桜の語り   作:塩桜餅

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どうもです。知っている人は作者を知っているでしょうが……まあ、そんな事は置いといて…………妖精、という存在でも色々といる。何処かで弾幕ごっこを仕掛けては返り討ちに遭う氷の妖精、その氷の妖精と遊ぶ妖精……三人組のイタズラ妖精……物語に登場する妖精は色々なものがいるのだろう。





桜の木の下には__

 

 

 ……桜、ばら科に属する落葉高木。綺麗な薄紅、白などの花弁を咲かす、とても綺麗な花だ。『流麗壮美』なんて言葉が文字通りに当てはめられる。『花』と言えば桜、『春』と言っても桜。日の本の春を象徴するとあれば、桜の木は欠かす事の出来ない存在であろう。それに、桜にも黄色の花弁を咲かすものや、秋咲くものもあって種類も多い。

 散る時は潔く花弁を散らす為か、武士道の象徴ともされて人々と慣れ親しんできた。……その為か、綺麗に咲く桜の木の下には屍体(したい)が埋まっている、なんて逸話もあるくらいだ。誰がそんなことを言ったのだろう。

 __自然を象徴とし、生まれて消え、純粋な妖精がいると云うのに、『屍体』などという穢れた()()が埋まっている、なんて云ったのは__

 

 

 

 

 

 

「……」

 白色の華を咲かす桜の木の下で、桜色の光を纏う何かが一つ、突然に現れる。光の玉、とも見て取れるだろうが、光の玉にしては消える事もなく、桜色の光を放ちながら桜の木の下で静かに輝き続ける。その佇まいは、一人で親を待ち望む幼子(おさなご)の様に…………。

 

 

 ……所が変わってひとつの空、その空に舞うは三匹の妖精。イタズラでも考えているのか、仲良く談笑をしながらゆっくりと、その背に生えた、笹型の四枚の羽、三日月の様な四枚の羽、蝶の様な四枚の羽を動かしながら談笑を交え、何処かへと向かっている様子だ。

 

「やっぱり、ルナが転んだのが敗因ね」

 髪の毛を額の辺りでバッサリと切り落とし、頭には大きな青色のリボン、青色を基調とした衣服を身に纏った妖精が、一匹の妖精を垂れた瞳で見ながら笑って言う。

 

「む……」

『ルナ』と名を呼ばれ、青色の妖精に見られた妖精は、眉をひそめて赤色の瞳で、ジトり、と訝しげに視線を見つめ返す。……彼女の服装は、白色を基調とし、黒色のレースで背中にリボンを結んだ服装だ。髪型は淡い金色に、特徴的な巻かれた髪の毛を風に揺らしている。

 

「ああー、確かに。ルナが転びさえしなければ、私とスターも逃げ切れていたわ」

 今度は背に笹型の羽を付けた妖精が、納得する様にうなづきながら、ルナと呼ばれた妖精を見る。彼女の容姿は橙がかかった眩しい金色のセミロング。両側には赤色の小さなリボンで括り、二房のツーサイドアップにし、白色のヘッドドレスを頭に着用して、服装は主に暖色系で統一された長袖ブラウスに丈の長いスカートである。

 

「それなら、サニーが転んで私達を逃しなさいよ」

 ルナと呼ばれた妖精は口を尖らせながら、笹型の羽を付けた妖精に瞳を向けてぶつくさと言葉を述べる。

 

「それはやだ」

 間髪入れずにルナと呼ばれた妖精に答え、やれやれと首を横に振る。それは、ということは他に逃がす手段があれば、逃がしているのだろうか?

 

「それなら、とっとと姿を隠さなかったサニーが悪いわ」

 それなら、と何度も言葉の頭にその言葉を入れて、更に険悪に表情を変えながらも赤色の衣服を纏った妖精を見ながら言う。彼女が『サニー』なのだろう。

 

「な……それはそうだけど、ルナが転ばなければ逃げ切れていたわよ!」

 思い当たる節があったのか一瞬だけ表情を固め、次に片眉を上げながら彼女も険悪に表情を変えながら言う。

 

「……開き直ってどうする…………きゃあっ!」

 ルナと呼ばれた妖精が呆れた様な表情になった途端、強い風が吹き荒れ、彼女に吹き荒れた風は当たり、足首まで丈のあるスカートをはためかせながら、空中でバランスを崩して落ちて行く。

 

「ルナッ!」

 空中で持ち堪えた二人の妖精の声が重なり、重力に従って落ちて行く一匹の妖精を追いかけ、二人の妖精も彼女を追いかける速度を高め、髪の毛にヘッドドレスとリボンを風に揺らして一直線に一匹の妖精を助け出そうと、齢は十にも満たない小さな身体で追いかける。

 

 

 ……白色の妖精は桜色の木を背に、帽子を風に飛ばして重力に従うまま、身体をクルクルと空中でもがかせながら落ちて行く。バランスを立て直す事が難しいのか、もがくばかりで重力に逆らって飛ぶ様子は見受けられない。

 落ちる彼女を必死に追いかける二人の妖精は速度を高めると、落ちる彼女と並走して空中で息を合わせて彼女の腕を掴むと、合わせた速度を徐々に緩めて行って落ちる速度を殺していく。……も、速度を緩めるのが遅すぎたのか、地面は早い速度のまま近付いてきている。

 二人の妖精がぶつかるであろう地面を見て瞳を閉じた刹那、白色の妖精も態勢を立て直したのか羽を忙しなく動かし、三匹で力を合わせて地面に足が当たる寸の所で速度を殺して足を地に付ける。

 

「サニー、スター。もう大丈夫」

 白色の妖精が赤色の妖精と青色の妖精に声をかけて、踏みしめた地面の固さを確認してみては、ホッと小さな息を漏らす。

 

「……まったく、鈍くさいったらありゃしないわ!」

 地面を踏みしめた途端、赤色の妖精はからかう様に笑いながら、白色の妖精を見ながらケラケラと言う。

 

 ……青色の妖精は何処かを見て、ルナもサニーにも声をかけそうにない。彼女は何を見ているのだろうか?

 

「悪かった……なぁ……」

 ありがとう、と小さく言葉を漏らしては、赤色の妖精に言い返し、クスクスと笑いながら赤色の妖精とハイタッチを交わす。

 

「……ねぇ、ルナとサニー……あそこ……」

 青色の妖精が二人の妖精の名を呼んで、桜の木々の奥にある一際大きな桜の木に指を差して、二人の妖精に何かを伝える。

 彼女が指を差した桜の木の根には白色の帽子が乗り、その帽子の前には桜色の光を纏わせた何かが、桜の木を護るように浮かんでいる。

 

「桜の木なんて普通じゃ……へぇ……」

 赤色の妖精が笑いながら指を差された方を向けば、ちょっとだけ関心を交えた様な笑みを浮かべて、ジッと指を差された方向を見つめる。

 

「何々……あっ、帽子……」

 帽子が無くなった白色の彼女が指の差された方向を見ると、真っ先に映った帽子の次に光の塊を見ては言葉を無くし、赤色の妖精と同じ様にその光景に目を丸くし、その光景をジッと見つめ始める。

 

 ……刹那、光は弾ける様に輝きを増し、ゆっくりと光は確実に小さくなっていく。そこに生命が誕生する、かの様に。

 そして、次第に小さくなりゆく光は完全に小さくなり、十にも満たない童程に、小さな人影を桜の木の根元に現す。

 

「此処は……何処……?」

 光が弱まって小さな姿を晒した彼女が発した言葉が、鈴を転がすように透き通った彼女の声であった。

 黒色だが若干に茶色がかった髪色に、桜色でも白がかかった長めの振袖の着物。黒色の瞳には三匹の妖精の姿を映し、表情は十にも満たない童の様な見た目とは裏腹に凛々しく瞳を吊り上げる。桜の花の様な髪飾りを頭に付け、烏の濡れ羽色をそのままに表した髪の毛は、眉は隠れて後ろ髪は腰までかかる程には長い。結ぶ、などはしていなくとも整えられた羽衣が風に(なび)く。帽子などは見当たらない。……背には桜の花弁の様な羽が、右と左に一枚ずつ、合計で二枚の羽を背中に広げる。

 

「……」

 どうする? なんてヒソヒソ話が聞こえる中、桜の木の前に佇んでいる彼女は根元に落ちている白色の帽子を手に取り、ゆっくりと三匹の妖精の前へと歩みを進める。

 近付いて来るのが分かると突然、三匹の妖精の姿は跡形も無く消え、声だけが聞こえてくる様になる。……聞こえる声も、すぐには聞こえなくなる。

 

「……帽子……」

 手に取った帽子を見ると表情を少しだけ沈めて桜の木へと歩き、木の根元に腰を下ろしてはそこで正座をして黒色の瞳をそっと閉じる。……何度か聞こえる程の呼吸をしてから、手に取った帽子を何もいない方向へと投げる。

 ふわり、と風に舞った帽子はゆっくりと、確実に何処かへ向けて飛び、静かに目的があったかの様に帽子は落とされる。……帽子が落ちれば、不思議と帽子は地面に付かず、何も無い空間でも、ある物に乗る様に在り続けている。

 

「……敵意は無い。よければ姿を現したも()ぞ?」

 瞳を静かに開けば、空中で静止を続ける帽子の下にいるであろう者達に声をかけ、その場から動かずに凛と佇んで彼女達の反応を待つ。

 

 ……シン、と静寂が訪れる。

 ……次には、ガサリと静寂を破る。

 ……最後には、音が鳴ると共に姿が現れる。

 

 

「は……初めまして……」

 姿を現した赤色の妖精が声を発して、座り続ける妖精へと声をかける。表情は引き攣り、若干の恐れを宿して彼女を見る。

 

「……獲って食ったりはせん。あゝ、初めまして」

 最初にそう言ってから、にこり、と表情には笑みを浮かべて挨拶を、挨拶をした妖精に返してみせる。

 

「……大丈夫そう。話は分かりそうだわ」

 赤色の妖精が背後に隠れた二匹の妖精に声をかけ、ゆっくりと前に出させて、二人共と顔を合わせさせる。

 

「初めまして。害を与えようなんて思ってはいない」

 笑みを浮かべながら、声色は安心させるように弾み、出逢いを楽しんでいるかの様に表情の笑みは深まり、声にも出てくる。

 

「初めまして……」

「初めまして」

 二人の妖精も挨拶を返し、声色に安心したのか表情には笑みを浮かべて、目の前に座る妖精へとゆっくり歩を進ませる。……も、警戒は残っているのか瞳に笑みは見えない。

 

「……所で、此処は何処ぞ?」

 歩んで来た三名の妖精に、笑みを浮かべて座りながら、妖精らしからぬ凛とした立ち振る舞いで今いる場所を尋ねる。

 

「此処は幻想郷っ、忘れ去られたものが住まう、なんて云われる所よ」

 赤色の妖精は、目元まで笑みを浮かべて、目の前に座る妖精の目を見ながらそう答える。

 

「忘れ去られた……もう一つ、其方(そなた)達の名は……何と言ふ?」

 少しだけ眉を寄せるもすぐに戻し、凛とした立ち振る舞いを続けたまま、首を傾げてもう一度の質問を、目の前で立っている妖精に投げかける。……友好的だからか、名は知っておきたいのだろう。

 三人の妖精は互いの顔を見合い、一度、三人合わせて小さなうなづく。

 

「よくぞ聞いていくれたっ!」

 青色の服を着た妖精が、煽てるように言葉を発す。それを皮切りに、赤色の服を着た妖精から自己紹介の様な言葉を連ねる。

「ふふんっ、私はサニーミルク。光の屈折を操って姿を消せる……更には、三妖精の最初兵器とも言われる妖精よ」

「私はルナチャイルド。音という音を掻き消すことができる。逃げの一手の後押しに関しては最右翼の妖精」

「私はスターサファイア……この眼で生きとし生ける者が存在する場所を把握できる。近寄る危険の気配を回避し、イタズラを成功させるには必要不可欠な妖精」

 いずれも、きりり、と表情に磨きをかけて自己紹介を終える。自己紹介を聞き終えた妖精の方は……

 

「は、はあ……」

 名は覚えた、と声を発するも、名前以外の言葉は入った様子はあらず、小さなため息を口から零す。

 

「……まあ、よろしくね!」

 サニーミルクが妖精に手を差し伸べながら、満面の笑みを浮かべてはっきりとそう言う。

 

「……ふ……此方こそ、宜しくお願いさせてもらう」

 小さな笑い声を零すと、笑顔を見せながら差し伸べられた手を取り、しっかりと握っては手を引きながら立ち上がる。

 

「わっ……同じ妖精として、ねっ!」

 手を引かれると驚いて体勢を崩すもすぐに立て直し、表情をそのままにハキハキと立ち上がった妖精に言い、しっかりと握手をする。

 

「ふふっ……此処に来て間もないが、良い出逢いがあった様だ」

 笑みを声を零しながら、しっかりと握られた手を更に握りしめ、嬉しそうに声を発して二匹の妖精を見やる。

 

「あはは……それはそうとして……貴女の名前は?」

 ルナチャイルドが笑みを浮かべながらも、途端にそう尋ねる。……まあ、自分らが自己紹介したのに、相手が自己紹介しない事を疑問には思うか。

 

「名……?」

 名前を訊かれれば握っていた手を離し、こめかみの辺りに両手を当てて小さくうずくまる。何かを思い出そうと躍起になる姿から、その表情の必死は目に浮かび、うずくまりながら時折、唸り声を上げる。

 

「……ルナ」

 スターサファイアがジトッとした瞳でルナチャイルドを見やり、はあ、と小さなため息を吐いて肩をすくめる。

 

 思い出すのが苦悶、と見て取れるその姿は暫くの間に渡って続き、先程の表情とは一変して悶える様な表情が腕の隙間から伺え、固まった三匹の妖精の表情には焦りと、僅かに感じられる恐怖が浮かび……それでも、しっかりと見守る様に妖精の姿を見る。

 

「嗚呼……嗚……呼……」

 大きな唸り声を何度も発した後に、プツンと糸が切れた様にうずくまる身体は解かれ、地面へと小さな身体を倒し、伏せさせる。何か、思い出しては気が遣られる程の事を思い出してしまったのだろうか。

 

「……! 運ぶわよっ!」

 先に声を発したはスターサファイア。倒れ伏した小さな姿を見ては迅速に言葉を発し、固まった二匹を呼ぶ起こす様に張った声を上げる。

 

「了解!」

 次に我に帰ったのはサニーミルク。ルナチャイルドの背を一発だけ叩くと、倒れ伏した妖精の元へも駆け寄る。

 

「っ⁉︎ 」

 最後に我を取り戻したのはルナチャイルド。叩かれた痛みに身体を大きく退け反らせるも、しっかりと状況を把握した様子で倒れ伏した桜を共に持ち上げようとすぐに駆け寄る。

 二匹の妖精はしっかりと倒れた妖精を仰向けに寝転がらせ、上半身、下半身と役割を分担して、安定したチームワークで落とさぬ様に持ち上げる。

 

「サニー、ルナ! 飛ぶわよ!」

 声援を送る様に張った声でそう言うと、スターは羽を羽ばたかせながら飛び上がり、先導する様に手を振りながら二匹の妖精を見る。

 

「ええっ!」

「了解っ!」

 二匹の妖精は同時に声を発し、先導する妖精を見ながら羽を動かす。同時に笹と三日月が動かされれば、ふわり、と舞う様に三匹の身体は浮く。……そして、浮かび上がって四匹の妖精は、一軒の神社を跨ぎ、その裏にある大きなミズナラの木へと向かう。そこが、彼女達の住処なのだろう。

 

「早く!」

 先に地に降りた妖精が声を張りながら、住処であろう気に取り付けられた扉を開き、急かす様に手を振る。表情は強張っているも、何処かに余裕を宿した様な表情……だが、後続の二匹には彼女の顔を伺う機会はない。

 

「分かってるっ!」

 地に降り立った二匹の妖精の内、赤色の妖精は声を荒げながら返すと、二匹は走って一匹の妖精を住処へと運び入れる。連携のとれた動きで住処に入ると、青色の妖精が準備したのか分からないが、敷かれた一枚の布団に彼女を寝せる。

 

「ふぅー……」

 ぺたり、とサニーミルクは安心した様に座り込み、大きな息を吐いて一仕事の汗を額から一雫だけ流す。

 

「……一体、なんで倒れたのかしら……」

 同じくその場に座り込んだルナチャイルドが、肩で息をしながら疑問を述べる。名を聞いた瞬間に倒れたから当然と言えば当然だろう。

 

「そりゃあ……触れてほしくない所に触れたから?」

 スターサファイアがそう言えば、ルナチャイルドが眉をひそめ、首を傾げては悩み込むように唸り声を上げる。表情から見れば、何か思考を巡らせているだろうが……

 

「……名前に触れるな、って変なの」

 万策が尽きたかの様な表情をした後にルナチャイルドは、そう言って肩をすくめては椅子に腰を下ろして座る。そして、足を組みながらも、うんうんと小さく唸り続け始めた。

 

「じゃあ……今は適当な名前でも付けて、そう呼ぶとしようっ!」

 サニーミルクがはっきり、声を大きくしてハツラツに言う。うんうんと唸り続けるよりかは良い提案だろうが……彼女にも権利というものがありそうだ。

 

「なら……桜妖精?」

 スターサファイアが人差し指を立てながら案を出す。その案をサニーミルクは両手を交差させながらすぐに却下し、ルナチャイルドを手で指す。

 

「…………リン?」

 ルナチャイルドは暫く考えた後に、そう案を出す。リン……凜から取ったのではあろうが……凜としている雰囲気とはいえ、彼女は納得するだろうか? ……暫く考え込んだ後、『保留!』とサニーミルクは声を上げて言う。

 

「……サニーは何かあるの?」

 自分達だけ訊くのは不公平、とルナチャイルドが口を小さく尖らせながら、ぶつくさとサニーミルクに尋ねる。何か良い案を出さなかったら引っ張ってやろうか、と言わんばかりに親指と人差し指を擦り合わせている。

 

「ふふん、聞いて驚く「シャラ、とかどうかしら?」

 サニーミルクが言葉を発している途中に、スターサファイアが割り込まみ様に声を上げる。雰囲気を感じ取ったのか、それとも閃いただけか……。

 

「へ、へぇ……その心は?」

 少しだけサニーミルクも負けを認めたか、意地を張らずにその名を言った理由を尋ねてみた。納得……はしなさそうだが、妥協はするかもしれない、そんな淡い期待くらいしか浮かばないか。

 

沙羅双樹(サラソウジュ)の華の色。ほら、あの妖精がいたところも、真っ白な桜が咲き誇っていたでしょう? だから、よ」

 以上、言ってはスターサファイアも椅子に座って、中央に置かれたテーブルに頬杖をついて、サニーミルクに瞳を向ける。

 

「白い華なら他にも……鈴蘭とかあるから、スズ、とかあるんじゃない?」

 ルナチャイルドが横から口を挟み、思い付いた、と表情を明るくさせながら提案を述べる。

 

「んーっ……多数決で決めようっ! ……私は、ソメイ、とかいいと思う!」

 サニーミルクか提案を出し、まだ出てはない名を言っては手を上げては、自分の出した案に一票を入れる。……ソメイヨシノから取ったか……単純ながらも、しっかりと意味は込められていそうだがはてさて……。

 

「なら私はスズ」

  ルナチャイルドも、自分の出した案に票を入れる。……きりりと表情を引き締め、引く気はない、とでも言いたげな顔持ちでサニーミルクを見る。

 

「……引く気は無さそうね。シャラ」

 スターサファイアも自らの案に票を入れて、頬杖をつくのを止めてサニーミルクを見る。険しくされたその表情からは同様に、引く気はないと訴えている。

 

 ……意地っ張りが並んだところで進展はある筈も無く、あーだこーだと互いに悩みながら次々と案を出す、も……納得の気配などは無く……誰か一人でも加われば多少は変わるだろうか……。

 

「……ソメイ」

 頭を悩ませている空間に一つ、鈴を転がすように透き通った声が響き渡り、意地の張った空間を壊して案に賛成を見せる。彼女の名前の案は多数決で決まったようだ。

 

 

 

 

 

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