びょうじゃくぐらし。   作:久里浜燐

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3話、ぶかつどう

「…はぁ、はぁ…」

物資は、三階まで上げられた。問題は…

「だらしねぇな、七辻。」

「一応これでも少し前までは入院してたからな…!」

息が途切れ途切れになった俺は、恵飛須沢の体力を羨む。

問題は、俺の体力の無さだった。

「そうよ、恵飛須沢さん。七辻君は去年は大半を病院で過ごしたのだから…。」

「あ、そうなのか?悪ぃな。」

そういえば、名前しか話していなかったな。完全に忘れていた。

「まあ…自己紹介は後にして、とりあえずどこかに運びますよ…。」

「ん、おう。そうだな!」

階段を上がってくる途中で聞いた話だ。皆は辛うじて生き残れたらしい。

それで、『学園生活部』として生徒会室を部室として『活動』しているらしい。

「…それじゃあ、校長室…あたりじゃないですかね?」

校長室は確か、生徒会室の前だった気がする。

クラスの教室は使っているそうだ。

また、他にあるのは音楽室や化学実験室は、さすがに寝泊りには向いていないだろう。

準備室は…個人的に寝泊りしたくない。

同じ部屋は…いくらこの極限状態とはいえ、異性同士なのだ。俺が困る。

「…片付けてないけど、それでいいの?」

「大丈夫です、佐倉先生。自分の住むところは自分で何とかしますんで。」

それに、校長室には今まで一度も入ったことが無い。

まあ、今年転校してきたばかりで呼び出されるようなことをする時間も、そんな仲間を作る時間も無かっただけだが。

「とりあえず、進入部員になるんだ。先に自己紹介を済ませちまったら?」

「…そうさせてもらうよ。」

俺らが階段を上がって休んでいた理由は、目の前にあるバリケードだ。

「…そういえば、ここにバリケード?」

「ああ、あいつらが万が一上がってきても、大丈夫なようにな。」

なるほど。それは一理ある。

「…じゃあ、上を通すか?」

「いえ、一箇所、穴を開けましょう?これからも、このようなことがある…と思うし…。」

「…それじゃあ、工具…出します?」

そういったら二人は驚いていた。

「え、あ、こういう状況になるのを予想していたんじゃなくて…誰もいなかったらバリケードを作らなきゃいけないと思っていたんで…。」

「お、おう…そうだよな…。」

「そう、よね…。」

とりあえず、箱から金属用の鋏やら金槌やらを取り出す。

「…何が起こるかわからないので、少し離れてください。」

このバリケードは…紐タイプのゴムと机でできている、か…。

「…普通のカッターでいける、か。」

箱から普通の大判カッターを取り出し、切るところをガムテープで固定する。

「…何をしてるの?」

「これで、切ってすぐ崩れるってことを防ごうと思ってます。」

ガムテープを巻いて、カッターで切る。

「っし、予想通り…ここを通しましょう。」

箱に工具とガムテープを戻し、台車を寄せる。

「おう、じゃあ私は向こうで受け取るぜ。」

「…頼んだ。」

バリケードの強度を確認してからひょいひょいと上を超える。身軽なのが羨ましい。

「じゃあ、私は…」

実際、この作業は二人いれば足りる。

「…それなら、先に向こうに行って他の人たちに俺のことを伝えといてください。」

「わかったわ。」

佐倉先生も上を越えていく。…見れなかった、残念。

「…こっちは準備おっけーだ、どうだ?」

はっと、自分のやるべきことを思い出した。

「大丈夫だ、そっちを待っていた。運び入れるぞ。」

実のところ、忘れていた。自分の新生活に関わる重大なものなのに。

「おうよ!」

…先ほどまでの不純な感情を払い、作戦通りに荷物を渡していった。

 

 

「…はじめまして、3年D組の七辻マサ、です。」

荷物の搬入を終え、俺は元・生徒会室に挨拶に行った。そこにいたのは…

「久しぶりの新入部員だね、りーさん!」

「ええ、そうね。ゆきちゃん。」

変な帽子をかぶった桃髪と栗色の髪のお姉さん系がいた。

「はじめまして、私は若狭悠里よ。」

「私は三年C組の丈槍由紀!よろしく、ななくん!」

「な、ななくん?…ああ、よろしく。」

言われ慣れぬあだ名に驚いた。

「…貴方、本当にこの学校の人?」

その質問は、若狭さんからだった。

「…今年、転校してきたんです。」

「なるほど、だから見ない顔だったのね。」

…この高校に入ってまだ片手で数えられるだけの月しか経ってないのだ。全員と顔をあわせる時間なんてない。

「で、ななくんはどうして休んでたの?」

休んでた…?あの日のことだろうか。

「病院で検査があったから、だけど…」

「その辺りは、後で私が話すわ。だから七辻君は、部屋を…ね?」

そういったのは佐倉先生だった。

「え、あ、はい。わかりました。」

突然すぎて驚いた。とりあえず、いわれたままに動こう。

「それじゃあ、また後で…?」

 

 

とりあえず、生存者がいた。それだけで安心できた。

だが、俺は彼女たちのことを、何も知らなかった。




ども、久里浜ですぅ!
今回、やっと初期学園生活部は全員出せました!
ここから先、彼らはどうなるのですかねぇ…((
次回も、楽しみにしていてください!
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