インフィニット・ア・ライブ/ステイナイト   作:ぬっく~

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第三十四章 五河家

模擬試合終了後。

箒たち、専用機持ちはすぐさま、保健室に運ばれた。

絶対防御があるからといって、完全に無効することは出来ない。

現に気を失った者もいる。

そして、勝者である真那とは言うと……ピットでスパン! と頭が叩かれていた。

 

「あたっ」

 

真那は頭部を押さえると、右手に顔を向けた。

そこには、メイド服を着た・織斑一夏が、片手に丸めた冊子のようなものを握りながら立っていた。

 

「あ・の・ねぇ……」

 

ぴくぴくと額に浮き出た血管を蠢かせながら、ビッ! とアリーナから回収された鉄塊―――バラバラになった五機のISを指す。

 

「模擬戦って言ったよね? 何貴重な装備を潰してくれてんの?」

 

真那はしばしの間を開け、一夏の指先を眺めてから口を開いた。

 

「やはり模擬戦とは言え本気でやらねーと」

 

そこで再び、頭が叩かれる。

 

「ご高説は、ISの開発費をちゃんと調べてから吐きなさい。無料で出来ているわけじゃないんだから」

 

「善処するです」

 

「ったく……」

 

一夏は「とりあえず、〈ラタトスク〉宛てにIS五機分の賠償請求しておくから」と残し、肩をいからせながら歩いていった。

 

 

    ◇

 

 

数日後。スケジュールを調整して、一夏は天宮市に来ていた。

真那から指定された場所に向かうが、一夏の横をもう一人歩く少女がいたのだ。

 

「着いて来なくてもいいのですよ?」

 

「いや~。相手が相手だからね。こういう時こそ、生徒会長としての威厳を見せなくちゃ」

 

「はぁ……」

 

IS学園生徒会長・更識楯無が着いてきたのだ。

真那の模擬試合を観てから楯無は生徒会の仕事を真面目にやっていたのだ。最初は不気味に思ったが、今日の為に全て終わらせてきたらしい。

 

「えっと……ここですね」

 

真那から渡された地図に書かれた住所に着く。

表札には五河と書かれており、その下にあるインターホンを鳴らした。

 

「待っていたわ」

 

玄関の扉が開くと、赤髪のツインテールの少女が出て来る。

 

「お久しぶりね。琴里ちゃん」

 

「挨拶は後でいいわ。入ってちょうだい」

 

言って、一夏と楯無は五河家の玄関をくぐる。

リビングに入るとその光景に目を疑った。

士道を除いて、全員女子しかいなかったのだ。

 

「ハーレムね……」

 

「否定は出来ないわね」

 

楯無もその光景にはそういいざるをえなかった。

 

「とりあえず、座りなさい。色々と聞きたい事があるわ」

 

一夏と楯無は空いている席に座ると、出されてお茶に手をかける。

 

「で? 一体何を聞きたいのですか?」

 

「これよ」

 

琴里は一枚の写真を一夏の前に置いた。

 

「私……ですね」

 

「今、ちょっと厄介ごとに巻き込まれいてね。この13枚の写真のどれかに目的の人物が隠れているのよ」

 

そう言って、12枚の少女の写真を取り出す。

その写真に写っていた少女の殆どは、このリビングにいた。

 

「成程。私がその目的の人物かっと言うことですね………残念ですが、違います」

 

琴里は頷く。

 

「ですが、一つだけ、ヒントをあげます」

 

「はい?」

 

一夏から出て来た言葉に士道と琴里は驚く。

 

「その人物は()()()()()()にいますよ」

 

その言葉に士道は13枚の写真を眺めるが、結局分からなかった。

 

 

    ◇

 

 

五河家の隣にあるマンションの一室で寝泊まりすることになった。

そして、その日の夜。

琴里に案内され、何処かの地下施設に連れてこられた。

 

「―――わかったよ、琴里、美九、一夏」

 

『……!?』

 

士道が静かに言うと、一夏は唇の端を上げた。

そして、士道は―――ピンと立てた人差し指を箒を指す。

 

「七罪は―――おまえだ」

 

一夏は最初から、その人物が()に化けているか分かっていた。

だって……一つだけ()()()()()()()()()があるのだから。

 

「そうだろう、()()()()……!」

 

言うと、箒に移った女性の顔が変わった。

士道は理由を話始める。

そして、七罪の頬に汗が流れた。

 

「チェックメイト……だね」

 

―――瞬間。

鏡に罅が入り始め、凄まじい光が、部屋の中に満ちた。

 

「く―――」

 

しばらくして輝きが収まり、部屋の中に、幾人もの人が横たわっていた。

どうやら、このゲームの被害者たちだろう。正体を見破られたため、捕らえられていた人が解放されたのだろう。

 

「―――俺の勝ちだ。観念してもらうぞ」

 

「……っ」

 

部屋の端に一人、床に蹲っている少女がいた。

士道が言うと、ビクッと肩を揺らす。

 

「……え?」

 

士道はその少女の姿を見て、素っ頓狂な声を発した。

 

「一度ならず二度までも……私の秘密をお見たな……ッ! ゆ、ゆゆ許さない。絶対に許さない。全員、全員タダじゃ済まさないィィィッ!!」

 

七罪は絶叫を上げると、手に握っていた天使〈贋作魔女(ハニエル)〉を掲げた。

 

「〈贋作魔女(ハニエル)〉―――!!」

 

七罪が叫んだ瞬間、〈贋作魔女(ハニエル)〉の先端部が再び輝き―――部屋の中を目映い光で埋め尽くしていった。

その光が数秒程度で収まる。

だが。

 

「い、一夏ー!」

 

いつよりも甲高い楯無の声が響いてくる。

一夏はそちらに目をやり―――身体を硬直させた。

 

「私……どうなっちゃたの……」

 

言いながら、だぼだぼのIS学園の制服を引きずって、小学生三年生くらいの外見になった楯無がいた。

この現象は楯無だけではなかった。士道と一夏、意識のない者を除いた全員が楯無と同じように、幼くなっていたのである。

 

「これは……一体……」

 

「ふふ、ふふふふふふ……っ」

 

一夏が眉をひそめていると、部屋の中央で〈贋作魔女(ハニエル)〉を掲げた七罪が、暗い笑い声を発した。

 

「いいザマだわ……っ! あんたたちはみぃーんな、ずっとちびすけのままでいればいいのよ……っ!」

 

七罪は高らかに笑うと、〈贋作魔女(ハニエル)〉に跨り、部屋の天井に穴をあけ、空に飛んで行ってしまった。

 

「まッ、待て! 七罪! 七罪ぃぃぃっ!」

 

士道は叫ぶも、その甲高い声は、部屋の中に空しく反響するだけだった。

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