ALO最強剣士がミッドチルダにやってきました 作:souやがみん
「で、今日は何のようなんだい。」
クランツ・フローリアン博士が俺の顔を覗きこむ。言いたいことは分かるくせに聞いてきている。本当に性格が悪いなぁ。
「この子、木綿季ちゃんのデバイスを作りたい。もちろんインテリジェントデバイスなんて作ったらぶっ飛ばす。」
「作ってもらう人の喋り方じゃないね。」
木綿季は現状を理解していないようではてなマークを浮かべている。俺は苦笑しながら自分の指輪に向かって言う。
「ガウルム、セットアップ。」
指輪が光輝くと同時に俺の両腕には黒いガントレットが現れていた。それを見た木綿季は目を輝かしながら聞いてくる。
「ねぇ、これは?」
「これはな、俺の命を預けてる相棒だな。」
デバイス。それは魔導師にとっては必須と言っても過言ではないものだ。基本的には魔法使用時のサポートや得物に使われる。インテリジェントデバイスなら会話が可能だし、ユニゾンデハイスになると最早普通の人間に見えるほどである。
「ま、俺みたいな金無し貧乏魔導師にゃ通常のデバイスしか買えないけどさ。」
でもいつかはほしいと思っている、ユニゾンデハイス。女の子だったら毎日うふふあははの生活が待っているはずだからな。
どすっと横腹をどつかれる。何故か木綿季が機嫌の悪そうな顔をしている。まさか俺の心が読めるとでも言うのか。
「本当にクラム君は顔に出るよね。」
クランツの言うことは聞こえない。聞こえないったら聞こえない。
「さて、彼女のデバイスを作ってくれって言うのは分かった。で、形とかのご所望はあるのかな?」
そうだな、彼女紺野木綿季は戦うような人間には見えない。と言うかあまり前衛には出てほしくない。ということは銃か杖だろう。うん、それが良い。
「剣が良い!」
えっ!?と俺とクランツは叫んだ。しかし木綿季はおかしな事を言った?と少々不安な顔になっている。
だってさ、まさか剣なんて言うと思わないじゃん。こんな少女が剣振って強かったらお兄さんの生きる意味がなくなっちゃうしね。
「とりあえずどんな剣にするかクラム君に言ってごらん。何でも出してくれるよ。」
クランツが笑顔でハードルをあげてくる。出来なくはないがこれで万が一失敗すれば恥ずかしい。
「クラムはそんなことが出来るの?」
「おう。俺のオリジナル魔法でウェポンバリスタってんだ。時間があればだいたいは作れるぜ。・・・、30分で消えるけどな。」
それでも凄いと誉めてくれる木綿季。美少女に誉められて嬉しくない男子はいない。俺の持論だが。
「そう言うことでとりあえず言ってごらん。」
作るのはお前じゃねぇよと睨む。しかしクランツは気づいていない。やはり心で会話できるのは俺と木綿季だけだな。
「両刃の剣で刀身はレイピアみたいに細いと嬉しいな。あとは紫色!」
紫色は木綿季の色だ。それだけは譲れない。しかし俺はこれを一体誰に言ってるのだろうか?不思議だ。
俺はカートリッジをロードし魔力で形を生成する。武器を作るには幾つかの行程を必要とし一番はじめが形の創造である。形が固定されていなければ強度や魔力の付加等が全てが無意味になる。
エースオブエースなどの世界には「終わりよければ全て良し」ということわざがあるらしいが俺のウェポンバリスタは逆である。「始めよければ成功する」といった感じだ。
額にうっすらと汗をかきながら光輝く剣を掴む。透き通りそうなほど綺麗な紫色の剣ができた。多分成功だろう。木綿季が感嘆の声をあげる。これぐらいでそれだけ喜んでもらえるとはかなり嬉しいものである。
「ほれ。」
木綿季に剣を渡すと木綿季は少し離れ構える。腰を低くし剣は地面に当たるすれすれのところにある。一歩踏み出し剣を振る。
大きく剣を振り、もとの場所に戻る。ふーと息を吐きながら目を閉じ、動かなくなる。刀身が淡い青色に光る。そして踏み出し叫ぶ。
「マザーズ・ロザリオ!」
剣を振る。それはまるで剣で舞を踊っているかのようだった。そんな綺麗な剣筋に見とれる。十一連撃。確実に人の動きを卓越していた。パッと見た限り自己ブースト系の魔法がかけられていたようだが自然すぎて分からなかった。
「今のはすごいよ。」
クランツがこどものような顔で木綿季を見ている。
「今のは剣を振ると同時に自己ブースト系の魔法をかけていたんだけど多分自分でかけたんじゃなくて体が最適な魔法を選択して勝手に発動しているんだ。彼女はまるでユニゾンデハイスのような速さで魔法を構築をしているんだよ。」
少し違和感がある。だが、単なる違和感だと思い切り捨てる。
木綿季は剣がしっくりきたようだ。嬉しそうに振っている。何故だろう、美少女が剣を振ってるとテンションが上がる。どこかで変な扉でも開いただろうか?
「じゃ、クラム君と模擬戦でもしたらどうだい?その方が僕も色々とデータがとれるから良いデバイスも作れるしね。」
「うん!クラムやろ!」
笑顔の木綿季。この笑顔に言われれば受けるしかない。了承の意を伝えると木綿季が手をあげて喜んでいる。じゃあ、お兄さんの凄いところを見せようか。
このフローリアン研究所は元々環境保全の機械の開発を目的としていたがたまにデバイス製作の頼まれごとを俺のせいでされることが増えたそうでそのデータとりのために模擬戦ようのフィールドが設置されている。フィールドは特に装飾もないドーム状の部屋になる。広さは半径十メートルほどだとクランツが言っていた。
「僕は準備良いよ。」
目の前に木綿季が立っている。気負う様子もなくただフラットの状態だ。だが懐に飛び込んでも防御されるのは分かる。先程の剣技を見て直感していた。彼女はきっと剣の世界で生きていた。そして彼女は死と向い合わせの生活を送っていたのだと思う。
「ああ、いつでも良いぜ。」
俺は刀を生成し構える。木綿季は腰を落とし剣先を俺に向けるように水平に構える。俺は鞘に入れたまま構える。所謂居合いの構えだ。
唐突に木綿季がジェットエンジンのような音を立て突進してきた。それを居合い切りの容量で上へと弾く。至近距離で見た木綿季は笑っていた。それを俺も笑うことで返し刀を持つ逆手に別の刀を生み出し水平に斬りつける。しかし木綿季はそれを弾いたはずの剣で受け止める。反応速度、筋力ともに魔導師でも最高クラスだ。
「ふぅ。」
俺は一息おくと刀を消す。木綿季が不思議そうな顔をするが質問はしてこない。今が戦いの最中だからだろう。俺は少し笑い。カートリッジをロードし何ももたず構える。木綿季はそんな俺を見てあなどるどころかさらに集中してくる。
一歩踏み出す。一瞬で懐に潜り込むと拳を繰り出す。木綿季は俺の拳を剣で受け止め、少し後ずさる。それを見過ごささず追撃に入る。槍を生み出し全力で投合する。それを木綿季は光の纏った剣で上から斬り伏せる。それと同時に俺はまたも刀を生み出し踏み込む。木綿季ら笑顔で俺を見て拮抗する。
「凄いねクラム。まるで化け物じゃん。」
「傷つくなぁ。そういう木綿季は美少女剣士だな。」
「それ誉めてるよね。」
まぁな、と言ってお互い後ろに飛ぶ。俺は刀を消しまたしても何も持たずに構える。俺は戦士であって剣士でも騎士でもない。ベルカの騎士は誇り高く素晴らしい存在である。だが、俺はベルカ式の魔法を使うが彼らのような誇りはない。戦いは勝たないと意味がない。
「さて、木綿季。お前の実力は分かったしクランツ博士ももう大丈夫の合図を出してるけどもうちょっと続けるか?」
「うーん、クランツさんを待たせるのもなんだし次の一撃をお互いの本気で打ち込むってのはどう?」
「いいねえ、実にお兄さん好みだよ。」
腰を落とし魔法を発動させる。足元に赤いベルカ式の魔方陣が表れる。ガウルムが4つカートリッジを使う。あとで買わないといけないな。一発一発は安くないのに。だが、そんなことは頭の片隅へと追いやる。木綿季を見ると剣を淡い青色に光らせている。多分先ほど使った十一連撃、《マザーズ・ロザリオ》だろう。
「ブレイド・ダンス!」
俺は刀を5本自分の回りに出現させる。同時精製はこれが限度だ。
「いくよ!」
木綿季が一歩踏み出し降り下ろす。俺はそれを一本目の刀で受け止める。2発、3発と立て続けに受け止めるが折れる。スゲー重たいな。そんなことを頭の片隅で考えながら俺は2本、3本、4本と刀を使い受け止める。あと1本!最後の一撃を受け止めると同時に刀が砕ける。
木綿季は満足そうに微笑むと木綿季が持っていた剣が消失した。時間でもないのに消えたのはガウルムが自己保身モードに入ったからだろう。
「マザーズ・ロザリオを受け止められたのは始めてだよ。本当にクラムって凄かったんだね。」
「そんな技を良く今度から家を提供する優しいお兄さんに使えるな。」
あはは、と笑う木綿季。まぁ、俺も楽しかったから文句はないのだが。
〰ウェポンバリスタ〰
本文での説明通り。武器なら自分の創造だけで生成可能。ただし時間をかけなければ固く強い武器は作れない。
〰ブレイド・ダンス〰
正直説明しなくても分かるだろうけど剣を複数生み出し同時操作する魔法。ただし5本が限度。