バカとテストと嘘と本気   作:羽吹

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第3話

 

 学園祭があった。

 大変だった(小波感)

 

 いや、本当に大変だった。

 野球をしていたら、鉄人にボコられたのだ。

 また、雄二をクラスの纏めに引っ張り出すために追跡していると、優子に出会った。

 優子はCクラスでの秀吉の物真似が俺の指示であることを本人から聞いたらしく、俺の関節を外すキラーマシンと化した。

 

 それだけではない。

 中華喫茶の準備の途中で殺人兵器を食べてしまったのだ。

 生死の境を彷徨って、食中毒の怖さを実感した俺は、衛生管理に力を入れた。

 俺はムッツリーニと一緒に厨房担当なのだ。

 

 加えて、試験召喚大会もあった。

 参加する気はなかったのだが、明久と雄二が参加するらしい。

 雄二から頼まれて、偽物の試合表を作成して、姫路と島田に渡したりしていた。

 

 明久たちと霧島さん、優子のペアの時は大変だった。

 どうして俺が優子のアフターフォローをしなくちゃならないんだ。

 機嫌を取るために学園祭をまわったりして、財布に甚大なダメージを被った。

 

 ……楽しかったけど。

 

 

 雄二の話を聞いて、万が一のためにムッツリーニに頼んで設置した監視カメラが功を奏して、ウエイトレスの拉致事件は未遂で終わった。

 しかし、そいつらが暴れたおかげで喫茶店は一時閉めざるを得なくなり、手伝いに来てくれた葉月ちゃんにも怖い思いをさせてしまった。

 その件で学園長から話を聞いたりと、色々あったのだ。

 詳しいことはいつか語ることになるかもしれない。

 

 それから少し時間がたって。

 学力強化合宿が始まる。

 

 ーーーーーーーーー

 

問7

 学園祭の思い出について、述べてください。

 

A.(姫路 瑞希)

 お店が楽しかったです。皆で一つの事をするのは貴重な経験でした。

 

[解答]

 こういう経験は、学生の頃にしかできないものですので、精一杯楽しんでください。

 

A.(霧島 翔子)

 結婚への大きな助けになった。プロポーズされたことが嬉しかった。

 

[解答]

 そうですか。阪本くんはまだ17歳なので、結婚は出来ないと思います。

 

 ーーーーーーーーー

 

「…………一枚、500円」

「二枚貰おう。ほら、野口さんだ」

「…………確かに」

 

 ふふ、手に入ったか。

 学園祭での秀吉(女神)の写真!

 チャイナドレスの際どい写真が……!

 

「何をやってるんだ、シン。

 まあいい、それよりムッツリーニ、頼みたいことがあるんだ」

「…………なんだ?」

「これを聞いてくれ」

 

『優勝したらプロポーズするんだ。

 ……愛している、翔子』

 

 Oh……。俺たちが悪ノリして、捏造したプロポーズじゃないか。

 雄二曰く、捏造されたプロポーズが誰かに盗聴されて、さらにそれを霧島さんに流している奴がいるという。

 

 ふむ、だからどうなる、というわけでもないけどなぁ……

 雄二の結婚は決定事項のようなものだし。

 ああでも、ムッツリーニにとっては商売敵か。

 

「助けてムッツリーニィ!」

 

 そんなことを考えていると、明久がやってきた。

 

「僕の女装姿がウェブで配信されそうなんだ」

「…………何があった?」

 

 こちらも愉快な状況である。

 学園祭でメイド服の女装をした明久だが、そのパンチラ写真、ブラを手に持っている写真などが盗撮されたらしい。

 それをネタに脅されている、と言うことだ。

 

 状況的には明久の方がヤバイな。

 アキちゃんには需要がありそうだしな。

 何とかして、供給を増やしてみるか。

 

「ねぇシン、何か凄い嫌なこと考えてない?」

「はははは、まさか……」

 

 ちょっと女装させようかと。

 

 まあ何にせよ、脅迫はやりすぎだ。

 これに関してはどうにかすべきだな。

 最終手段として先生に掛け合う、何て奥の手段もあるが、それはまだ早い。

 

 こっちにはムッツリーニがいるんだ。

 やり方はいくらでもある。

 

 ーーー

 

 文月学園、強化合宿。

 リゾート地の旅館を買い取って、そこを合宿所としたらしい。

 

 結構遠い場所なのだが、なんとFクラスには案内すらなかった。

 社会勉強にはなるかも知れないけどさ……

 

 

 そんなこんなで電車の中だ。

 これから二時間は揺られることになる。

 暇になったので、今回の合宿における俺の予定について話そうと思う。

 

 

 

 告白する。優子に。

 

 

 

 焦っている、といってもいい。

 だが、優子と出会ってもう半年以上は過ぎているし、仲も良い。

 脈があるかは分からないが、行動をしないという後悔はしたくない。

 

 つい先日にも、優子が告白された、という噂を聞いた。

 断ったらしいが、正直に言って怖い。

 

 加えて強化合宿とはいえ、夏の泊まり掛けの旅行なのだ。

 シチュエーションは悪くない。

 

 

「オレンジが秀吉で、緑が美波、青が姫路さんかな」

 

 声が聞こえた。心理テストか。

 明久たちが何やらやっているので、混ぜて貰おう。

 

「明久。紫色は誰かな?」

「え? 紫? うーん、霧島さんかな」

「成る程」

 

 思い浮かんだ異性を色に当てはめる心理テスト。有名だね。

 

「えっ? シン、本とか持ってないけど、知ってるの? この心理テスト。

 紫とか載ってないんだけど!」

「それに翔子って。

 ……シン。紫色は何なんだ?」

「やっぱり霧島さんのことが気になるんだな、雄二。

 ……だからこそ、結果は秘密にしておこうかな」

「あっ、てめっ、ズルいぞ!」

 

 紫色は、性的な対象だ。

 ……知らない方がいいことって、あるよね。

 

「じゃあ、思い浮かんだ数字の心理テストを……」

 

 そうこうして、時間は過ぎていく。

 因みに俺の数字は3、6である。

 

 姫路が弁当を取り出した。

 なので、俺も弁当を取り出す。

 安全管理は万全なのだ。もう死にたくない。

 だが、明久の惣菜パンはその場で処理された。

 

 さらば、明久。姫路も明久に食べて貰えて喜んでいるさ。

 

 ーーー

 

 俺と雄二で明久を運び込む。

 AEDを使って蘇生に成功した。(正常な人へのAED、心臓マッサージは冗談抜きで死にかねないので、絶対に止めましょう)

 

 ここは旅館の一室だ。俺たちは五人で一つの部屋を使用している。

 結構大きな部屋なので、五人でも問題なく使用できる。

 

 明久が生き返ったタイミングで、ムッツリーニが戻ってきた。

 何やら情報を掴んだらしい。

 

 ムッツリーニによる盗聴返しは、明久の盗撮と雄二の盗聴の犯人を同一犯であると断定した。

 それだけではない。

 その犯人は女子であり、お尻に星型のアザがある人物だと特定した。

 

 ……どうやって確かめるんだよ。無理じゃないか。

 

 

「大人しくしなさい!」

 

 どうしようかと考えていると、突然扉が開いて女子に包囲された。

 

「女子風呂に隠しカメラがあったのよ。

 犯人はあなたたち以外には考えにくい。粛正。」

 

 プロセスが! 確認のプロセスが無いよ!

 

「明久君、本当なんですか……?」

「アキ、ホントなの……?」

 

 その言葉は拷問道具を置いてから言うんだ。

 

「雄二、浮気は許さない」

 

 さらば、雄二よ。お前のことは忘れない。

 ふふ、憐れな奴等だ。普段の行いがこういう結果になるんだ。俺のように普段から誠実な行動が右腕の関節が捻じ切れるように痛いぃぃいいい!

 

「ふふふ、お仕置きが、必要よねぇ……」

 

 優子、ギブ、ギブ!

 あ、待って。その関節はそっちには曲がらな……あぁあああ!

 

 ーーー

 

 酷い目に遭った。

 未だに両手がちゃんと動かない。

 

「こうなったらもう容赦はしねぇ。

 思う存分女子風呂を覗いてやる」

「尻に星型のアザがある女子を特定するんだな。

 止めとかないか。流石にヤバイって」

「怖じ気づいたのか、シン。

 お前だって相当折檻されてたじゃねえか」

 

 むう、それはそうなんだけど。

 仕方ない。今日だけ付き合うか……

 明日からは告白のために動くからね。

 

 

 一本道だ。

 女子風呂への通路は一つで、それも一本道だ。

 だから、正面突破以外の選択肢はない。普通なら覗けるような造りにはなっていないのだ。

 もうこの時点で諦めるべきなんだよね。どうあっても先生に見つかるし、強行突破なんてしようものなら停学は堅い。

 

「科学の布施先生だ!」

「構わねえ、ぶちのめせ!」

「いや、そこは構いなさい」

 

 まったくだ。

 

「ここは、俺と雄二で食い止める!

 明久、秀吉、ムッツリーニは先に行け!」

「いや、教師相手じゃ。ワシも手伝おう!

 明久、ムッツリーニよ、先に行くのじゃ!」

 

「そんな、皆を見捨てて先に行くなんて!」

「目的を忘れるな! 何のために俺たちが盾になると思っているんだ!」

「……分かったよ。僕たちは、必ず、辿り着いてみせる! 理想郷(アガルタ)に!」

 

 明久、俺たちの夢を。託したからな……。

 

 召喚獣のもつ武器は、棒だ。

 尖ってもいない。木刀のような形態でもなく、ただの長い棒だ。

 だが、棒とは変化に富んだ武器だ。

 

 そう簡単には見切らせない。

 突く。布施先生の武器であるフラスコの底に当たって、止まる。

 その状態から棒の持ち手を滑らせる。

 フラスコの近くでもう一度棒を握って、下から払う。

 支えを失ったフラスコの下を潜って避ける。

 

 雄二の攻撃がフラスコを横から叩く。

 秀吉の薙刀が布施先生を捉えた。

 続くぞ。棒を布施先生に突き出した。

 仰け反って避けた布施先生の召喚獣の後ろに周って、突き出した棒の尖端を持つ。

 後ろから羽交い締めした形だ。

 雄二が動く。メリケンサックで威力が増したラッシュが召喚獣を捉え……

 

 バキッ、と音がして。棒が折れた。

 瞬間、フリーになった布施先生の召喚獣の腕が俺の召喚獣を掴んで、位置を入れ換える。

 雄二の拳が俺に入った。

 吹き飛ばされていくなかで見た景色では、

 秀吉の召喚獣が雄二の入ったフラスコの下敷きになっていた。

 

 ーーー

 

 鉄人の説教が終わったのは、深夜だ。

 俺たちは死んだように眠り、時間ギリギリに起きた。

 朝食を食べて、休憩時間を挟んで、勉強の時間が始まる。

 

 AクラスとFクラスの混合編成での自習だ。

 正直に言うと上のクラスから編成した方が意味があると思う。

 それも、授業はない。プリントも控えめで、サボろうと思えばいくらでもサボれる状態である。

 

 優子の近くに座って、勉強する。

 課題のプリントが指示している範囲を確認する。三角関数とその発展かな。

 ここのポイントはサインカーブとコサインカーブの差を理解できることで、それを発展させることで…………

 

「工藤さん、僕にお尻を見せてくれると嬉しい!」

 

 吹いた。

 楽しそうだったので、秀吉に何があったのか聞く。

 工藤さんが犯人候補に挙がって、明久が自爆したらしい。

 うーん、違うと思うなぁ……動機が無さすぎる。

 

 むしろ、後からやってきた清水さんの方が怪しいけど。

 どちらにせよ、証拠はない。

 

 優子の所に戻ると、不機嫌だった。

 うん、一緒に勉強しようとしたら居なかったんだな。

 探せば、霧島さんや工藤さんの近く。

 秀吉と話してる。

 

 怒るよね、普通なら。

 ごめんなさい。だからそっちに関節は曲がらないってぇえええ!

 

 ーーー

 

 夜になった。自由時間に旅館を歩く。

 避暑地の旅館だからか、中庭がある。あまり人もいない。

 池があり、橋もある。もう少し先に高台もある。

 雰囲気のある場所だ。

 

 リサーチを終えて、部屋に戻ると。

 Fクラスの皆がいた。

 皆で覗きを敢行するらしい。

 何故か俺もカウントされていたが、辞退。

 明日のために集中したいんだ。

 

 明久たちは深夜に帰ってきた。

 

 

 次の日の朝。

 朝から明久が雄二を襲っていた。

 浴衣が微妙にはだけて、雄二に馬乗りになる明久。

 朝から酷いものを見た。

 

「工藤さんが言ってたんだ。

 『脱衣所にまだ見つかっていないカメラがあるよ』って」

 

 ほう、それはそれは。

 

「怪しいよね」

「そうでもないさ。犯人ならそんなことは言わないだろうしな」

「そもそも、工藤さんには動機が無いだろうに」

 

 明久、雄二、俺の順番で話す。

 

「まあ、それを手に入れればいい話だけど、それじゃ本物の盗撮犯になるぞ……」

「だから、人を増やす」

 

 皆を巻き込んで、保身に走る気だな。

 

「先ずはAクラスだな」

「と言うことは、久保を説得するのが妥当じゃな」

「明久、行ってこい」

「何で僕!? ……まあ別にいいけど」

 

 久保には明久だな。いや、ちょっと危ないか……?

 

「……いざという時はコレを使え」

 

 スタンガン(二十万ボルト)

 

「……気を付けろよ、明久」

 

 ーーー

 

 今日も自習だ。

 Aクラスの説得は失敗したらしい。

 これからD、Eクラスの説得に行くらしい。

 俺も行くのだが、その前に、だ。

 

「優子、ちょっといいか?」

「どうしたのよ、自習中に」

 

 よし、できる限り意味深に。

 いつもより心持ち近くに寄って、

 

「……優子、話があるんだ。

 19時に、中庭に来て貰えないかな」

 

 目は反らさない。

 相手の目を見ること、大事だと思います!

 

「……大事な、話なんだ」

「う、うん。いいけど。その時間は自由時間だし」

 

 余韻を残したまま、部屋を出る。

 サボったことには気付かれなかった。

 雰囲気って大事。

 

 

「阪本雄二から始まるっ」

「「イェーッ!」」

「古今東西っ」

「「イェーッ!」」

「Aから始まる英単語っ」

 

 明久狙い撃ちだな。

 

 パンパン(手拍子)

「Apple」(雄二の番)

 パンパン(手拍子)

「Association」(俺の番)

 パンパン(手拍子)

「……僕の、負けだ……」

 

 明久ェ……一つも思い付かないのか……?

 その後、明久がその反論を始めてヒートアップして、先生に気付かれた。

 

 ーーー

 

 夜。十六夜の月が綺麗に夜空を穿っている。

 少しだけ吹いている風が浴衣を煽って、来訪者を知らせた。

 

「やあ、優子。来てくれたんだね」

「あなたが呼んだんでしょ」

 

 浴衣姿だった。

 

「ちょっと歩こう。この先に景色のいい高台があるんだ」

「……うん」

 

 池と橋を通って。

 

「ここは、涼しいよね」

「池があるからでしょ。それだけでも、結構違うものよ」

「うん、流石は避暑地だよね」

 

 薄暗い道を進む。

 

「…………」

 

 二人とも静かになって、ただ歩いていった。

 

「わぁ……綺麗な景色……」

「うん。この辺りを見渡せるみたい」

「いいの? こんなところまで来ちゃって?」

「正直に言うと、ちょっと不味いかな」

 

 だけど、誰もいない方がいいから。

 

「優子、好きだ」

 

 唐突に。返事は待たない。

 

「もう、半年も経つんだ。

 期末試験とか、試召戦争とか、学園祭とか。

 色々あったけど。そのどれに対しても、優子と居たと思う。

 そして、これからも。俺は、優子と居たいんだ」

 

 驚いた顔を、真っ直ぐに見る。

 これだけは、嘘じゃないんだって。そう証明するように。

 

「秀吉じゃない。他の誰でもない。

 優子がいいんだ。優子じゃなきゃ駄目なんだ。

 ……好きです、付き合ってください」

 

 言い切る。

 少しだけ、時間が流れて。

 

「……ホント、唐突よね。あなたは。

 いっつもそう、私には何の用意もさせてくれないんだから。

 始めて会った時も、いきなり告白されて、それが本気なのか分からなくて、一晩中悩んだのよ? 分かる?」

 

 分かりません。

 

「テストもそう。私はいつだって本気で受けてる。優等生でありたかったから、それは当たり前の事だって思ってた。

 なのに、あなたは周りの評価なんて気にもしてなくて。

 初めは何でそんなことしてるのか、全く分からなかった」

 

「私にとって、あなたは劇薬よ。

 今までの価値観なんて全部壊された。

 一歩引いて、猫を被って。いつか忘れられるような、そんな優等生。そんな私の立場。

 

 ……返してよ」

 

 無理だ。

 

「それは、……出来ないけど……」

 

 優子が近づいてきて。

 

「じゃあ、こんな私にした責任くらい、取ってよ。

 絶対に、浮気なんて許さない」

 

 浴衣を引っ張られた。

 

「……好き」

 

 その言葉は、唇のなかで聞こえた。

 

 ーーーーーーーーー

 

問8

 強化合宿の感想を述べてください。

 

A.(木下 優子)

 一生に残るものになったと思います。学力の面だけでなく、その他についても。

 

[解答]

 何かあったようですね。後悔だけはしないように学生生活を楽しんでください。

 

A.(吉井 明久)

 覗きに力をいれた合宿になった。皆が協力してくれることで、力を合わせる尊さを知ることができた。

 

[解答]

 その結論はもっと別の過程から知るべき事です。

 

 ーーーーーーーーー

 

 呆然としていた。

 何というか、何も考えられない。

 

 あれから、俺たちは旅館に戻ってきた。

 本当は高台までは行ってはいけないので、教師に見つかれば大目玉だが、そんな心配は要らなかった。

 明久たちが覗き騒動を起こしているからだ。

 俺は男たちの亡骸を無視して、部屋に戻ってきた。

 

 優子と付き合うことになった。

 これがバレれば殺される。FFF団に。

 というか秀吉とも気まずい。どんな顔すればいいんだ。

 ということで、周りには秘密だ。

 優子は不満そうだったが、俺の命が掛かっているのである。許してほしい。

 

 明久たちが戻ってくる前に、風呂にいく。

 女子の入浴時間と言うことは、男子も入浴時間である。

 携帯も持っていくか……ってあれ? 電源が切れてる。コード持ってくるの忘れちゃったな。仕方ない、無かったら無かったでいいか。

 

 

 風呂から戻ってきてしばらくして。

 明久たちが帰ってきた。

 失敗したらしい。だろうな。

 正直、今回は成功への道筋が見えない。

 

 俺がそう提案してもこいつらにやめる気は無いらしい。

 次のためにA、B、Cクラスを仲間に加えるらしい。

 そのために姫路や島田、秀吉の写真を撮るらしい。

 

 その最中、明久に携帯を貸して欲しいと言われたが、電源が切れているのを見て、愕然としていた。

 コードを貸して貰えば良かったことには、あとで気づいた。

 頭が回ってなかったんだ。許してほしい。

 

「秀吉、もう少し俯いてみて!」

「何でお主まで撮っておるのじゃ?」

 

 記念だよ、記念。

 

 ーーー

 

 その夜。

 布団で微睡んでいると、誰かが入ってきた。

 島田だ。周りをみると、霧島さんが雄二の布団のなかにいる。

 ムッツリーニは当然のように撮影していた。

 俺は現実逃避として、秀吉の寝顔を撮影しておいた。

 

 

 最終日の朝だ。

 何時にも増して眠たそうな二人は、鉄人の説教の成果だろう。

 

「大丈夫か、二人とも」

「うん、何とかね。それにしても、今回はシンのノリが悪いよね」

「まあ、色々あったんだ。

 初日は手伝ったんだから、許せって」

「ふーん、まあいいけ……ふおぉぉおっ!」

 

 どうした!?

 

「どうしたんだ明久!? だいじ……ふおぉぉおっ!」

 

 こ、これは! 秀吉の! 浴衣の写真!

 やっぱりプロは違うな……

 

 ……今夜は、優子の敵になるかもしれない。

 

 

 いつものプログラム。

 つまり、AクラスとFクラスの合同自習だ。

 

「ねぇ、噂で聞いたんだけど。

 何か良からぬ写真が出回ってるらしいの」

「へぇー、そうなんだ」

「それで、覗きに加わる男子が急増してるらしいんだけど。

 ……ねぇ、分かってるわよね」

「…………」

 

 明久、ゴメン。

 俺、参加する前に、リタイアするかもしれない。

 

「あ、あははは……顔が怖いよ? 優子?」

「ふふふふ、大丈夫よ。未遂だもの。

 まさか告白した次の日に覗きなんて。

 そんなことを考える人は、きっと全身の関節が硬いと思うの」

「ウン、ソウダネ」

 

 殺される。

 俺はいつだって優子の味方なので、最終日も俺は不参加だった。

 

 だというのに、初日に参加したことは教師たちにはバレていた。

 つまり、俺も停学になったのだ。

 




本編、最終話です。ギャグ成分薄めかな。
ちょっと最後の方はプロットから外れました。
お陰で紹介文の言葉が未回収に。
取り返すためにもいくつか番外編を書くと思います。
文章の練習もかねているので、これからもちょくちょく番外編は更新されるよ!
そして、これまでのような完全な原作沿いからは外れた話も書くかもしれない。
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