「はっ!相変わらずセンスがねぇ戦いだな」
美砂と野田の戦いは僅か数秒で決着が着いた。
野田がハルバードを振り下ろしたのを躱して、炎で燃やす。
野田はと言うと、焼かれて気絶した。
「なぁ、大丈夫なのか?」
「この世界じゃ死なねぇよ。死んでも数分後にはピンピンしてる」
なんかこの世界に居ると死への抵抗が麻痺しそうだな。
そう思いながら美砂の後に続き、戦線の本部に向かう。
連れてこられたのは校長室だった。
「校長室を占拠してるのか?」
「ああ、そうだぜ。神も仏も天使もなし」
扉の前に立ち、変なことを言ってからドアノブを握る。
「今のは?」
「合言葉。これ言わなきゃ、ここには入れない」
そう言って扉を開けて、中に入る。
「おい、ゆり。連れてきたぜ」
「ご苦労様、美砂さん」
校長室に入ると、そこには色んな奴がいた。
昨晩あったゆり、そして青髪、他には特徴の無い奴、体が大きい奴、長ドス持った奴、赤い髪の女、なんか踊ってる奴、そして、眼鏡を掛けた男…………って!
「お前、高城か!?」
俺は思わず、眼鏡の奴に近寄る。
「な、なんですか?貴方は?」
いや、違う。
似てるけど、コイツは高城じゃない。
「いや、すまん。知り合いに似てるものだからつい………」
しかし、よく似てる。
声までそっくりだ。
「はいはい。貴方の昔話はどうでもいいから、返事を聞かせてもらえないかしら?」
「返事?」
「死んだ世界戦線に入隊するかよ。あ、ちなみに答えは『はい』か『YES』のみよ」
この横暴っぷり、なんか奈緒に似てるな…………
「入るのはいいんだが、いくつか聞きたいことがある」
「なによ?」
「昨日の奴、天使だっけ?どうして俺はアイツに襲われた?」
「さぁ?貴方が死後の世界だっていう証拠を見せろとか言ったんじゃない?」
そう言えば、信じられねぇなって言ったけ。
「え?それだけで俺は襲われたのか?」
「天使に言わせれば職員室は何処か?って尋ねられたのと同じよ」
まさか、それだけで襲われるとは。
これからは、あの子の前では不用意な発言は止めよう。
「じゃあ、戦線ってのは?」
「私が経ち上げた組織よ。私たちが生きてる時、死は皆等しく平等に訪れたわ。私体の活動は理不尽な死を与えた”神”の正体を解明し、報いを与え、この世界を乗っ取ることよ」
「乗っ取る?」
「そう。この世界なら生き続けられる。神に抗えられるのよ」
なるほど。
神に抗うか…………
面白いことするな。
それに、コイツなんか友利に似てるんだよな。
横暴なところとか、一人で物事を抱えてそうな感じとか。
「分かった。お前さえ、良ければ入隊させてもらう」
そう言うと、皆は声を上げて喜ぶ。
「待て、ゆりっぺ!俺は認めおぼぉ!!?」
野田が扉を勢いよく開けると、行き成り現れたハンマーによって吹っ飛ばされ、廊下の窓を突き破り、外に飛び出た。
「うっわ、馬鹿だ」
「トラップの事、忘れてやがんの」
「美砂、もしかして合言葉言わないと」
「ああ、ああなる」
恐ろしいトラップに旋律を憶え俺はゆりの方を見る。
「それじゃあ、戦線のメンバーを紹介するわね」
そう言ってまず指を刺したのは青髪だった。
「彼は日向君。見た目通りちゃらんぽらんだけど、やるときは偶にやるわ」
「フォローになってねぇよ!」
あ、こいつの声、どっかで聞いたことあると思ったら念動力を使ってたあの高校球児と同じ声だ。
名前は…………福山有史だっけ?
「お前さ、野球とかやってたか?」
「え?ああ、やってたぜ。良く分かったな」
「なんとなく思っただけだ」
「そうか。でも、俺をもと高校球児と見抜けるとはやるな。お前とは仲良くできそうだな」
そう言って俺の肩に手を回して来る。
「これなのか?」
「ちげぇよ!」
「次に、彼は大山君、特徴が無いのが特徴よ」
「よろしく!」
「彼は松下君。柔道五段だから、皆は敬意をこめて松下五段って呼んでるわ」
「よろしくな」
「カモォン!レッツ、ダンシング!」
「いや、踊らないけど」
「彼はTKよ」
「それ、本名か?」
「さぁ?でも、本人がそう呼べって」
そんなメンバーで大丈夫なのか?
「で、ガラが悪いのは藤巻君」
「よろしくな、小僧」
「で、さっき貴方が高城って呼んでた彼は高松君。知的に見えるけど、実はバカよ」
「よろしくお願いします」
「で、彼女は岩沢さん。陽動部隊のリーダーよ」
「よろしく」
「さっき飛んでったのは野田君で、部屋の隅に居るのが椎名さんよ」
あ、本当に部屋の隅にいる。
気付かなかったぜ。
「知ってると思うけど、彼女は美砂さん。最近入った新人だけど、超能力が使える頼もしい人よ」
「ああ、知ってるよ。なんせ、生きてた頃の知り合いだからな」
「あら、そうなの。それじゃあ、美砂さん彼の面倒を見てあげてね」
「なんであたしが………ま、別にいいけどよ」
「そして、改めて私はリーダーの仲村ゆりよ。貴方の名前は?」
「一之瀬響だ。よろしくな、ゆり」
そう言って俺はゆりに手を差し出す。
ゆりも握手に応じ、俺は戦線の一員になった。