若干ジョジョネタが混じっているので気に入らない方はすぐに引き上げましょう。
旅館「花月荘」
「本日からお世話になる旅館の方だ。皆、ちゃんと挨拶をしろ!」
「「「「「よろしくお願いしま~す!」」」」」
生徒一同はこれからお世話になる旅館の女将に挨拶をした。その元気な挨拶を聞いた女将は微笑む。一夏は自分の部屋が誰となるのか気になっていたが他の女子生徒のことも考慮して千冬と同室と言う訳になった。一瞬動揺したもののその方がブイモンのくつろぎやすいということもあったのでむしろ安心した。一夏は荷物を置くと水着とタオル、デジヴァイスを持って更衣室に行った。
一夏が海に来た時は既に周辺では女子生徒たちが騒いでいて賑やかになっていた。
「暑いな・・・。」
一夏は岩辺から海の方を見る。デジタルワールドの海も綺麗だったが現実世界での海を見るのは本当に久しぶりだった。
「あ、一夏さん。ここにいましたの。」
青いビキニを身に付けたセシリアが歩いてきた。
「お、セシリアじゃないか。水着かなり似合っているぞ。」
「そ、それはよかったですわ・・・・・じゃなくて、宜しければサンオイルを塗って頂けないでしょうか?」
セシリアは少し顔を赤くしながら言う。
「ピヨモンに塗ってもらえばいいじゃないか。」
「あ、あの子をこんな場所で出すわけにはいきませんわ。」
「しかし、今俺もそんな気分じゃないしな・・・・・」
一夏は近くにいたピンクのスポーツビキニを着た鈴を見る。
「な、何よ!?私の顔を見て。」
「代わりに鈴が塗ってくれるだとさ。」
「はあ!?何急にそんなこと言ってんのよ!?」
「頼むよ、今度なんかあったら付き合ってやるから。」
「うう・・・・仕方がないわね。ほら行くわよ、セシリア!」
「そ、そんな・・・・」
「悪い、セシリア。今度機会があったら考えるわ。」
そう言うと一夏はセシリアたちと別れ、釣竿と餌を借りて人気のない場所へと移動した。
生徒が来ていない所で一夏はデジヴァイスからブイモンを出し、近くを泳がせながら一人釣りをしている中、考え事をしていた。
(この現実世界に来てからもう数カ月。デジタルワールドではすでに一年以上過ぎている・・・・。こっちで本来なら経験することのない学生生活を楽しんでいるが本当にそれでいいのだろうか・・・・)
一夏は首に付けている首飾りを見る。彼女ももう向こうで自分のことを諦めているのかもしれない。そう考えると心境が複雑になる。
「あ、一夏ここにいたんだ。」
一夏は後ろを振り向くとそこには水着姿の簪と隣にはパタモンがいた。簪はパタモンをブイモンと遊ばせて一夏の隣に座る。
「んで、用事は何だ?」
「いや・・・まだお礼言っていなかったから。」
「お礼?弐式が完成したことか?」
「それもそうなんだけど他のことなんだ。」
簪は少し顔を赤くしながら言う。
「お姉ちゃんに私のことを言ってくれたの一夏でしょ?」
「あ~!生徒会長の事か!」
一夏は思い出したのかのように言う。
「あれからね私・・・・少しずつだけどお姉ちゃんと話すようになったんだ。お姉ちゃんの方も私のことを見てくれるようになっていってくれたし。」
「そうか、少しずつ仲良くなっているんだな。」
「なんか一夏にはいろいろ助けてもらっちゃったね。その・・・・本当にありがとう。」
「気にするなよ、友達だろう?」
一夏は照れ臭そうに言いながらも釣れた魚を引き上げる。
「簪も少しは楽しんで来いよ。俺といるんじゃなくてさ。」
「え?でも、一夏は?」
「俺はちょっと一人でいたい気分なんでね。パタモンの方は俺が見ておくから安心して泳いで来いよ。」
一夏に勧められ簪は一人、みんなのいるところへと戻っていった。
十分後
「一夏、こんなところにいたのか。」
今度は箒がアグモンを連れてやって来た。一夏はそれを確認するとまた海の方を見る。
「隣、いいか?」
一夏が黙っていると箒はアグモンを遊ばせ、隣に座る。
「綺麗だな・・・海って。」
「ああ、デジタルワールドの海も綺麗だった。」
「デジタルワールドにも海があるのか?」
「昔、旅の途中で何度か船とかで渡ったことがある。そのときはチビがライラモンと水遊びをして俺は今のように釣りをしていた。」
「そして、隣にはリリモンがいたということか。」
「そんなもんだな。」
二人は海を眺める。
過去 デジタルワールドの海
「わ~い!海だ~!」
チビモンははしゃぎながら海に入っていく。
「コラ、チビちゃん!泳ぐ前に準備体操しなくちゃダメでしょ!」
ライラモンは怒りながらチビモンを連れ戻そうとする。その光景をヴリトラモンは岩場から釣りをして眺めていた。
「どうイチカ?」
隣ではリリモンがヴリトラモンの顔を見ながら言う。
「・・・・ダメだ。全然釣れん。」
「場所が悪いのかしらね?」
「そうかもしれないな・・・・って、そう言っていた矢先に掛かりやがった!」
ヴリトラモンは急に引き始めた釣竿を引っ張り上げる。
「コイツは相当な大物だ!」
「私も手伝う!」
リリモンも一緒に引っ張る。すると目の前に白い物体が現れる。
「「・・・・・・・」」
「あっ、どうもどうも俺はゲソ・・・・」
「「帰れ!」」
「あァァァんまりだァァアァ!!」
自己紹介する暇もなくゲソモンは二人に殴られ、空の彼方へと消えていった。
「なんか期待外れだったわね。」
「そうだな。」
「助けて兄貴~!!」
ヴリトラモンがチビモンたちの方を見るとチビモンとライラモンはアノマロカリモンに追いかけられていた。
「しょうがねえな。」
一夏は胡散晴らしに釣竿を折るとチビモンたちの方へ飛んで行く。
「あ~待って、イチカ!私も行く~!」
リリモンは後を追いかけていく。
現在
「・・・・・」
「なあ、一夏。」
「なんだ?」
しばらく懐かしそうに海を眺める一夏に箒は心配そうに声を掛ける。
「一夏は姉さんからスピリットを取り戻したらデジタルワールドに帰ってしまうのか?」
箒の質問に一夏はしばらく黙るが口を開く。
「そう言うことになるだろうな。束さんからスピリットを取り戻せば残りはメルキューレモンが持つ10個のスピリットになる。」
「そうか。」
箒は寂しそうな顔をする。
「だが、しばらく帰れそうにないな。」
「え?」
「メルキューレモンがあのときアリーナから逃げたがデジタルワールドに帰ったとは考えづらい。それに奴はガブモンの時もそうだが明らかに何か目的があったようなことを言っていた。」
「つまり、奴がこっちの世界に残っているということか?」
「そう言うことだ。だから、メルキューレモンを倒してスピリットを取り戻すまではまず帰ることはできないな。」
一夏は立ち上がるとブイモンに戻ってくるように言う。
「まあ、せっかくの海だ。こっからはみんなの所で楽しくやっていこうじゃないか。」
一夏は釣竿をしまい、箒の手を引っ張る。箒はそのときの一夏の後ろ姿に少し寂しさを感じた。
(一夏は今私達の所にいてくれるがいつかは・・・・)
夜 花月荘
その後、一夏は夕方風呂にのんびり入り、夜の夕食では大宴会場に集まって豪華な食事をいただいていた。本当なら後は部屋で眠りたいところなんだが千冬に外で散歩でもしてろと言われ、ブイモンと一緒に敷地内を散歩しに行った。
「・・・・・。」
一夏は夜空に光る星を見る。
「兄貴、何で星を見ているの?」
ブイモンは気になるかのように聞く。
「チビ、俺たちがこの世界に来てからどれくらいたったと思う?」
「えっと・・・・もう何カ月も経ってるね。」
「俺な・・・・リリモンにこの空と同じぐらい星が見えていた夜にこんなことを言われたんだ。俺がどっかに行っちまう夢を見たって。」
「それで?」
「俺はそんなことを信じなかったからな。だがそれも現実になっちまった。」
「兄貴・・・・」
「リリモンたち・・・・まだ俺たちのことを待ってくれているといいが・・・」
「大丈夫だよ。」
ブイモンは一夏に肩車しながら言う。
「何故そんなことが言える?」
「だって姉ちゃん兄貴一筋なんだもん。兄貴が姉ちゃんのことを忘れない限りは姉ちゃんも兄貴のことを待っているよ!きっと!」
「・・・・・ふっ、なんかお前と話すと考えていたことが馬鹿馬鹿しくなった。」
一夏はまた夜空を見上げる。
「次の日は装備試験だ。今日はもう部屋に戻ってさっさと寝るぞ。」
「おう!」
ブイモンは両手を上げながら言うのであった。
今回はデジタルワールド編の空白期間の一部を回想として出しました。
臨海学校編は短期間で終了する予定ですがまだまだ終わりではないので頑張っていこうと思います。
それではまた次回。