ハードモードに憧れて   作:照坊主

3 / 7
第3話です。


疑問

スライムを狩り始めて3日だろうか、銃は錆をすべて落としきった

だからといって無駄撃ちするわけにもいかず、用途はただの鈍器にすぎないのが・・・

 

ちなみにスライムは叩けばすぐに倒せる、あれらは一定以上の衝撃で崩れるのだ

何とも不思議な生命体だ、しかし夜以外には青しかおらず、夜になれば初めて見た黄色や赤しか見なくなる

 

はっきり言ってあれらにはいまだ勝てない、特に黄色、触れると体がマヒするのだ、あの時は死を覚悟した

都合よく、狼の肉を持っていなければ代わりに私が溶かされていたと思う・・・あなおそろしや・・・

 

この世界に来て大体1週間だろうか、体に変化が起き始めた

周りの環境に適応し始めているのか、それとも、ここにいる原住生物を食べているからかは知らないが以前に比べて体が強くなっているのだ

 

ただ筋力が強くなるならばまだ理解できるのだが、耐久力までもが強くなっている

ここに来た当初はスライムの一撃を食らっただけでかなり堪えたのだが、今は逆に弾き返すような勢いだ

 

慣れるといったことは確かにある、何度も殴られ続ければ嫌でも耐久力は付くだろう

だが、私は痛いのは嫌いだしそれが元で死ぬのも嫌だ、受け続けて耐久力を上げるなどといった、いわゆるマゾのようなことはしたくない

故に避け続けてきたのだ、なのに私の耐久力は上がっている、異常としか言いようのない状況だ

 

ほかにも、いきなり体が軽くなったり物がよく見えるようになったりすることがある、風土病の一種かと推測するが定かではない

 

今はまだ害はないが、いつか害を及ぼすのではないかと思ってはいる…

が、どうもプラス方向にしか働いていないようなので放っておくことにした

ぐだぐだと悩んでいるより動いて明日に備えたほうがいいだろう、『下手な考え休むに似たり』だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふと思うことがある、私はここに来る前に何をしていたのだろうか?

 

例えば今皮を剥ぎ肉を切り分けている狼にしても、一体この技術はどこで学んだのか?なぜ殺せるのか?

そう、殺せるのだ(・・・・・)葛藤もなく躊躇もなく、私は殺せるのだ

 

これもまた異常ではないだろうか?

人というものは基本的に善性だ、殺すといった非人道的なことを忌避するものだ

それはしなくてもいけないことでもそうだ、最初はだれでも忌避するものだ、なのに私にはそういったものが全くといっていいほどない

 

銃で撃ち殺すならばいいだろう、まだ許容できる、だが私は殴っているのだ、肉を裂き骨を砕き、その感触は今でも手に残っている

だというのに、そういったものが私の中には何もないのだ、後悔も、躊躇も、忌避感も、ただ作業をこなしたといった倦怠感だけがあるのだ

 

一体ここに来るまでの私は――――よそう、このことを考えると頭が痛くなってくる、今は目の前の作業に集中しよう

 

 

ここでふと、気が付く

 

―――――――囲まれている―――――――ッ!!

 

銃を手にし構えて振り向く、目の前には二匹の狼、後ろにも二匹、右に一匹、左に・・・三匹・・・!

完全に油断していた、こんな大所帯でいるとは・・・常に3匹で行動していたのは知っていた、それ以上の群れるとは――

 

気が付けば右から狼が牙を突き立てようとしてきた、それに合わせるかのように左、前、後ろと順々に

 

まずは右、もっている銃を回し、下からの振り上げを狼の頭に当てる

すると、悲鳴も無く狼の頭は砕ける、いまだに他の狼は飛び掛かってきている最中だ

 

これこそが異常、好きな時に感覚が鋭くなり、なおかつその中でいつも通り動けるのだ

 

戦闘ではなくただの蹂躙、楽しむこともなく、愉悦を感じることもなく、ただ淡々と作業をするように屠るだけ

 

振り上げた反動で左の狼の頭蓋を叩き砕く、そのままもう一匹を右足で蹴りあげる

この時点でようやく前後にいた狼が、さっきまで私がいた場所に降り立つ

 

蹴り上げた狼が宙を舞い、地面に倒れる、内臓が潰れたのだろう、顔中の穴から血が流れ出ている

 

気味が悪い、などと思いつつ残りの狼のを方に顔を向けると

 

「ぐるるるるる・・・・」

 

完全に戦意を失い、今にも逃げようとしている狼が一匹いるだけで、他のは逃げていたようだった

 

一匹はどうやら囮や殿といったものなのだろう、構えを解き、無防備になっても襲ってくる気配もなければ逃げる気配もない、ただ威嚇してくるだけだ

 

ここらの獣達の知能は高過ぎるというほどのものだ、こういったこともするのかと感心した

 

さして脅威にはならないと判断し、私は先ほど蹴り上げた狼のところに向かい、止めを刺すべく頭蓋を砕く

 

グシャ

 

っと音と共に潰した感覚が手に伝わるが、それにも慣れた・・・

 

・・・?おかしい・・・慣れた(・・・)?慣れるものではない、私は、それほどまでに殺している訳ではない、正確にはこの殺し方(・・・・・)はだ

 

まて、殺し方?他には何があった?即興の槍で突き殺した・・・その時はどう思った?・・・??思い出せない???いや、思い出すほど記憶に残ってない(・・・・・・・・・・・・・・・・)のだ

 

最初の時もそうだ、初めての殺害だ、最初こそ助かったという安堵感が強かったが、嫌悪感はなかった、むしろ、当たり前だと―――ッッ!!!

 

 

頭痛が私を襲う、そこでふと気付く

 

「・・・逃げられたか」

 

先ほどまで威嚇していた狼に逃げられてしまった、・・・私が何者かはどうだっていいことだ、今生き残るには、特に

 

違和感がないでもない、私の知識では、私のいた世界はすこぶる平和だ、だが私は?

 

「・・・いかんな、一人では考えすぎる・・・」

 

ぽつりとつぶやき、狼たちの解体に向かう、考えるのは後にしよう、今は生き残ろう

 

ふと見上げるといつの間にか太陽が傾き始めていた、私は慌てて解体を急ぎ、計3体の肉と皮を剥ぎ取り、後は残して家へと帰った

 

 

 

 

 

 




ルビの振り方がいまいち・・・だなぁ・・・
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。