銀子は最も簡単に錠を外してみせた。
「なっお前…一体どうやって…」
「こんな錠ぐれェなら容易いだろ、俺を監禁されるよりする方が好きなんだよ」
「何だお前ヤンデレなのかよ…」
「違げェよバカ、俺は攻められるより攻める方が好きなだけだ。チッ、やっぱ木刀は盗られてるか」
すると銀子は何処からか取り出した針金で牢屋の鍵を弄り始めた。
「お前本気でここを脱出するつもりなのか?」
「ったりめーだろ。俺は誰の嫁になるつもりもないんでな。むしろ募集する側だっつーの」
銀子は鍵をガチャガチャと弄ってる間にガチャっと鍵が開いた。
「まぁアンタはせいぜい嫁として頑張るこった。それまでボスがキ○タマが生きてりゃの話だがな」
「お、おい!お前まさかこのまま逃げずに乗り込むつもりか⁉︎」
「このまま帰ってもどうせ追っ手が来るのは目に見えてんだろ。だったら元を叩いた方が早いに決まってるからな」
銀子はそのまま牢獄を出て行った。
とはいえ木刀を盗られてる銀子は丸腰状態である。
「だいたい丸腰の時に敵に囲まれたりすんだよなァ、ベタなパターンだと」
そんな銀子の予想通りマフィアがゾロゾロとやって来た。
さらに万事屋を騙した張本人櫻井ゆりまでやって来ていた。
「ずいぶんと早いお付きだな。さてはあの牢屋の同居人はてめーらの仲間だったか?どうすんだよ俺性癖までバラしちゃったよ?」
「悪あがきは止せ。お前の傷はまだ塞がってなどいない。それに丸腰でこの人数相手に勝てると思っているのか?」
櫻井ゆりが銃口を向けながら言った。
「お前銀魂を見返して来い。この銀さんは機械仕掛けの剣に腹貫かれようが拳銃に撃たれようが血だらけで海に落とされようがキ○タマ潰されようが戦って来てんだよ?お前の一刺しぐれェで俺が死ぬか」
「ならここで殺してやる!」
「まてゆり。ソイツのトドメは私が刺す」
マフィアの向こうから一際偉そうな男が現れた。
「やれやれやっとおでましかい。てめーがボスか」
「いかにも私がこのマフィアのボスだ。そして坂田銀時、貴様を殺す為にここへ拉致して来たのだ」
「坂田…銀時?」
コイツのことを銀子だと思っていたゆりは驚く。
「俺が女じゃねェと知ってたのか、最初から俺を殺すことが目的だったんだな。じゃあやっぱりあの牢屋での話は全て嘘か」
「貴様なら必ずあの牢屋を抜け出して来ると思っていたからな。あそこに配属した者には適当に話を合わせておけと言った。だから恐らく嘘だ。全ては坂田銀時!貴様を殺す為になァァ!」
そう言うとボスは拳銃の銃口を銀子に向けた。
「ちょっと待ってくださいお父様!この女…いえこの男が坂田銀時というのは本当なのですか⁉︎ あたしにはそんな事一言も……」
「ゆり、お前は余計な詮索をしなくても良い。ただの私の言う通りに動いていれば良いのだ。そしてこの男は坂田銀時だ、だったらどうした?」
「あ、あたしはこの銀子という女がお父様の仕事の邪魔をしたというから手伝ったのです!」
突然ゆりの様子が変わった。何も知らされていなかっただけでは無さそうだった。
「だから何だと言うのだ?銀子だろうと銀時だろうと私の仕事の邪魔をしたのは事実だ!」
「おいっ、さっきから黙って聞いてりゃ俺がいったいアンタの何を邪魔したってんだ?それをまず言うのが常識だろ」
「ならば教えてやろう!貴様はこの入れ墨に見覚えがある筈だァ!」
そう言うとボスを始め、ゆり以外のマフィアが全員首元を見せた。そこには赤い蜘蛛の入れ墨が彫られていた。
「それは…紅蜘蛛党だったのかてめーら」
紅蜘蛛党とはその名の通り紅蜘蛛篇にて登場した非合法薬物の売買をしていた組織の事である。
「坂田銀時ィ!貴様が頭目を殺ったおかげで吉原に紅蜘蛛党が一斉摘発され我らは捕まりこそしなかったが一気に仕事を失ったのだ!貴様さえいなければ我々はもっと高見に行くことが出来た!おかげでこのマフィアは火の車なのだからなァ!」
絵に描いたような逆恨みである。
「だったらそれで撃ってみやがれ。丸腰の女一人に寄ってたかって襲いかかって最後の良いとこだげ自分でやろうってか。そんなボスが率いるマフィアなんぞ勝手に潰れるだろうからな」
「き、貴様〜!ならば望み通り殺してくれるわァァァァァ!!」
銀子の挑発にブチキレたボスが撃ち殺そうとした瞬間、逆にボスの手が撃たれ銃が弾き飛ばされた。
「な、何⁉︎」
「もうアンタをお父様と呼ぶのは止める。もともとアンタはあたしの本当の父親じゃないしね。そこまでのクズにあたしはついていく理由はない!」
「貴様…ゆり……」
そう。ボスを撃ったのは櫻井ゆりだったのだ。
「お前なんで、俺を殺したがってんじゃねェのか」
「あたしが殺したかったのは坂田銀子という女だから。アンタが本当は坂田銀時っていう名の男だというのならあたしが殺すターゲットじゃない」
そう言うとゆりは銀子に木刀を渡した。
「ったく…あのままあのバカの下についていた方が長生き出来たろうによ」
第七訓完。
またお会いしましょう