インフィニット・ア・ライブ/ステイナイト   作:ぬっく~

25 / 37
第二十四章 最強の魔術師VS最強のIS操縦者

ステージ内で銃声が響く。

外に出るための出入りには氷で塞がれており、一夏は銃弾を床や壁に打ち込む。

 

「……ッ。何故、邪魔をするのですぅ」

 

一夏の周りには倒れ伏せた観客が溢れていた。

打ち込んだ弾は瞬時睡眠ガス。一夏や精霊などの免疫がない観客や生徒はその場ですやすやと眠ってしまったのだ。

 

「貴女が男嫌いと同じように、私はね……死が嫌いなのよ。だから、士道くんを殺させない」

 

一夏は弾を補充し、美九に向ける。

四糸乃や耶俱矢、夕弦もキッと視線を向けた。

と、その時だった。

 

「!?」

 

突如、ステージの天井が十字に切り裂かれ、そこから、機械の鎧を纏った少女が会場内に入ってきたのである。

 

「あ、あれは―――」

 

一瞬、束の介入かと思った。

だが―――違う。

その姿には見覚えがあった。全身に白金のCR‐ユニットを纏った、線の細い少女である。絹糸のような淡い色の金髪が、随意領域(テリトリー)の中で風に遊ぶように揺れていた。

 

「ベイリーたちは結局失敗しましたか。……まあいいでしょう、想定内です」

 

深い緑青色の目を細めながら、少女―――エレン・メイザースが静かな口調でそう言う。

一夏は息を呑んだ。彼女には覚えがある。臨海学校の際にいた少女だ。あの時は幸運にもなんとか逃げることができたとはいえ、その実力は、現役時代の千冬姉と同格の力を秘めていた。

 

「やばいわね……」

 

一夏は苦々しく顔を歪め、〈白式〉を展開する。

 

「―――目標、織斑一夏を発見。これより捕獲に移ります」

 

するとエレンが、美九たちには目をくれず、一直線に一夏の方に向かってきた。

 

「雪片!!」

 

エレンのレイザーブレイドと一夏の雪片がぶつかり合う。

 

「―――今日用があるのはあなただけです、織斑一夏」

 

エレンは目を細める。

 

「あの時は、まともに戦える状況ではなかったけど、今なら!」

 

「そうですか。今日は私と共に来てもらいますよ〈セイバー〉」

 

「お断りだぁ!!」

 

織斑一夏が手にしている雪片弐型を振り抜いてくる。それと同時に、凄まじい剣圧がエレン目掛けて飛んできた。

 

「〈カレド―――ヴルフ〉」

 

しかしエレンは、慌てることなく背に携えていた大型レイザーブレイドを抜くと、その剣撃を容易く受け止め、霧散させた。

 

「その程度ですか?」

 

くっ顎を上げ、一夏に剣を向ける。

 

「……ッ」

 

「好都合です。時間をかける訳にもいきません。一瞬で片を付けさせていただきます」

 

言って柄を握り直し―――エレンと一夏は、空を駆けた。

 

 

    ◇

 

 

「……ッ!」

 

強い。そんなことは、最初から分かっていた。しかし、一夏はそれでもエレンの剣撃を防ぐのが限界だった。

 

「しぶといですね。とっとと落ちて下さい」

 

「やだね……」

 

或美島の一件から霊力が溢れ出すことがなくなり、一定の量を保っていた。白式で無理矢理封印する必要がなくなり、通常のISと同様にコアを埋め込んっだが、霊力の封印に使っていた影響か一夏の霊力と良く馴染んでしまっていた。

ここで、霊力を使ってもよかったが、それだとあと何時間戦えるか分からない。

霊力を開放すれば、白式の性能が上がるのは間違いなかったが、同時にシールドエネルギーが大幅に減少してしまう。

同時に雪片にも回す分のシールドエネルギーがある為、解放が出来なかったのだ。

 

(多分、これだけ暴れまわれれば……)

 

一夏は僅かな希望にかけてエレンに噛み付く。

しかし、相手は最強の魔術師。CR‐ユニットの情報を持ち合わせていない一夏ではついて行くことが限界だった。

エレンの一撃を徐々に受け始め、装甲などが破壊されていく。

 

「これは、どうですか」

 

エレンの剣撃の速度は音速を越え、一夏は防ぐことが出来ず、そのまま地面へと叩きつけられた。

 

「がッ!?」

 

ISは操縦者の生命を最優先に守るため、危険と判断するとシールドエネルギーがバリアを張る仕組みになっている。

しかし、一夏の白式はバリアを解除して戦っており、エレンの一撃をまともに受けてしまった。

 

(ここで……意識を落とす訳には……)

 

一夏は意識を振り絞り、身を起こそうとするが、エレンはそれを許さない。

 

「……ッ!? ああああああ―――ッ!!」

 

「これは、或美島の分です」

 

エレンは持っていた剣を一夏の左肩に突き刺した。

肉が焦げる臭いが漂うが、一夏はそれよりも痛みの方が強烈に襲ってくる。

 

「どうですか? 痛いですか? そうでしょうね。私はそれ以上の痛みを味わったのですよ」

 

エレンは剣をぐりぐりと捻じる。

 

「ああああああ―――ッ!!」

 

「いい悲鳴で鳴くもんですね。あなたも」

 

雪片は先程の剣撃で何処かへと飛ばされてしまい、左腕にある雪羅は完全に封じられ、右腕は押さえられていた。俗にいう絶対絶命の状態にあった。

 

「ここまで、手を焼かせたお礼です」

 

エレンは足を上げ、一夏の腹に目掛けて落とした。

 

「がはッ!」

 

一夏の意識が飛びかけるが、エレンは「まだですか……」と、もう一発叩き込む。

 

(くそ……)

 

後一発を叩き込まれれば流石の一夏でも無理だった。

 

「ふんッ!」

 

三発目をエレンは振り下ろす。

しかし、一夏は何時経っても三発目が来なかったのだ。

視線の先に一本の剣がエレンの足と一夏の腹の前に突き刺さっていた。

 

「ゆき……ひら……?」

 

「誰ですか? 邪魔を……」

 

エレンが言いかけいる時に、いきなり壁へと吹き飛ばされた。

壁に飛ばされたエレンを中心にクレーターが出来ており、そのまま瓦礫に押し潰される。

 

「遅い……よ……千冬姉……」

 

「ああ。済まない」

 

織斑千冬だった。

千冬はエレンが刺した剣を抜き、一夏を抱える。

それと同時に瓦礫が吹き飛び、エレンが姿を現す。

 

「姉妹揃って、私の邪魔をしますか……」

 

エレンの血を吐き捨て、立ち上がったのだ。

一夏を壁に寄りかけると、白式を手に取る。

 

「可愛い可愛い……妹に手を出した料金を払ってもらおうか……小娘」

 

千冬の右手にある白式が発光し、そのまま白式を纏う。

 

「もう、使うことはないと思っていたが……コード『******』」

 

千冬がコードを唱えると、白式が光だした。

そして、光の粒子が砕け散ると、最強の存在が姿を露わになる。

 

「モード……白騎士」

 

全てのISの原点。最強をこの世に観せしめたIS。究極のIS。

白騎士が再び、地上に舞い降りた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。