性転換して一週間が経過。
その間万事屋への依頼は0だった。
「おいどうすんだよコレ、このままじゃ全員まとめて長谷川さんになっちまうぞ」
「一週間ぐらい依頼がないのザラにあった気がするアル」
「おい新八」
神楽の正論は完全に無視した銀子。
「なんですか?」
「お前男なんだから工事現場ででも働いて金稼いで来いコノヤロー」
新八が性転換しても本体のメガネがピンクになっただけで、かけられ機の方は普通のままだったことに腹を立てた銀子は新八への風当たりはかなり強かった。
「どういうことですかそれ!」
「そのままの意味だぜぱっつぁん。お前まさかラノベ主人公みたいなハーレム気分を味わえるとでも思ってたのか?声を松岡に変えてから来い」
「思うわけないでしょうがァ!」
元男と毒舌娘でハーレムなど味わえる筈がないと立ち上がって否定した新八。
「あーんテメーこら!銀子さんじゃ勃たねェってかっ!」
謎のキレ方をした銀子。
「何処でキレてんですか!見た目は女でも中身は銀さんなんですから勃つ筈ないでしょうがァ!」
「チッ…」
一週間女でいたからか心も女に染まりつつあるのかと思う新八であった。
するとピンポーンとチャイムが鳴った。
「き、来たァァァ!依頼人だ!」
銀子と神楽は急いでお菓子の食いカスやジャンプを隣の和室に投げ込み、新八は出迎えた。
「あの…万事屋銀ちゃん(ホントのちゃん)はここですか?」
新八が出迎えた筈なのだが、依頼人は新八と一切目を合わさずに奥の銀子を見ている。
「どうもホントのちゃんでーす」
「はい、それじゃあ…」
依頼人は可愛い女性だった。新八には一切目も合わさず挨拶もなしで銀子と神楽の待つ奥へ入って行った。
「あれ?僕見えてないの?」
「それで?依頼の方は?」
「あたし…マフィアの娘なんですけど…」
とんでもないことをサラッと言った依頼人。
「ま、マフィア?あぁ俺の前の中の人と仲の良いマフィアの話ですか?」
「銀子さんそれはただの梶田さんです」
「いえ…人殺しとか口渇とかいろいろとやっているマフィアなんですけど」
銀子のボケには一切リアクションせず、話を続ける依頼人。
「あっあたしの名前は櫻井ゆりと言います」
「それで梶田さんの娘さんが何の御用で?」
いつになく丁寧な銀子。マフィアからの依頼ではないかと若干ビビっているようだ。
「あたしは産まれてはならない子供だったんです…」
「へっ?事情が変わった?」
思わず髭男爵のように言ってしまった銀子。
「父にとってあたしの母はただの愛人だったんです。父の本当の嫁との間にもちゃんと子供はいます。だから父はあたしの存在が邪魔になったのでしょう…最近度々殺し屋を差し向けて来るんです。毎日返り討ちにして来たのですがそれももう限界で…だから万事屋さんに助けてもらおうと思って今日は来ました」
「えっ助けるって何?SPみたいな事?」
「いえ、一緒に父親を殺してマフィアを壊滅させてください!」
そう言って土下座した依頼人櫻井ゆり。
「いやいやいやちょっと待って!要するに人殺しの依頼⁉︎ 俺たちに犯罪の片棒担がせようってのか⁉︎」
「いいえ。例え父親を無事に殺せてもあなたたちの名前は出しません。あたし一人が豚箱にぶち込まれます」
「そういう問題じゃないでしょ!」
新八がそうツッコんだ次の瞬間、櫻井ゆりは新八の喉元に拳銃を突きつけた。
「な、何なんですか⁉︎」
「貴様男だな?男のくせにあたしの前で口を開くな。殺すぞ」
さっきまでの丁寧なキャラとは全く別だった。マフィアの娘の名に恥じない顔であった。
「は、はい……」
ベビに睨まれたカエルのように何も出来なかった新八は黙って従うしかなかった。
「お願いします!お金はいくらでも出しますから!」
「悪ぃがナンボ金積まれてもその依頼は…」
「そうですか…頼まれれば何でもやるという決まり文句を信じて来たというのに。仕方ありませんね、あたしの命を狙う殺し屋にあたしはここにいると自らリークします」
「ちょっと何言いだしてんのこの子!」
「おそらく殺し屋はあなたたちがあたしを匿っていたと勘違いするでしょうね。さぁどうしますか?」
そう言いながらニヤリと笑った櫻井ゆり。
「この女を招き入れた時点で俺たちは詰んでいたってわけか。まんまと一本とられたな」
「ちょっと銀子さん!そんな事言ってる場合ですか⁉︎ このままじゃ僕たちマフィアと抗争することになっちゃいますよ!」
「だから喋るなと言った筈だ。本当に殺すぞ」
こりもせずまたツッコんでしまった新八はまたしても櫻井ゆりに銃で脅された。
「どうするってもうこの際…やっちゃうしかないだろォ!」
銀子が吠えた。どうやら腹をくくったようである。
「おうネ!私もやってやるアル!」
おそらく最初からやる気満々であったであろう神楽も立ち上がった。
「ありがとうございます!依頼を受けて頂けるんですね!」
「俺たちはマフィアを殺す為に動くんじゃねェ。お前の依頼を受けただけだ。それだけは覚えておけ」
「はい!」
第四訓完。
またお会いしましょう