インフィニット・ア・ライブ/ステイナイト   作:ぬっく~

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第十五章 紅椿

先程まで嵐があったとは思えないほど、空は快晴に恵まれた。

生徒たちは元気よく海に遊び行く中、一夏と千冬は旅館の奥にある部屋でいた。

 

「……一夏、どうだ?」

 

「駄目だ。完全に遮断されている。しかも、この島限定で」

 

一夏はキーボードを打ちながら眉をひそめた。

 

「外部のと通信はとりあえず、出来るようにはなったけど……あんまり良くない」

 

海に浮かべた装置でとりあえず、ここにあるパソコンでのみ通信が可能にはなったものの、携帯とかは未だに圏外になっている。

 

「一体、何が目的なんでしょう」

 

「わからんが、この島を外部と遮断されるだけの脅威がいるということなんだろう」

 

「それにあの嵐のことも」

 

真耶、千冬、一夏の順にこの島に起こっている疑問を話あう。

しかし、ピースが少なすぎて推論すら行き届かない。

 

「そう言えば、千冬姉」

 

「なんだ?」

 

「ラウラが随分とおとなしかったんだが?」

 

そう。あの学年別トーナメント以降、ラウラはおとなしいのだ。

いつもなら殺気を飛ばしてくるのに全くと言ってそれすらしてこない。

 

「ああ。あの後、話をしてな……」

 

「ふん……」

 

詳しくは教えてくれなかったが、ラウラがだいぶおとなしくなったことは、一夏にとってはよかった。

 

「それより、一夏は行かなくてもいいのか?」

 

「私が行くとまた、あの人が嫉妬しちゃうからやめとく」

 

「……そうか」

 

水着姿をあの束が見て、嫉妬する。これだけは一夏は避けたかった。

また、理不尽な要求を呑みかねない。

この状況下でそれをして、帰ったら日本が無くなっていたら話どころではない。

 

 

    ◇

 

 

二日目。今日は昨日の時に運びこまれたIS装備の試験運用をすることだった。

島の一部に厳重に警備を張り、関係者以外の入場を禁止する。

そんな中に、空からニンジンが降ってきた。

 

「……………」

 

千冬は言葉を失った。

と言うより生徒の殆どが言葉を失う。

そんな巨大なニンジンが二つに別れ、女性が出て来る。

 

「ちーちゃ~~~ん!!」

 

「黙れ! このクソウサギがぁ!!」

 

千冬のアイアンクローがその女性の顔に炸裂する。

 

「おお……」

 

「何の用だ。束」

 

篠ノ之束。一夏のもっともの悩みの種にして、ISの開発者。そんな人物が今目の前にいる。

 

「今日は何日でしょう?」

 

「……そう言うことか」

 

千冬は束が現れた訳が分かるとアイアンクローを解除する。

あのアイアンクローを受けてなお、束はピンピンしていた。

 

「やあやあ、久しぶりだね、箒ちゃん」

 

「ど、どうも……」

 

束はそんな箒を眺めながら、腕を真上に向ける。

 

「約束の物をあげるね」

 

そして再び、空から何かが降って来る。

巨大な金属の塊が降って来たのだ。

 

「じゃじゃーん! これぞ箒ちゃんの専用機こと『紅椿』ね! 全スペックが現行ISを上回る束さんお手製のISだよ!」

 

真紅の装甲に身を包んだその機体だった。

ちなみにこのISの開発には一夏も関わっていた。一夏の『白式』にある『展開装甲』のデータを元に、この『紅椿』に入れてある。

そうこの『紅椿』は現行ISの上回る理由はこの『展開装甲』にあった。『展開装甲』を装備しているISは一夏の『白式』とこの『紅椿』だけ。そして、それを言い換えるならこの機体は第四世代だ。

 

「フィッティングとパーソナライズをはじめようか。いっちゃん!」

 

「はいはい」

 

言って、一夏は束と並んで『紅椿』に接続されたコンソールを打ち込む。

束、一夏で12枚の空中ディスプレーを操作する。数分にして『紅椿』の設定が完了した。

 

「あの専用機って篠ノ之さんがもらえるの? 身内ってだけで」

 

「なんかずるくない」

 

ふと、群衆の中からそんな声が聞こえた。それに素早く反応したのは、意外なことに束だった。

 

「おやおや、歴史の勉強をしたことがないのかな? 有史以来、世界が平等であったことなど

一度もないんだよ?」

 

ピンポイントに指摘を受けた女子は気まずそうに黙りこんでしまった。

箒は紅椿を乗り、試験運用が始まった。言うまでもなく、そのスッペクには全員が驚かさせる。

束の言う通り紅椿は現行のISのスッペクを上回っていた。

 

「た、大変です! 織斑先生っ!」

 

いきなり真耶の声に、千冬は向き直る。

いつも慌てている真耶だが、今回は異常だった。

 

「実は……」

 

なにやら、千冬と真耶は小声でやり取りを始めた。

 

「了解した。―――全員、注目!」

 

真耶が立ち去った後、千冬は手を叩いて生徒全員を振り向かせる。

 

「今日のテスト稼働は中止。各班、ISを片付けて旅館に戻れ。連絡があるまで各自待機。許可なく室外に出たものは我々で身柄を拘束する! いいな!!」

 

『は、はいっ!!』

 

全員が慌てて動き始める。

 

「専用機持ちはついて来い」

 

『はい!』

 

一夏たちは千冬の後に続き、旅館の奥の部屋に向かった。

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