耐えられない人は速攻で戻りましょう。
ダークエリア
「人間とデジタルモンスターの中間・・・・・・ちょっと待ってくれ!?一夏はデジモンではないのか!?」
ベルスターモンが言ったことに箒は思わず驚く。
「だって、一夏の話では確か一夏は一度誘拐されたとき、死んだと言っていた。だから、姿がデジモンになり、今の人間の姿もイグドラシルからもらった擬態プログラムでなっているって・・・・・」
「表上ではそう言われていたんだろうね。でも、実際は違うんだよ。」
「えっ?」
「いくら擬態したと言えど普通、擬態というものは、単なるカモフラージュにしかならない上に定期的に自分の意思に関係なく発作で元の姿に戻っちゃうんだよ。でも、箒ちゃんたちと一緒にいたときいっくんに違和感はあった?」
「え・・・・・・・っと・・・・・・」
箒は首をかしげながら考える。
自分が見た限りでは一夏は自分の意思でヴリトラモンの姿に戻っていた。しかし、今姉が言った話が正しければ一夏は一日の内の何回かは発作的に元に戻ることになる。いくら一夏とは言えトイレのときだけ擬態を解くとは思えない。もしそうだとしたら、一日に何回もトイレに行くことになってしまう。
「・・・・・・確かに私が知っている限りでは一夏にそんな発作らしきものは起こっていない。でも、それがどういう関係があるんだ?」
「それはね、イグドラシルから受け取ったのは飽くまでも『擬態する機能』ではなく『姿を切り替える機能』だという事だよ。」
「切り替える・・・・・・って、それじゃあ一夏はどうやってあの姿を保っているというんだ?スピリットしかないなら尚更・・・・」
「もし、いっくんとスピリットが誘拐以前から一体化していたとしたら?」
「一夏が殺される以前に!?まさかそんな!?」
???
(俺が死んでいないとはどういう事なんだ?父さん。)
一夏は父を見ながら聞く。父はしばらく黙るが真剣な顔で答えだす。
(これは千冬にも話したことがないがお前が生まれて間もない頃の話だ。お前は身体が弱く、生まれたときは医者から持って後数日の命だと言われていたんだ。正直、そのときは私も母さんも悲しんでいたよ。)
(・・・・・その話と俺が死んでないという話がどういう関係があるんだ?)
(私も信じられなかったが生まれて次の日の夜、母さんが保育器に寝かされていたお前のことが心配で眠れず、見に行った時の話だ。)
(私もそのときは単なる幻覚だったかもしれないと思っていたけどあなたが寝かされていた保育器の上が急に光り出して、妙な物体があなたの体の中へと入りこんでいったの。)
(物体・・・・・・もしかして・・・・・)
(そう、眩しくてよくわからなかったけどそれはまさしく今のあなたと同じ姿をしていたわ。)
(それから数日、まさに奇跡ともいうべき出来事だった。医者でさえ見放していたお前の体調は回復、生まれたばかりの時のことが嘘のように無事退院することができた。)
(・・・・まさか、スピリットが俺の命を救ったとでも言うのか?)
(私はお前たちが退院後、母さんの話からデジタルワールドに関係しているのではないかと思い調べ始めた。そして、お前が古代十闘士が選んだ受け継ぐ者だと分かった。だが、私たちはどうしてもお前ひとりに過酷な運命を背負わせたくなかった。)
(そして、チビを生み出し、デジヴァイスを製作した・・・・・・)
(でも、それには時間があまりにも足りなかった。私たちはあなたとスピリットを分離させる方法を研究中に七大魔王に襲われて、マドカにも辛い思いをさせてしまったわ。)
(・・・・・だが、俺が誘拐されたとき、俺は確かに胸を撃ち向かれた。それにデジタマから生まれている時点で転生したんじゃないのか?)
(それは違う。おそらくスピリットがお前を守るためにデジタマ状の保護カプセルのような物を形成させたのだろう。そして、治癒力を高めるためにお前の体を人間からデジモンの姿へと組み替えなおした。)
父の言葉に一夏は黙った。
(・・・・・・・は、はははは・・・・・と言うことは俺はどっちでもない化け物だったという事か。今までそんなことも知らずに生きてきたというわけか・・・・・・・・そして、死んで生まれ変わったと思いながら生きて来た・・・・・・何ともひどい話だ・・・・・・)
(一夏、あなたは化け物なんかじゃないわ。正真正銘、千冬とマドカと同じ私たちの子供よ。)
(そうだ、たとえどんな姿になってもお前はお前自身のままだ。)
(・・・・・・ああ、わかっているさ。俺は俺だよ。だが・・・・・もう、戦えそうにない。)
一夏は諦めかけた言い方をする。
(何を言っているの?あなたにはまだ・・・・・・・・・)
(この体を見ろよ。もう、立って歩くことが精一杯だ。)
(だが向こうでは、千冬やマドカお前を待っている人たちもいる。)
(わかってるさ!わかってはいるんだ!でも・・・・・・・でも!あんな化け物にどう戦えって言うんだ!!)
(一夏・・・・)
(ハイパースピリットエヴォリューションをしても・・・・・・・オメガモンの力を使ってもまるで歯が立たなかった・・・・・・・・奴はイグドラシルと融合したことによってそれ以上の次元ですら超越してしまったんだ。そんな輩にどう勝てというんだ・・・・・)
一夏は弱音を吐く。
ダークエリア
「・・・・・・・・と言うわけだからいっくんは正確には死んだんじゃなくて、融合しているスピリットの力でデジモンの体に切り替わったに過ぎないという事なんだよ。」
束は長い説明を終える。
「どう?これで意味は分かった?束の言う通り、合体するにはデジヴァイスを触媒にして人間としての体を全てデータ体に作り替えなくちゃならない。しかも、一度作り替えたら完全に元に戻すことは不可能。合体が成功して解除したとしても、さっき言った中間生命体。それでもやりたい?」
ベルスターモンの言われて箒は黙ってしまう。
無理もない。
人間ではなくなってしまうというのだ。それに運が悪ければ自分も戻ってこれなくなってしまう。束が自分にやらせたくないというのがようやく理解できた。
「・・・・・・私は、一回デジラボの方に戻るわ。向こうでクロエ一人だけに任せるのも大変だし。束たちは後で来てちょうだい。ゲートはそのままにしておくから。」
「分かったよ、ミーちゃん。ここはもう大丈夫だから。」
束の返事を聞くなり、ミレイはさっさとゲートへと入って行った。
「・・・・・・・・俺たちも先に行くよ。みんなが戦っている中、俺たちだけが戦わないなんて言う事は出来ない。行こう、ブイモン。」
ビクトリーグレイモンもゲートへと向かって行く。
「えっ!?ちょっ・・・・・・ジエスモン、千冬姉ちゃんたちをよろしく。」
「ああ、ここは俺に任せろ。」
「兄貴・・・・・・俺は信じてるぜ。兄貴が絶対帰って来てくれることをさ。」
マグナアルフォースブイドラモンも急いでゲートへと向かって行った。箒が黙っている中、千冬は束からデジヴァイスを受け取る。
「ちーちゃん。」
「マドカもこの状態だ。助けなら私が行く。」
「でも・・・・・」
「これは私たち織斑家の人間でけじめをつけなくちゃいけない問題だと思うんだ。だから、お前がこれ以上関わる必要もない。」
「ちーちゃん・・・・・」
「お前には散々振り回されたと思っていたがよくよく考えてみると助けてもらっていたな。ありがとう、束。」
千冬はスサノオモンへと近づいていく。
「お姉ちゃん!」
「マドカ・・・・・・三人で暮らせるかわからなくなりそうだ。もし、私が戻ってこなかったとしても一夏を攻めないでくれ。」
千冬はスサノオモンの目の前に立ち、デジヴァイスを翳す。
「今助けに行くからな、一夏。ハイパースピリットエ・・・・・ブッ!?」
千冬が合体をしようとした瞬間、箒が突然動き出し、千冬を不意打ちをする。突然の出来事に千冬は転び、デジヴァイスは彼女の手から離れ、箒の手に渡った。
「な、何のつもりだ篠ノ之!?」
「箒ちゃん!?」
「・・・・・・・・・わ、私が行く。」
「何言ってんのアンタ!?成功しても失敗してもアンタは・・・・」
「それでもだ!!」
箒は大声で言い張った。そんな箒の姿に千冬たちは唖然とする。
「私だって・・・・・私だって正直怖い。人間じゃなくなることも・・・・・・・失敗したら私が消えてしまうかもしれないことも。・・・・・・・でも、一夏は、そのことに苦しみながら私たちと接してきたと思うんだ。それにリリモンも私と同じ立場だったらきっと同じ選択をする。だから、行くんだ。」
「・・・・・・それはどういう意味なの?箒ちゃん。」
「・・・・・・・・・好きだから。・・・・一夏を愛しているから支えたい。どんなに辛くても。」
箒はそう言うとスサノオモンの方へと向き直る。
「ハイパースピリットエヴォリューション!!!」
箒がデジヴァイスを翳すとそこから無数の光が体を帯び始める。同時に反動でデジヴァイスに罅が入る。
(徐々に体が分解されて行くような感じがする・・・・・・これが作り替えられていくってことなのか?)
やがて、全身は光に包まれ、反動に耐えられなくなったデジヴァイスが砕けると同時に箒はスサノオモンの中へと入って行った。
「箒ちゃん・・・・・・・・・帰って来てよ・・・・・・。」
???
一夏は叫んだ後、そのまま動かなくなってしまった。父と母は心配そうに見る。
(・・・・・・・・・一夏。本当にそれでいいのか?)
(・・・・・・・父さんたちだって見ていたんだろう?あの戦いをさ。俺は何のダメージも与えることができず、串刺しにされていたんだぜ・・・・・・)
(・・・・・・・・私もお前に対して何もできなかったことを悔やんでいる。)
父は真剣な顔で答える。
(だが、私は謝らない。どんなに目の前にある困難が過剰でもきっと打破する力を秘めていると信じているからだ。かつての私たちが子供の頃のように・・・・・)
(・・・・・・・俺にそんな力なんてないよ。・・・・・・・俺は昔からダメな奴だった。何をやっても千冬姉にも追いつけなかったし、周りからは「恥知らず」やら「出来損ない」って呼ばれていたんだ。・・・・・・・・だから、俺にはそんな力なんて・・・・・・・)
(一夏!)
(ん?)
遠くから何か聞き覚えのある声が聞こえて来た。
(・・・・・どうやら迎えが来たようだな。)
(迎えって・・・・・・・ここは俺の深層心理の世界じゃなかったのか?一体どうやって・・・・・・)
(一夏!)
振り向くとそこには箒がいた。一夏は思わず目を丸くした。
(箒・・・・・・・どうしてここに?)
(ハア・・・ハア・・・・。お前を迎えに来たんだ。マドカのデジヴァイスを使って。)
(マドカの?あの子のプロトタイプのデジヴァイスを使ってここに来たというのか?)
(あなたたちは?)
箒は後ろにいる一夏の両親を見る。
(・・・・・・・・俺の両親だ。)
(両親・・・・・亡くなったはずの一夏のお父さんとお母さん!?)
(息子がお世話になっています。)
一夏の母はお辞儀をしながら言う。
(えっ・・・・あ、いえ、こちらこそお世話に・・・・・じゃなかった!一夏、急いで戻ろう!)
箒は慌てて目的を実行する。
(・・・・・・帰るったて、帰ってどうするんだよ。俺の体はもうボロボロに・・・・・)
(お前は、全部のスピリットと一つになってスサノオモンになったんだ。だから体の傷も多少回復している。)
箒は一夏の周りで起こったことを全て話す。しかし、一夏は
(・・・・・・・・悪いが帰ってくれ。)
(えっ?)
思いがけない返答に箒は言葉を失う。
(い、今なんて・・・・・・)
(聞こえなかったのか・・・・・帰ってくれと言ったんだ。)
(何を言っているんだ!?向こうでは千冬さんやみんなが待っているんだぞ!?みんな一夏が絶対に戻ってきてくれるって信じているんだぞ!?それなのに・・・・)
(俺は戻ったところで何になるんだ?どうせ負けて終わりだ。)
(一夏・・・・・・お前・・・)
(俺は結局何もできなかった・・・・・何も助けられなかった・・・・・・守ることも!)
一夏は跪きながら言う。
(俺は、所詮何もできないただの「出来損ない」化け物なんだ・・・・・・・・人間でもデジモンでもない!そんな俺が今更なにをやっても・・・・)
(馬鹿なことは言わないでくれ!!)
(!?)
自虐しかけている一夏に箒が怒鳴る。一夏が顔を上げていると箒は震えながら泣いていた。
(一夏がそんなことを言っていたら今必死に戦っているみんなはどうなるんだ!今でも諦めずにお前が戻ってきてくれると信じているブイモンたちはどうするんだ!?千冬さんやマドカまで見す見す見捨てて行くというのか!?そんなみんなの思いを踏みにじるというのか!?)
(ほ、箒・・・・・・・・・)
箒の必死の言葉に一夏は唖然とする。
(うう・・・・・・・い、一夏が帰らないなら私も帰らない!一夏が帰るというまでずっとここにいる!)
(お前何を言って・・・・)
(・・・・それに戻れたとしても私も一人になってしまうから・・・・・)
(!?箒、お前・・・・・・それは一体どういう・・・・)
(・・・・・彼女もお前と同じ存在になったんだ。)
(何!?)
父親の言葉に一夏は驚く。
(ここに来る方法は二つしかない。お前のようにスピリットと同化している者。もう一つは体を完全にデータ体に作り替えて入り込むくらいしかない。まして、スサノオモンになっているのなら後者しかない。)
(そ、それじゃ・・・・・箒は・・・・)
(戻ろうがこのまま合体して解除しても完全な人間には戻らない。)
(!?)
父親の言葉に一夏はショックを受ける。
(それじゃあ・・・・・・・俺はまた犠牲者を増やしたようなもの・・・・・)
(犠牲なんかじゃない。私の意思でここまで来たんだ。)
(意思?それはどういう・・・・・・!?)
一夏が言いかけたとき、箒は彼にキスをした。いきなりの出来事で一夏の頭は一瞬真っ白になったがしばらくしてやめると箒は真っ赤な顔をしていた。ちなみに両親は思わず口を開いていた。
(・・・・・・私は、お前が好きだ。)
(箒・・・・)
(ずっと傍に居たい。・・・・・・・いつまでも離れたくない・・・・・・・一緒にいてくれないと生きていけないって思ったからここまで来たんだ。)
(お前って奴は・・・・・・俺なんかのために・・・・・)
(一夏がいない世界なんて私は生きていけない。どんなにいい世界だとしても。会えないと思うと辛くて胸が張り裂けそうになる。)
箒は一夏を思いっきり抱きしめる。
(うぅう・・・・・・)
あまりの言葉に一夏の目から涙が溢れて来た。
(一夏は化け物なんかじゃない。私もいるんだから。)
(・・・・お、俺でもいいのか?こんな俺でも・・・・・)
一夏の言葉に箒は頷く。
(だから、一緒に戻ろう。・・・・・・そして、守ろう。これから生きる私たちの未来を。)
(箒・・・・・・・・・・・・・あぁ。戻ろう。みんなの所へ。)
一夏がそう言った直後、一夏の身体中の罅が広がり始め、崩れ始める。
(お、俺の体が崩れている?)
身体は砕けるように崩れ、中からは人間の姿の一夏が見えた。
(一夏がヴリトラモンの姿から変わった?一体どういう・・・・・)
(おめでとう~!!)
(!?こ、この声は!?)
一夏たちは後ろを振り向くとそこにはさらに思いがけない人物が立っていた。
((リ、リリモン!?))
そこにはダークデュークモンと共に消えたはずのリリモンが立っていた。リリモンは二人の反応を他所に嬉しそうに言う。
(いやあ・・・・よかったわね、箒。)
(お、お前がどうしてここに!?)
(さあ?気がついたらここにいて、ついさっきアンタの告白を見ていたの。)
(・・・・・と言うことは俺が嘆いていたところもか?)
(まあね。もう、イチカったら。何諦めかけてんのよ?こんなことでへこたれるあなたじゃないでしょ?)
(・・・・なんか色々と恥ずかしくなってきた・・・・)
(私もだ・・・・。)
一夏と箒は双方ともに顔を赤くした。それを見て満足したのかリリモンの体が透け始める。
(さてと、私もそろそろ行くとしますか。)
(なっ!?い、行ってしまうのか!?せっかくまた会えたのに・・・・・)
(リリモン・・・・お前・・・・)
(イチカ、箒のこと絶対に守りなさいよ。私と同じぐらい、いや、それ以上に心が傷つきやすいんだから。箒もイチカことを絶対に離すんじゃないわよ!そんなことしたら許さないんだから!)
((リリモン!))
(じゃあね!きっとあなたたちにはまた会えるわ!そのときまでにちゃんとくっつきなさいよ!)
リリモンは笑いながら消えて行った。
(・・・・・では私たちも去るとするか。)
(そうですね。)
一夏の両親も消え始める。
(父さん!母さん!)
(一夏、千冬とマドカによろしく頼む。)
(きっとあなたたちなら掴み取れるわ。自分たちの未来を・・・・・可能性を。)
両親も共に消え、一夏と箒だけが残された。箒は自分のデジヴァイスを取り出すといつの間にか一夏と同じものに変化していたことに気がついた。
(・・・・・・・一夏。)
(・・・・・・あぁ、行こう。みんなの所へ、俺たちの未来へ!)
二人はデジヴァイスを翳す。
((ハイパースピリットエヴォリューション!!!))
ダークエリア
「お兄ちゃん・・・・・箒さん・・・・・」
「いっくん~~~箒ちゃん~~~お願いだから二人とも帰って来てよ~~!そうでないと私はちーちゃんやお父さん、お母さんに会わせる顔がないよ~~!」
「・・・・・既に私はここにいるがな。でも、信じよう。二人が必ず戻ってくることを・・・・。」
束、千冬、マドカの三人はただ一夏と箒が無事に戻ってくることを祈っていた。その後ろでベルスターモンとジエスモンは見守っている。
「束も心配性だね。あの坊やがそう簡単にくたばる筈がないというのに・・・・」
「でも、それはアンタだって同じじゃないか?」
「アタシが?」
「アンタだってパートナーデジモンだ。パートナーを心配しないわけがないだろう?それと同じさ。人間にも深い絆というものがある。」
「・・・・・・ふっ。確かにそうかもしれないわね。」
ベルスターモンは納得したように言う。その直後、スサノオモンが突然光り出した。
「ス、スサノオモンが!?」
マドカが驚きながら言う。スサノオモンの抉られた胸の傷は高速で再生しはじめ、目に光が戻っていく。
「・・・・・・・・」
「い、いっくん?それとも箒ちゃん?」
「一夏!お前は一夏なのか?」
千冬たちは心配そうにスサノオモンを見る。スサノオモンは立ち上がるとゆっくり顔を向ける。
「・・・・・・・・千冬姉。」
「一夏!」
スサノオモンの声が一夏の声で千冬はとりあえず安心する。一方で束はまだ心配そうだった。
「いっくん~!箒ちゃんは!?箒ちゃんはどうなっちゃったの~!?」
「大丈夫、今俺と一緒にいる。」
「じゃ、じゃあ無事なんだね!?」
「ああ。」
「ふう~よかった~。」
束は尻餅をつきながら一呼吸置く。スサノオモンはそんな束を見た後自分でゲートを開く。
「・・・・・俺たちも行かなくちゃな。みんなの所へ。」
スサノオモンは、ゲートの中へと入って行く。
「ま、待て、一夏!私たちも・・・・・」
「千冬姉たちは、後に来てくれ。俺たちは先に行ってくる。」
そう言い残すとスサノオモンは高速でゲートの中へと入り、ゲートは閉じてしまった。
「一夏・・・・・」
「よおぉ~し!いっくんたちを信じて私たちも早く行くよ、ちーちゃん!」
束も千冬の手を引っ張って急いでゲートへと向かって行く。
「ちょっと待て束!?お前はまだ・・・」
「ノープロブレム~!このくらいならまだまだいけるよ~!さあ、マドカちゃんも!」
「は、はい!?」
束たちも急いでゲートに入って行った。
ゲート内
スサノオモンは、ルーチェモンを追うべくスピードを上げて移動していた。
「・・・・箒、怖くないか?」
一夏は箒に向かって言う。
『私は大丈夫だ。一夏のすぐ傍に居るんだからな。』
「そうか。」
会話を終えると一夏は再び前を見る。
「行くぞ、これが俺たちの最後の戦いだ。」
次回はルーチェモン、いよいよ人間界に降臨!?