学園生活部の扉が開かれる、あいつが帰ってきたのか。
「おうお帰り。七つ、じ…!?」
さっきまで元気に地下を探索してくると言ってたそいつは、一言「ミスった」と残してその場に倒れてしまった。
「おい、大丈夫か!?」
私はとっさに駈け寄った。脇腹の血痕、そして破けた彼の制服の隙間から見えた歯型。
「…噛まれ、てる…!?」
信じたくないその事実は、彼の服に今も滲んでいる血が現実だということを無理やりにでも教えようとする。
「く、くるみちゃん…大丈夫、なんだよね?」
「ゆ、ゆき…。」
私はその質問に答えることができなかった。私に、噛まれると感染するという推測を事実を教えた野間私の目の前に倒れてる彼なのだから。
「と、とりあえず先輩の止血をしないと…!」
美紀の声でフッと現実に戻される。
「そ、そうね!由紀さんと若狭さんは職員室から救急箱を持ってきて!」
「…めぐねえ、何か隠してる?」
明らかに声が上ずってた。動揺かもしれないが、咄嗟に言ってしまった。
「…ごめんなさい。」
その回答としてめぐねえは、謝罪の言葉と咄嗟に背中に隠したであろう紙の束を見せた。
「…佐倉先生、こうなることを知ってんですか!」
つい、言葉が出てしまう。
「違うわ…昨日の夜、それのことを思い出して職員室を探していたら…」
「マサ先輩と会って、二人でそのことを隠した…ですか?」
「ええ、七辻君が『この情報を知るのは年長組だけでいい』、って…」
「…え、ななくん私より年上だったの?」
意外そうに丈槍が聞く。そう言えば、私も今年引っ越してきたことぐらいしか知らなかった。
「…本人に聞いた方が早いけど他の高校で二年生が終わる直前あたりから一年ほど、病院で過ごしてたって…」
「そういえば、言ってたな…」
そのことを、私たちはよく知らなかった。彼も、語ろうとはしなかった。
「…あ、見てください!先輩!」
そんなときにマニュアルを読んでた美紀が声を上げる。
「どうした、美紀?」
「避難区画に、薬があるって…!」
そう言って見せてくれたページには、確かに防護施設には救急物資があるといった内容のことが書かれていた。
「…行ってくる。」
「無茶しないでください、先輩!それなら、私も行きます!」
そう言ったのは、美紀だった。
「それじゃあ、私のシャベル…使ってくれ。」
「でも、先輩は…」
「私は、七辻が使ってた奴を使う。あいつに直接それを返してもらいたいんだ。」
そう言って、いつもあいつが使ってた鉄パイプを取る。あいつほど力はないが、転ばせるぐらいはできるはずだ。
「…行くぞ、美紀!」
「はい、胡桃先輩!」
マニュアルの地図は何度か確認した。今も私が背負ってるリュックにそのマニュアルは入っている、が…。
「…これって、七辻先輩が…?」
一本、床にひかれた線が部室の外から階段を通り地下まで伸びていた。
線の細さからみて、私のシャベルと何とか引きずってもってきたんだろう。
「おかげで、いちいち地図を確認しなくても済むな。」
目の前の後輩と話しながら、地下室への階段を下りていくが。
「…ねえ、先輩…。」
「どうした?美紀。」
一階に降りていよいよ地下室という時に、後ろから美紀が声をかけてきた。
「…どうして、ここまで一体も会わなかったんですかね…?」
言われてみれば、そうだった。
まだ2階の半分ほどまでしか制圧できてないはずだ。1階なんてもってのほか、だったはずだが今はこうして普通に会話できてる。
「…マサ先輩、無茶しすぎですよね…」
「目が覚めたら、一発殴ってやらないとな。」
そんな会話でリラックスして、地下室への扉をあけた。
「…うわ、暗いな…ここが倉庫か…。」
消して明るくはないがある程度の光がある地下室で、扉に書かれたプレートを書くのは容易だった。
「ですね、早く行きましょう。」
そう美紀に急かされて、私たちは薬を探して上に持って行った。
その最中にあいつらが近寄らなかったのは、今回の件で七辻に感謝することかもしれない。
どうも、久里浜です。
今回は本編に大きくかかわる番外編と言うことで、11.5話とさせていただきました。
もともとこの作品では七辻くんの視点だけで進めるつもりでしたが、今回原作だと恵飛須沢の役割だったのを七辻が担った御蔭?所為?でこういった練習ついでに書くことができました。
やっぱり、原作である程度キャラクターが固定されてると動かし辛い時がありますね…普段はキャラが頭の中で動いてくれるのですが…。
ちなみに、今回の話は飛ばしても飛ばさなくてもそうそう大差ない話に仕立て上げられてます。それではまた次回、週末の楽しみの一つにしてもらえることを祈って…。
話は変わりますが、先ほどこの小説を一から読み返してきました。過去の自分、どうしてそんな誤字に気付かないんだ!と怒鳴りたくなってきました…。直しておきます。皆さんも私の誤字脱字を見かけたら速やかに叱ってやってください((