とある雷神のS級ヒーロー 作:フタチマル3号
『緊急警報!災害レベル竜!ヤバイのですぐに逃げてください。隕石衝突まであと21分』
(さすがに今回は生存を諦めている者も多いな)
ジェノスは建物の屋根から屋根へ移動していた。もちろん隕石を止めるためだ。
(Z市消滅どころじゃない…周辺の町も壊滅するだろう)
チッ、とジェノスは舌打ちしながらアタッシュケースの持ち手についているスイッチを入れる。
「まさかこの試作品を試す事になるとは…」
空に向かってケースを投げる。そしてそのケースは機械的な腕へと変形した。そのケースだったものはジェノスの腕へ装着される。
「おいおい、すげーな!なにそれ?グレードアップ?」
いつの間にかジェノスの隣に並列して跳んでいたトールが変形した腕について尋ねてくる。興味深々のようだ。
「お前…」
グォォォォォォォォ…
ジェノスはトールに話しかけようとするがジェット機の様な轟音に声がかき消される。二人は上を見るとパワードスーツの様なものが飛んでいた。二人の目の前に降りてくる。
ズン… と重量感を感じさせる着地音が響く。
「これまたカッコいいのが来たな、ヒーローか?」
「お前は…ボフォイだな」
機械の音声でボフォイは答える。
「オ前タチハ…新人ノ ジェノス ニ トール ダナ」
「ああ、ボフォイ お前の力を貸してくれ」
「断ル」
「…なぜだ?」
「俺ハ新兵器ノ実験ニ来タダケダ、隕石トハ都合ガイイ」
「実験だと?そんな場合じゃないだろう、隕石が落ちればお前も死ぬんだぞ?」
「俺ハ死ナン」
「何?」
「今オ前ガ話シカケテイルノハ、遠隔操作サレテイルロボットダ」
「はっ、見た目通りの設定だ。操作してんのはどうせ研究ばっかしている軟弱なヤローなんだろうな」
「フン貴様ラトハ違ッテ自分デ戦ウホド馬鹿デハナイカラナ、隕石デ死ヌノハゴメンダ」
それと、とボフォイは付け加える
「俺ヲ呼ブトキハ メタルナイト ト呼ベ。ヒーローハ本名ジャナクヒーローネームデ呼べ、常識ダ」
「へえ、あんたがS級七位ね。っと 来たか…」
三人が話していると隕石がすぐそばまで来ていた。目に見えるまで。
「!!………、ちっ」
ジェノスはまた建物の上を跳び隕石の真下に立つ。
「ミサイル発射!!」
ジェノスが焼却砲をチャージする前にメタルナイトが動く。
ヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォ
数え切れない程のミサイルがメタルナイトの背中から発射される。
「このタイミングじゃかえって邪魔になる」
ミサイルと隕石が衝突し大爆発が起こる。カッ と光りは空を覆い、真っ黒な煙が発生した。
だか隕石は止まらない。形を崩さず落ちてくる。
「コノ程度ノ威力デハダメカ…」
(くそ…衝突まで推定33秒!)
「ちっ、『投擲の槌』接続の最終確認!完了後に供給開始!」
ジェノスは焼却砲のチャージを開始し、トールは雷神に変わり隕石に備える。
(フルパワーで焼却砲を撃つまでチャージに時間がかかる。標的はかなり近くまで来ている。その前に俺のパワーで破壊できるか?攻撃が命中したとしてその後はどうする。隕石が破裂して大惨事が起きるのではないか?)
「まあ落ち着け」
ジェノスがどうすればいいのか考えていると隣にはバングがいた。トールも確認するとジェノスの場所へ跳んだ。
「よおジイサン、結局来たのか」
「まあの それより小僧 、心に乱れが見える。お主は失敗を考えるには若すぎる。土壇場こそ適当でええんじゃ。結果は変わらん、それがベストなんじゃ」
(適当が…ベスト…)
ジェノスの脳裏にある人物がよぎる。自分が尊敬する彼も同じことをいうのではないか…と。
ジェノスは上の服を破る。そして胸にある装甲が開き中のエネルギー源の様な球体を外して、左腕に取り付ける。
そして焼却砲のチャージをする。
「バング!トール!伏せていろ!!」
(失敗や二次的な被害は考えない。この一撃に俺の全てを…捧げる)
ドウッ!!
左腕から発射された焼却砲は真っ直ぐ隕石に直撃する。
「ぐああああああああああああああああああああ」
しかし隕石は破壊できない。
「ぐぐぐ…、ダメだ破壊できる様なものじゃない!」
「いや!気のせいか隕石の勢いを落としとる様に見えるぞ!」
「おお、すげぇぞジェノスちゃん!」
「本当か!?」
「あ…気のせいじゃった」
「あ、ほんとだ」
「アホどもが!!」
ジェノスは全ての力を出し切ったのか、膝をつく。
「残り9秒…逃げろ」
「しゃーねぇ」
バチッバチッバチッバチッ!
トールの右手に雷が集まる。トールも荷電粒子砲で隕石を狙撃しようとする前にマントをなびかせ黄色い服を着たヒーローが歩いてくる。
「じいさん、コイツ任せるぞ」
「だ、誰じゃね君は?」
「あん? どいてろアンタ、巻き込まれるぞ!」
トールは忠告をするが、男は全く聞かない。
「俺はヒーローをやっているものだ。避難してなあんたら」
「おい、だから避難すんのはアンタだろ」
トールがその言葉を言い終わる前に男は跳んでいた。隕石に向かって真っ直ぐ。
「先生!?」
「俺の町に…」
「落ちてんじゃねえ‼︎」
その男は隕石に拳を振り真ん中を突き抜けた。隕石の中心部からひびは広がり爆発する。もちろん隕石の破片を撒き散らしながら
「砕きおった!信じられん!…だが落ちてくるぞ」
「……っと!驚いてる場合じゃねえ」
バリバリバリバリバリバリバリバリ!!
トールは右手に集中されている雷を放つ。ただし荷電粒子砲ではなく。特性は普通の雷に近い。一本から枝分かれに無数の雷へ分裂してゆく。
ドンドンドンドンドンドン
一本一本の雷が隕石の破片へと当たる。もちろん全てに当たるなんて都合の良い事は起こらず目測で半分程しか減っていない、破片の残弾はZ市に落ちてゆく。
「ジェノス君動くな、まぁ言われてももう動けんじゃろうが……守っちゃる」
ジェノスの上に降ってくる隕石の破片をバングは一つ残らず叩き落とす。だが、下に落ちる隕石までは砕けない。
「…崩れる」
(このビルだけじゃない…町全体に破壊の波が広がって行く)
この状況を作り出した者と言えば地面に着地をして呟いていた。
「一件落着だな」
その男をトールは、落ちてくる隕石など気にせず興味深そうに見ていた。
「やっと見つけたぜ…」
ついに発見!なんかイマイチ盛り上がりに欠ける…
安心してください!そのうちバトルになります。
そのうち…