ヴリトラモン・ストラトス   作:赤バンブル

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今回はギャグ要素とオリジナル設定を入れていますので気に入らない方はすぐに引き上げることをお勧めします。

それでもいい方はこのままどうぞ。


束、最後の挨拶

花月荘 宴会用の大座敷

 

「全員よくやってくれた。」

 

千冬は帰還した一夏たちに言う。

 

「箒ちゃ~ん!無事でよかった~!」

 

束は嬉しそうに言うが箒は少し困った顔をしていた。

 

「織斑先生、実はコイツが犯人ですよ。今回の事件の。」

 

一夏は大きな虫かごに入れたクラモンを見せる。クラモンは一つしかない大きい目を開いてじっと周りを見ていた。

 

「こんなちっちゃい奴が今回の暴走事件の犯人だったのか(汗)。」

 

「でも、これは戦いで力を使い切ったからこうなっているだけで本気の時はまさに怪物そのものだったぜ。」

 

一夏が話している間、窮屈なのかクラモンはこっそりと籠を開けて逃げ出そうとする。

 

「今回はこれで済んだがもし一歩でも遅かったらさらに巨大な奴に・・・・・」

 

「兄貴!アイツ逃げていくよ!」

 

「何?」

 

一夏は虫かごを見る。丁寧に蓋を開けられ空っぽになっていた。クラモンは急いで襖を開けようとするが

 

「織斑先生~!救出された搭乗者のことなんですけど・・・・・ん?」

 

クラモンは事件の報告をして来た真耶にぶつかった。

 

「「「「「「あっ」」」」」」

 

全員沈黙する。真耶はクラモンを掴むとじっと見つめる。クラモンは不味そうだと考えて逃げようとするが捕まって動けない。

 

「山田先生、それは・・・・」

 

「かわいい!何ですかこの生き物!!」

 

「「「え?」」」

 

真耶はクラモンを上に上げながら言う。

 

「この生き物織斑先生のペットですか?それとも誰かの・・・・・」

 

真耶が目をを輝かせながら一同に聞いてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方 露天風呂

 

「ふう・・・・」

 

一夏とチビモンは風呂に浸かっていた。

 

「今日は本当にかっこよかったね兄貴。」

 

チビモンは泳ぎながら言う。

 

「ああ、でもあの時の俺の姿は一体何なんだ?」

 

一夏は空を見ながら考える。

 

「やはり、あの人しか答えを知らなそうだな・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

夜 花月荘近くの砂浜

 

既に誰もいない砂浜で二人の人物が立っていた。束と箒だ。

 

「こんな時間に一体どうしたの?箒ちゃん。」

 

束は笑いながら言うが箒は態度を変えず真面目な顔でいる。

 

「姉さん、あなたのおかげで私達家族がバラバラになったのは今でも恨んでいます。」

 

「それはそうだろうね。でも、聞きたいのはそれじゃないんでしょ?」

 

「・・・・・いくつか聞きたい。姉さんはいつデジモンの事を知ったんだ?」

 

箒の質問に束は楽しそうに言う。

 

「う~んとそうだね~。私がデジモンを知ったのは丁度ちーちゃんと知り合ってすぐだったかな?」

 

「・・・・」

 

「そのときは突然変異の生き物だと思っていたけどそれからしばらくしてデジタルワールドの存在を知ってからは正直言って驚いていたよ。」

 

「・・・・・」

 

「箒ちゃんは知らないだろうけどね~私は結構デジタルワールドで旅をしたことがあるんだよ。他の人たちと知り合って・・・・ちーちゃんにぶたれる以前は誰とも仲良くやろうとしていなかったのもデジタルワールドの存在をできるだけ知られないようにするためなんだよね~。」

 

箒は黙って話を聞く。そんな箒の後ろからアグモンが出てくる。

 

「じゃあ、僕を箒の所へ送ったのはどうして?」

 

「アグちゃんを箒ちゃんの所に送ったのは箒ちゃんたちに重大なことをやってもらうためだよ。(本当は寂しい思いをしないようにって思って送ったけど)」

 

「その重大なことってなんなんだ!」

 

箒は束に言う。

 

「それは今は言えないな・・・・・でも、時が来たら束さんの知り合いが伝えに来てくれるよ。」

 

「どうしても今は話してくれないのか・・・・・じゃあ、一夏がデジモンになったのはどうしてなんだ?」

 

「いっくんがデジモンになったのは私でも予想外の出来事だったよ。まさか調べていたデジタルワールドの言い伝えがいっくんのことだったとはね・・・・」

 

「言い伝え?」

 

「そうだね・・・・・箒ちゃんには話してあげようかな?十闘士のお話を。」

 

 

 

 

 

 

 

 

束談 十闘士のお話

 

大昔、それはデジタルワールドができて間もない頃でした。多くの古代型デジモンがそれぞれの大陸で栄え、ある種は新たな進化をし、ある種は環境に適応できず滅び、それを繰り返していきました。ところがある日、その滅んでいったデジモンたちの残留データがダークエリアに集まり、一体の凶悪なデジモンを誕生させました。

 

そのデジモンの名はアポカリモン。

 

アポカリモンはダークエリアから出るとデジタルワールドは闇に包まれ、多くのデジモンを滅びました。もちろん彼らは必死に抵抗しました。しかし、強大な力を持つアポカリモンを倒すことはできず一匹、また一匹と死んでいきました。

 

そこへある十体の究極体デジモンが立ち上がり、アポカリモンに挑みました。彼らは己の種の存続のために命を懸けて戦い続けた末、アポカリモンの上半身を消滅させることによって彼の動きを完全に封じることに成功しましたが、長い戦いの末彼らはほとんどの力を使い果たしてしまいました。しかし、アポカリモンは消滅する寸前こう言い残しました。

 

「私は必ずまた蘇る。そのときはもはやだれも止める者はいない。」

 

十体のデジモンはこの言葉を聞き、いずれまたアポカリモンが復活するのではないかと考えました。そこで彼らは自分達の力を獣と人の形をした物に吹き込み、デジタルワールド各地へと飛ばしました。彼らはアポカリモンをダークエリアに封印するとそれぞれ自分たちの故郷に帰り、そこで生涯を終えました。それから彼らは十闘士と呼ばれ語り継がれたのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花月荘近くの砂浜

 

「・・・・その話が一体一夏の何に関係するんだ?」

 

話を聞いた箒は怪しそうに束を見る。

 

「このお話にはね・・・・続きがあるんだよ。その十闘士の魂の一部を吹き込んだ物はいずれ人の魂が受け継ぎ、必ず悪を再び闇に葬るであろうって書いてあるんだよ。束さんの仮説だけどそれはおそらくいっくんだと思うんだよね。」

 

束はそう言うとあくびをする。

 

「はあ~。私としたことが久しぶりに眠くなってきちゃったよ。」

 

「・・・・じゃあ、最後に一つ聞いていいか?」

 

「何?」

 

「一夏が昼間になったあの姿もスピリットの影響なのか?」

 

「それも一様言い伝えに記されていた一つの可能性なんだよ。だから可能性は十分あったわけ。」

 

「・・・・・姉さん、私は・・・・」

 

「いっくんのことを守りたいんでしょ?」

 

「・・・・うん。」

 

「それはいいと思うよ。でもね、これから先の戦いはもっと苛酷なものになる。それだけはちゃんと覚えておいて。」

 

そう言うと束は砂浜から去って行く。箒は黙ってその姿を見送った。

 

「箒。」

 

アグモンは心配そうに箒を見る。

 

「大丈夫だ。」

 

箒はそう言うがなんか落ち着かなかった。

 

(なんか姉さんとはもう会えないような気がする・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花月荘 一夏・千冬の部屋

 

千冬は窓を開け、一人夜の星を見ていた。

 

「・・・・・束。いるんならさっさと入ってきたらどうだ?」

 

「へへへ、流石ちーちゃん。」

 

束が部屋にあがって来る。

 

「いっくんは?」

 

「お前を探しに行ったところだ。しばらくは戻ってこないだろう。」

 

「そう。」

 

そう言うと束は千冬の隣に来る。

 

「束、一夏の話が正しければお前がスピリットを持っているのは確かなんだな?」

 

「その通り、ほら。」

 

束は千冬に水をモチーフにしたような形状の水のヒューマンスピリットを渡す。

 

「これがそうなのか。だが一夏の話では闇とか言っていたが。」

 

「闇の方はね、まだ渡すことはできないんだよ。」

 

「それはどうしてなんだ?」

 

「悪いけどちーちゃんにもこれだけは言えないな。でも代りにこれをあげるよ。」

 

束は寂しそうな顔をしながら千冬に普通の形状とは違うデジヴァイスを渡す。

 

「これは?」

 

「ちーちゃんがいっくんを守りたい時にきっと役に立つと思うよ。」

 

「束・・・・」

 

「あ~これで心残すことなく行くことができるよ。」

 

束は背伸びをしながら言う。

 

「それはどういう意味だ?」

 

「ちーちゃんやいっくんに会えるのがこれが最後かもしれないということ。」

 

「え?」

 

「ちーちゃん、この世界は楽しいと思う?」

 

束の突然の質問に千冬はすぐに答える。

 

「一度は最悪だと思っていたが今はそこそこだ。」

 

「そう。」

 

一瞬風が吹く。千冬が再び隣を見るとそこにはもう束の姿はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花月荘 通路

 

束は杏子を連れて移動ラボへと戻ろうとしていた。

 

「・・・・いつまで着いて来る気かな?いっくん。」

 

束は後ろを振り向く。すると物陰から一夏がチビモンを肩に乗せて出てくる。

 

「やっぱり気づいていたか。」

 

「私とちーちゃんが部屋で話していた頃から聞いていたんでしょ?ちーちゃんは気づかなくても束さんにはわかるよ。」

 

「やっぱ天災だなアンタは。」

 

「ところで用事は何?やっぱりスピリット?」

 

「ああ、アンタのパートナーと思われるデジモンが奪ったって言うのはロイヤルナイツから聞いていたからな。」

 

「でも、今はあげられないんだよ。いっくんのためにも。」

 

「俺のためにも?」

 

「確かにいっくんは強くなっている。昼間の戦いのようにね。でも、闇のスピリットの闇の力はいっくんでさえも悪魔のような存在にしかねない代物なんだよ。だから調整が済むまで待ってくれないかな?」

 

「ハッタリかどうかはわからないが俺がそんなことに従うと思っているのか?」

 

一夏はヴリトラモンの姿へと変わる。

 

「アンタの開発したISのせいで俺は今の自分になった。それを引き起こしたアンタは責任を感じているのか?」

 

「勿論だよ。だからいっくんと話せるのもこれが最後かもしれないんだよ。」

 

「どういうことだ?」

 

「ゴメンね、いっくん。そして、さようなら。箒ちゃんをよろしく。束さんはもう何もしてあげられないと思うから。」

 

「おい、話を・・・・」

 

「ベルちゃん、お願い。」

 

杏子は何かを床に落とすと煙幕が発生し、一夏は何も見えなくなる。

 

「くっ!」

 

一夏は翼を羽ばたかせ煙幕を掃うがそこに束の姿はなかった。

 

「一体何だったんだ・・・・・さようならって。いつもなら『またね~!』とかいうあの人が。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花月荘 真耶の部屋

 

「クラちゃん、お待たせ~。」

 

束が千冬と会話する少し前、真耶は少し外に出てジュースを買いに行っていた。

 

「ずっと待っていたから怒っているかな~。さあて、あの顔でどんな・・・・」

 

真耶は襖を開ける。

 

「バアア!!」

 

「・・・・・・」

 

目の前にいたのはクラモンではなく不気味な顔をしたケラモンだった。突然変異ということもあって短期間で進化していたらしい。ケラモンは不気味な声で真耶を驚かせようとしていたが・・・・・

 

「かわいい~!!!」

 

「!?」

 

真耶の意外な反応にケラモンは唖然とする。

 

「バカナ!?オレノカオミテオドロカナイニンゲンガイルナンテ・・・・・」

 

「あれ?クラちゃんもしかして言葉が喋れたんですか?」

 

「!?シマッタ!」

 

「その滑る所もかわいいですね~!今夜は先生と仲良くおねんねしましょうね~。」

 

真耶は笑いながらケラモンに言う。

 

「バ、バケモノダ・・・・オレノコトヲアンナヨビカタシテ、ビビラナイナンテバケモノダ・・・・(汗)」

 

この日以降、ケラモンは真耶のペットということになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回のパートナー(?)デジモン

ケラモン(成長期・種族不明・不明)

一夏たちが回収したクラモン(アーマゲモン)が成長した姿。突然変異のこともあって一気に成長期に進化した。自分を捕まえた真耶を驚かせようとしたがむしろ真耶に気に入られてしまった。カタカナだが一様言葉を話せる(福音のデータを捕食したときの影響?)。

実はと言うとケラモンは当初セシリアのパートナーデジモンの候補の一人でした。いろいろ分け合ってピヨモンに変わりましたがなんか味方サイドに置きたいな・・・・って感じでこのポジションにしました。真耶のパートナーにはオカマ口調だけど根はいいエテモンとかかわいい声でなくマリンエンジェモンとかも考えていたんですけどね。

今回の十闘士の伝説は「フロンティア」とは違う設定に変更しました。

次回はちょっと夏休みの内容を挟もうかな・・・・。

それではまた次回。
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