インフィニット・ア・ライブ/ステイナイト   作:ぬっく~

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第三十章 選手交代

―――空が割れるかのような音が辺りに響き渡る。

次の瞬間、十香の振った剣と一夏の剣から放たれる斬撃がぶつかり合り、二本の線が引かれた。

一部を削り取られたビル。その下に広がる地面。さらにその先に広がる街並み。そして視界の奥に見える山々に至るまで。

そしてその線を霊力の波が通り抜け、そこに存在したものを一切合切粉砕していった。

何の冗談でも何の比喩でもない。その黒い霊力の奔流に触れた物全てが、圧搾され粉砕され粒子となって、風に消えていったのだ。

 

「一夏……ッ!!」

 

士道と美九は、目の前を通り過ぎていった斬撃の余波に吹き飛ばされないように身を低くして、士道は一夏の名前を叫んだ。

ビルに、街に、地面に、二本線の虚無の道ができてしまっている。

 

「ふ―――はは、ははははははっ!」

 

上空から十香の高笑いが響いてきた。

 

「我の【終焉の剣(ペイヴァーシュヘレヴ)】を逸らしたか。なら……」

 

十香の視線の先に〈無敗剣(エクスカリバー)〉を支えに、どうにか意識を保っている一夏がいた。

 

「今、楽にしてやろう」

 

言って、【終焉の剣(ペイヴァーシュヘレヴ)】を解除しする。

流石に【終焉の剣(ペイヴァーシュヘレヴ)】を連発することは出来ないのだろうか、それともこの間合いでは力を収束させるのは得策でないと判断したのだろうか。十香は一夏の前に着地し〈暴虐公(ナヘマー)〉を振った。

一夏の身体から湧き水のように血が溢れだし、十香は振り上げた剣を振り下ろす。

 

「一夏―――ッ!」

 

士道は、大声で一夏の名前を呼びながら、駆け出す。

しかし、十香の剣の方が早いだろう。だけど、士道はそんなことは分かっていた。

ただ―――十香に、一夏を殺させてはならないと。

しかし、十香の斬撃は、先程の戯れの一撃とは違う。恐らく士道の持つ〈鏖殺公(サンダルフォン)〉では、完全に防ぐことは出来ないだろう。

今の士道の手の中にある力だけでは、一夏を守りきることは出来ない。

何か―――何か、もう一つ。

一夏を守る事が出来る力があれば……!

―――そう、士道が願った瞬間。

 

「……!?」

 

士道の左手に、冷たい感触が生まれた。

 

 

    ◇

 

 

「ぁ―――」

 

今にも落ちそうな意識の中で、微かな声が漏れる。

しかし、一夏はそれより先に、目の前の出来事に意識を奪われていた。

十香の〈暴虐公(ナヘマー)〉の一撃を冷気の壁とも言うべき結界が防いだのである。

 

「よう……一夏、無事か?」

 

言って、士道がちらっと一夏の方を一瞥してくる。

 

「あ……あ……」

 

暴虐公(ナヘマー)〉で斬られた傷の所に冷気を感じながら、一夏は弱々しく返事をする。すると、〈暴虐公(ナヘマー)〉の一撃を凌ぎった士道は、冷気の壁を霧散させながら口を開いた。

 

「選手―――交代だ」

 

その言葉を聞いて、一夏は目を閉じ―――そのまま、意識を失った。

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