バカとテストと嘘と本気   作:羽吹

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バカとテストと嘘と本気

 

問1

 ツルグレン装置とは土壌動物を採取する装置である。

 その装置は、土壌動物のどんな特性を利用しているのか示せ。

 

A.(姫路 瑞希)

 光と体が乾くことを嫌う特性。

 

[解答]

 はい、正解です。

 簡単な暗記問題ですね。図などがあるともっと簡単になると思いますが、今回は文章のみです。

 

A.(吉井 明久)

 ハゲることを嫌うこと。

 

[解答]

 つるっ、くりん。ではありません。

 後で職員室に来るように。

 

 ーーーーーーーーー

 

 話をしよう。

 あれは今から36万……いや、1万4000年前だったか、

 まあいい、私にとってはつい半年ほど前のことだ。

 

 俺は走っていた。

 食パンをくわえて走っていた。

 後10分もすればホームルームの開始を告げるチャイムが鳴り響くからだ。

 

 文月学園の通学路。青色のハリネズミのごとき速度で華麗に走っていると、曲がり道で人にぶつかった。

 ずいぶん昔のラブコメのような展開だった。

 

「きゃっ」

「うぉいっ!」

 

 凄い声が出た。

 

「……っ、とと、

 大丈夫ですか、スミマセン! 急いでいて前を見ていなくて…………ってあれ、秀吉……?」

「は? いや、私は秀吉じゃ……」

「なんだ、秀吉だったのか。あれ、何でお前女子の制服着てるんだ?

 ハッ、まさかついに俺の愛を受け入れてくれる気に……!」

「何の話!? え、ちょっと待って来ないで。へ、変態! きゃぁあああ!」

 

 逃げられた。というか何て反応をするんだ。

 これくらいはいつものじゃれ合いのはずなんだが!

 

「まって、逃げないで! そんなセリフを言いながら走ったら俺が大変なことになるんですが! ちょっとぉ! お願いだから止まってぇ!」

「きゃぁあああああ! 変態! 痴漢! 泥棒! 来ないでぇええええ!」

「違うから! これはぶつかったときに秀吉が落とした荷物だから! いま返そうとしてるだけだからぁああああ!」

 

 通行人たちがひそひそと話している。

 変態ですってぇ。しかも痴漢! 怖いわねぇ……

 女の子の私物まで奪ったらしいわよ、極悪非道だわ……!

 

 ぁ、あああああ! 大変なことになってるぅうううう!

 こ、こうなったら仕方がない。

 無理矢理にでも止まって貰うしかない! まずはATEMIを食らわせて、意識を刈り取るんだ。

 落ち着いたら分かってくれるはずだ。

 

 よし、追い付いた。

 ここで必殺のぉ……!

 

「我が校の生徒が痴漢を働くとは何事だぁ!」

 

 筋肉。鍛え上げられた、逞しい筋組織が皮膚を盛り上げて、100キロのバーベルなら簡単に持ち上げそうな腕が俺の首を捉えて、

 

 ラリアット!

 寸前、目を瞑って、

 

 持ち上げられた。痛みはやってこなかった。

 

「お前か、都籠(とごもり)。また何かやらかしたのか……」

「“また”ってなんですか“また”って……

 俺だって起こしたくて問題を起こしてるわけじゃないんですよ、鉄人」

 

 まったく、頭まで固いから、こういうことが分からないんだ。

 

「あれ、秀吉は……?」

「他の先生が向かわれた。

 安心しろ。お前らはバカだが、本当に痴漢を働いたりはしないと信じている。そのうち誤解も解ける。」

 

 ……。ちょっと言い過ぎたかもしれない、反省。

 

 ーーーーーーーーー

 

問2

 掛け算の順序問題について、交換法則について触れながら自身の意見を述べよ。

 

A.(都籠 シン)

 現在の教育において重要視する問題ではない。

 掛け算の順序問題とは、四則演算の+、-、×、÷の順序の問題ではなく、掛け算の項の順序の問題である。

 項を入れ換えても結果が変わらないことを交換法則を満たしているという。

 

[解答]

 はい、その通りです。

 最先端の数学では、a×b=b×aは必ずしも成立しない事が前提なので、教育上間違ったことは教えられないという考えがあります。

 また、小学生や中学生までの教育において、そこまでの内容を取り上げる必要は無いという判断も存在します。

 

A.(木下 優子)

 絶対に順守されるべき問題である。断固として順守すべき問題である。

 掛け算の項の順序を入れ換えるということは、戦争である。沢山の涙が流れることなのだ。

 どちらが上になるのかは非常に重大な問題であり、それによって…………(以下略)

 

[解答]

 は、はあ。よく分かりませんが情熱は伝わってきました。しかし、熱くなりすぎたのでしょうか。上下ではなく、掛け算の前の項と後ろの項ですよ。

 

 ーーーーーーーーー

 

「あー、えっと、悪かった。

 まさかあんなに驚くとは思ってなかったんだ。

 いつものことだからさ、その、悪かった!」

 

 あれから俺達は先生に連れられて学校まで連行された。

 文月学園についた頃には秀吉も落ち着きを取り戻していて、俺はこうして秀吉に頭を下げているのだ。

 信頼関係を裏切らないためには謝ることは大切だからな。

 

「はあ、何にも分かってないのね……

 私は、秀吉じゃなくて、姉の優子よ。木下、優子。

 秀吉から聞いてない?」

「いや、聞いてない。……ああ、なるほど」

 

 これは演技だ。秀吉は自分が女装しているのがばれて恥ずかしかったのだろう。間違いない。

 

「ちょっと、ちゃんと分かってるの?

 ……まあ、いいわ。分かってると信じましょう。

 それよりも、あなた俺の愛がどうとか言ってたけど、どういうこと?」

 

 ……あれ? 忘れたのかな? いや、知らない振りをしているのかな。

 秀吉は演技派だからなぁ。

 

「どういうことって、告白したじゃないか。知り合って直ぐにさ。

 ひっどい振られ方したけどね」

「……ふぇ? こ、告白!? ……いや、秀吉は男で、

 ……え? ちょ、え?」

 

 仕方ないな。あくまでも忘れた振りを続けるのならば、再現してやろうじゃないか。

 真剣な顔になって、顔を近づける。

 いや、本来はこんなことしなかったけど。アドリブは入れなきゃ(使命感)

 

「好きになったんだ。

 まだ、ちゃんと話したことも無いけど、君が悪い人じゃないっていうのは良く分かるんだ」

 

 髪の毛に触れるか触れないかの絶妙な距離感を保って、真っ直ぐに目をみる。

 

「ちょ、ちょっと待って。何言ってるの。

 ……えっと、ひ、秀吉の事が……」

「君が良いんだ。

 今すぐに、返事がほしい訳じゃないよ。会って間もないんだから。

 だけど! 本気なんだ!」

 

 秀吉の後ろの壁に手をついて、逃げ道を塞ぐ。

 ちょっと前に流行った壁ドンだね。

 もう、前の告白とは別物だけど、良いよね。

 インパクトで責める!

 まあ、冗談なことぐらい秀吉だって分かってるだろうけど。

 

「え、えっと、その、……あの、ちょ、……え?」

 

 真っ赤になっている顔から目線は逸らさない。逃がしはしない。

 優しく、囁くように最後を決める。

 

「……好きなんだ。君の事が頭から離れない。

 だから、俺と、付き合って欲しい。

 

 

 …………なーんて、じょ……」

「何をしとるんだ。お前らは……」

「あ、鉄じ、西村先生。どうしたんですか?」

 

 告白のネタばらしのタイミングで扉が開いて、鉄人が入ってきた。

 最後のセリフは聞こえなかったかもしれないけど、まあ冗談だって解るよね。

 

 まるで本物の女の子みたいにへたり込んだ秀吉に手を貸して、立ち上がらせる。

 何故かおっかなびっくり手を取ってきた。どうしたのだろうか。

 

「あー、木下。大丈夫か? 体調が悪ければ保健室に行くか?

 大丈夫なら、授業に参加してくると良い」

「あ……、えっと、大丈夫です」

 

 秀吉は一度俺の方を見た後、何故か早足で出ていった。

 そんなに恥ずかしかったのかな……?

 

「じゃあ、俺も授業に戻りますね」

「お前はこっち(特別補習室で反省文)だ。

 安心しろ。受けれなかった授業は後日補習が出来るぞ」

 

 それは任意じゃなくて、強制じゃないか!

 やだー!

 ヤダーじゃない。大人しくするんだな。

 いぃぃ、やぁああぁぁあああ!

 

 ーーー

 

 ざわざわと話し声が聞こえてくる。

 反省文との壮絶な戦いの後、ボロボロになった俺は教室へと戻ってきていた。

 一年生の教室だ。あと五ヶ月程はこの教室で学ぶことになるだろう。

 

「災難だったね、シン。

 だけどよかったんじゃない? こっちでは抜き打ちで持ち物検査だよ」

 

 僕のDSが~、と唸っている茶髪が明久(バカ)

 

「本当にな。せっかく入れた新譜まで持っていかれた。冗談じゃない」

 

 便乗して悔しがっているのも雄二(バカ)

 

「……俺はカメラを持っていかれた」

 

 床に頭を擦り付けて、どこかを見ようとしているのが、土屋(ムッツリーニ)

 

「ワシも演劇の小道具などを持っていかれた」

 

 そしてどこからどう見ても女子にしか見えないのが秀吉(女神)

 だが男だ。

 

「あれ? 秀吉も持ち物検査受けたのか?」

「何を言っとるんじゃ。このクラスで持ち物検査を受けとらんのはお主だけじゃよ」

 

 そんな馬鹿な。秀吉だってホームルームには出ていないはずなんだが。

 

「それよりも秀吉。女子の服はどうしたん……」

「取り返すんだよ! 僕らの宝を! モンスターの手から!」

「その通りだ明久。こんな横暴、許してたまるか」

 

 奪還するぞ。そういってバカルテットは立ち上がった。革命の瞬間である。

 

「シン、お前はどうする? 何も取られてないんだから参加はしなくて良いが」

「いや、お前らがやるのに俺が居ないのも寂しいからな。参加するぜ」

 

 まずは鉄人に水をぶっかけるんだ。

 モンスターから宝の鍵を奪わなくてはならない。

 

 明久に水の入ったバケツを武器として装備させ、盾として雑巾を用意する。

 階段で待ち伏せだ。俺達は近くで待機。明久は自ら人身御用となったのである。なーむー。

 

「逃がすかぁああああ!」

 

 明久が鉄人に水をぶっかけた。流石に水道水そのままだけど、この時期は寒いはずだ。

 鉄人のアイアンクローがチャームポイントの明久を無視して、雄二と鉄人を説得する。

 何も取られていない俺が居るのなら、説得性が増すからな。妥当な判断だろう。

 

 シャワーの音がしているうちに宝の鍵を手に入れた俺達は、宝のもとへ向かう。

 明久が先行して職員室へと入って、騒ぎが起こっている。何をしたんだあのバカは……

 

「仕方ない、ワシが助けにいく。

 シン、付いてきてくれんか?」

「……? いいけど、どうしたんだ?」

「先程雄二が言っとったじゃろう。ノーリターンのお主は説得力の向上になる、と」

 

 秀吉はそういって意気揚々と職員室に入り、気分が悪くて倒れた演技を始めた。

 

「……気分が、悪くて……」

「木下、大丈夫か。都籠、何があったんだ」

 

 教師が俺に説明を要求する。

 

「秀吉は鉄の胃袋を証明する、といって、重箱十箱分も一気に食べ始めたんです! しかも、脂っこい天ぷらなどがたくさん入っているものを……!

 みんな止めたんですけど、聞かなくて!」

「シン、貴様……!」

 

 小さく覚えておけ、と聞こえて。

 秀吉は演技を続けた。そうか、意地を張ったことになってるんだな。

 

 教師たちと職員室に向かい、胃薬を飲むことになった秀吉のために、胃薬とビタミン剤を取り替えて渡す。

 秀吉には分かるようにしておいたので、問題は無いだろう。

 しばらく様子を見て、俺が付き添う事で教師たちは戻っていった。

 

「明久は成功したかな?」

「流石にしたじゃろう。ここまでして失敗したら何をしてくれようか」

 

 女装とかどうだろうか。以外に似合いそうだと思う。

 

「それよりもシン。お主、姉上に何かしたのか?

 昼休みにお主について聞かれたのじゃが」

「……姉上? 秀吉、本当に姉が居たの……?」

「? それがどうかしたのかの?」

 

 ……あっちゃあ……

 朝の人って、もしかしなくても、秀吉じゃ、なかったんじゃ……

 まあ良いか。冗談で告白したけど、本気にとられてるわけは無いと思うしね。

 

「ふむ、何かあった見たいじゃの。

 そうじゃ、久しぶりにワシの家に来んか? そのうち期末テストじゃからの。勉強会じゃ。」

「いいけど、明久たちは?」

「この状態では呼べんじゃろうに。

 それに、姉上にお主を紹介することも含んでおる」

 

 なるほど、合理的だ。

 

 ーーー

 

「ただいまじゃ」

 

 ドタドタ、と音がして、

 

「秀吉! 遅かったじゃない。今日はアマ○ンから荷物が届くから、早く帰る様にって…………え? 都籠、君?」

 

 ジャージの格好で出てきた優子さんは俺を見て固まった。

 

「お邪魔します」

「え、その、どうぞ? って待って! お願いだから!」

 

 叫んで、逃げていった。俺にどうしろと。

 しばらくすると、普通の服を着て戻ってきた。

 部屋に案内されて、雑談の後、教科書を広げる。

 

「木下さんも一緒に勉強するんだね」

「良いじゃない。やることは一緒なんだし」

「その通りじゃ。姉上の国語の成績はトップクラスでの、教えてもらうと良い」

 

 それは凄い。あやかって教えてもらおう。

 

「代わりに数学は酷いがの」

「余計なことは言わなくて良いの」

 

 秀吉の頭にチョップが入った。

 

「それじゃあ、木下さん、お願いしても良いかな」

「優子で良いわよ。分かりにくいから」

「分かった。じゃあ、シンと呼ぶことを許してしんぜよう」

「何で偉そうなのよ……」

 

 恥ずかしかったからだ。

 

 閑話休題(そんなこんなで)

 勉強会は終わった。優子には国語のお礼に数学を教えてあげて、秀吉とは問題を出し合ったりしていた。

 

 数日が経って、期末試験が始まり、何人かが絶望の声をあげて、試験は終わった。

 そして今日、返却されたテストを前にして、俺は怒られていた。

 

「な、ん、で、殆ど赤点なのよ。おかしいじゃない。

 貴方、私より数学は出来たし、他も決して悪くなかったはずでしょう?」

「落ち着くのじゃ、姉上。ワシもそんなに変わらん」

 

 秀吉ぃ、と言い合いを始めた二人を見て、溜め息を吐く。

 ここは木下家だ。勉強会をしたよしみで秀吉と点数を確認しあっていたら、優子が加わって、こんな現象が起きたのだ。

 

「けど、流石に優子の成績は良いな。

 国語以外も相当高い。あ、数学も高いな」

「教えてもらえたからね。貴方が張ったヤマも殆ど当たってたわ。

 ねえ、何で赤点なの。おかしいわよね」

「ドウシテダロウナーワカラナイナー」

 

 わざとだ。

 まともに試験を受けていないのだ。

 高い点数が欲しくないわけではない。

 だが、友達とバカをやりながら受ける補習が楽しくて、

 友達と一緒に遊んだり勉強をしたりしたいから、悪い点数を取っている。

 本気を出してもそんなに高いわけでもないけれど。

 

 笑って誤魔化したら更に怒られた。

 本気を出していないのが気に食わないらしい。

 本気を出しても優子には勝てないから安心して欲しいものだ。

 

 ーーー

 

 95点。俺の点数である。

 補習でのテスト。100点の上限があるテストだ。

 補習受講者では最高得点である。

 他はだいたい40~50点だ。

 

 とはいえ、楽しかった。

 明久や雄二(バカたち)と一緒になって補習から逃げようとしたりしたのだ。

 結局は鉄人に見つかって連れ戻されたけれど。

 

 

 時が経って、三学期。

 当然、三学期にもテストはある。

 二年生に上がるときには、振り分け試験と言うものがあり、その前哨として注目されている。

 

「モン○ンの新作が出たんだよ!

 買わないわけにはいかないよね」

「ああ、必須だな」

 

 明久が熱弁して、雄二が同意した。

 当然、俺も同意である。弓とか大好き。

 

「大剣に決まっているだろう」

「雄二。バカなことを言っちゃいけない。

 冗談はその頭のなかだけにしておくと良い」

「それは俺がバカだと言っているようにしか聞こえないんだが」

「雄二の頭は……その、ねぇ……」

「何なんだよ! 言えよ、気になるだろ!」

 

 筋肉じゃないかな。

 

「良いじゃねえか、上等だ。俺に喧嘩を売ったことを後悔させてやる。モン○ンで勝負だ」

「明久ん家だね。良いじゃないか、受けてたつよ。

 何で決める? 討伐タイムかな」

「あれ、僕も巻き込まれた?」

 

 気にするな。みんなでやった方が楽しい。

 

「ああ、無理じゃよ。今日シンはワシの家じゃ」

「え? 秀吉、モン○ン持ってなかったよね?」

「そもそもテストまで一週間を切っとるのに何をしとるんじゃ、お主らは。

 そしてゲームではない。勉強じゃ」

 

 明久はハッとした顔をしていた。

 こいつ、テスト期間知らなかったんじゃないだろうな。

 

 雄二、どうしよう! といって雄二に抱きつく明久を見ていると、こいつら本当は出来てるんじゃないかと思う。

 そういう噂があるのも納得である。

 

「……勉強? もしかして:優子」

「明久たちの前で名前は出さん方が良い。疑われたら異端審問されかねん」

「大丈夫。聞こえてない。ムッツリーニはローアングラーやってるから聞こえないだろうしね。」

「ふむ、そうじゃな。

 まあ、察しの通り、姉上じゃ。お主と勉強して、更に釘も刺すと言っておったよ。

 行かなかったら、どうなっても知らんぞ」

 

 釘って……。逃げたいが、流石に後が怖い。

 あの一件から優子は俺に遠慮が無くなったのだ。折檻されかねない。

 まあ、優子と会えるのは良いことだ。

 

 ーーー

 

 割愛。

 大したことはしていない。

 

「勝負よ。貴方に勝負を申し込むわ。

 当たり前のことだけど、私は本気で今回の試験を受ける。

 そして、貴方も本気で受けなさい。良いわね!」

 

 そんなことを言われただけだ。

 ……仕方がないから、今回は本気で受けよう。

 振り分け試験ではないのだ。友達と離ればなれになるわけではない。

 

 閑話休題(そんなこんなで)

 またもや時間が経つ。モン○ンは試験が終わるまで我慢だ。

 あいつらの補習の期間に追い付けば良い。

 

 期末試験が始まって、何人かのゲームへの逃避の声を聞こえて、試験が終わった。

 少し経って、結果が帰ってくる。うん、いつもとは雲泥の差だ。

 一年の間は成績を公表されないので、明久たちには黙っていれば分からないだろう。秀吉にはどうしようもないね。

 

「ま、けた? 総合点で、一点差……?」

 

 少し前に、優子には勝てないといったな。あれは嘘になった。

 勝っちゃった。自分でも驚いた。

 

「嘘でしょ、こんなことってあるの……?

 総合点よ。4桁の点数なのよ。何で、一点差で負けるの……」

「まあ、そんなに落ち込むこともないじゃろう。一点差ならそんなに差はない、誤差じゃ。

 それよりシン、お主本当に頭が良かったんじゃな。

 姉上の妄想の中だけかと思っておったが……」

「あははは、その、明久とかには黙ってろよ」

 

 秀吉が頭を傾げた。

 

「何故じゃ。別に良いじゃろう」

「いやいや、ダメだって。恥ずかしいんだって」

 

 別に見下しているわけではない。対等のつもりだ。

 あいつらのバカさ加減は、勉強とかそういうことを越えたものがあると思っている。

 俺はそこにいたいのだ。

 

「次も!

 次も勝負よ! 次は負けない。絶対に負けないから!」

 

 優子はそういって自分の部屋に引きこもった。

 追いかけようかとも思ったのだが、泣いていたように見えたので、諦める。

 

 しかし、次か。

 困ったな。次に本気は出せない。

 振り分け試験だからだ。これで本気を出すと最低のクラスには行けない。

 

 ーーーーーーーーー

 

問3

 水とメタン比が2対1の混合気体3.0Lを完全燃焼させるためには、標準状態の空気は何L必要か。ただし空気の酸素割合は20%とする。

 

A.(木下 優子)

 15L

 

[解答]

 はい、正解です。

 水の化学式はH2O、メタンの化学式はCH4なので、混合気体3Lの燃焼を考え、それをもとに必要酸素Lを求めます。

 ただし答えは空気量であることに注意してください。

 

A.(都籠 シン)

 たくさん。ごめんなさい。

 

[解答]

 また貴方ですか。ちゃんとすれば解けるでしょう。

 謝るのならちゃんと解きなさい。

 




続く。
短編なのにね。許せ、サスケ。
始めは場面展開と会話の練習に書き始めたんですが、筆がのってプロットが出来てしまったのです。
予定では後2話。需要があれば長編に移行するかもしれません。
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