ALO最強剣士がミッドチルダにやってきました 作:souやがみん
その日、僕は死んだ。アルヴヘイム・オンラインというゲームの中で。最後の最後で親友になった結城明日奈という優しい人間の腕の中で。きっと僕はこの日のために家族がみんな死んでしまってからも行き続けたんだと思う。だけどもっと彼女の、明日奈のいる世界で生きたいかった。いや、正しくは明日奈が羨ましかっただけなのかもしれない。大切な異性がほしかった。それが最後に思ってしまった僕の願いだったんだ。
「本当に生きたいかい?」
うん。生きたい。明日奈に会いたい。・・・、いや明日奈に会えなくてもいい。でも明日奈が見つけたように僕も自分の好きな人を作りたい。その人と一緒に毎日笑って、怒って悲しんで、一緒に歳をとって。そんな当たり前の人生がほしいんだ。
「分かったよ。生き返らせてあげよう。」
本当?また明日奈たちに会えるの?
「すまないが、その世界は無理だ。でも異世界になら送れる。君がそこで新しい生活を望むのならそこへ転生させてあげるよ。」
うん。僕はきっとそれでも嬉しいと思う。明日奈たちがいなくても・・・。
「では、行くといい。幸せが君にあることを祈っているよ。紺野木綿季くん。」
そして僕は明日奈たちとは違う世界に足を踏み入れた。
ふぅ、と息を整え腰にある刀の柄へと手をかける。辺りの音が止まったように俺に届かなくなる。そして一気に引き抜き目の前のろうそくの火を消す。この技はかの有名なエースオブエースや、死神や歩くロストロギアの故郷、地球という修羅の国の技だ。
流石、修羅の国だと思う。刀の風圧で火を消すという技事態はそう難しくはない。だがこの技の肝は鞘にいれた状態からのスタート、つまり不意をつかれても生き残るためのものだと思っている。このような技があるからこそ世界を一つ軽々と壊すロストロギアが2回も現れ、その両方を退けることができるのだろう。
俺、クラム・ウィンドブルは特徴だと思っている赤毛を首もとで縛り黒いシャツの上から薄手のパーカーを羽織った状態で床に寝転がる。5LDKのマンションに住んでいる。独り暮らしだが。1つは俺の部屋。もう1つは客間になっており誰もがとりあえずは泊まれるようにしてある。あと三つは完全に余っている。
「はぁ、引っ越そうかなぁ。」
今のこの家に不満があるわけではないが部屋が余っているのに高い家賃を払う気にもならない。そんなことを考えながら時間がたつのを待つ。今日は仕事の日だからあと少しでこの部屋を出る。少し名残惜しいが仕事は仕事である。何事も切り替えが大事だよなぁ、と思考しながら俺は家を出た。
俺は管理局員である。と胸をはって言えるわけではないが分類上は管理局員、公務員である。学校でいうたまに来る先生といったところだろうか。この事を嘱託魔導師と言う。俺はその一人だ。
嘱託魔導師のいいところは自由なところだろう。自分の好きなタイミングで仕事を受け金をもらう。そしてまた好きなタイミングで仕事を受ける。派遣社員のもっと厚待遇と言ったところだろうか。
そして良くない点はバックアップが一切なく切り捨てられる可能性があるといったところだろう。
そんな嘱託魔導師の俺は管理外世界に来ていた。ヒトは誰もすんでいない。代わりに独自の進化を遂げた生き物や綺麗な川、澄んだ空気をしている。俺はその世界の一つのジャングルの中で今全力疾走している。
「はぁ、はぁ、はぁ、悲しいけどこれ戦争なのよね。・・・、やっぱり突っ込みはほしいなぁ。」
後ろからティラノザウルスっぽい生き物が俺を追いかけてきている。ティラノザウルスっぽい生き物だからな?ティラノザウルスじゃあないからな。
ジャングルを抜けるとそこは崖になっていた。俺は立ち止まるとティラノザウルスっぽい生き物を見上げる。
「チックショウ。カートリッジは温存したかったんだがなぁ。」
両腕に黒いガントレットが現れ俺の腕を覆う。そのガントレットの右の肘部分で煙がたち弾丸のカスが排出される。すると俺の手の中に一本の刀が現れる。しかしこの刀は先ほど蝋燭の火を消した刀の長さではない。その倍はある。
「行くぞ!」
そう言って俺は地面を蹴る。一瞬で懐に潜り込むと下から刀を振り上げる。腹から首もとまでかけて大きな傷を作る。振り上げた刀を手首の力でまるでバネにでも弾かれたかのような勢いで振り降ろす。同じところをさらにえぐるように斬る。だがまだ倒れない。
「次!」
叫んだ頃には俺の手には刀ではなく大剣と言える先ほどよりも大降りの剣を構えていた。それを思いっきり横凪ぎにする。まっぷたつになったティラノザウルスもどきを一瞥してから俺は本来の仕事へと戻る。
ここでの仕事は研究施設の発見と破壊である。こういう管理外世界には人道的でない研究者の住みかになっていることが多い。もう二時間は探しているが見つけられずにいた。
「面倒だなぁ。・・・、まぁ、誰も見てないだろうし使うか。」
そう言って俺はまたカートリッジを使い手に一本の弓を呼ぶ。その弓の玄を引き放つ。
「シルフィード!」
広域探索魔法であり、攻撃魔法にもなると言う便利な魔法である。ちなみに開発者は俺の母だ。とりあえず反応のある場所に向かう。そこには迷彩柄の建物が建っていた。何とも言えない。かなりこった研究者なのは分かる。
入り口を先ほどの長刀で叩き斬り、奥へと進んでいく。沢山のなにも入っていないポットを通りすぎ一つの部屋に入る。そこは真っ白な部屋だった。汚れ一つ無い部屋でまるで俺を待っていたかのような気にもさせる。
家具と言う家具もない。ただ中央に一つベットが置いてある。厄種のような気しかしないがそのベッドへと近づく。
「お、女の子だぁ?」
そこには一人の女の子が寝ていた。紫色の長い髪、赤いカチューシャ。年齢は多分まだ学生だろう。だが、だからと言ってこの子をこのままにしておくとあとから来る管理局の職員に連行される可能性が高い。あいつらは仕事熱心だからな。
「仕方ないか。」
俺は女の子が服を着ているのを確認すると抱き上げその場から離脱した。
アスナって漢字これであってたっけ?