ヴリトラモン・ストラトス   作:赤バンブル

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今回は後始末の回。
気に入らない方は今すぐ逃げましょう。
それでもいい方はこのままどうぞ。


ラウラとガブモン

放課後 保健室 

 

「・・・・・・」

 

保健室のベッドでラウラは目を覚ました。

 

「ここは・・・・」

 

「やっと目が覚めたようだな。」

 

「!」

 

ラウラはゆっくりと上半身を上げる。ベッドの隣には右腕に包帯を巻いた一夏が座っていた。

 

「お前が私を?」

 

「いや、正確に言うと俺と箒、シャルルの三人でだ。」

 

「・・・・その傷。」

 

ラウラは一夏の右腕の方を見る。

 

「ああ、心配すんな。数日でもすれば治る。」

 

「ガブモンは?」

 

ラウラの質問に一夏は黙る。

 

「・・・・・」

 

「まさか・・・・」

 

「いや、無事だ。今は俺とデュノアの部屋で面倒を見ている。だが、暴走した件についてはかなり責任を感じていたようだ。」

 

「・・・・・すまない。」

 

「うん?」

 

「私は許せなかったんだ。教官の弟であったお前が。」

 

ラウラはゆっくりと言う。

 

「私は軍で出来損ないとしての烙印を押され、自分の存在意義を見失いかけていたんだ。」

 

「存在意義?」

 

「私は試験管ベイビー、つまり戦うために作られた存在なんだ。」

 

ラウラは眼帯を外して一夏に見せる。

 

「この目はISの適合率を上げるために投与したナノマシンの副産物だ。私は何故か適合しきれず自分の力を制御できなくなり、軍からも見下されるようになったんだ・・・」

 

「・・・・それが千冬姉の指導のおかげで本来の実力を取り戻せたと言う訳か。」

 

「教官は落ちぶれていた私を一から鍛え直してくれた。だから私は教官を師として、人として尊敬していたんだ。・・・だけど教官は私ではなくお前のことを一番気にしていた。」

 

「俺のことをか?」

 

「それ故に私は教官の弟であるお前が許せず、教官の肉親で恥さらしと言われてたお前に嫉妬していたんだ。」

 

ラウラの顔から涙が流れ落ちた。

 

「自分勝手すぎるだろ?教官にただ自分を見てほしいばかりに私はそれまで支えてくれたアイツを見なくなったんだ・・・・今までくじけそうになった時何度も励ましてくれたのに・・・。」

 

ラウラは拳を握り締める。

 

「もう、私の所にアイツは戻ってきてくれない・・・・それだけの仕打ちをしてアイツを闇に落とすようなことをしたのだから・・・」

 

「それはもっと自分勝手すぎるんじゃないのか?」

 

「え?」

 

一夏の言葉にラウラは思わず驚く。

 

「確かにお前のやったことは許されることじゃないのかもしれない。でも、このままお前が自分を責めてもガブモンには何も伝わらないし、ガブモンの方も自分のせいだともっと自分を責めるようになる。お前はそれでいいのか?ラウラ・ボーデヴィッヒ。」

 

一夏はそう言うと椅子から立ち上がる。

 

「俺が言えるのはそれぐらいだ。後はお前とパートナーの問題、解決するのはお前自身の行動だ。」

 

「私の行動・・・」

 

「そう、俺は一度自分の部屋に戻ってガブモンの様子を見ておくから休んで・・・・」

 

そのとき保健室のドアが開き、千冬が入ってきた。

 

「織斑、ボーデヴィッヒは?」

 

「さっき目を覚まして・・・」

 

「それよりも一大事だ。」

 

「どうしたんだよ?もしかしてアリーナで事で・・・・」

 

「ガブモンが行方不明になった。」

 

「え?」

 

千冬の言葉に一夏、ラウラは唖然とする。

 

「さっき、寮の廊下を慌てて走っているブイモンに会ってな。目を離した隙にいなくなったそうだ。今、篠ノ之と鳳、更識、デュノアが手分けして探しているが・・・・」

 

「ガブモン!」

 

ラウラはベッドから起き上がり、急いで保健室を後にした。

 

「おい、ボーデヴィッヒ!まだ動いては・・・・」

 

千冬の言葉に目を向けずラウラはただひたすら走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

寮 ラウラの部屋

 

日が沈みかけ、薄暗くなった部屋の中でガブモンは何かをまとめていた。それは自分とラウラが写っている写真が貼ってあるアルバムだった。

 

「君と僕の思い出」

 

アルバムにはそのようなタイトルが書いてあり、その上に置手紙のような物を置いた。

 

「これで心おきなくここから出ていける。」

 

ガブモンはそれをラウラの机の上に置くとどこから持って来たのか風呂敷に缶詰をいくつか入れ、包んでいく。

 

「あんなことをしたらもう俺はここにはいられない。もう、ラウラに会わせる顔もないし・・・・」

 

ガブモンは部屋に別れを告げ玄関の方へと歩いて行く。

 

「俺もこれからどうしようかな・・・・・行く当てもないのに。」

 

ところがガブモンが玄関に着く前に玄関のドアが開いた。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・ガブモン。」

 

「・・・・・・ラウラ。」

 

目の前にはラウラが立っていた。二人はしばらく硬直状態になっていたがガブモンが先に部屋を出て行こうとした。

 

「待て、ガブモン!」

 

ラウラはガブモンを押さえる。

 

「離してよ!もう、俺はここにいられないよ!」

 

「お前は何も悪くない!悪いのは全部私なんだ!」

 

「そんなことはないよ!ラウラはただ自分のやりたいことをやっていただけなんだ!全部俺のせいなんだ!」

 

二人は離れようとしたり捕まえようとしたりとしばらく続いたがやがて疲れ果て両者共に背中を合わせて倒れた。

 

「なんで・・・・なんで・・・・俺のことをつかまえるのさ?邪魔でとんでもないことをしたのに・・・・」

 

「・・・・まない。」

 

「?」

 

「本当にすまなかった!」

 

ラウラはガブモンに向き直り土下座をする。

 

「私が落ち込んでいた頃お前はいつも励ましたりして支えてくれたのに・・・・気がつけばお前の恩を仇で返した上に邪魔者扱いして・・・・」

 

ラウラは泣きながら謝罪した。ガブモンはそれを黙って聞いていた。

 

「私の自分勝手でお前を追い詰めた上にあの姿になるまで何もしてやれず私はお前のパートナーし・・・・!」

 

そのとき、ガブモンはラウラの左頬を思いっきり叩いた。ラウラは少し唖然するがガブモンの顔は涙でぐしょぐしょになっていた。

 

「ラウラも打ってよ・・・・・俺はあんなことをしてみんなに迷惑かけちゃったんだ・・・・本当ならもういちゃいけないはずなんだ・・・・だから・・・・」

 

ラウラも思いっきりガブモンの顔を叩いた。そして、二人は抱き合って思いっきり泣いた。

 

「ゴメンなさ~い!!わあああああんん!!」

 

「すまない・・・・本当にすまなかった・・・うう・・・・・」

 

玄関の方では一夏、千冬、ブイモンがこっそり覗き込んでいた。

 

「なんか邪魔したら不味いね兄貴。」

 

「そうだな。」

 

「このままそっとしておいてやるのがよさそうだな。」

 

三人はそのままこっそり部屋を後にしていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???

 

「はあ・・・・はあ・・・」

 

広い荒野の中で一人の騎士型デジモンがボロボロになった鎧にマントを靡かせながら辺りを警戒していた。近くには真紅の特攻服を着こんだ妖精型デジモンが白い剣を背負って彼の後ろを警戒していた。

 

「このゲートを通れば時間はかかるが人間界に行くことができる。奴ら来るまでに早く行け!」

 

「でも、そんなことをしたらあなたが!」

 

「貴様がここに残っては無念に散ったオメガモンとマグナモンに見せる顔がない。我が屍を超え、ヴリトラモンにこのことを伝えろ!」

 

「イチカ・・・・。」

 

彼女は首にかけてある首飾りを見つめる。そのとき上空から巨大な竜の形状をした炎が降り立った。

 

「行け!」

 

「くっ!」

 

彼女はデジタルゲートに入る。すぐにゲートは閉じその場には騎士といくつかの影が残されていた。

 

「無駄なことを・・・。」

 

上から竜の姿に似たデジモンが言う。

 

「いい加減に諦めろデュークモン。貴様一人で我々五人を相手に生き延びられると思っているのか?」

 

ボロボロに騎士デュークモンは弱っていながらも言う。

 

「ドゥフトモン!貴様は本当にあの指令がイグドラシルの意志だと思っているのか!」

 

「そんなことは関係ない。現に我らに指示を出したのはそのイグドラシルなのだからな。」

 

五人の中央にいるドゥフトモンは見下すような眼で言う。

 

「だが、人間の行いがこの世界に悪影響を及ぼしているとなぜわかる!」

 

「貴様は人間を信用し過ぎだ。現に人間共はたかがISという自ら作り出した物で世界を歪ませている。その歪んだ感情がマイナスエネルギーとなり、このデジタルワールドでも今だに悪影響を与えている。所詮人間と我々はどちらかが滅ぶしかないのだ。」

 

「それは思い違いだ!いいか!我々は奴らに・・・・・」

 

「これ以上貴様の戯言に付き合う暇はない。やれ、デュナスモン。」

 

ドゥフトモンが指示を出すと同時にデュナスモンはデュークモンの目の前に立つ。

 

「さらばかつての同胞よ。最後に言い残すことはないか?」

 

「ならば言おう、このまま人間を滅ぼせばいずれ我らデジモンも滅ぶとな!」

 

「確かに聞いた。では、さらばだ。ブレス・オブ・ワイバーン!」

 

「ファイナル・エリシオン!」

 

デュナスモンが全身から発せられるオーラから形成された竜にデュークモンは応戦するが弱っていた彼の技は空しくも掻き消され、彼は粉々に分解されていくのであった。

 

「終わったな、我々も撤収するぞ。」

 

「また人間の姿に擬態か・・・私はできれば遠慮したいものだな。」

 

ロードナイトモンは嫌そうな態度で言う。

 

「文句を言うな、人間界に隠れ蓑があるだけありがたいと思え。」

 

「では、俺は残りの危険因子を排除に行く。」

 

クレニアムモンはそう言うと四人の前から姿を消していった。

 

「しかし、どうするつもりだドゥフトモン。我ら五人はともかく、ロイヤルナイツは空席を除いて後数人かが人間界に潜んでいる。奴らを敵に回せば厄介だぞ。それにエグザモンは気まぐれで今は我らと共に行動しているがいつ気を変えるか分からん。」

 

デュナスモンはドゥフトモンを見ながら言う。

 

「それには心配に及ばん。いずれどいつもこいつも必ず奴に絡んでくるはずだからな。ヴリトラモン・・・・織斑一夏に。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園 寮 セシリアの部屋

 

「・・・・・・・」

 

朝、セシリアは目の前の出来事を信じられずにいた。それは彼女の寝ているベッドの上にいる体の表面を透明な体組織に覆われた生物がいるのに驚いていたからだ。以前の彼女ならここで悲鳴を上げて大騒ぎをするがこのときばかりは静かにしていた。生物は怯えながらセシリアのことを見つめていた。

 

「・・・・怖がっていますの?」

 

彼女は両手にその小さい生物を持ってみる。生物はさらに震えて不安そうな顔をしていた。

 

「大丈夫ですよ、私は何もしませんから。」

 

生物ニョキモンはそう言うと安心したのかセシリアの手の中で眠ってしまった。

 

「あら、まだ朝ですのに・・・。」

 

セシリアはニョキモンをベッドに隠していく準備を始める。このときベッドにデジヴァイスがあったのを知ったのは帰ってきて進化したピョコモンに出会った後だった。

 

 




今回の技
ブレス・オブ・ワイバーン=デュナスモン
ファイナル・エリシオン=デュークモン

今回登場したニョキモンですが次回では既に進化しています(予定)。
ちなみに次回は本当はもっと早い段階でいれるべき話でしたが・・・・。
それでは次回があればまた。
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