とある雷神のS級ヒーロー   作:フタチマル3号

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とあるの原作知識ないと読みにくくなっているのでお気をつけて



ワクチンマン

「暇だ……」

 

あれから数日、トールの呼び出しがまったくかかってこない。家の近くを見回っているが怪人も現れず、平和な日々を過ごしていた。

もっとも市民に被害が及ばなくていいことなのだか、トールが求めているのは戦いなのでこれほど暇なことはない。

 

ppppppp……

と思っているとタイミングがよく電話が鳴る。それもヒーロー協会からだ。

 

「もしもし…」

 

「トールさんですね。A市に怪人が現れました。災害レベルは竜です。すでに他のヒーローが数名やられています。他のヒーローも向かわせますので急いで向かってください」

 

「了解。……レベル竜ってことは結構強いな、よし」

 

トールはすぐさま家を飛び出した。

 

A市にはクレーターのようなものができている。隕石が落ちたわけでなく怪人の被害によるものだ。

 

その状況を作り上げた巨大な怪人が次の場所を破壊しようと歩いていた。

 

「えーん」

 

瓦礫と化したの上に小学生くらいの少女がいた。その声に怪人は顔を向ける。

 

「うえーん、パパー。ママー」

 

怪人はアリを踏み潰すような感覚で少女を手で上から押しつぶした。

 

ドォォン!!

 

「…なに?」

 

激しい音が響くものの少女は無事だった。それどころかもう一人、人間が増えてる。

 

「ギリギリだったな」

 

その少年は少女の前に立ち怪人の腕を止めている。トールだ、怪人の腕を止めたこの怪力は霊装『メギンギョルズ』の帯の効果であり、新幹線道路を丸ごと一ブロック放り投げるほどの怪力を手にすることができる。

 

そしてトールは少女を抱き抱え常人ではありえない脚力で怪人から離れる。

 

「何やってんだお嬢ちゃん、もう大丈夫だ。さっさと逃げろ」

「あ、ありがとう。お兄ちゃん」

 

少女を逃すと怪人の前まで戻ってきた。

 

「…何者だ。お前は?」

 

怪人はトールにに話しかける。どうやらそれなりに知能はあるらしい。

 

「俺は雷神トール、まあお前を倒す正義の味方ってことだ」

 

仕事だかな と付け加える。

 

「ふん。私はワクチンマン。貴様ら人間どもが環境汚染を繰り返すことにより生まれた。つまり貴様ら人間を抹消しろと言う地球の意志そのものだ!よって、人間どもはみな殺しだ!」

 

ワクチンマンの名乗りを聞かずトールは呟くようにある言葉を発する。

 

「『投擲の槌』……接続の最終確認。完了後に供給開始」

 

雷神トールの目の色が変わった。物理的に。

彼の髪や指先、体全体に青白く淡い光が点いていく。

今行っているのは投擲の槌からの力の供給、トールは投擲の槌から力を底上げされて雷神として本来の力を発揮する。

この世界に投擲の槌はいないのだがなぜか、接続可能になっているようだ。トールもなぜなのか考えて見はしたが力が使えるのだからそんなことすぐにどうでもよくなった。

 

トールは右手を上に振り払う。

ズヴォア!!! とトールの五指から、溶断ブレードが噴出した。ただし 二〇メートルほども。

 

見上げるほどのワクチンマンの巨体もこれなら焼き切ることが出来る。

 

「ほう、貴様面白い能力を持っているな」

「早く始めようぜ。アンタはいい経験値になりそうだ」

 

あるアパートの一室で一人の男がテレビを見ていた。

 

『ものすごい轟音と揺れが続いています!!A市を襲った大爆発はなおも被害を……ドッ!ザザーザー

 

「行くか」

 

黄色のヒーロースーツを纏った男がA市へ向かう。

 

 

正義 執行

 

 

雷神トールはワクチンマンへ向かって溶断ブレードを振るう。周りにある瓦礫の山をブレードで焼き切りそのままワクチンマンを両断しようと振り抜いた。

 

ブォォォォォン!!

 

だが溶断ブレードは空を切りワクチンマンにはあたらなかった。ワクチンマンはその巨体から想像もつかないほどのスピードで上に避けたのだ。

 

「フン、のろいのろい!」

 

上空から見下ろすワクチンマンの周りに発光する球体が数個浮かぶ。

「くらえェ!!!」

 

ワクチンマンはその数個の光弾を全てトールに発射する。

 

「よっ…と」

しかしトールはこの光弾を全て切り刻む。避けることも可能だかまだ先の少女のように逃げ遅れた一般人がいるかもしれない。なのでトールは極力空中でワクチンマンの攻撃を撃ち落とさねばならない。

 

「オイオイあんまり派手に攻撃してくんじゃねーよ。さらに被害が増えんだろ。…………俺が言えたことじゃないがなッ!!」

 

トールは溶断ブレードを今度はワクチンマンの右腕を目掛けて振るう。ワクチンマンはそれを見切り届かないギリギリのところまでさがり右腕にエネルギーを集める。

 

「ワンパターンなんだよ!人間がァ!!!」

「一〇倍だ!」

 

瞬間トールの溶断ブレードがありえないほど拡張される。一〇倍…言葉通り、二〇メートルだった溶断ブレードは二〇〇メートルも伸びて反撃をしようとしていたワクチンマンの右腕が切り落とされる。

 

「なっ……!?、きッ、貴様ァァァァァ!!!」

ワクチンマンは切られた右腕の切断面を押さえつけ、怒りをあらわにする。

 

「『これ』が伸びるなんて聞いてなかったか?まあ言ってなかったしな、油断しすぎたぜ怪人ちゃん」

 

「ゆ、許さん!!……グオォォォォォォォォォォォァァァァァ!!!」

 

メキメキメキィィ!!

怒りで変わったのか、それとも自から変わったのかかはわからないがワクチンマンの姿が変わる。一回りも二回りも大きくなり、原形の方がよっぽど整って見える醜い姿になってしまった。

 

「死ねェッ!!!」

 

ワクチンマンは口にエネルギーを溜めて発射しようとするが…

 

ズバァッ!!

 

「隙だらけだ」

 

トールは左脚を切り裂く。

 

「グアァ!!」

 

ワクチンマンは倒れそうになるが口からエネルギー波を発射する。しかしトールの方向へは飛ばなかった。足が崩され方向がトールの大きく隣になってしまったようだ。瓦礫を壊しながらワクチンマンの咆哮が進んで行く。

 

「あの方向……やっべ!」

 

この方角はさっき助けた少女がいる。トールとしてもヒーローとしてもこのまま少女を見捨てるわけにはいかない。右手の溶断ブレードを消し、そして新たに脚の裏から溶断ブレードをブースターとして出す。

そして怪人と少女の間に入り、もう一度右手から雷を出す。今度の力は溶断ブレードではなく単純に手に雷を集めた状態になっている。

 

「オラァ!!」

 

右手から雷を収縮させた。砲撃、荷電粒子砲を放つ。

 

トールの荷電粒子砲とワクチンマンの咆哮がぶつかり合い、衝撃波が発生し轟音が鳴り響く。

 

 

ドンッ!!

トールは場所が悪かったのか余波の衝撃波により街の境目まで吹き飛ばされる。

 

 

「……ってーな」

 

少し苛立ちながらもワクチンマンのもとへ戻ると。

 

「わりーな怪人ちゃん、待ったかい?…………はぁ?」

 

ワクチンマンは胸に大きな穴が開いていてすでに死んでいた。

トールは荷電粒子砲を放ったがワクチンマンの攻撃を相殺する程度、ワクチンマンの体までは貫いていないはずだ。何より手応えを感じなかった。

 

「…となると」

 

第三者、誰かがワクチンマンに手を下した、ということになる。しかも傷を見る限り一撃で。

 

「…………」

 

雷神トールは自分の獲物を取られたことより新たな獲物が見つかったことに喜んでいた。本気ではないとはいえ、雷神の状態の自分と戦える相手を瞬殺したのだ。トールとしてはそんな奴とは戦いたくてたまらない。

 

「やっと面白くなってきた」

 

まずはこれをやった奴を探し戦う。いい目標ができた。

 

 

 






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