問題児であるお巡りさんも来るそうですよ!?   作:天城黒猫

1 / 1
お巡りさんも来るようですよ?

 東京・葛飾区亀有の公演前にある派出所には、名物のお巡りさんがいる。

 その名は両津勘吉(りょうつかんきち)

 交番の中に入って、左側にある(デスク)の前で、椅子に座って本を読んでいる人物がいた。

 角刈りの頭に、ゴリラのように太い指で、本のページを1枚ずつ捲っていく警察官。

 ──彼こそが、両津勘吉である。

 読んでいる本は、漫画でなく珍しく活字が刻まれている小説であった。

 

「んっ?」

 

 ふと、聞きなれたバイクの音が聞こえ、顔を上げると、交番の前に白バイが停止した。

 そしてバイクから降りてヘルメットをとると、そこには気弱そうな顔をした人物──本田速人(ほんだはやと)──が両津に声をかける。

 

「先輩、お届け物ですよ」

「ん? わしに届け物だと?」

「ええ、差出人は不明で……でも、先輩宛ですよ」

 

 本田が差し出したのは、白い封筒であった。そこには達筆な字で「両津勘吉殿へ」と書かれていた。

 

「あ、先輩その本読んでいるんですか?」

「ん? ああ、最近アニメ化したんでな。ちょっと買ってみたんだ」

 

 本田が指差したのは、先程まで両津が読んでいた本だ。その本はラノベと呼ばれるようなものであった。

 内容としては、普通の高校生が突然異世界に転移し、活躍するといったものだ。

 

「面白いですよね、それ。読んでいるとボクも異世界に行ってみたいなー。と思っちゃいます」

「まあ、そうだな。最近は異世界系統のものが流行っているよな」

「ですよねぇ、やっぱり現実逃避の一種なんでしょうかね?」

「まあ、そうだろうな。仕事だの学校だので忙しくて、夢も見れない現代社会にうんざりして、その発散として読む様なヤツが多いと思うぞ、ワシは」

「ああ、確かにそれはありますね。最近ではテンプレとかいうやつもはっきりしていますし」

「うむ、確かにそうだな。異世界に行く方法もパターン化してきている。

 良くあるのが、神様転生。神に殺されて異世界に行くというやつだな」

「そうそう! これが多いんですよねぇ、また」

「恐らくだが、書き手にとってはこれが一番手っ取り早いのだと思うぞ」

「どういうことですか?」

 

 両津の言葉に本田は首をひねる。

 

「まあ、普通の人間が異世界の魔物だとかなんだとかとバトるのは、無理があるから、強くする……能力を与えるのに、神様転生が一番手っ取り早いんだよ」

「ああ、なるほど!」

「で、あとは転生して赤ん坊からやり直して、幼い頃から努力して強くなる。このパターンも多い!」

「で、あとは魔法陣やらで召喚して、そこで何かしらの力を与える様にする……これは昔は良くあったが今では10個の話で見かけるかどうかといったところだ」

「確かにそうですね、昔はゼロ使とかで流行ったんですけど」

「それと、トラックもしくは、通り魔が死因で転生するのも、神様転生と並んで多いな」

「それもありましたね……って、そんな話をしている場合じゃないんですよ。何でも急ぎの用だとかで、先輩手紙の内容を確認してください!」

「わかったわかった。いま開けるから……」

 

 詰め寄る本田の勢いに押され、両津は封筒の封を破って、中に入っている手紙を読む。

 

「……金か、それとも宝くじか……なになに?」

 

 その手紙には、

 

『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。その才能ギフトを試すことを望むならば、己の家族を。友人を、財産を、世界の全てを捨て、我らの"箱庭"に来られたし』

 

 とこれまた達筆な字で書かれていた。

 

「何かのイタズラか? まあ、案外異世界からの招待状だったりしてな……」

「アハハ、確かにそれっぽい内容ですねぇ。『箱庭』とか」

 

 はははは。と両津と本田は笑いあうが、ふと──本田が瞬きをした一瞬。気がついたら両津の姿はそこには無かった。

 

「え? あれ? 先輩? どこに行ったんですか?」

 

 本田は周りをキョロキョロと見回して、両津の姿を探すが、両津のりの字どころか、気配すら感じ取られなかった──。

 

 

 

「う、おおおおおおおおお!?」

 

 両津は思わず悲鳴をあげる。何故ならば──空中10000メートルにパラシュートも無く、突然気がついたら投げ出されていたのだから。

 ふと、両津の視界の端には、3人の少年少女と、1匹の猫がチラリと映ったが、そんな事を気にしている場合ではなかった。

 3人は、湖に激突──とはならなかった。緩衝材のようなものがあったのか、ぼちゃん。と大きな水音を立てて落ちるだけに留まった。

 

「し、信じられないわ! まさか問答無用で引きずり込んだ挙句、空に放り出すなんて!」

「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜコレ。石の中の方がまだ親切だ」

「………。いえ、石の中に呼び出されては動けないでしょう?」

「俺は問題ない」

「そう、身勝手ね」

 

 湖の中から上がった3人は、各々濡れた服を絞りながらそんな会話をしていた。

 

「……そういえば、もう一人いなかった?」

「確かに居たわね。青い服を着た人が」

「ん? ああ、その警官のことか? そいつならそこにいるだろう」

「え?」

 

 少年が指差した先は地面だった。それもタダの地面ではなく、すっぽりと、型抜きでもしたように、綺麗な人型で窪んでいる。

 

「……まるでギャグ漫画みたいな落下跡……」

「ギャ……グ漫画?」

 

 髪の長い女性が、髪の短い女性の言った事を理解できずに、首をひねった瞬間、

 

「ええい! 何処のどいつだ!? わしを空中から地面にスカイダイビングさせるとは! お陰で身体中が痛いぞ!!」

 

 怒髪天といった勢いで、顔を赤くし、口を大きく開きながら地面の穴から飛び出した両津は、手に銃を持って辺りを見回す。

 

「ヤハハ! あの高さから地面に落ちて「痛い」で済ますとは、オッサン只もんじゃねえな」

「誰がオッサンだ、誰が。せめてお兄さんと呼べ! あと年上には敬語を使え!」

「おっと、こいつは悪かった。だけど俺はそういうのはガラじゃねえんだ。で、アンタは何なんだ?」

 

 両津は、少年の傲慢な態度が気に入らなかったが、年下相手に怒っても大人気ない。と思い、口角をピクピクと引き攣らかせながらも、自己紹介をする。

 

「わしは両津勘吉、見ての通り警官だ」

「は、警官のコスプレじゃなかったのか。俺は逆廻十六夜(さかまきいざよい)だ。よろしくな、お巡りさん。で、そっちのヤツらは?」

 

 ──そして、各々自己紹介をしていき、この場にいる全員の名が明らかになった中で、物陰から彼らを見ている存在がいた──

 

 

 ────両津勘吉。彼は亀有きっての問題児であり、超人である。──そんな彼が別世界の問題児と一緒にどんな物語を紡ぐのか────。




途中から面倒くさくなった。次回は4日後に投稿。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。