インフィニット・ア・ライブ/ステイナイト   作:ぬっく~

27 / 37
第二十六章 再び

「ぐあ……っ!」

 

士道の身体は既に限界だった。人智を超えた力が人間の身体が耐えるはずがなく―――ついに士道は、壁際に追い詰められてしまっていた。

魔術師(ウィザード)たちをどうにか倒し、ビルの中を進む一夏は士道をここでリタイアさせようか、迷っていた。

 

「く……」

 

力の入らない腕に〈鏖殺公(サンダルフォン)〉だけは離さずにいる。しかし、全身の骨が、筋肉が、悲痛な悲鳴を上げている。

 

「士道は休んでいなさい」

 

一夏は士道の前に立つ。

銃を構えた魔術師(ウィザード)が三名。その後に続くように、同じく魔術師(ウィザード)が五名。合計八名の人間が一夏たちを囲っていた。

 

「手こずらせてくれたな。だが、終いだ」

 

魔術師(ウィザード)が銃を構えながら言う。それと同時に、急に一夏は息が苦しくなるのを感じた。

 

「……………」

 

恐らく、随時領域(テリトリー)で一夏の鼻と口を塞いでいるか、一夏の周囲の酸素濃度を下げるかしているのだろう。銃など使わずとも、至近距離にいる人間であれば簡単に捕まえることが出来るらしい。

 

「爆ぜよ、風王結界(インビジブル・エア)……〈風王鉄槌(ストライク・エア)〉!!」

 

無敗剣(エクスカリバー)〉に纏わせた風の鞘〈風王結界(インビジブル・エア)〉を解放し、暴風が発生する。

 

「く、うが、ぁ、ぁ……っ!」

 

風王鉄槌(ストライク・エア)〉の暴風で魔術師(ウィザード)たちは壁に叩き付けられ、壁を突き破り、外へと放り出された。

 

「こちらに居られましたかー、一夏さん」

 

砕かれた窓から、煌びやかな霊装を纏った美九が現れ、廊下に降り立ったのである。

 

「美九!」

 

士道が叫ぶと、美九は不機嫌そうにフンと視線を逸らした。

 

「気軽に呼ばないでもらえますぅ?」

 

相も変わらず愛らしい顔に似合わぬ鋭い罵倒で士道のを抉ってくる。

窓の外を見ると、美九をこの階層まで運んできたのだろう、天使を顕現させた四糸乃と八舞姉妹の姿が見受けられた。

 

 

    ◇

 

 

外では予想以上の激戦が広がっていた。

DEMの魔術師(ウィザード)や〈バンダ―スナッチ〉が辺りを飛び回っている。

そんな中で赤と黒のCR‐ユニットを纏った者たちが高速飛行を繰り広げていた。

 

「……あなた、味方を!」

 

「はははハ! 無駄よォ!」

 

五河士道の妹と名乗る崇宮真那とDEMの第三戦闘分隊の隊長、ジェシカ・ベイリーが戦っていた。

 

「どうやら……まともな判断力さえ残ってねーようですね」

 

真那はスラスターを小刻みに駆動させて空をジグザグに飛行しながら、忌々しげに眉を歪めた。

そんな戦闘の中に一機の()()()()が通り過ぎる。

 

「なんですか。あれは……」

 

真那が目にしたのは白い騎士。それと同時に頭の中で危険を知らせるアラームが鳴り響いた。

 

(勝てる訳がない)

 

エレン以上の存在を目にしたが、後方から真那を襲う者がいた。

 

「マァァァナァァァ―――ッ!!」

 

「しつけーですね……!」

 

鬱陶しげに眉根を寄せ、舌打ちをこぼす。

だが、その瞬間。ふんわりと風が過る。

 

「邪魔だ……」

 

一撃。白い騎士はジェシカを切り捨てた。

 

「マァ……ナァ……」

 

ジェシカは重力に従い、地上へと落ちていった。

ジェシカの最後を見届けた真那の背後を冷たい指でなぞられるかのような感覚が襲う。

 

「―――!?」

 

真那は慌てて身を翻し、回避行動を取った。

次の瞬間、真那の身体があった空間を、真那の身の丈ほどあろうかというレイザーブレイドが通り抜けていく。

 

「―――おや、避けましたか。いい反応です」

 

言って、いつの間にか真那の背後に現れた少女が、悠然と顎を上げながら言ってくる。

ふわりと宙に舞う金髪。色素の薄い肌に纏うのは、白金のCR‐ユニット。

DEMインダストリーが誇る最強の魔術師(ウィザード)、エレン・M・メイザースが、そこにいたのである。

 

「エレン……ッ!」

 

「襲撃者たち……」

 

言いかけてところに白い騎士がその手にあるブレイドを振り下ろす。

 

「毎度毎度、人が話してい所に入るとは……」

 

白い騎士はエレンを目の前にすると、先程とは別格の殺気を漏らす。

まるで狂戦士(バーサーカー)を思わせる存在だった。

 

「真那を相手する予定でしたが……織斑千冬、あなたを先に倒すことにしましょう」

 

言って、エレンは剣を構えた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。