「……………」
一夏が目が覚め、最初に映ったのは白い天上だった。身体を起こし、周りを見渡すとクローゼット、机、ベットと必要最低限の物しか置かれていない部屋に一夏はいた。
「ここは……」
一夏は最後に覚えている記憶を探る。
「確か……誘拐されて……」
誘拐され、一夏は撃たれた所まで思い出すと、吐き気が襲う。
一夏は何とか気を落ち着かせ、吐き気を収める。
「しかし、ここは何処なんだ?」
倉庫で暴風の渦の中心で千冬姉に抱きしめられた後からの記憶が全くない。
そんな疑問を考えていると、木製のドアから誰かがノックする。
「気分はいかがでしょうか? 織斑様」
入って来たのは目を閉じた銀髪の少女だった。
「えっと……君は?」
目を閉じた少女の手には服があり、それを一夏の隣に置いて、自己紹介を始めた。
「クロエ・クロニクルと申します。とある方から織斑様のサポートをするようにと命を受けています。何かあれば、わたくしをお呼びください」
「はぁ……」
クロエと呼ばれる少女はお辞儀をする。
状況がいまいちつかめない一夏はとりあえず、クロエに質問した。
「じゃあ、質問なんだが」
「はい。何でしょうか?」
「ここは、何処なの?」
窓の無い部屋な為、全くと言って場所が分からなかった。
この回答にクロエはすぐに答える。
「ここは、わたくしの部屋です」
「はい?」
どうやら、客部屋が無いと言う事で、とある方と呼ばれる人はクロエの部屋に一夏を寝かせたそうだ。
というか客部屋ぐらい作れよ!
「その……とある方とは?」
二つ目の質問。とある方とは誰なのか? 先ほどからクロエはそう言っていた。
「それは、この後お会いになるので大丈夫です」
「はあ……」
まあ、会えるなら説明は不要って、俺の知り合いなのか?
まだ、疑問が残るが、どうやらここに来てタイムアップらしい。
「どうやら、あのお方が早く来てほしいと申しております」
「え? そうだったのか」
一夏はベットから降りると、クロエが持ってきてくれた服に手を伸ばす。
そこで一夏は手を止めた。
「あの~」
「はい? 何か問題がありましたか?」
「いや……その……」
そこにあるのは女性用の下着と私服だった。
「俺……男なんですが……」
「いえ、織斑様は今は女性です」
「はい?」
衝撃の真実に一夏は驚いた。
病衣の首元を引っ張り、中を覗くと膨らみが見える。
そして、男の象徴があるところに手をやるが、無かった。
「嘘だよな……」
「残念ですが、これは事実です」
クロエは平然と答える。
一夏はあまりの真実に腰を抜かし、ベットに座ってしまった。
「詳しいことは分かりませんが、現に織斑様は女性になっております」
「ははは……マジかよ……」
一夏は頭が真っ白になる感覚をこの時、初めて経験した。
少ししてから、抵抗があるもの一夏は用意した服に着替える。
途中、クロエの手を借りてブラジャーのホックを留めてもらう。
何しろ人生で初めてのブラジャーである。洗濯の際に千冬姉ので見慣れているが、実際に一人で付ける上でホックを留めるのは難易度が高かった。
「よっし……」
とりあえず、クロエが持って来てくれた私服を着て、クロエと共に部屋を出る。
クロエの後に続き、進んで行くと、とある部屋の前でクロエは止まった。
「お連れしました」
「ん~! 開いているよ~」
一夏はこの声に聞き覚えがあった。
そんなことを考えているとそのドアが開く。
部屋の中は暗く、足元に何かの線がいくつもある。その奥にいた人物に一夏は驚いた。
「え? 束さん!?」
「はろはろ~♪ 天災博士のこと、篠ノ之束さんだよ~♪」
機械のウサギミミと不思議な国のアリスのような服装を着た女性、篠ノ之束がいたのだ。