ALO最強剣士がミッドチルダにやってきました 作:souやがみん
治安の悪い管理世界というのはやはり存在する。その世界ならば基本的に流れ者でも入れるようになっている。なので俺が意識の無い女の子をお姫様だっこでホテルのロビーに来ても誰も何も言わない。それどころか若いなぁ、と言う声まで聞こえてくる始末だ。今日救った女の子であんなことやこんなことをするわけがなかろう。するならもっと仲良くなって、双方の同意を得てから・・・、って俺は何言ってるんだろうか。
ロビーの前まで来て俺は固まってしまった。ツインとダブルってどっちが2つベッドがある部屋だろうか。
「お客様?」
不審な目を向けてくるホテルマンを見て意を決意したように言う。
「ダブルベッドの部屋で、お願いします。」
結果的に言うと間違えた。普段とは違う慣れないことをするとこうなるという神からのお告げだろうか。こんなもんなら俺は神様なんて信じたくない。
「まずった。これは完全にSEXしに来たと勘違いされたなぁ。」
大きく二人は寝れるベッドに紫色の長い髪の少女を寝かせている。流石に横に潜り込む勇気はない。というか知り合いだったらネタで突撃もありだが相手は見知らぬ女の子。しかも年下。俺のタイプは年上のクールなお姉さまである。美人教師やクールなナースさんは最早鼻血ものだな。
「しっかし、これからどうするかねぇ。」
拾ったのはいいもののこれからのことを考えていなかった。お人好しもいいとこだな。と自分を軽く攻めてからソファの上で毛布にくるまる。
明日のことは明日の俺に任せよう。それが一番だ。と考えるのを放棄して俺は意識を手放した。
次の日俺はほっぺをつつかれて覚醒した。と言っても目は開けておらず誰がそんなことをしているかまでは分からない。否、正しくは分かりたくない。この部屋は鍵をかけているためボーイが来るにしてもノックがあるし、俺の知り合いが来たにしても先にフロントから電話があるはずである。つまり、俺のほっぺをつついている犯人はこの部屋の中の人物。昨日俺が連れてきたあの少女しかいない。
恐る恐る目を開けるとそこにはやはり紫色の長い髪の少女が立っていた。こちらの目が覚めたのを確認すると何故か嬉しそうに微笑む。やべー、この子めっちゃ可愛いじゃん。なんとなく分かっていたが可愛い。凄く可愛い。しかしどんなアニメでもあるようにこういう美少女たちには絶対厄種が存在する。
「おはよう!君が僕を助けてくれたの?」
僕っ子だと・・・!今エフェクトをつけるとしたら雷だろう。しかしそんなことよりもだ。
「まぁいちよそうなる。クラム・ウィンドブルだ。よろしくな。君の名前は?」
「僕は紺野木綿季!よろしくねクラム。」
早速の名前呼びに少し心が踊るが今はそんな場合ではない。この子、木綿季がどういう存在か。何のためにあそこにいたのか聞かなくてはならない。少し難しい顔をする俺に木綿季が心配そうな顔をする。
「ねぇ、クラム何だか難しい顔してるけどそれって僕のせいかな?」
妙に勘が良い。勘が良い子は誤魔化しが効かない。というか俺の心情的に誤魔化すぐらいなら全部ぶちまけた方が良いと思う。
「まぁ、確かに木綿季ちゃんの問題だな。君がどこから来て何故あそこにいたのか。帰る場所はあるのか。とかかなまずは。
でもそれは木綿季ちゃんが気にすることじゃない。そんなもんは俺たち大人組に丸投げすれば良いさ。」
とりあえずカッコつけてみたがあまりしまっていない。木綿季も何だか微妙な顔をしているが後に笑顔になり頷いてくれた。
それを嬉しく思いながら考える。しかしぐぅーという音が木綿季のお腹から聞こえるとお腹を押さえながら照れたようにはにかむ。ふむ、何よりも先に朝御飯にするか。
朝はバイキング形式の食べ放題だった。朝から食べ放題とは贅沢なと思いつつ食べる。木綿季も嬉しそうに口の中にかきこんでいる。
俺は食べながら今からの行動指針を決めようと思考する。
1つ目、彼女、木綿季の偽装パスポートを業者に頼んで作ってもらいとりあえずミッドチルダに帰る。
2つ目、木綿季を鞄に詰め込んで荷物としてミッドチルダに運ぶ。
3つ目、ここで別れる。
自分で選択肢作っといてなんだが、1以外の選択肢はあり得ないな。俺はいったい何のために選択肢を作ったのだろうか。
「ねぇねぇ、この後はどうするの?」
「そうだなぁ、とりあえず木綿季ちゃんの偽装パスポートを作ってもらうからそれができるまで木綿季ちゃんのことを教えてほしいんだなぁ。
もちろん、対価として俺の全てを教えてあげるからさ。」
クラムの全ては要らないかなと笑顔で言う彼女の言葉に撃沈する。そんなこんなで朝御飯を食べ終えた。
「さて、じゃあまず何で木綿季ちゃんはあんなとこにいたんだ?」
場所は変わって部屋に戻ってきていた。俺はソファに座り木綿季はベッドに腰かけている。
「うーん、僕さ、AIDSって病気で死んだんだ。」
ソファごと後ろに倒れる。ソファが上に乗っかってちょっと重たい。なんとか脱出した俺を心配そうに見る木綿季に大丈夫だと言い話を続けてもらう。
「そしたらね声が聞こえたんだ。『もっと生きたいかね?』みたいな声が。」
うわー、すっんげー怪しい。仮に木綿季ちゃんが1回死んでしまっているとしたらその言葉に乗ってしまうのは仕方ないと思う。俺も生きたいって言うはずだろうし。
「で、生きたい!って言ったあとに目が覚めたらこのベッドで寝ていてクラムがいたんだ。」
なんとも胡散臭い話だ。だが、美少女の言うことは信じたい。どんな厄種だろうが。
彼女、紺野木綿季がどんな人間かは分からないが俺はこの子を助けたときから、もしくはベッドの上で寝てるのを見たところから子のこの事をよく知りたいと思ってしまっていたんだと思う。
「分かったよ。木綿季ちゃんのことを信じる。」
パッと顔が明るくなる。可愛いなぁ。でも、と間髪いれずに言う。
「木綿季ちゃんの言う通りなら君はこの世界では部外者ということになる。どこぞのアニメみたく転生なりしてくれば別なんだろうが残念ながらそんなことはあり得ない。」
一転木綿季ちゃんの顔が曇る。まぁ、ここまで話しといてなんだが俺が木綿季ちゃんを突き放してるように聞こえるしな。携帯端末にメールが入った音がする。例の業者からだろう。
「だから、俺が木綿季ちゃんを助けてやる。具体的には何が必要かとかどうすれば良いかなんかは正直俺には分からん。でも関わっちまったからには最後まで付き合ってやるよ。」
その言葉で木綿季ちゃんが笑顔になる。何故かその笑顔にドキッとするがそれを頭のすみに追いやり携帯端末を操作する。
・・・、もうできたのか。嬉しそうに口元を緩ましている木綿季は俺の不敵な笑みを見て若干ひきながら尋ねてくる。
「どうしたの?クラム。」
「おう、木綿季ちゃん。とりあえず俺の家に帰れるようになったらから帰ろう。んでもって必要な物とか買いに行かないとな。女の子は何が必要なのか俺には分からんしな。」
うん!と嬉しそうに笑う木綿季を横目に見ながら俺はホテルから出る準備を始めるのだった。
次回はデート&デバイスだ!