びょうじゃくぐらし。   作:久里浜燐

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2話、ぶんきてん

「…荒らされてるな。」

それが、事件の後に初めて見た学校の第一印象だった。

だが、親父はここが避難の拠点になると教えてくれた。一人ぐらいは生き残りはいるだろうと、俺は自分の転校先…巡ヶ丘

 

学院の正門から堂々と車で入ることにした。

 

「っち、いっぱいいんじゃねぇか…」

正門は開いていた。だが、感染者が多くうろついている。

「しゃーねぇな…!」

アクセルを一気に踏み込む。そのまま構内に入りできる限り前面に当てないように避け、サイドブレーキを使ってドリフト

 

して180度車体を回し、そのまま昇降口の前に後ろ向きに止める。

「…近接戦闘、よーい!」

自身の気持ちを鼓舞するために、叫ぶ。エンジンを切りキーを抜いて、助手席においてあったシャベルをとりながら車から

 

出る。

ひとつ、二つ…音に反応するのだろうか、こちらにいくつかが向かってくる。

「遅いっ!」

シャベルを振り上げ、薄い面を首に当て、勢いに任せて切断する。その勢いを殺さずにもう一個の足首を切る。

バランスを崩したところを蹴飛ばす。迫ってきたもう一個にはシャベルを突く。

だが、相手のほうが多い。

もう駄目だ、と思った時だった。校舎から紫色のツインテールが飛び出してきた。

「なにボウっとしてんだ!諦めたらそこで終わりだぞ!」

その声は、俺の意識を一気に目の前の敵に向けた。

「車の中の荷物を運んでくれ!」

校舎の中の人影に、叫ぶ。そして俺は、車の右側…助手席側に走り、荷物搬入を支援する。

紫髪のほうは…徐々に後退を始めている。だが、押されているというわけではなさそうだ。

…これなら、安心して戦える。

あいつらが、来る。遠慮はいらない。守るためだ。自分のモノを、今から住む場所を。そして、ここの人たちを。

シャベルが一匹の首筋に吸い込まれるように当たる。そいつの首が飛ぶ。

もう一匹が来る。シャベルを身体の中心線上に突き立てる。そのまま蹴って無理やりにシャベルを引き抜く。

「よしっ、退くぞ!」

先ほどと同じ声が聞こえる。後ろを振り返ると、すでに誰もいない。

車の窓越しに紫髪が一気に校舎へ駆けてるのが見える。

俺は再び前を向き、後退しながら奴らに対処できるようにシャベルを構える。

どうやら足の筋肉が衰えてるみたいだ。そう判断した俺は一気に校舎へ駆け込んだ。

 

「…すいません、俺の荷物をここまで運んでもらって。」

「いえ、いいのよ…頭を上げて?」

俺が謝った人…国語の佐倉先生は俺にそういった。

「いえ、本当…あんな状況だったとはいえ、命令してしまって…。」

「まあまあ…とりあえず今は、荷物を上に持っていく方法を、考えましょ?」

「…え?普通に持っていけば…」

「今回は貴方が来たから、できるだけ早く来たのだけど…ここと二階にはまだ、残っているわ。」

「…なるほど。道理であの紫色の…」

「恵飛須沢さん、かしら?」

「あ、はい…恵飛須沢さんがいないのも、そういうことなんですね。」

今、ここを守ってるのも恵飛須沢さんなんだろう。

「…とりあえず、進路さえ確保できれば、あとは走ってどうにかなります。ただ…」

ただ、その足掛かりが決定的でないと一気に失敗する。おそらく恵飛須沢さんはここまでの護衛・さっきの輸送支援・今の護衛とおそらく無視のできない疲労が溜まっているだろう。

「…そういえば、台車が中の座席にあったような…取ってきます。」

「え、あ、ちょっと待って!」

…俺はその制止の声を無視して、外に出てすぐにトランクから車に入った。

 

「…これで、運べるな。」

目当てのものを見つけて、すぐに車から出る。

トランクを閉め、追いつかれないようにすぐに昇降口から中に入る。

「…戻ってきました。これで全部運べます。」

「もう、無茶しちゃ駄目でしょ?」

俺は佐倉先生に咎められたが、この状況で無茶をするなとは難しい。無茶をせねば生き残れない可能性だってあるんだ。

「…はは、検討しておきます。」

無茶をしない気はないのだが。

「…とりあえず、この台車の上に荷物を積んでください。露払いはします。」

「ええ、わかったわ。」

後ろで台車の上に佐倉先生が荷物を積んでるのを見て、俺はシャベルを構えて廊下を見た。

そこに、恵飛須沢さんはいなかった。

「…恵飛須沢さん、戻ってきて!」

廊下に叫ぶ。これで数分たって戻らなかったらこちらから行こう…そう考えていたら、すぐに戻ってきた。

「おうっ、どうした?」

「…ここで、佐倉先生の支援をお願いします。」

「へ?」

…明らかに伝わってない表情だ。説明が足りなかったか…そう考えた俺は俺の荷物を運ぶ作戦を説明した。

 

「…よーするに、お前が囮になって運ばせるのか?」

「…まあ、そうなります。」

「ふむ…面白い、乗った!」

よし。心の中でガッツポーズをした俺はひとつ、積む前の箱を開けた。

「…これって…」

佐倉先生が目を見開く。

「…趣味、です。」

その中のエアガンを一丁、取り出す。

「もちろん…エアガンですよ?」

「おぉ、すごいじゃないか!」

恵飛須沢さんは目を輝かせている。趣味なのだろうか?

「…あくまで、自衛・威嚇用です。もっとも、威嚇できるとは思いませんが…。」

…できれば、早く休みたかった。だが、これだけは伝えておかねばならないと思った。

「…おそらく、本来の目的じゃあ二度と使わないと思います。一応、これを持っていてもらえますか?」

9mm拳銃のエアガンを渡す。

「…弾は装填してあります。ですが…今はあくまで自衛用です。威力は無いに等しいと思ってください。」

「…恵飛須沢さん、お願いできる?」

「任せてくれ、めぐねぇ。」

会話が、一度途切れる。

「…それじゃあ、俺の荷物を運ぶの、手伝ってください。」

俺は頭を下げる。

「おうっ!」

「ええ…頭を上げてね?」

 

やっとのことで完全な安全圏での生活が始まった、俺はほっと胸をなでおろした。




どうも。私、久里浜です。
一日で一話書くのが難しい…。
たまたま昨日今日で時間があったのですが、今後は投降ペースが落ちるかも、です…。
また、エアガンも車も持っていないので、そこら辺の描写は…適当です((
どうか、ご容赦ください…。
また、ここまで七辻さんが動けるのは…バリバリの健康体だからです、タイトルはカッコカリですので…ね?

ちなみに、今回の騒動で下に来たのはこの二人だけです。
次回は学園生活部が四人出てきます。お楽しみに。
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