BLEACH El fuego no se apaga.   作:更夜

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BLEACH El fuego no se apaga.84

 

 

 

「軋れェ!! 豹王(パンテラ)ァァアア!!!」

 

 

刃に爪を掻き立て叫ばれた()

咆哮にも似たその声は、ただ眼前の死神への敵意と殺意に満ち、それに応ずるように名を呼ばれた獣は現界した。

膨大な霊圧の発生は爆発にも似た衝撃波を生み、それによってかき乱された周囲の霊子は白く濁った煙の様に一面を埋め尽くすと、うねりながら爆発の中心を覆い隠す。

 

その様子を刀を構え見据える一護、死神にとっての斬魄刀解放とも言える破面の刀剣解放『帰刃(レスレクシオン)』、彼にとって初めて目にするそれは圧倒的な圧力を発し、またその圧力を更に濃くするような殺気に満ち満ちていた。

 

 

(これが破面の解放、ってやつか…… とんでもなく濃くて鋭い霊圧だ……! )

 

 

敵、破面グリムジョー・ジャガージャックに起きた圧倒的変化。

霊圧の濃さと大きさをその肌で感じ、グリムジョーの意気と殺気をもその身に浴びながらも一護が然程心を乱さなかったのは、この一月の修行の賜物に他ならないのだろう。

握った刀を一層強く握り直す一護、彼にとって今必要なのは敵の変化に心乱す事よりも、自らの想いを強く意識する事、自らその背に負った者達を護るのだと、いう想いこそが彼の力の源である以上、彼にとって心を乱す事に意味はないのだ。

 

 

(そうだ。 グリムジョー(アイツ)が強いなんて事は今更驚く事じゃねぇ。 ……相手の強さなんて関係無ぇんだ、俺は…… 勝たなきゃならねぇんだ! )

 

 

未だ霊子の煙に覆われたグリムジョーの姿、それを前にして一護はまた一つ強い決意を固める。

護るために戦う事こそが黒崎一護の戦い、自らの大切な人を、大切な場所を、大切な人が大切だと思う人達を、自分の手で全ての人を護る事は出来ないと知りながら、それでも山ほどの人を護りたいという死神代行になった当初の彼の願い。

戦いを経て現実を知り、敵の強さを知り己の弱さを知り、無情な現実に打ちのめされながらそれでも変らない彼の想い。

その変らぬ想いこそが、強い決意と意志こそが黒崎一護の根幹をなす力。

そして一護の変らぬ想いは、彼の力であるのと同時に彼の持つ斬魄刀の力、斬魄刀にとって主の強い意思こそが重要な力の源であり、主が強く願いそれを斬魄刀が受け入れることで両者は互いを高めあい強くなる。

一護の思いに応ずるように彼の斬魄刀である天鎖斬月(てんさざんげつ)は一護の霊圧を更に押上げ、それはまるでグリムジョーの霊圧に呼応するように大きくなっていく。

 

 

 

「……いくぜ、死神ィ 」

 

 

 

だがそれは突然の出来事だった。

突如訪れた衝撃に一護が対応できたのは、一重に今の一護の研ぎ澄まされた感覚とその声によるもの。

霊子の渦の中から聞こえたその声はグリムジョーのものに相違なく、しかし一護は声の主の姿を完全に確認する前に、自身の真上から振り下ろされた何かに叩き伏せられ、下方に広がる空座町の大地へと激突を余儀なくされた。

防御が間に合ったのはまさに間一髪、もし彼の感覚が僅かでも緩み、そして先の一言がなければ、一護は自分が何故大地に打ち付けられているのかすら理解出来なかったかもしれない。

殴られたのか或いは蹴られたのか、それとも別の何かなのかすらも判断する事適わず、大地が呆気なくひび割れ隆起するほどの衝撃を受けた一護。

叩きつけられた衝撃によって、無理矢理肺から押し出された空気を吐き出した彼の眼に映ったのは、上空に立つ青と白の人影だった。

 

猛獣のような眼光は更に野性味を強くし、風に靡くのは腰よりも尚長く伸びた水浅葱色の髪、右頬にあった牙を模した仮面の名残は消え額当てとなり、牙の仮面の変わりに彼自身の歯が獣の牙として口から覗いていた。

身体を覆うのは白い死覇装ではなく身体の線に沿った白い鎧、それは身を護る事よりも軽さを優先したような鎧であり、両の上腕には鉤爪の様な刃が生えている。

上半身は先程までとさして変わらぬ人型、しかし下半身には長い尾が生え獣の意匠を強くし、脚は獣がそのまま後足で立ち上がり人間のようにスラリと伸びたようなしなやかな姿となっていた。

一言で言ってしまえば獣人、架空の存在でしかないそれが今一護の眼にははっきりと映りそしてその獣人こそが彼を大地へと叩きつけた張本人、グリムジョー・ジャガージャックである事は間違いなかった。

 

 

「どうした? さっさと立て死神。 今ので動けなくなるほど(ヤワ)じゃ無ぇ筈だ…… それにここからだぜ? 俺もテメェも本気の殺し合いが出来るのはよォ!!」

 

 

大地へと叩き落した一護を見下ろすグリムジョー、荒ぶる霊圧と一切抑える事無く放たれる殺気、その眼光はまさしく彼が一護を敵として認識し、その爪と牙で引き裂く事に向けられていた。

 

 

「ふざけんな。 俺は…… てめぇと殺し合いがしたいなんて思ってねぇ…… 」

 

 

空に立ち自分を見下ろすグリムジョーを仮面の奥で睨む一護。

グリムジョーの言ったとおり大地が割れるほどの衝撃も今の一護にはそれほど大きなダメージとは言えず、立ち上がった一護は刀を斜め下に構えるとグリムジョーの言葉を否定する言葉を発した。

 

 

「ハッ! 笑わせやがる…… ならテメェのその霊圧は何だ?その刀は何だ? その仮面は、その力は何だ?テメェがこの一月必死になって手に入れた力は一体何の為だ!答えなんて決まってる! 殺すためだ(・・・・・)!!テメェの邪魔をする奴を! テメェが気に喰わねぇ奴を!片っ端からぶっ殺す為だろうが!! 」

 

 

殺し合いを望んでいない、そんな一護の言葉をグリムジョーは鼻で笑い飛ばす。

何を馬鹿なと、何を言っているのかと、発する霊圧も手にした刀を、それら全てが向かう先は須らく戦いの渦だろうと。

敵を斬る為に刀は存在し、それ以外の用途を何一つ求められないのと同じように、お前も、そしてまた自分も敵を殺す事以外何一つ望まれてはいないのだと。

長く伸びた両手の爪を自らの喉に突きたてるような仕草からその喉を掻き切る様にして両腕を広げ叫ぶグリムジョー、彼の中にある力と殺戮の方程式に則った叫びは吹き上がる彼の霊圧に更なる拍車をかけるかのようだった。

 

 

「違う! 俺は殺し合いをする為に強くなった訳じゃ無ぇ。俺は護りたいだけだ。 誰かが大切なもんを失ってキツい目に合うのは見たくねぇ…… そんなのはもう沢山だ…… でももし、俺の力でそれを防げるなら、誰かの大切なもんを護れるなら…… そして、その為にお前を倒さなきゃ(・・・・・)ならないなら、俺はお前を……斬る……!」

 

「……ガキが。 ならやって見せろ死神ィ!!テメェの理由なんぞ俺には関係無ぇ! 俺はテメェをぶち殺す!殺気の篭って無ぇ鈍らで! 殺すでもなく倒す(・・)なんて甘っちょろい事ぬかしたまま俺に勝てる心算なら、テメェは誰も護れねぇ(・・・・・・)と教えてやるよ!!」

 

 

一護が飛び上がるのと、グリムジョーが一護目掛けて急降下したのは同時だった。

互いの言葉は所詮平行線、それが死神と破面だからなのかそれとも人間と化物だからなのか、相手を制し倒す事を勝利と呼ぶ一護と相手の息の根を止め殺してこそ勝利足りえるとするグリムジョー、価値観の違い、力の捉え方の違い、相容れること無いそれらは最早衝突より他の道を知らないのだ。

 

グリムジョー目掛け飛び上がった一護は、構えた刀を素早く一閃する。

僅かに黒い霊圧の軌跡を残した太刀筋はしかし、グリムジョーの身を捉える事は無かった。

空を蹴り、一護へと急降下したグリムジョーは、一護の刀が振るわれるのと同時に一護の側面へと瞬時に移動し、刀を振るいがら空きとなった一護の脇腹目掛け突き刺さるような蹴りを見舞っていたのだ。

しなやかな筋肉と速力により生み出された蹴りは十二分な威力を有し、一護の身体は斜め下方向に再び突き落とされると、空座町の大地と町並みの一部を削るようにして墜落した。

だがグリムジョーの攻撃はこれだけで終わらない。

その脚で空を強かに一蹴りすると矢のように一直線に一護へと突貫し、砂煙に巻かれながらも既に体勢を持ち直していた一護に、爪を突き立てるようにして追撃を見舞った。

嬉々とした表情で繰り出される刺突と蹴り、人とは比べ物にならない膂力と霊圧によって生まれる攻撃の圧倒的破壊力、それは到底技と呼べるものではないと言うのに、一撃一撃がそれだけで必殺足りえる攻撃の群れ、だがその攻撃の群れにその身を晒しながらも一護の眼は死んでいない。

刀で、或いは腕を使ってグリムジョーの攻撃を捌ききり、攻撃に転じると強烈な打ち込みでグリムジョーの一気呵成の勢いを一瞬止める事に成功する。

 

 

「月牙……天! 衝! 」

 

 

一瞬の拮抗、一護の天鎖斬月とグリムジョーの腕に生える鉤爪型の刃が火花を散らすと同時に、一護は天鎖斬月へと霊圧を注ぎ込み、再び零距離からの月牙天衝を撃ち放った。

刀身から放たれる黒く巨大な霊圧の斬撃、刀を受けていた腕にもう片方の腕も足してそれを受けるグリムジョーだったが、高密度の霊子の刃はそれすらお構い無しに彼の身体を空へと弾き飛ばし、霊圧の奔流は先程よりも尚その勢いを増し、怒涛の如くグリムジョーの身体を呑み込まんとしながら空を奔る。

 

 

「クッ……! ウラァァァアア!! 」

 

 

だがそれすらも、今のグリムジョーを呑み込むには至らない。

 

僅かに歯を食い縛ったかと思うと直後、咆哮と共に月牙を受け止めていた両腕を薙いだグリムジョー。

一護の渾身の技を技巧も何も無く、ただ膂力と霊圧にものを言わせ無理矢理に打ち破る様は、まさしく邪魔するもの全てを“ 破壊 ”して進む彼の生き様を見るようだった。

 

 

「ハァッ! 」

 

 

しかし、今の一護はその程度の事で心乱す事はない。

まるで自らの技が、それだけではグリムジョーを仕留め切れないことを理解していたかのように瞬歩(しゅんぽ)で一気に距離を詰め、グリムジョーが月牙を破ったと同時に追撃の一閃を見舞ったのだ。

 

一瞬重なるように見えた二人の影は次の瞬間離れ距離をとる。

そして互いに流れ滴るのは赤い雫、グリムジョーは左の肩辺り、そして一護は首筋の辺りから流れる血は、どちらの攻撃も相手を掠めた事を意味していた。

一護の一閃とそれと同時に放たれたグリムジョーの突き、一瞬の交錯の間に起った攻防は結果、互角の傷を二人に与える。

 

最初の激突からほんの数秒間の攻防、その間に放たれたのは、どちらともまともに受ければそれだけで戦いを決するであろう斬撃と爪撃の応酬。

睨み合う二人が放つ膨大な霊圧と、それらがぶつかり鬩ぎあう事で生まれる霊子の乱れによって空は悲鳴を上げ、だがそれでも二人の霊圧は留まるを知らず、まるで混ざり高まるように空座町郊外の空を覆っていく。

その霊圧はまるで壁、いや二人を囲む檻の如く、そして二人以外を拒むように空に満ちはじめていった。

片や人ならざるモノであり人の魂を喰らう存在破面、方や人でありながら死神の力を手にし、また今や虚の力すら自らの者にしつつある死神代行の青年。

檻に囲まれたのか、或いは檻をもって自らを隔離しているのか、どちらにせよ囲まれた者二人は既に“ 人 ”という大枠からは外れてしまった存在であり、それらの戦いに介入できるのは同じく人から外れたもの(・・・・・・・・)のみ。

 

チラリと肩の傷を見やりクワっと獰猛な笑みを深くするグリムジョーと、首筋の傷に熱を感じながらも今一度、刀を強く握り締める一護。

視線が再びぶつかり、それだけで肌が焦げる様な霊圧の高まりが二人から迸る。

既にこの二人の戦いに他者の入り込む隙間はなく、決着を見るための手段は二人による闘争以外ないだろう。

そして決着の時もまたそう遠くは無い、時はいつでも有限でそしてそれはどちらにも言える事なのだ。

化生と人を外れた者の戦い、僅かな間を置いたそれはまた再び交錯の時を見た。

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 

「クッ! これは…… なんという霊圧だっ……!」

 

 

グリムジョーと一護の戦いが始まって直、朽木(くちき)ルキアはその戦場を目指し走っていた。

尸魂界(ソウルソサエティ)にて現世への破面侵攻の一報を受けたルキアは、共に修行を積んでいた井上織姫を尸魂界に残し、現世の戦場へと急ぎ参じたのだ。

一月前、金髪の破面を前に何も出来なかった自分を悔やんだルキアは、この一月織姫と共に修行を積み、力を磨いていた。

その成果を、敵を前にただ退く事しか出来なかった自分を越えるために、彼女は現世へと繋がる穿界門《せんかいもん》を駆け抜け、その先で思いもよらぬ霊圧を感じ取った。

 

黒崎一護、彼女の命を救った恩人でありまた彼女の友でもある青年の霊圧、一月前より一切の痕跡無く消息を絶った彼の霊圧が、空座町の郊外で破面らしき霊圧と対峙している。

それを感じ取ったルキアは一も二も無くそちらへと駆けていた。

問いただしたい事はそれこそ山のようにあった、何故黙って消えたのか、今まで何をしていたのか、そんなことがルキアの頭の中を巡りただそれ以上に彼女の内にあったのは、友を助けるという思い。

 

しかし、そんな思いを抱える彼女は思いもよらぬ形でその足を止めた。

強烈な霊圧の波濤、上空から押しつぶすように広がるそれに、地を走っていたルキアの足は止まってしまったのだ。

馬鹿げている、ありえない、そんな言葉が易々と零れ落ちそうになるほどルキアの眼に映り、肌で感じる光景は異様であり、肌を焦すような意気もまるで他者が立ち入る事を拒んでいるかのような濃い霊圧も、彼女からすれば異常なもの。

何よりその異常な霊圧こそが、彼女の友である黒崎一護のものに間違いが無いという事が、ルキアにとって最も異常で異様なものだった。

 

 

(馬鹿な……! 一月、たった一月でこれほどの霊圧上昇などありえるものか!一月前の彼奴(あやつ)とはまるで別人ではないか…… 一護、貴様は一体、この一月で何をしたと言うのだ…… )

 

 

ルキアの驚きも無理は無い。

彼女からすれば、今の一護は彼女の言う通り一月前とは別人だと思わせるほど霊圧が上昇している。

一月の間を仮面の軍勢(ヴァイザード)等と共にし、戦い強くなる事に明け暮れた日々は彼の地力を上昇させるには充分であり、更に虚化の会得、そして今現在は斬魄刀との共鳴が飛躍的に一護の霊圧を高め、またグリムジョーとの戦いの中でそれは更に上の段階へと進んでいるのだ。

ルキアは一護の内なる虚について知ってはいるが、それを御す事で霊圧、身体能力の強化に繋がる事までは知らず、内なる虚を御した事で戦いの最中暴れる霊圧を抑える必要も無くなった。

故の驚き、禍々しい霊圧を放つ破面のそれを真っ向から受け止め決して見劣りする事無い霊圧を放つ友の姿は、ルキアにとっては驚き以外なかった。

だが、だからといってその驚きでこれ以上足を止める事を彼女は良しとしない。

目の前では友が強力な敵と対峙しているのだ、自分が加勢する事で戦闘が優位になるのならばそれに越した事などありはしないと。

 

 

 

「止めとき、死神の嬢ちゃん。 アンタが行ったかて一護の邪魔んなるだけや」

 

 

 

だが、再び足を前に出そうとしたルキアに唐突に声がかかる。

驚き声のした方向を見上げたルキア、そこには民家の屋根の上に座る一人の男の姿があった。

金髪のオカッパ頭に白いロングコート、黒いシャツにネクタイを締め屋根の上で所謂ヤンキー座りの体勢でルキアに目もくれず半眼の気だるそうな視線を上空の一護らに向けるその男。

何より異様だったのはその男が今までルキアに一切気配も霊圧も感じさせなかった事ともう一つ、その男が手に握り肩に担ぐようにして持っている刀は明らかに斬魄刀である(・・・・・・)という事だった。

 

 

「貴様…… 一体何者だ……! 」

 

 

視線のみでなく身体も屋根の上の男へ向け、言葉をぶつけると同時にいつでも刀を抜ける体勢を作ったルキア。

注意深く男を観察するも男は明らかに霊体ではなく器子をもっており、現世に住む人間となんら変わりなくしかし、今もって感じる気配は熟達した戦闘者のそれだった。

突如として現われたかのような男に険しい表情を向けるルキアだったが、男の方はやはりルキアに一瞥もくれる事はない。

 

 

「何者だと訊いている! 」

 

「うっさいのぉ…… 誰でもエエやろ、こっちはアンタが一護の邪魔せんように話したくも無い死神に話しかけてんねや。判ったらそこで大人しゅうしとけ、ボケ 」

 

「なっ! ふ、ふざけるな! お前は一体何者なのだ!何故死神ではない貴様が斬魄刀を持っている!いや、それ以上に貴様、何故一護の名を知っている!」

 

 

答えない男に再度強く詰問するルキアだったが、男はやはりルキアに視線を落とす事無く、うるさいと断じて取り合う心算も無いといった様子。

最後に自分を馬鹿にするような台詞を投げ付けられたルキアは、あまりに事に一瞬面食らうが、それ以上に男の口から友である一護の名が出たことに驚きと懸念を感じていた。

 

 

「はぁ…… ホンマにヤイヤイとやかましい死神やのぉ。幾ら訊かれたかて俺が答える思てんのか? アホらし…… ま、ほんでも一つだけ答えたるわ。 俺が一護の名前を知っとんのはなぁ…… 一護が俺らの仲間(・・)やからや 」

 

「仲間…… だと……? 」

 

「ま、そんな事かて今はどうでもエエ事や。 俺はアンタが一護の邪魔さえ(・・・・)せんでくれたらそれで満足やからなぁ」

 

 

ルキアの畳み掛けるような詰問に溜息を零した男、訊かれたからといって答える訳が無いだろう、と飽きれを含んだような口調で話す男だったが、ルキアの問いのうち一つだけには明確に答えを返した。

一度も向ける事がなかった視線をジロリとルキアに向け、ニヤリと見下ろすようにして男はルキアに言ったのだ、一護は自分の仲間(・・・・・)だと。

それにルキアはただオウム返しに言葉を返すだけだった、彼女は男が何を言っているのか理解出来なかったのだ。

何故なら一護は彼女の友でありそして彼女等の仲間なのだから、と。

 

 

「戯けた事を……! それに先程から私が一護の邪魔になる、というのはどういう意味だ!」

 

 

僅かな動揺を誘った男の言葉、それを妄言の類だとして自らのうちで切り捨てたルキア。

疑念すら討ち払うようにその言葉を振り払うと、ルキアは男が先程から再三口にする“邪魔”という言葉に食って掛る。

それが先の話題から話を逸らそうとしている事は彼女自身、理解しているのだろうが、それでも友に僅かでも疑念を抱いてしまった事の後ろめたさは、その理解を思考の端へと追いやっていた。

だが男はこのルキアの言葉に一つ笑い声を上げて答えた。

 

 

「カッ! 笑かしよるわ。 アンタ本気でそれ言うてんのか?よう見てみぃ、アンタあそこで本当に自分に何か出来る(・・・・・)…… とでも思てんのか? 」

 

「貴様何を言ってッ! くっ! 」

 

 

それはどちらかと言えば失笑とさえとれる笑い声だった。

まったくもって判っていないと、この場に立ち先ほどからあの光景を眼にし、その肌で感じているというのにまったく理解していないと。

自らを否定する真実から眼を背けることで己を支えようという甘さ、友である、仲間である、そう思うからこそその眼に真実は映らない。

男の言葉の裏に見える感情はルキアに対するそんな考えに満ちているのだろう。

辛辣さを感じさせるその言葉は、男の歩んできた道からくる死神への悪感情故なのだがそれを知る事はこの場でのルキアには叶わない。

ただ男の言葉を否定する叫びを上げようとするルキア、しかしその言葉は彼女を襲った強烈な霊圧の爆発によって遮られ、あまりの強さと禍々しさに彼女は無意識にそちらへと手をかざし眼を細めた。

いや、無意識にそのあまりの霊圧に身構え身を守って(・・・・・・・・)しまったのだ。

 

 

「それや。 アンタはあの二人がただぶつかっただけ(・・)の霊圧の余波に耐えなアカン。そんなんであそこで何が出来る言う心算や?あそこに立ち入る資格がアンタには無い。 よう見てみぃ、破面の…… それも十刃(エスパーダ)っちゅうんがどんだけ“化けもん”なんかを。アンタみたいな普通の死神(・・・・・)がどうこう出来る相手と違う。それ相手に一護はよう怯まん。 ……判るか?一護はもうアンタ等死神とは別の次元(・・・・)に居るんや」

 

「ッ! 」

 

 

冷酷ですらある言葉はしかし、どうしようもない真実を射抜くもの。

上空の戦い、その片割れである破面の解放による霊圧の爆発的上昇と、一護の霊圧とぶつかる事で生まれる衝撃波。

一瞬の静寂の後、再び始まった両雄の激突はその余波だけでも常軌を逸したものだった。

眼に見えない激突の衝撃は波となって周囲へと波及し、この空座町がもし重霊地という名の霊的特異点でなければ、とっくに耐えられない程の霊子の乱れを辺りに巻き起こす。

一護の刀は黒い尾を引きながら振るわれ、それを幾度と受け止めて尚致命傷に至る傷を受けぬ破面と、人や死神に関わらずその身を容易く両断し、肉塊に変えてしまうであろう強烈な蹴りや突きを紙一重で避わしざまに、血を見せながらも時に受け止めてでも戦う一護。

ルキアの眼に映るその光景が、肌に感じる霊圧が、そして男の言葉が、彼女に真実を告げていた。

 

一護は、既に彼女とは別の次元に立っていると。

 

決定的とも思える実力の差、そしてこの一月がまるで無意味だったかのような感覚、ルキアの胸中に浮かぶ悔しさにも似た感情。

そしてもう一つ彼女の心に刺さったのは男の言った普通の死神(・・・・・)という言葉だった。

義理の兄は尸魂界有数の大貴族の長でありまた護廷十三隊の隊長、共に死神を目指した友人は今やその兄に次ぐ立場の副隊長、所属する隊の隊長からも目をかけてもらい、更には図らずも現世でそれはもう多種多様な人物と知己を得、何よりも現世で最も深く関わった人物は目の前で化物の如き破面と渡り合っている。

ルキアが出会いそして縁を結んできた人物達は、良くも悪くも特殊で特別(・・・・・)と言える人物ばかりであり、その中で傑出した才を持たない自分はなんと凡庸な事か、と心の片隅で考えていた彼女にとってこの言葉は心に突き刺さるものだった。

 

無論これは彼女の考え過ぎでしかない。

彼女がもし平凡で凡庸で傑出した才を持たない死神であるとするならば、今彼女はこの場に立って居る事すら出来ないだろう。

既に上位席官に相当する実力を兼ね備えているルキアではあるが、周りをそれこそ非常識が人の形をしたような隊長格に囲まれていては、それを自覚する事など出来る筈も無く。

戦って経験を積む機会、力を伸ばすため師事する相手、残念な事にそのどちらにも恵まれなかった彼女には自分が彼らに比べ劣り、また凡庸であると考えさせるには充分なものがあったのだろう。

 

故に目の前で繰り広げら得る光景、その中を縦横無尽に駆け抜ける友の姿は、何処までも遠いのだ。

 

 

「クッ! では……では私はどうすれば良いのだ…… 彼奴が敵と戦っているというのに、私は彼奴の為に何も出来ないというのかっ!ならば…… ならば私はこの一月、一体何の為に…… 何の為に……! 」

 

 

悔しい、口惜しい、俯き強く唇を噛むルキアの拳は強く握られていた。

一月、いつ襲い来るかもしれない破面に対し対抗し打ち倒すために力を磨いた一月。

ちょうど一月前、あの金髪の破面に対し何も出来なかった自分を恥じ、次こそはと力を磨いた一月、それは一体何の為だったと。

何も変わっていない、敵を前にし自分に今出来る事は、あの時と同じようにただ強く拳を握り締めること以外何もないと。

 

自分はただの足手纏いだ、と。

 

 

(なんや辛気臭いのぉ…… ヘコむんやったら余所でやれっちゅうねん。 …………あぁもう! しゃぁないのぉ )

 

 

不様だと、自分の姿を思いながらそれでもこみ上げるものを必死に我慢するルキア。

そんなルキアの雰囲気を察してか、それとも近くでこんな雰囲気を出されては気が散るとでも思ったのか、死神嫌いの屋根の上の男は我ながら甘い事だと内心自らに毒づきながらも、視線を今尚続く一護とグリムジョーの戦いに向けたまま、ルキアにこう告げた。

 

 

「下を見とってもなんにも変わらん。 下向いて見えるんは立ち止まっとる自分の足だけや。そんなもんに意味なんぞ無い。 それともアンタはそうやって、立ち尽くしたまま終わる心算なんか?」

 

 

俯く背に降った言葉にルキアはハッとした。

何も変わらないと、俯くことでは何一つ変わらないと。

その眼に映る立ち止まり立ち尽くした己の足を見ていたところで、何も変わりはしないという男の言葉は今のルキアそのものだった。

そして男は言うのだ、お前はそうして立ち尽くしそのまま終わるのかと、友が見せる懸離れた実力の差に、凡庸である自分の力に、それらに絶望し立ち止まるのかと。

 

 

「上見てみぃ、あそこで必死こいて戦こうてる甘ちゃんのお人よしはなぁ、男の癖に小っさい事で悩んで立ち止まって…… そんでも絶対に立ち尽くす事は無い(・・・・・・・・・)んや。アイツのホントの強さは霊力や霊圧の大きさちゃうねん。アンタがアイツの…… 一護の友人(ダチ)や言うんなら判る筈やろ?アイツのホントの強さが何なのか、そんでアンタが今、何をすべきなんかが……なぁ」

 

 

そう、男が語る一護の強さ、それは例え立ち止まったとしても決して立ち尽くす事の無い心の強さ。

ルキアが知る黒崎一護という男は、己が内にある恐怖と戦うことが出来る強い心を持った青年。

時に悩み苦しみ、しかしその苦しみから眼を背ける事無く立ち向い固めた決意を貫き通す心の強さ、それがあるからこそ今一護はこれほどまでの力を振るっているのではないかと。

そして男の言葉は言外にルキアに問うのだ、そんな彼の、黒崎一護を隣で見てきたお前は立ち尽くすのかと。

一護の強さは心の強さ、例え霊力も霊圧も何もかもが彼に劣りまた凡庸であるとしても、お前の心の強さは一体誰が決めるのか?

誰とも比べられず誰にも測る事が出来ない以上、それを決められるのはおまえ自身、そしてその己の心の強さを持って今お前に出来る事を考える事こそが、例え共に戦う事が出来ずともお前のすべき事なのではないのかと。

 

 

「……かたじけない 」

 

「ハッ! 何処の誰とも、敵とも味方ともつかん相手に頭下げるなんて気が知れんわ。これやから死神はキライやねん 」

 

「なんと言われようとも、例えこのまま斬られたとしても私に後悔はない。危うく私はもう二度と、友と正面から向き合うことが出来なくなるところだったのだから」

 

 

懐から出した携帯電話のようなものでどこかと通信をとった後、屋根の上の男へと向き直り頭を下げるルキア。

戦場で、しかも見ず知らずのそれこそ敵かも知れぬ相手に対するそれは愚行でしかない。

男の方もそう思ったようで信じられんと馬鹿にしたような物言いで返すが、顔を上げたルキアに後悔の色はなかった。

男から視線を外しそれを上空へと向けるルキア、そこでは未だ別次元の戦いが繰り広げられ、黒と蒼の光の筋がときに交差しときにぶつかり弾きあいながら縦横無尽に空を駆け巡る。

ルキアに出来る事は今戦う事ではなく友の戦いを見届けること、友の勝利を信じ待つこと、一護を信じることだけ。

どれ程力が隔たろうとも、どれ程異質な力を手にしていようとも、黒崎一護という男の根本が変わっていないのならば信じると。

戦いが終わって後、生きて自分達の下へ、仲間の下へ帰ってくることを信じるのみだとルキアは決めたのだ。

壮絶な戦いをその眼に映しながらルキアの瞳に悲壮感はない、ただ信じるという強い心のみがその瞳には浮かんでいた。

 

そんな彼女の様子をほんの一瞬チラリと横目で確認した屋根の上の男は、内心で軽く笑うとルキアの存在を隅へと追いやり戦いを注視する。

一護の剣はよく奔り鋭さは目を見張るものがあるが、敵の破面も然る者で一見粗野にさえ見える攻撃も敵を殺すという点に措いてはこれ以上ないほど合理的な側面を感じさせている。

だが今もって戦況だけを見ればどちらに傾いているとは言えない状況ではあるが、それ以外の部分を鑑みればその評価は適切ではない。

空を見上げる男の表情は先程よりもほんの少し険しいものになり、その視線が捉えているのは主に一護の方だった。

 

 

(何をやってんねん一護の奴。 幾ら一月で虚化が30秒越えとる言うても、お前は着け外し出来へんねや。それやのにそんな戦い方(・・・・・・)しとったら…… 甘ちゃんにも程があるわッ )

 

 

男の視線の険しさは即ち苛立ち。

解放した破面 グリムジョーを相手に虚化という底上げを行い対等に渡り合っているとはいえ、一護とグリムジョーでは決定的に違う部分がある。

それは男だけでなく一護自身も嫌と言うほど理解しているだろう、だがだからこそ今の一護の戦い方に男は苛立ちを覚えていた。

何を考えているかは大方予想はつき、一護という人物を考えればそれはある意味彼らしいとも言えるのだがしかし、それは相手には何の関係もない話。

更に言えば強力な敵を前にしたとき、そんなものに気を取られながら戦う事は自らの首を絞めることにしか繋がらないのだ。

 

 

そんなもん(・・・・・)気にせんでエエ。今は余計な事考えんと目の前の敵だけに集中せぇ一護、せやないとお前…… ホンマにここで殺されてしまうで…… )

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァア!! どうしたよ死神ィ! 動きが鈍いぜ!アァ!? 」

 

「ぐっ! 」

 

 

大上段から瞬きの速度で振り下ろされる踵落とし、強烈などという言葉が生易しいような威力のそれを一護はもろに肩に受け、小さなうめき声を零し一直線に下へと落下した。

地面へと激突する寸前、無理矢理に体勢を立て直し激突を避けた一護だったが、その姿は仮面を付けているというのに疲労が伺える。

息は荒く肩は大きく上下し、そして仮面から見える眼も険しさを増していた。

解放後のグリムジョーの力は凄まじく、斬ったとしても傷が浅く致命傷には程遠いものばかり、それでは彼の勢いを幾許も殺す事は出来ず、何より先程からグリムジョーの攻撃は少しずつではあるが深く当たり始め、今ついに直撃らしい直撃を受けた一護。

ここに来て見え始めた差は、ある意味この戦いに措いて決定的なほど大きいものだった。

 

 

(はぁ、はぁ、はぁ…… くそっ! もう時間が無ぇ(・・・・・)…… )

 

 

息を整えても意味が無いほどの疲労、仮面の下の額や頬を幾本もの汗が伝い、それを感じながら一護は刀を構える。

そう、彼に残された時間は有限であり、その時は刻一刻と迫っているのだ。

虚化、一護がそれを維持していられる時間は最大31秒、それを過ぎてしまえば仮面は砕け虚化の強化は終わり、仮面を術者自らが外すのではなく時間超過によって砕けてしまった場合は、大きな力の反動は全てその身に降り注ぐ。

そうなってしまえばもう一護に勝ち目は無い、故に一護にも焦りの色が見えるのは仕方が無かった。

 

僅かに息を整え再びグリムジョーへと目掛け突撃する一護、そしてグリムジョーと攻めかかるとその周りを残像がハッキリと残るほどの超戦速で駆け回り、前後左右上下の全てをたった一人で取り囲んだ。

グリムジョーも周りを駆け回る一護目掛けて攻撃を繰り出すが、ここへ来て限界を超えるほどの戦速をたたき出す一護を捕らえる事は出来ず、舌打ちを零しながらもその爪で残像を引き裂いていく。

 

 

(ッ! ここだっ!! )

 

 

グリムジョーの反撃すら掻い潜り彼の周りを縦横無尽に駆けた一護は、グリムジョーの一瞬の隙をついて攻めに転じた。

上空に立つグリムジョーの背後やや斜め下辺り、下段に構えた刀には渾身の霊圧が込められ刀身からは黒い奔流が迸り解き放たれるときを既に待っている。

如何に相手がグリムジョーとて、無防備の状態で至近距離からこの一撃を受ければ傷は浅くは済まないだろう。

決着、そんな言葉が一護の頭を過ぎった瞬間その声は響いた。

 

 

 

「アホが!! 止めぇ一護!! そいつは読まれとる(・・・・・)!!!」

 

 

 

だが、その響いた声に一護が反応するよりも早く事態は動いた。

眼前に突如として伸ばされる掌、それは間違いなくグリムジョーのものであり、彼の顔には野獣が命刈り取る瞬間に見せる勝利と歓喜が浮かんでいた。

伸ばされた掌に瞬時に収束されるグリムジョーの霊圧、それは掌に集まるにつれ水浅葱色から深く暗い色へと変化し、ついには漆黒へとその色を変える。

漆黒となったソレは通常の虚閃とは比べ物にならない霊圧を内包し、一護はそれが何故か自分が持つ唯一の技である月牙に見えた。

 

 

 

 

「テメェがこのくだらねぇ町を壊さねぇよう(・・・・・・・・)に戦ってんのはバレてんだよ。その為にテメェが下から撃ち上げるようにしか攻撃できねぇのもなぁ! ……クソが! 俺相手に何処までも舐めた真似しやがって…… だがこれで終いだ死神ィ! 喰い散らせぇ! 黒虚閃(セロ・オスキュラス)!!!」

 

 

 

そう、一護は常に考えていたのだ、戦いの最中でも常に町に被害が及ばぬようにと。

自らが放つ攻撃は上空へと抜けるようにし撃ち下ろすことはせず、グリムジョーの攻撃もまた危ういものは避けられたとしても防ぎ、受けるといった様に。

護るために戦うと言った一護にとってこの空座町もまたその対象、そこに住む大切な人の大切な場所なのだと。

だがそんなものは戦いの中では不用で無意味な事だ、現にグリムジョーは戦いの最中それを見抜き、罠を張り待ち構えそして見事に一護はその罠にかかった。

 

放たれた黒い閃光は易々と一護と彼の月牙を呑み込み、それでは飽き足らず空座町の町の一部すら一瞬にして焼き払った。

それはまるでグリムジョーから一護への意思表示、いくら何かを護ろうと戦っても結局何も護れはしない、護りたいと思うものに足をとられ腕を掴まれ、敵を前にしても自由に戦うことすら出来ないと。

斬る、倒す、そんな言葉を使う時点でお前は既に敗北者なのだと、敵対する者に差伸べるべきは、僅かな慈悲も無い振り上げた刀か毒の杯以外ありはしない。

敵を、邪魔する者を皆殺しにする以外、誰も何かを欲することなど許されないのだと。

 

自らの黒虚閃を受け、力なく墜落するように地面へと落ちていく一護の姿を見下ろすグリムジョー。

落ちていく最中に一護の髑髏の仮面は砕けて霧散し、卍解のコートは破け肌には傷を受けた瞬間に焼かれたような痛々しい傷が無数に見えていた。

墜落する一護、そんな彼の後をグリムジョーはゆっくりと追った。

 

 

彼の、黒崎一護の命を完全に刈り取るために……

 

 

 

「ハッ! だから言ったろうが、テメェにゃ誰も護れやしねぇ……とヨォ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全ては唐突に

 

終わり

 

そして

 

始まる……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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