ハードモードに憧れて   作:照坊主

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第1話です


荒野

目を覚ますと荒野にいた、それしか言いようが無かった

 

しばらくの間呆けていたが、気を取り直して現状を確認した

 

持っているものは昨日着ていたものに、ポケットにいれっぱなしだった作業用に使っている十得ナイフ、それといくばくかの小銭だ

 

此処で呆けていても仕方が無いので歩くことにした、周りは岩山で囲まれているのでとりあえず砂漠がある方向へと足を進めた

 

しばらく歩くと妙な生き物が私に襲い掛かってきた、液状のようで固体のような質量を持っている・・・それでいてこちらへと移動してくる・・・一体何なのか?

今の私がそれをわかるわけが無く、ただ逃げ出していた

 

あの妙な生き物から逃げた後、偶然にもオアシスを見つけた、走って逃げたせいかのども渇いていたのでこの場にて潤すことにする、飲み終わった後木の木陰で体を休めた

 

体を休めた後この場の周りを探索した、いつでも逃げれるわけではないと思い、無いよりましだと石を何個か拾っておいた

 

それと枯れ木も見つけたのだが、今は何かに使うこともなさそうなので放置しておいた

 

日が暮れてきた、夜になれば夜行性の動物達が周りをうろつき始めるだろう、あんな妙な生物がいたのだ何が出るか分かったもんじゃない、私は急いでオアシスに戻り木陰に身を隠すことにし、夜が明けるのを待った

 

真夜中に妙な音が聞こえ目が覚めた、いつの間に眠っていたのだろう?思っていたより疲れていたようだ

 

ゴキッ・・・バキャ・・・ブチッ・・・

 

少し離れたところから変な音がする、身をかがめながらも目を見張ると例の妙な生物が狼を捕食していた

 

昼間に会ったのは青だったが狼を捕食しているのは黄色だ、突然変異もしくはそういった種族なのかは定かではないが気づかれれば私も食われてしまうだろう

 

食われている狼を尻目に私は再び木陰へと身を潜めた

 

・・・気が付くと朝になっていた、恐怖と緊張とで一睡もできなかった

オアシスの水で顔を洗い覚醒した意識でまず思うことは空腹、そう、昨日から私は何も食べていない

どうにかしなくては餓死してしまうだろう

 

まず、武器となりそうなものを探す、流石に十得ナイフだけで狼やあの生物に立ち向かうのは無謀だろう

ゲームであれば攻撃力だの防御力だのそんなものがあるのだろうがあいにくこれはゲームではない、ステータス画面も無ければアイテム欄もない

 

まずは太陽の位置から方角を割り出すことにした、こんな世界なので本当にあっているかは知らないがどうせ私一人なのだ、構いはしないだろう

 

このオアシスを基点として、今日は北の方へ向かうことにした

 

北に向かい始めてしばらく歩くと木の棒が落ちていた、所々に加工の後が見られる・・・もしかしたら周辺には人いるのかもしれない、とりあえずさらに北に進むと舗装された道が見えた、道と言ってももうボロボロで意味を成してはいないが、それでもこれは文明の跡だ、人がいるかもしれないということに希望が沸く

 

私はさらに北へと足を進める、するとまた道がある、今度は左方向へと続いていたのでそちらの方へ進む

 

進んだ先に骨が転がっていた、形からして人のものだろう

無視していくのも気が引けたので、手を合わせその場を立ち去る・・・私もああなってしまわぬように頑張らなくては・・・

 

断続的に見える道の通りに進むとそこには廃墟とも言っていいような建物を見つけた、中に入るとそこは誰も居なくただ静寂だけがその場を支配していた

しばらく、唖然としていたがすぐに気を取り直して家の中を探索した

 

見つかったのは古ぼけた棒のような物と空き瓶一本とかすれた日記だ

 

かすれた日記には日記の持ち主であろう生活行動と周辺の地理、そして住んでいた人々が『中央都市』に行ったということぐらいだ・・・文面からして彼も向かった様だが・・・

 

ここで気になること二つでてきた、なぜ私が日記の文字を読めたか、そして『中央都市』とはなにか?

 

この日記の文字は明らかに私の居た世界の文字ではないなのに理解できるし普通に読めている

 

そして中央都市、日記の持ち主が知っていると言うことは『行って帰ってきた人間がいる』ということだ

 

日記に書かれていた峠はかなりの危険地帯の様だ、行って帰ってくることなど可能だろうか・・・?

いや、『可能』なんだろう、でなくてはここにその名前は存在しないのだから

 

もう一度家の中を見回す、隅に寝台がわりにゴザと毛布が置いてある、壁には暖炉

と火をつける用のマッチがあるが薪が無いようだ

 

こうしていても仕方が無い、日もいつの間にか落ちている、今日のところはおとなしく寝ることにしよう

 

毛布を手に取り埃を落とし、ゴザに体を預け仰向けに寝る

 

寝付かないので此処に来る以前を考えるが・・・駄目だ、何も思い出せない

身を落ち着けることでようやく分かった、私には記憶が無い

 

知識としてそれが何かを知っているが、それを何処で知ったかが思い出せない

『私』を『私』と断定するものが全く無い、そう、名前すら

 

私はふと、ポケットに入れっぱなしだった十得ナイフを手にとって見てみる

窓から入る月明かりに照らされているそれに刻まれた文字を見つける

 

そこには『仁』と書かれていた

 

・・・以前の私は『厨二病』と言う奴だったのだろうか?全く分からん

 

 

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