ヴリトラモン・ストラトス   作:赤バンブル

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デジモンで可愛いものは多いけど最近は素顔を見せている者が多いからヒロインにするか悩んでいます。
ちなみに私はリリモンが好きなので一様ヒロイン候補にしています。
他にも意見のある方はご感想でどうぞ。
気に入らない方は引き返すことをお勧めします。
それではどうぞ。


マッドサイエンティスト(中篇)

 

いつの頃の夢だろうか?

 

人間の時の幼い俺が千冬姉に何か言われている。何かテストの答案を見せているようだった。

 

「90点か。まだ詰めが甘いぞ、一夏。この程度の問題で間違えてどうする?」

 

「でも、千冬姉。これでも精一杯やった方なんだよ。」

 

そう言っても無駄だというのはよく分かっている。千冬姉はいつも言っていた。

 

お前は私の弟なんだからやればできるはずだと。

 

いつもその言葉で俺の事を見ようともしなかった。

 

俺はあんたの弟であってコピーではない。アンタは愚か周りもどうしてもそれをわかってくれなかった。だから俺はいつもこう思っていた。

 

「千冬姉はどうして俺のことを見てくれないの?」

 

「俺は何をやってもダメなの?」

 

「どうして『出来損ない』とか言われないといけないの?」

 

「・・・・・・・・千冬姉は俺のことなんてどうでもいいのか・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う、うう・・・・・。」

 

一夏はベッドに寝かされていた。どうやらさっきの戦いの後気を失ってしまったらしい。

 

「よかった、兄貴が目を覚ました!」

 

脇を見るとチビモンが嬉しそうに飛び跳ねていた。そしてその跳ねている所は・・・。

 

「あ、あの・・・・・」

 

さっき助けたリリモンの膝の上だった。リリモンは顔を赤くしながら一夏の顔を見る。

 

「アンタか。災難だったな。」

 

「このお姉ちゃんが兄貴を自分の家に運んでくれたんだよ。」

 

「そ、その・・・・なんといえばいいか・・・ええっと・・・・」

 

一夏に声をかけられるとリリモンは更に顔を赤くし話しづらくなっていた。仕方なく後ろにいるライラモンが代わりに話した。

 

「先ほどは助けて頂いてありがとうございました。本当になんてお礼を言ったらいいか・・・。」

 

「礼を言われたようなことをした覚えはない。俺の気まぐれでやったまでだ。」

 

「私はライラモンと言います。こっちは幼馴染のリリモンです。」

 

「り・・・リリモンです。」

 

リリモンはやっとのことで挨拶する。

 

「俺チビモン!兄貴の弟子なの!」

 

「・・・・・あなたの名前は?」

 

リリモンは一夏の顔を見ながら聞く。

 

「名乗る名前など特にない。呼びたければ『名無し』でいい。」

 

一夏は不愛想に言う。

 

「な、名無しって・・・?」

 

リリモンは不思議そうな顔で言う。

 

「実は兄貴はね・・・・」

 

チビモンが言いかけようとするが一夏は口を塞ぐ。

 

「まあ、それはそうとあの慌てっぷりからこの街には何か裏がありそうだな。」

 

「その通りだ。」

 

一体のサイボーグ型デジモンが入ってきた。

 

「アンドロモンさん。」

 

ライラモンが言う。

 

「アンタは?」

 

「アンドロモン、この街でナノモンと戦っている者だ。」

 

「ナノモン?あのガードロモンが言っていた奴のことか?」

 

一夏はアンドロモンの話を聞く。

 

 

 

 

 

 

アンドロモンの話は以下の通りだった。

 

ナノモンはかつてアンドロモンと幼年期頃からの付き合いで共にこの街を守っていた。しかし、ナノモンには一つの大きなコンプレックスがあった。

 

同じ完全体でありながら彼と比べて戦闘能力が著しく低いというものだった。街の住民から慕われているアンドロモンに対してナノモンはいつも陰に隠れてしまい、それはやがて強さへの執着となった。

 

結果、それまでは善良だった彼の人格は歪み、強さだけを求めるマッドサイエンティストになり果てた。最初は説得を試みたアンドロモンだったがやがて彼が作り上げた改造デジモンに太刀打ちできなくなっていった。街のデジモンは捕まれば彼の研究所に連れて行かれ、実験材料にされる。住民はそれ故にナノモンのことを恐れていた。

 

「・・・・」

 

一夏は黙って聞いていた。

 

「私は気づいてやれなかった、彼の心の闇を。それ故に彼はこのような暴虐に走るようになり、この街をも恐怖に包み込んでしまった。」

 

「私も昔のナノモンさんのことは覚えています。あんなに街のためにいろいろ研究していたのに・・・・。」

 

ライラモンは悲しい表情で言う。一夏はその表情をただ見つめていた。

 

「・・・・そいつの研究所はどこにある?」

 

「この街の近くの山にあるが。」

 

「そうか。」

 

そう言うと一夏は部屋から出て行こうとする。

 

「兄貴、どこ行くの!?」

 

「ナノモンの研究所。」

 

「まさかナノモンを倒しに行くというのか!?」

 

「アンタだって奴のことを許せないだろ?」

 

「それもそうだが・・・・」

 

「どの道俺も奴に目が付けられているんだ。直接殴りこむのも悪くない。」

 

一夏はそんなことを言いながらも考え事をしていた。このアンドロモンとナノモンの関係が自分と姉に似ていた。気づかないうちに悩む、そして歪む。ひょっとしていたら自分もナノモンと同じようになっていたのかもしれない。千冬のことを今更ながら考えていた。

 

(千冬姉も俺がいなくなった後にもしかしたらコイツと同じように悔んだのかもしれない。)

 

そう考えるからこそナノモンのこれ以上の行いを許すわけにはいかない。一夏に今まで消えかけていた何かが戻ったような気がする。

 

「待ってくれ。」

 

アンドロモンが呼び止める。

 

「なんだ?止めようというのか?」

 

「私も行こう。少なくとも力にはなれるはずだ。」

 

「・・・そうか。」

 

「兄貴!俺も連れて行ってよ!」

 

「お前じゃ足手まといだ。」

 

「そんなことはねえよ!俺だって頑張るから!頼むよ!」

 

「ふん、勝手にしろ。後で後悔しても知らんぞ。」

 

「ありがとう、兄貴!」

 

三人はリリモンの家から出て、ナノモンの研究所がある山へと向かい始めた。それをリリモンとライラモンが見守っていた。

 

「・・・・あのさ、リリモン。」

 

「何?」

 

「もしかしてあの人に一目惚れしたの?」

 

「え、ええ!?」

 

リリモンの顔が再び赤くなる。

 

「だって、さっきのあの人への態度からにしていつものリリモンらしくないもん。いつもだったらハキハキ話すのに。」

 

「そうかな?」

 

「そうよ。」

 

リリモンは自分の胸を両手で押さえる。胸はまだドキドキしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナノモンの研究所

 

暗い研究室の中、ナノモンはパネルを操作していた。

 

「後は私が改良したデビモンの腕と疑似的に作り上げたエンジェモンの翼を移植すれば、闇と光の力が調和し完成する。」

 

そのとき、非常警報が鳴る。パネルを操作し、見て見ると研究所に近づいてくる一夏たちの姿が確認できた。

 

「勘のいい連中だ。私が作り上げたキメラモンの完成と同時に来てくれるとは。」

 

ナノモンは笑いながらパネルを操作する。

 

「まさか旧友アンドロモンもまでも・・・いいだろう。私のキメラモンがどれだけ強力なのかを見せてあげよう。」

 

ナノモンは狂気に満ちた目で見る。研究施設の奥ではキメラモンが今にも目を覚まそうとしていた。

 




今回は戦闘パートなしで大変申し訳ありませんでした。
キメラモンにした理由は私の記憶の中で一番最初の強敵だったからです。他にもムゲンドラモンも考えたのですが流石に究極体を出すのはまだ早いと思うので取りやめました。
次回はキメラモン戦です。
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