インフィニット・ア・ライブ/ステイナイト   作:ぬっく~

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一夏と楯無の戦闘はアンコールで出そうと思っているので、その後のことに入ります


第二十章 天央祭&再会

「……………」

 

「これ、そっちに」

 

一夏は楯無がサインした書類を指定された場所に運ぶ。

山のように積みあがった書類に普通ならそっちに目が行ってしまうが、一夏は違った。

今、一夏がいるのは()()()()だ。

 

「まったく、政府は一体何を考えているのかしらね」

 

「そんなことは、知りませんよ」

 

「まあ、そうよね。あ。それは、そっちにね。()()()殿()♪」

 

「……………」

 

そう。先日行われた決闘で、まんまと楯無の罠にはまり、反則負けになったのだ。

よって、一夏は生徒会に強制入会され、楯無の貯めた書類の手伝いをしていた。

そして、今から入る書類は普通の書類とは違っていた。

 

「……………」

 

楯無はそれを見るいなや、目つきが変わる。

 

「日本政府の指示の上……学園長も許可を下ろしてしまった以上、やるしかないわよね」

 

「そうでしょうね」

 

「しかし、()()()に私たちも()()するって、何か仕込まれていない?」

 

「そうでしょうね。参加校のリストを確認しましたが、先月の臨海学校の高校がありましたから」

 

リストに来禅高校の文字があったのだ。

これは完全に仕込まれているとしか、言えなかった。

しかし、日本政府とこの学園の学園長が許可を出してしまった以上、我々には拒否権はない。

 

「とりあえず、一度、現地の下見もしなくちゃいけないわね」

 

「そうですね」

 

誰の思惑なのかは後回しにし、楯無は次の書類に手を付ける。

 

 

    ◇

 

 

最上階スイートルームで悠然とソファに腰掛けながら、アイザック・ウェストコットは小さく息を吐いた。

今ウェストコットの視線の先にあるのはダブルクリップで留められた書類の束だった。

 

「それで、左腕はもう大丈夫なのかね?」

 

「はい。もう、問題ありません」

 

そこに控えていたのは、まさにその書類を作成した少女だった。

エレン・M・メイザース。DEMインダストリーが誇る、人類最強の魔術師(ウィザード)である。

 

「帰って来た時は驚いたよ。まさか、左腕をぶった切られて帰って来るとは思いもしなかったよ」

 

「申し訳ありません。一般人と油断していたのが、大きかったです」

 

「なに。そのおかげで、もう一人精霊を見つけることが出来たのだから、いい戦果だよ」

 

ウェストコットは笑みを隠しきれず、口元に手を置いた。

 

「しかも、あの〈プリンセス〉以上の戦闘能力と来た。これは一度会って見たいものだ」

 

「次は完封無きまでに叩きのめします」

 

「それで、()()()の手配はどうかな」

 

「滞りなく。政府の方には出しておきました」

 

「けっこう」

 

満足げにうなずく。

 

「オリムラ―――イチカ」

 

再度資料に視線を落とし、そこに記されていた名前を読み上げる。

そこでウェストコットは大仰に肩をすくめた。

 

「しかしながら、この空白は多くないかね?」

 

「申し訳ありません。彼女の情報が一つもなく」

 

そう。この資料には名前と性別とかの基本情報と写真しかついていないのだ。肝心な経歴とかが全て空欄だったのである。

エレンも何かの間違いなのではないのかと思い、もう一度調べるが、()()の方の情報しか出てこないのだ。しかも、その男性も3年ほど前に行方不明になっていた。

 

「早く本物の彼女と対面してみたいな」

 

そう言って、ウェストコットは含み笑いを漏らした。

 

 

    ◇

 

 

「ここがそうです」

 

「う~。着いたのね」

 

一夏におんぶされながら、楯無は天央祭の各校合同会議ある会場に向かっていた。

書類仕事に追われていた楯無は徹夜で片付けた後、朝一に電話で天央祭の各校合同会議があると急に連絡を受けたのだ。

結局、寝不足で動けない楯無を一夏はおんぶでここまで運んできたのだ。

 

「仕事をサボるからこうなるのですよ」

 

一夏は大きなため息を吐いた。

色んな人の視線を浴びながら一夏は背の高い石塀を過ぎたところで、合同会議の会場である学校が見えてくる。

赤煉瓦で構築された荘厳な校門から、鉄製の飾り格子が左右に広がり、その合間から青々と茂った生け垣を覗かせている。

そしてそこから、これまた赤煉瓦が敷き詰められた道が一直線に伸び、その先に、まるでお城とも見まごうような立派な校舎が見て取れた。

私立竜胆寺女学院。名家の女子も数多く通う、天宮市屈指の名門校である。

 

「ほら。起きて下さい」

 

「うーん」

 

楯無は首や肩をコキコキ鳴らし、背伸びして、完全に目覚める。

 

「そんじゃあ、突撃よ!」

 

「はいはい……」

 

一夏たちは守衛さんに生徒手帳を見せてから敷地内に入った。来賓用の昇降口から校舎内に入り、事務局で入校許可書を受け取ってから廊下を歩いて目的の会場に向かう。

 

「ここね」

 

言って、扉を開ける。部屋の中には既に様々な制服の生徒たちが何人も揃っていた。まだ会議の開始まで時間があるだろう、長机が四角く組まれ、高校の名前が書かれたプレートが立てられているものの、席に着かず談笑している生徒も多い。

 

「え」

 

「あら」

 

入ってすぐのことだった。一夏たちが座った席の隣の男子生徒に一夏は見覚えがあったのだ。

お互いに目が合うと、言葉を漏らす。

 

「また、お会いしましたね。五河士道くん」

 

「ああ、そうですね。織斑一夏さん」

 

出会うことはないと思っていた二人は、再び出会ってしまったのだ。

 

 

    ◇

 

 

「織斑一夏……ね」

 

〈フラクシスナス〉艦橋で艦長席に座りながら五河琴里が、ぽつりと呟く。

 

「調べてみたが、彼女に関する情報がないのだよ」

 

「偽名ではないの?」

 

左方に座っていた令音は首を横に振り、一枚の写真が写される。

 

「いや、或美島のカメラで映っていた彼女の写真とこの写真を照合した結果、ほぼ一致したのだよ」

 

メイド服を着た一夏とスーツ姿の千冬の写真が写され、その下に99%と数字が写し出されていた。

その結果に琴里は眉を寄せる。

 

「織斑千冬。世界最強の元IS操縦者で現在はIS学園で教師をしています」

 

中津川の説明でおおむね把握し、一つの疑問にたどり着く。

 

「織斑千冬の家族構成ですが、両親は蒸発し、弟が一人おりましたが、数年前に行方不明になっています」

 

「? 行方不明? 捜索願とかは出ているのかしら?」

 

「いえ。出されていません」

 

クルーはそのことに驚きを隠せなかった。

唯一血の繋がりのある弟が行方不明になっているのに捜索願すら出していないのだ。

 

「それはどう言うことなの!?」

 

「さらにそれだけじゃないのです。その弟さんの名前がですね……織斑一夏なのです」

 

「はぁ?」

 

琴里は思わず、飴を落としてしまった。

 

「じゃあ、彼女は弟と言うことなの!?」

 

「同一人物であれば……」

 

琴里は新しく飴を取り出し、考え込む。

もし、これが本当なら、織斑一夏は何故メイド服を着ている? そして、精霊になったのか?

様々な疑問が浮かぶ。

しかし、彼女に関して調べは既に限界に来ていた。

 

「これは、士道に揺さぶりをかけてみるしかないわね」

 

情報がないなら、本人と接触する。

しかも、幸いにも彼女は精霊。〈フラクシスナス〉の目的と重なるのだ。

 

「士道に織斑一夏に徹底的にアタックさせるのよ!」

 

そして、高らかに宣言した。

 

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