インフィニット・ア・ライブ/ステイナイト   作:ぬっく~

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第二十八章 決着

一夏と美九は吹き飛ばした扉に入ろうとした瞬間、一夏が足を止めた。

 

「美九。済まないけど、先に行ってて」

 

「? どうしてですかぁー?」

 

「どうやら、ちょっと厄介なお客さんが来てしまったみたいだから……」

 

一夏の後ろの方にCR‐ユニットを纏った魔術師がいた。

先程相手した魔術師とは違い、どちらかと言うとエレンに近い存在を感じる。

 

「あいつは私が相手するから……士道、後は頼んだよ」

 

「気付いていたのかよ」

 

「でも、大分回復できたでしょ?」

 

「ああ……ありがとう」

 

士道は二人の戦闘の途中で目覚めていた。

一夏も士道の身体から変わった熱を感じており、内臓などの再生が行なわれていたことに気付いていた。この後、大きな戦いが控えている為、あえて何も言わなかったことで、士道は立てる程まで回復していた。

 

「またせたね」

 

「いいえ。良いお仲間ですね」

 

一夏の前にいるのは、ハーフアップに括られた金髪。空の色を映したような碧眼。抜けるように白い肌が特徴な、可憐という言葉を擬人化したような少女がいた。

しかし、その顔には表情らしきものがなく―――その身には、魔術師たることを示す金属の鎧が装着されていた。

エレンのそれと同型のワイヤリングスーツに、白と紫で染め抜かれたCR‐ユニット。その流麗な様は、中世の騎士甲冑を思わせた。

 

「士道から聞いた話を照り合わすと……君が十香を連れて行ったのかな?」

 

「はい。〈プリンセス〉を連れて来たのは私です」

 

「そう。なら……」

 

一夏は〈無敗剣〉の柄を握ると、一気に少女目がけて刃を振り上げた。

が。〈無敗剣〉の刃が彼女に触れる寸前、彼女を包んでいた随時領域がその攻撃を受け止める。

 

「ちっ……」

 

あまりに強固で、濃密な随時領域。その精度は、エレンのそれに勝るとも劣らなかった。

次いで少女が目を細めたかと思うと、随時領域の範囲が一気に広がり、一夏の身体を軽々と弾き飛ばした。

 

「っ……!」

 

放物線を描きながら地面に着地する。

しかし、それだけでは終わらず、彼女は両刃のレイザーブレイドを振る。

狭い空間を上手く利用し、一夏は全てを弾く。

 

「ちょっと……厳しいか……」

 

「……………」

 

そんな戦いの中、階段を駆けあがって来る音が聞こえる。

援軍……一夏は目の前の少女だけでも手一杯だと言うのに、ここで援軍がこられてはどうしようも無かった。

だが、来たのは一人の少女だった。

 

「あなたは……」

 

一夏はその少女に見覚えがあった。

来禅高校の生徒。鳶一折紙だったのだから。

 

「どうしてあなたがそこにいるの。―――アルテミシア・アシュクロフト」

 

折紙は真っ直ぐ少女の顔を見据えたまま、小さく唇を開いた。

 

「……………」

 

折紙が呼び掛けるも、アルテミシアと呼ばれた少女はそれに一瞥も返さなかった。

 

 

    ◇

 

 

「いい加減、終わってもらえませんかぁ!!」

 

二つの白い流星が激突しあっていた。

千冬とエレンの戦いには誰も介入出来ない。介入しようとした〈バンダ―スナッチ〉は二人が通り過ぎると突如爆発を起こして消えてしまう。

高速飛行での高速剣撃。最強と呼ぶにふさわしい戦いだった。

 

「っ……!」

 

千冬の斬撃は時間が経つにつれて強くなっていく。

エレンはその斬撃を徐々に受け止められなくなっていった。

 

『篠ノ之流三奥義……嵐式』

 

千冬はブレードを低く構え、エレンの背後まで跳躍する。

 

「!?」

 

『〈百花繚乱〉』

 

エレンの反応を凌駕した移動に思考が追い付かず、千冬の剣撃の嵐を一発受けてしまった。

 

「は、ぐ……ッ!?」

 

確かな手応えを感じ、エレンの苦悶が響く。

だが次の瞬間、千冬は足を見えない手に掴まれ、ビルの壁面目がけて放りなげられていた。

 

『……!』

 

減速が間に合わず、壁に叩き付けられる。幾分かは衝撃を殺したものの、激しく咳き込んでしまう。

 

『ぐっ……』

 

「やってくれましたね」

 

と、高速剣技を凌ぎったエレンが、忌々しげに眉をひそめながら千冬に視線を向けてくる。

胸元から腹部にかけてワイヤリングスーツが破れており、彼女の白い肌に、痛々しい傷跡が刻まれていた。随時領域で止血は済ませているのだろうが、傷を負った際に飛び散ったと思しき血痕が、白金の鎧を赤く汚していた。

エレンが、剣の切っ先を千冬に向けてくる。

 

「あの女に傷つけられただけでなく、私の身体に傷を付けた人間は、生涯で三人目です。……織斑千冬。あなたは素晴らしい操者です。自信を持って誇っていい。―――ただし、あの世で、ですが」

 

『ぐ……』

 

千冬は痛む身体をPICで支えながら空中に浮遊した。リミッターを外したISで長時間の戦闘は普通の人間なら数分で再起不可能になる。そんな戦いを千冬はエレンと共に繰り広げており、千冬の身体にも限界が来ていた。

だが、エレンはぴくりと眉を動かすと、何やら耳に意識を集中させるように視線を揺らした。

 

「―――アイク」

 

そしてもう一度千冬を睨み付けてから、第一社屋の方へと顔を向けた。

 

『……! 何処へ行く―――!』

 

「時間切れのようです。あなたは運がいい」

 

『ッ、行かせるか……!』

 

しかし。

 

『臨界点に達しました。生命維持のため、強制解除に入ります』

 

白騎士から警告音が響き、千冬は口を噛み締めた。

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