Fクラス。
それはバカの巣窟だ。
トライアスロンの筋肉マンから受け取った紙には、俺の配当クラスが記されている。
扉を開ける。
システム(性のない)
風通しの良さそうな窓。
歴史を感じさせる黒板。
敷かれた畳からは藺草の香りの代わりに埃が漂ってきた。
「うわぁ……」
思ったより酷い。
これ勉強できる環境じゃないよね。
「うむ? シンはここなのかの?」
秀吉だ。やっぱり
「秀吉! 今日も可愛いね」
「会話が成立しとらんのじゃが」
誤魔化してるからね。
「おう、シンか。お前もここか」
「…………いつもの、メンバー」
雄二とムッツリーニだ。
周りを見ると島田も居て、本当に去年の焼き回しのようなクラスだ。
雄二達と雑談をしているとチャイムが鳴った。
明久が来ていないことに違和感を持っていると、
「遅れました!」
「早く座れこのウジ虫野郎」
「台無しだよ!」
明久が来た。
お前がここにいないとか有り得ないよな。
いったい何が台無しなんだか。
頭かな?
時間が進んだ。
あれから先生が来て、HRが始まったのだ。
明久がおかしな自己紹介をして、野太い合唱が聞こえたりしていたが、それはいつものことだ。
一つ違うことは姫路瑞希がいることだろう。
体調不良はどうしようもないからね。
さらに進んで、試召戦争の話が始まった。
何でもAクラスに戦争を仕掛けるらしい。
Aクラスか。優子、怒ってるだろうなぁ……
ーーーーーーーーー
問4
キューバ危機の時代のアメリカ大統領を以下から答えよ。
1.サッチャー 2.レーガン 3.ヒンデンブルグ 4.ケネディ
A.(姫路 瑞希)
4.ケネディ
[解答]
はい、正解です。
キューバ危機とは、米露の冷戦を核戦争一歩手前まで近づけた事件です。
ちなみに、このときのイギリスの大統領はマクラミン、ドイツではアデナウアーです。
A.(島田 美波)
3.ヒンデンブルグ
[解答]
残念ながら間違いです。
ヒンデンブルグはドイツの大統領ですが、キューバ危機の時代の大統領ではないのです。
問題文にあるアメリカの、を読み飛ばしてしまったのでしょうか。
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正直なところ、Dクラスを相手にすると自力で負ける。
Fクラスとはそういうところだ。
だが、姫路やムッツリーニのように特化した連中を代表に直接ぶつければ良い。
ムッツリーニは隠し玉とするのなら、姫路だろう。
彼女は長時間隠しきれない。
だから速攻だ。
今日には始めて、終わらせる。
そんなことを雄二と相談する。
俺はFクラスの副参謀なのである。
まあ、この理論は基本だ。
Bクラスまではこれで勝てる。
問題はどうやってその状況に持ち込むか、だ。
雄二は放課後の人込みに紛れる、と考えて。
俺もそれに賛成した。
Dクラスに明久を投げ込んで、戦争の宣言を済ました。
必死で逃げ帰ってきた明久は正直凄いと思う。
「騙したね、シン! なにが歓迎される、だ!
お菓子じゃなくて、パンチを貰ったよ!」
「まさか、信じてたのか……?」
何て奴だ。
まあいいや。開戦は午後だ。
明久の怒りを鎮める供物として昼食を少し分けてやりながら、午後になる。
試召戦争が始まった。
ーーー
基本的に時間稼ぎだ。
速攻と言ったが、姫路がFクラスであることがバレなければそれで良いのだ。
そして、放課後の奇襲とその為の姫路の点数を補充することも含めた時間稼ぎだ。
だから防衛戦。FWは秀吉、MFは明久と島田、後衛に俺と雄二。
順調に進んでいるが、このままでは押されるだろう。自力で負けてるからね。
とはいえ、防衛線を割られると困る。
明久には頑張って貰わないと。
-ー大島先生に吉井明久君から、教師と生徒の垣根を越えた男女の話があると……
ふう、一仕事終えたぜ!
これで明久も頑張れるよな。ご褒美があるんだから!
そんなこんなで放課後になった。
戻ってきた明久に包丁で刺されそうになったがどうしたというんだ。
「シン……! 今日という今日は覚悟してもらうよ……!」
「落ち着け、明久。指示したのは俺だが、提案したのは雄二だ」
「嘘をつくな。お前が言い出したんだ」
「シャオラァアア!」
ちぃ、バレたか!
「あっ、大島先生。明久ならそこに……」
「撤退!」
助かったか。後でフォローするから、試召戦争が終わるまで待ってくれ、明久。
帰りの人がちらほらといるなかに、姫路を送り込む。
気負わなくて良いと言っておいたがどうなるだろうか。
雄二と囮をしているとDクラスの代表と明久を見つけた。
殺気立ってるなぁ……
「Fクラス、姫路瑞希。Dクラス代表に試召戦争を申し込みます。
戦争が終わった。
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問5
カルヴァンが唱えた説を答えよ。
A.(木下 優子)
予定説
[解答]
はい、正解です。
予定説は予めすべてのことが決まっている、という説です。
興味がある人は、マックス・ウェーバーの『プロテスタンティズムの精神と資本主義の精神』の最終章も合わせて読んでみると良いでしょう。
A.(都籠 シン)
テリー=エスターク説。
カルヴァン→キャラバン→キャラバンハート→ドラクエ
ちょっと無理があるかな。こんな予定じゃなかったんだ。
[解答]
分かってるならちゃんと答えを書きなさい。
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放課後の教室は静かで、嫌いではない。
明久には近所の独身のお兄さんを紹介するようにフォローして、俺は教室に戻ってきた。
バケツに水を入れて、雑巾等を用意する。
掃除だ。個人的なことなので一人でやる。
この教室はカビ臭いし、埃っぽい。
俺の体はそこまで弱くはないが、問題のある人は居るだろう。
それは良くない。良くないことなんだよ。
教室に入ろうとすると、明久と姫路がいた。
手紙とかもってる。何してるんだ。
入ろうかと迷っていると、姫路が出ていって、明久も出ていった。
何だったんだ……?
畳を剥がして、水拭き。窓も拭く。
掃除機があればよかったが、仕方ない。
カビ取りの洗剤を貰えただけましだろう。
そんなことをしていると。
「へぇ、やっぱりFクラスだったんだ」
凄く不機嫌な声が聞こえた。
「優子……!? いつからそこに? 自力で脱出を……?」
「掃除しなきゃまともに勉強もできない教室なんて、お似合いね。
Aクラスならシステムデスクなのに」
うおぅ、ヤバイ。冗談抜きで怒ってらっしゃる。
「あー、いや、えっとな。悪かったと……」
「言い訳なんて聞きたくない。
聞いたわよ。Aクラスに試召戦争するつもりだって。
覚悟しておくことね。Fクラスに行ったこと、後悔させてあげる」
別れの挨拶もなしに、優子は去っていった。
ーーー
Bクラスを狙う、と雄二が相談してきた。
賛成する。Bクラスを使って、Aクラスを磨耗させる予定なのだ。
だが、Bクラスを落とすと、Cクラスがどう動くか分からない。
格上のクラスを落とした相手がいる。
それは警戒の対象になってもおかしくない。
「Cクラスはどうするんだ?
最悪、Bクラス戦の直後に攻め込まれるぞ」
「秀吉を使う。機を見てAクラスに試召戦争をさせる」
「木下優子だね。良いのかなぁ……。後で怖いぞ」
昨日のこともあるのに、とは口に出さない。
「目的のためだ。手段は選ばない」
「まあ、いいけど」
そういうことで、午後からBクラスと試召戦争だ。
Aクラスまでの最後のステップ。
Fクラスの仲間をそうやって扇動した。
昼休み。学食で何か買おうとしていると、姫路が弁当を取り出した。
雄二と島田が飲み物を買いに行って、他の面子は屋上へ向かう。
重箱だ。全員分だからか、随分豪華だな。
ムッツリーニが手を出したので、俺も貰うか。
アスパラ巻きを手にとって、口に運ぶ。
アスパラの灰汁が絡み付いていて、巻かれたベーコンとアスパラの間が、甘い。
ベーコンはなぜか酸っぱくて、すべてが混ぜ合わさって何とも言えない-ー
……あれ? どうして、月があんなに高いんだろう? おかしいなぁ。今は昼間なのに……
「シン! ムッツリーニィー! いったいどうしたのじゃ!」
「そ、そんな。いきなり二人ともノックアウト……!?」
あははは、みんなで月見をしなきゃ……
ーーー
何があったんだ。臨死体験をした気がするけど。気のせいだろう。
まさか姫路の料理が殺人兵器だなんて、そんな筈がない。
生き返って、必死に熱いお茶を飲む。
煮沸、カテキンによる殺菌だ。
「正直に言って、どんな作戦を練ろうとも、Aクラスは倒せない」
雄二が言った。
「一応、例外はあるよ。でも、戦闘じゃ勝てないだろうね」
「…………例外?」
ムッツリーニの質問。珍しいな。
「ああ、ムッツリーニを使えば、限定的になら、勝てる」
「だが、どうあっても、そんな状況には持ち込めない」
「まともな戦線の維持も出来ないからね。ゲリラでも戦果はあげられない」
「単純に兵を失うだけだからな。補充もできない上に、補給手段を絶たれたら終わりだ」
俺と雄二の連続の説明。
明久はボーっとしている。分かっているのだろうか。
「なるほどね。じゃあ、どうするの?
ウチらの最終目的はBクラスに変更ってこと?」
「いや、Aクラスをやる。」
「何いってるのさ雄二。ついにボケた? 自分がさっき言ったことも忘れたの?」
明久の煽りだ。中々の切れ味だな。
「大丈夫だ。クラス単位で勝てなくとも、一騎討ちなら勝てる」
「俺も詳細は聞いてないんだが、本当に大丈夫なのか?」
「大丈夫だ。絶対とは言えないが、勝てる。
そして、その為にBクラスを使う」
一騎討ちに持ち込むために、BクラスでAクラスを圧迫するのだ。
ーーー
明久がBクラスに宣戦布告をした。
ボロボロになって帰ってきた明久。
どこかで見た光景だなぁ……
だが今回は雄二のせいだ。俺は関係ない。
さて、今回のBクラス戦だが。守るのではなく、攻める。
今のFクラスの士気は高い。この状態で守りは士気を下げる。
そして、Dクラスのように簡単な相手でもない。
油断はしないだろうし、姫路も警戒されている。
だったら、その警戒を最大限に利用する。
今回のFWは姫路だ。たった一人で敵陣に攻め込んで貰う。
姫路に敵の目を釘付けにする。
Bクラスにとって、怖いのは姫路だけだからな。
だが実際は違う。姫路が囮になっている間にムッツリーニが後ろから強襲する。
その為にDクラスにはBクラスのエアコンを動かなくさせた。
窓は空いている。
この流れの前提はBクラスが教室に居なければならない。
だから、初陣から教室近くに相手を押し込む。
そして、Fクラスの主力が姫路であることを強調するために、姫路を前線に投入。
万が一が無いように明久を付ける。
「と、まあこんなところだね」
「相変わらずの処理能力だな。
お前がいると作戦がスムーズに進む」
ありがたい評価だ。
「後は相手の出方だね。
あの根本だ。何をしてくるか分からない」
前線の状況を聞いていると、相手の使者が来て、協定の話が出た。
「どうする、雄二?」
「受ける。こっちにとってメリットが大きい」
「姫路さんの体力だね」
その通りだ。今回の作戦では姫路はキーパーソンだ。今、消耗させられない。
「あやしいけど、受けるしかないか」
「そういうことだ。まあ、なんとかなるさ」
その後、嫌がらせだったり人質だったりがあったが、順調に進んだ。
そして、案の定Cクラスが動いた。
「Dクラスを使う。取りあえずはDクラスを使って協定を結ぶ」
「雄二、それは……」
「シン、取りあえず、だ。」
勘が告げてる。
まだどちらが勝つか全く分からないこの状況で、Cクラスが気取られるほど動くのはおかしいと。
これは罠だろう、と雄二には伝えておく。
やっぱり罠だった。逃げ帰って、提案する。
「雄二。やろっか、あの作戦」
「ああ、目にもの見せてやる」
ーーー
『静かになさい、この薄汚い豚ども!』
うわぁ。秀吉、やり過ぎてないか。
俺が指示したとバレたら殺されるな、優子に。
でも、優子に好意を持つ人が減るのは何故か嬉しい。
……え? 嬉しい? 何で?
まあいいや、これでCクラスはAクラスに攻め込むだろう。
目的は達した。
Bクラス戦の途中、教室で戦況を確認していると、明久が駆け込んできた。
「雄二、シン。お願いがあるんだ」
「どうした、明久」
「根本君が着ている制服が欲しいんだ」
「本当にどうしたんだ、明久」
お前に何があったんだ。
「それと、姫路さんを戦闘から外して欲しい」
「それは……」
俺が良い淀んでいると、雄二が答える。
「理由は?」
「言えない。
けど、必要なことなんだ。頼む、雄二、シン!」
さて、どうする。
雄二にアイコンタクトを送ると、任せろ、と帰ってくる。
「条件がある。姫路の役割をお前がやれ」
「分かった。……何をすれば良いの?」
「根本との戦闘だ。科目は何でも良い。勝つ必要もない。
だが、近衛兵を突破しろ」
負担の多い役割だ。
「失敗は許されない。……出来るか? 明久?」
「シン。確認は必要ない。こいつは馬鹿だが、やるときはやる。
……信頼しているぞ。作戦を変更はしない。
俺とシンで練った作戦だ。必ず成功する」
結果。あのバカはやり遂げた。
隣の教室をぶち抜いたのだ。
そして、近衛兵を引き付けた。
その隙にムッツリーニが根本を強襲する。
作戦成功だ。
俺たちはBクラスに勝った。
ーーーーーーーーー
問6
経済の需要-供給曲線における需供バランスが取れている点を何と呼ぶか。
A.(姫路 瑞希)
均衡価格。
[解答]
はい、正解です。
簡単でしたかね。
A.(吉井 明久)
交差点。
[解答]
はっきりと間違っている、と言えない点がもやもやしますね。
ーーーーーーーーー
次はAクラスだ。
雄二にどうするのか説明を求めると、みんなの前で話す、と言われた。
みんなと一緒に説明を聞いて、一緒に雄二を襲って、一緒に交渉に行く。
「一騎討ち?」
優子が訝しむ。ここはAクラスの教室で、交渉には何故か優子がついた。
雄二が悪役さながらの交渉をしていると、優子が俺を見て、言った。
「いいわよ。ただし、五人対五人の代表選抜戦。三勝した方の勝ち、なら受けてあげる」
「良いだろう。その条件、飲もうじゃないか。
ただし、科目の選択権はこちらが貰う」
「三つ。こっちも科目の選択権は欲しいの。
だけど、ハンデとして、三つはあげるわ。それでいい?」
ふむ、ハンデとしては妥当なところだな。
その後、Aクラス代表の霧島さんが勝った方が言うことを聞く、という条件を追加して、試召戦争が始まる。
ーーー
「まずは一人目、どうぞ」
審判の高橋先生の声が響く。
「私が行くわ」
「木下優子さんですね。では、Fクラスは……」
「ワシが出よう」
秀吉! 先陣を切ってくれるのか!
と思ったら、優子に連行されて帰ってこなかった。
安らかに眠れ、秀吉。
「代わりに俺が出るよ」
「はい。都籠シン君ですね。科目はどうしますか」
「私が決める。総合科目、100点の上限ありでお願いします。
……ねぇ、
今度ふざけたことをしたら、私は一生、あなたを許さない」
「…………」
本気だ。本気で俺を睨んでる。
……仕方ないか。優子は間違いなく、振り分け試験で俺に勝つつもりだったんだ。
それを分かってて、俺は
「えっと、木下さん。落ち着いてください。
都籠君。何か言うことはありませんか」
高橋先生がこっちを見て、視線で謝れ、と言っている。
だが、俺は謝らない。
謝ってはいけない。俺はこの結果を後悔していないからだ。
なら、どうして、こんなに苦しいんだ……?
分かった、とだけ告げて下がる。
問題作成の間に次の試合を行うのだろう。
明らかに凍った周りの空気に影響されて、誰も何も聞いてこない。
理由を知っている秀吉もいないしね。
ーーー
試験に勝ちたいという気持ちを、俺は持っていない。
今まで勝ち続けた訳でもない。良くて真ん中辺りで、トップには立ったこともない。
だけど、勝ちたいという気持ちは湧かなかった。
トップの人が幸せそうな顔をしていなかったからだ。
成績が良いだけの、独りぼっちだったからだ。
だから、勉強以外のことに、大事なことがあるんだと思った。
明久たちを見ていると、それが何か分かるような気がしていた。
成績になんて執着していなかったのだ。
だけど、胸が痛い。優子に睨まれたから、痛い。
傷つけたことは、謝るべきだと思う。
だけど、今いる場所を否定しないのなら、胸を張れば良いのだ。
一方的な約束なんて、俺には守る必要なんてないのだ、と。
そう、言えれば良いのに。
言えない。嫌われるのが、怖い。
俺にとって優子とはそんなに大きな存在だったのだろうか。
ああそうだ。大きかったんだ。
昨年度の期末試験で本気で出して勝負するほどに、大きかったんだ。
「私は、Fクラスの皆が好きだから、頑張れるんです」
「そうか。Fクラスが……僕の負けだよ」
そんな声が聞こえて、思う。
テストは競争だ。だから勝ちたいんだ。
総合得点で優子に勝って、俺は何を思った?
嬉しかっただろう。
そして、振り分け試験で俺は何を思った?
申し訳なかったはずだ。優子に対して。
テストっていう舞台で、俺は、きっと。
始めて勝負をしたんだ。
そして勝った。
次に逃げた。優子よりも明久たちを選んだ。
だけど、勝ちたかった。優子に。
ああ、だから胸が痛いんだ。
これは勝負への期待でもあり、勝負から逃げた後悔でもあるんだ。
なんだ。改めて考えて見ると、後悔してたんだ。
じゃあ、ちゃんと謝らないと。
そして、優子と戦いたい。
優子が良いんだ。秀吉じゃない。
簡単なことに、今まで気付かなかったんだ。
「はっ、はは、はははは!」
ああ、どうして気づかなかったんだ。
「どうしたのよシン。いきなり笑い出して」
「ああ、ごめん。バカだなぁ、って思って」
本当にバカだ。どうして気付かなかったんだ。
俺は、優子のことが、好きなんだ。
「バカって、明久のことか。
左手がどうとか言って、結局負けたからな」
「そうなのか……? 悪い、ちょっと考え事をしててな。
そして、バカっていうのは明久じゃなくて、俺のことだ」
ーーー
「さて、歴史のテストを作成する間に、一戦目の総合科目のテストを行います。
両者、多目的室に向かってください」
そんな声が聞こえて、移動する。
移動中に、話す。
「ごめんな、優子。
俺は、お前との勝負より、友達を優先した」
「……知ってたわよ。
あなたが今までずっと赤点だったって秀吉に聞いてから。こうなるんじゃないかって、思ってた」
「…………」
そっか。
「だけど、今度は本気で受ける。
今回も勝ってみせる。そして、次も勝負しよう」
「いいわよ。勝ち負けは関係なく、次も勝負してあげる。
……そのほうが、その、一緒に……」
「うん? 何か言った?」
「なん、でも、ない!」
教室について、入ろうとすると。
「今回のテスト。皆への成績の表示は勝ち負けのみにしておいてあげたから。
……感謝しなさいよね」
声が聞こえて、振り返る。
優子は既に教室に入っていて、そこにはいなかった。
ーーー
95点。俺の成績だ。
採点をした高橋先生が驚いていた。知らなかったのだろう。
そして怒られた。常日頃から本気を出しなさい、と。
そして、負けた。
優子は96点だった。1点差だった。
昨年度の期末試験の結果が逆転していて。
悔しさと共に、再確認できた。
俺はやっぱり優子が好きなんだ。
皆の元に戻って、負けちったよ……というと
このウジ虫野郎が、と返ってきた。
その後、結局雄二は霧島さんに負けたので、このウジ虫野郎が、と言い返した。
結局、Fクラスのちゃぶ台はミカン箱になった。
結構難産でした。
プロットがあっても書くのが難しい、難しい。
キャラをちゃんと動かすと、おかしなことになったりしまして。
後一話!
おまけとかが更に続くかもしれない!