インフィニット・ア・ライブ/ステイナイト   作:ぬっく~

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物語を一気に進めます


第十九章 副生徒会長

夏休みが明け、9月8日。未だに夏の暑さが抜けきらない日の午後のことである。

一夏はそんな中をメイド服の裾を掴んで走っていた。

 

「ふふふ……ほれほれ!!」

 

一夏と同様……とは言わないが、一夏を追いかける少女がいた。

 

「しつこいのは嫌わられますよ!!」

 

一夏はくるりと一回転し、エプロンの中に隠しておいた S&W M19 コンバット・マグナムを取り出す。

取り出すと同時に一夏は鉄槌を引き、そのまま引き金を引いた。

 

「無駄だよ」

 

一夏の撃った弾は少女にあたる事無く、目の前で停止する。

まるでラウラの停止結界のように。

 

「いい加減、止めてもらえますか? ()()()()()()

 

そう。一夏の前にいる少女はIS学園の生徒会長にして千冬を除く学園最強の生徒。()()()()だった。

 

「一夏ちゃんが了承してくれれば、こんなことはしなかったんだけどね♪」

 

楯無は扇子を開く。そこには、“私と契約して副生徒会長になってよ”とでかでかと書かれていた。

 

「お・こ・と・わ・り・で・す!!」

 

ことの始まりは午前中のことだった。

 

 

 

精霊については束とクロエが調べると言う事で、一夏はIS学園に戻って来ていた。

一夏は学園の生徒ではあるが、特例として授業には出なくてもよく、学園内をうろついていた。

そんな時だった。

背後から全く気配を感じさせず、一夏の目を後ろから隠して来たのだ。

 

「だ~れ~だ?」

 

一夏は一瞬驚く。

束の下で暮らす中で、気配の殺し方、感知を覚えてきて来た。しかし、ここまで……やられるまで気付けなかったのは初めてだった。

 

(……気配を殺せる生徒はこの学園に一人しかいない)

 

すぐさま冷静になり、思考を切り替える。

そして、ある生徒の名前を口にした。

 

「更識楯無……」

 

「あらあら、正解」

 

言って、一夏の後ろにいた少女は一歩下がり、一夏はその少女の正面へと振り向いた。

水色の髪に独特な扇子を開いている生徒。一夏がこの学園に来る前に生徒名簿の写真で一度確認しており、目の前にいる生徒は正真正銘のIS学園2年更識楯無だった。

 

「それで、()()()()が私に何の用ですか?」

 

更識楯無はこの学園の生徒会長を務めていた。

この学園は他の学校とは違い、生徒会長は誰でもなれる。ただし、ある条件を満たせばの話だが。

その条件と言うのは……。

 

「勿論! 勧誘よ」

 

言って、楯無は扇子を閉じ、もう一度開くと中には勧誘の文字が書かれていた。

 

「勧誘ですか……」

 

「そう。あなたはこの学園で()()の部類に入るでしょうね」

 

生徒会長になる為の条件……それは、最強であること。

元生徒会長を倒せば、次の生徒会長になることができる。シンプルで簡単なルールなのだ。

しかし、この2年間。一度も生徒会長の席は変わっていない。

 

「では、私に()()()()()()になれと言う事ですか?」

 

「う~ん。それもいいけど……。私が勧誘するのはあなたを副会長にしようかなっと思っているんだけどね」

 

「副会長ですか?」

 

「そう。最強の生徒会てね♪」

 

無敗の生徒会長と同じく無敗の生徒副会長。

確かに生徒会をピーアールするなら、これ程いい案はない。

だが……。

 

「私にはメリットがありません。それより、()()をしなくてもいいんですか?」

 

「うっ……痛いところを突いてくるわね……」

 

楯無には一つ、裏の呼び名がある。

サボり魔。

生徒会の仕事をたまにサボってはストーキングする。と言うある意味、変態なのだ。

しかも、ストーキング対象は私のルームメイトの()()()。つまり、自分の()をストーキングしているのだ。

 

「用がそれだけなら、私は行かせてもらいます」

 

言って、一夏はお辞儀をして、楯無に背を向けて歩き出す。

その時だった。

一夏は一歩を踏み出した時、わずかながら足が()()感じた。

 

「っ!?」

 

一夏はすぐさま、横へと飛ぶ。

すると、後ろから楯無が一夏を捕まえようとするが、空振りで終わる。

 

「あら? 気付かれちゃったか」

 

「どう言うつもりですか?」

 

「プランBよ。強制入会することにしたわ」

 

言って、楯無は一枚の紙を見せる。

それは、生徒会に入会する契約書だった。

しかも、後は印を押すだけ。

 

「さあ、大人しく捕まりなさい」

 

「お断りします」

 

一夏は全速力で楯無か逃げる。

そして、冒頭に戻る。

 

 

    ◇

 

 

「無駄無駄~♪ 私のATフィールドの前では現代兵器は無力よ」

 

「まあ、そうでようね」

 

一夏はコンバット・マグナムの弾を全て抜き、青色の弾を装填する。

 

「なら、これならどうですかっ!!」

 

一夏は再び、楯無に目掛けて撃つ。

楯無は手を前に構えたが弾が止まると同時に弾け、白い煙を発生した。

 

「!? 氷!?」

 

「瞬間冷却弾ですよ」

 

楯無の前に氷の壁が出来る。

これが、弾を止めていた正体だった。

 

「アクア・ナノマシンを使った停止結界。なら、それを凍らせればいいだけの話です」

 

「っ! ばれていたか」

 

「今なら、大人しく帰ってもらえれば、何もしませんよ? 楯無生徒会長」

 

「ぐぐぐ……諦めてたまるもんですか!!」

 

楯無はランスを取り出し、一夏に突っ込む。

 

「ちっ。仕方ありません」

 

一夏は引き金を引こうとした瞬間、トリガーの所に指を入れられ、そのまま宙を舞った。

同時に楯無も宙を舞う。

 

「馬鹿どもが……」

 

一夏と楯無は一瞬の出来事に思考が回らなかった。

なぜなら、何故自分たちが空を見ているのか。その正体はすぐにわかった。織斑千冬にやられたのだと。

 

「ち、千冬姉……」

 

「お、織斑先生……」

 

お互いに名前を口にすると、千冬は二人の頭に拳を振り下ろした。

 

「……っ!!」

 

「馬鹿たれ、道端でドンパチする馬鹿はどこにいる」

 

お互いに涙目になりながら、今回の出来事を説明する。

結果、来週に第三アリーナで決闘をすることで話は収まった。

一夏が勝てば、一切の勧誘の禁止。楯無が勝てば一夏を生徒会のメンバーに加えると言う内容で。

その周りに集まっていた野次馬により、その日は大変なことになる予感が的中するとは思ってもいなかった。

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