インフィニット・ア・ライブ/ステイナイト   作:ぬっく~

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第九章 条件

一夏が束のラボに戻ってから数週間がたった。

思いのほか束の嫉妬が酷く、後一歩の所でドクロマークの入った赤いボタンを押すところだったのだ。

それはとりあえず回避したのはいいが、束の要求を飲むことになってしまった。

 

「これで、逝けってのですか……」

 

「うんうん!!」

 

一夏は濃紺と黒の中間色の色合いを持ったロングドレスの上に、やったらめったらフリルのついた純白のエプロン。ついでに頭部には、これまた可愛らしいフリルで飾られたヘッドドレスが着けられている。

一言で言うと、これ以上ないくらいのメイドさんスタイルだった。これが束の要求だ。

 

「はあ……」

 

一夏はしぶしぶ諦める。この要求をのまなかったら、日本を焦土に変えると言っているのだから……。

しかも、これを普段着として着用することと追加付きだ。

 

「とりあえず、これから千冬姉のところに行かないといけないから、クロエちゃん。束さんを頼んだよ。冷蔵庫におやつが入っているから好きに食べちゃって」

 

「了解しました。では、お気よつけて」

 

言って、一夏は束のラボを後にする。

 

 

    ◇

 

 

束のラボからIS学園までは『白式』で一直線で飛行する。

『白式』のエネルギーは自身から溢れ出すエネルギーで代用しているため、シールドエネルギーのメーターは9999から一向に減ることはなかったため、長距離飛行が可能なのだ。

一夏はIS学園に着くと屋上に着地する。ISを解除し、束が指定してきた服であるメイド服にへと変わる。普通ならばISスーツから私服に変えるのには相当のシールドエネルギーを消費するため、普通はしない。しかし、一夏が着ているメイド服は束お手製の服であり、従来の半分ほどしか消費しないのだ。

 

「さて、着いたのはいいけど……」

 

一夏は慣れないメイド服を着ているため、なるべく人目を避けたかったもあるが、もう一つは自身の顔だった。。

このまま、校舎を歩いてもいいが、見た目が千冬とにているために、誤解を生みやすいと考えた。

 

「まあ、どうにかなれ!」

 

アホ毛をいじりながら考えることやめ、校舎の中に入る。

IS学園の見取り図は束の所で確認しておいたので特に迷うことなく職員室を目指すことができたが、途中すれ違った生徒たちが一夏を見て少し騒がしくなりはじめてしまった。

 

「誰だろう……」

 

「織斑先生に似ていない?」

 

「なんで、メイド服を着ているの?」

 

そんな会話が飛び交う中、一夏は職員室の前に着き、ノックして入った。

 

「すみません。織斑先生はおりますか?」

 

教員たちも一夏を見て驚いていた。

そんな中で一人だけ一夏のことを知っている教師がいたのだ。

 

「一夏さん……ですよね」

 

「あ、はい。そうです」

 

クラス対抗戦の時に一度、お会いしたことがある人だった。

 

「えっと……山田先生でしたけ?」

 

「はい。一年一組の副担任の山田真耶です」

 

この学園の生徒程の身長がない教師のこと山田真耶は一夏のもとに近寄り、要件を聞く。

 

「織斑先生でしたら、第三アリーナに向かわれましたよ」

 

「第三ね」

 

「あ、この後、そこで授業があるのですが、そこまでご一緒にどうですか?」

 

「そうですね。では、よろしくお願いします」

 

言って、一夏と真耶は第三アリーナに向かった。

着いたときには授業が始まっており、真耶はISが必要と言う事で分かれてしまったが、一夏はそのままアリーナのステージに出る。

千冬も誰かが来るのに気づき、視線を向け、目を丸くした。

 

「また、来たよ」

 

一夏が現れたことにより、集まっていた生徒たちが騒ぐ。

特に一番に騒いでいたのは鈴だった。

 

「一夏! なんであんたここにいるのよ!!」

 

「鈴、元気にしていたか?」

 

一夏は鈴を見つけて、挨拶を交わす。

鈴から状況を説明求められ、軽く話した。

そんな中にもう一人、鈴と一夏の会話を不思議そうに見る生徒がいた。一夏もその視線を感じ、その視線の生徒の方に見る。

 

「箒。久しぶりだね」

 

「!?」

 

篠ノ之箒。束の実の妹だ。

箒はいきなり呼ばれ驚く。なぜ自分のことを知っているのか。あのメイドとはどこかで会ったことがあるのか? そしてなぜあのメイドのことを一夏と呼んでいるのか。色んな疑問が彼女の頭の中を駆け巡る。

 

「五年ぶりだけど、やっぱりかわらないね」

 

一夏は笑顔で箒に話しかける。

そして、その笑顔に箒は見覚えがあった。

 

「一夏……なのか……?」

 

「そうだよ。正真正銘の織斑一夏だよ」

 

「……………」

 

「ん?」

 

「この変態がぁ!!」

 

下を向いていた箒に一夏は疑問を持った瞬間、箒は何処から出したのか、竹刀を一夏を目掛けて振り下ろした。

一夏は真剣白刃取りで止める。

 

「ちょ!? 箒、落ち着け」

 

「貴様は私がいなくなってから、女装に走るとはどう言うことだぁ!!」

 

「いやいや。これは、ふか~~い事情があるんだよ」

 

「知ったことかぁ!! その根性、叩き切ってやる!!」

 

箒の猛攻を捌き、一夏は箒から竹刀を取り上げる。

それでも収まらない箒に一夏は猫騙しをした。

 

「っ!?」

 

それを受けた目の前で受けた箒は一瞬、身体に力が入らなかった。

一夏は箒のおでこを“とん”と突く。

箒は自然に地面に座ってしまった。

 

「落ち着いたか?」

 

箒は一体何が起きたのか分からず困惑していた。

そんな箒に一夏は手を差し伸べる。

 

「厄介ごとを起こすな」

 

千冬の出席簿チョップを受けながら、一夏は今日来た訳を話始める。

 

「ああ。詳しいことはこの後でいいか?」

 

「構わないですよ」

 

流石にこれ以上授業を延ばす訳にはいかないと話を中断した。

そして、本命の授業が始まり、鈴とセシリアの即決コンビが副担任の山田先生との模擬戦が始まる。

結果は山田先生の圧勝で終わったことは言うまでもなかった。

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