マッハ5で空を飛び、強力なエネルギーと赤い光線であらゆる敵を粉砕する、不死身の男となったのだ。
それ行け! 我らのヒーロー!
Q.登場怪獣は誰かな? 正解はあとがきで
その日、人類は思い出した。
怪獣に支配されていた恐怖を。
鳥かごの中に囚われていた屈辱を。
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ウルトラ調査兵団、訓練兵のエレンはその日、最初の任務に当っていた。
五年前、超大型怪獣――後に「ギガント」と名づけられる宇宙恐竜であるが、これによる「壁」の破壊と、それに付随する複数の怪獣の進撃により、シガンシナ区が壊滅状態に追い込まれる。
その侵攻により家族を、母を失ったエレンは誓った。必ずや、この地球から全ての怪獣を駆逐すると。
その後、ウォールマリアより更に内側の壁、ウォールロゼ内にて12歳にして訓練兵に志願。幼馴染のミカサ、アルミンと共に、15歳でウルトラ調査兵団へ。
そして、エレンは己の任務に向きあっていた。
――先日。再び現れ、どこへともなく消えた超大型宇宙恐竜に対する作戦。再び破壊されかけた壁、街の中へと侵攻する怪獣たちの侵攻を食い止めるべし。
角のある大型怪獣、緑色の胴体をした襟巻きの怪獣、黒と青の胴体を持つ、恐竜のようなトカゲのような独特のシルエットを持つ怪獣など。それらに対するエレクトロHガン(大砲)による砲撃も、いかんせん身体の大きさのせいか極端なダメージは入らない。
兵士達は、ウルトラ立体機動装置、スパイダーブレード、パラライザー(試作麻酔銃)を身に付け、怪獣目掛けて突貫をかけた。
訓練兵たるエレンたちは、主に避難誘導に当っていたこともあり、屋内で待機。
震えるアルミンを宥めながらも、エレンはくすぶっていた。
そしてついに、実際に怪獣と戦う日がやってくる。敵然逃亡は死罪と言われようと、はじめからそんな気はさらさらないエレン。ミカサの心配も振り切るように胸を叩き、勇ましく、憎悪を燃やして彼は装備を身に付けた。
市街地にての先頭。気合は入る。
ー―そして、目の前で仲間が、青い光を放つ黒い恐竜のような怪獣に噛み殺されたのを見て、彼の理性は振りきれた。
ウルトラ立体機動装置を使い突貫をかけるが、他の怪獣に邪魔をされる。
トゲの生えたカエル、と形容できる大型の二足歩行怪獣に、アルミンが喰われ――過去の記憶がフラッシュバックし、思わず手を差し伸べ。力の限り怪獣の顎を押し開き、彼を救出した。
だが、それは同時にエレンの身を投げ出す行為でもあって――差し出された手は、届く前に噛み千切られ、宙を舞った。
――そして同時に、赤い発光体が怪獣の頭部を直撃した。
温かな光の中で、エレンは問いかける。お前は一体誰だと――。
『――私ハ、M78星雲ノ宇宙人ダ』
(M78星雲の宇宙人?)
意味がわからない、とはまさにこのこと。それを理解してるのか、赤い光はもう少し丁寧に自己紹介をした。
『――ソウダ。遠イ宇宙カラ ベムラーヲ宇宙ノ墓場ニ運ブ途中 ベムラーニ逃ゲ出サレ、ソレヲ追ッテコノ星ニ来タ』
(いや、まず宇宙人っていうのが――)
『――君達ノ惑星トハ別ナ惑星ノ住人ノコトダ』
時間がないと前置きをしてから、彼は語る。
『君ガ意識ヲ取リ戻スマデ時間ガカカッタ事モアルガ。
――怪獣達ガ、コノ惑星ニ集メラレテイル。ミスミス放置ハデキナイ。
ベムラート戦ウ為ニ君ノ体ヲ貸シテホシイ。私ノ体ハコノ星デノ活動ニハ向イテイナイ。ダガ君ト同化スル事デ3分間ハ戦ウ事ガ出来ル。
君ノ勇敢ナ心ト命ノ叫ビニ打タレタ。共ニ戦ッテクレ。私ノ命ヲ君ニアゲヨウ。
ソシテ決シテ君ノ心ニ立チ入ルヨウナ事ハシナイ』
この時点で、エレンは既に自分の体の生命力が失われていることを理解しつつあった。そして、同時にこの相手の甘言に乗れば、再び怪獣たちを駆逐するために戦うことが出来るのだろうと。
どうすれば良い、と。メリットデメリットを度外視して、憎悪に燃えるエレンは「彼」に聞いた。
『――”カプセル”ヲ使ウノダ』
そして、目の前に現れたスティック状のそれを握ると。
エレンの体に、周囲に漂っていた光が――”彼”が、一つとなった。
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エレンの生存は絶望的だった。怪獣数体を、人間の能力とは思えない自力でもって屠りはじめていた彼女、ミカサでさえその事実は理解していた。
だが、だからこそ。彼の生存を信じて後を追って、窮地に立ち、なお戦っていても。その心は揺れ動いていた。
だが――それでもなお、彼女は生きる事に執着した。死んでしまえば、もう愛しい彼のことさえ思い出すことも出来ないと理解していたから。
何としてでも生きる。
絶叫と共にパラライザーを手にし、駆けだそうとしたその瞬間――。
何処からか、光と共に何かが割れるような音。
気が付けば、彼女の眼前には「巨人」が居た。赤と銀に身を包んだ、わずかに黄色に光両目。独特な形状をした口と、ひれのようなものが背中と頭頂部にある。
しかし、その巨大さに反して威圧感は少なかった。
その顔はどこか人を穏やかにさせ、どこか悟りを開いているような雰囲気さえあり――明らかに人間のものではない、つるつるとした外観である。
胸の中央に、ランプのようなものが一つ。
青く光りを放ち、巨人は両手を構えて、若干猫背になった。
『――ッ!』
何かが反響するような、独特の掛け声を巨人が放つ。表現するなら「シュワ!」とか「ヒュワ!」とか言い表せるそれを、ミカサは下から茫然と見上げていた。
襲い掛ってくる怪獣を、首から掴み背負い投げ。
緑色の襟巻きを引き千切り、頭をそれで何度か叩く。
『―― ……』
シュワッハッハッハ、というような笑い声じみたものが聞こえたような聞こえなかったような。
投げて殴ってを繰り返して、とうとう巨人は怪獣を「撲殺」してしまった。途中、総合格闘技のような技が見え隠れしていたが、彼女はいまいちそれに気付けるだけの余裕はなかった。
続いて現れた怪獣に対しても、巨人は構えを崩さない。
アルミンに引き上げられ、コニーの叫びに我を取り戻した彼女だが。
「大型怪獣が二体……? 何だあれは、見たことないタイプだぞ!?」
「あの巨人は――」
ミカサが何かを言う前に、ごろりと転がった緑色の怪獣を見たアルミンが小さく悲鳴。
とほぼ同時に、巨人の背負い投げが棟に直撃! 首の長いその怪獣は、ぴくぴくしながら立ち上がる。拳の一撃は建物数個をゆうに吹き飛ばす破壊力を持つその怪獣でさえ、巨人はやはりもう一度投げて、絶命させた。
巨人はミカサらの方を一度向くと、一度深々と頷いた。
「と、トドメをさした!?」
「とにかく移動するぞ、アイツがこっちに来る前に――」
「いや、待って! だったら僕等もう襲われていてもおかしくないよ!」
「明らかに格闘術の概念がある。あれは一体――」
「新種って言うしかねーだろ! わかんねーことの方が多いんだから――」
会話をしながら、震えるアルミンを慰めながら、ミカサは巨人を見る。
『――!』
その雄大な、ともすれば神にも匹敵する力を持ちえて入るようにさえ見える巨人に、ミカサは不思議な高揚を覚えた。
その存在そのものが、明らかにイレギュラーだと分かるというのに。
どうしてか、その存在が自分達のために在るように思えたから。
A.登場怪獣はハイパーゼットン・ギガント、ゴモラ、ベムラー、レッドキング、ジラース、トンダイルでした。
※12/09 一部誤字訂正