思

 

忠烈

 

割れ戻り

 

何を思う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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