転生したら狩人×狩人 作:楯樰
私とネテロ会長の話合いは滞りなく終わり、ハンターを何人か選ぶという話は、ハンターを初めから育成する人数を増やし、選び抜く人間は後でという形で決まった。
ちなみに何年も掛かる壮大な計画になる予定。
そして会長とは四つ約束事をする事になった。
一つ、誰にも応用技の存在を言ってはいけない。
二つ、私の要求には出来るだけ応える事。
三つ、会長の要求にも出来るだけ応える事。
四つ、私達一家は会長職以上の人物(例:V5とか)以外からは、強制力を持たない。
と、なんとも私に得が多い内容である。
そしてネテロ会長の臨・廻・剛の習得及び、ハンター育成に私は力を貸す事となったのだが……
「……会長のお眼鏡に叶う逸材がいない、ねぇ…」
…育てるべき人間が居ないのでどうしようもない。
「……急にどうしたの姉ちゃん?」
箸を咥えたラディストが私に尋ねてくる。
ちょっとアホの子みたいに見えるが、尚のこと可愛いと思うのは私だけだろうか。
いや、多分お母さんとお父さんも同意してくれるはず…!
と、他愛も無い事を考えつつ私は、何でも無いと平然を装いながら答えて、注文したカルボナーラを口に運ぶ。……今は食事に集中しよう。
――会長との会話を終えた今、私はラディと一緒に夕食を食べに来ていた。
ビスケットは心源流の道場の方に『師範代の役職をしばらく休むから後の事よろしく』の電話を入れに行ったので今は居ない。
で、今は私とラディの二人きり。
所謂デート。
つまり私のテンションうなぎのぼりである。
ただ、ラディストに言うと赤面確実なので少しの間黙っておく。
初々しい所も可愛いよね、ウチの弟はっ!
会長の趣味か、此処ザバン市にはジャポンにあるような店が多々あり、私にとっては非常に懐かしい気分が味わえる。そしてそんな中でも美味しいと評判だったファミレスでの食事だ。おまけにこの店、なんと和洋中なんでもござれ。
で、私が頼んだのはカルボナーラ。
……好物故致し方無し。
「ねぇ、ラディスト。その天ぷら一つ頂戴?」
ただ、カルボナーラだけって言うのもあれなので、ラディから少し貰おう。
ちなみに弟は、昔から好きな天ぷらの定食(味噌汁付き)、横から盗ったら絶対怒る。
「えぇー…嫌だー」
ケチ。ちょっとくれたっていいじゃない。
「私の一口と交換じゃ駄目?」
「むー…それならいいけど……」
……よしっ。
「ふぅ……食べた食べた」
「いや、姉ちゃん食べすぎ…」
「え、そんな事ないよ?」
失礼な、私は小食だ。
まったく……おかわりの十杯が多いだなんて。
「はぁ……自覚無いの? 昔はそんな食べてなかったじゃん」
「細かい事は気にしないの。……少しは自覚してるから」
「……ならいいんだけどさ」
訂正。小食と言うのは確かに嘘だ。
体を弄ってからエネルギー摂取量があきらかに増えているのは分かってる。
私の考えてる能力が出来れば元の食事量に戻るはずなんだけどね。
「それで姉ちゃん…………なんで腕組んでんの?」
「……え、駄目?」
「いや……いいけど」
赤くなってそっぽを向く我が弟。
うーん、周りからの視線が鬱陶しかったから、カップルのふりを協力して貰おうと思ったんだけど……うん、いい事思いついた。
……このままラディをからかう事にしよう♪
そうとなればすぐさま実行、私は組んでいる腕に双丘を押し当てる。
俗に言う『当ててんのよ!』と言うやつ。
「ね、姉ちゃんっ!?」
「うん? どうかした?」
「い、いや何でも無いけど……」
狼狽してさらに赤面する弟。
ニヤケそうになるのを抑えてごく普通に返す私。
『おい俺、コレは姉だ。血の繋がりのある姉だ。だから赤くなるのは間違い、赤くなるのは間違いなのにぃ~!』とラディストの脈拍が訴えているように感じるのは気のせいじゃ無い。
……可愛いなぁ。
少し落ち着いた弟は、腕を組んでいる私の方に向いて口を開いた。
「えっと、カトリアさん」
おおう、丁寧語になった。
「なんでしょうか、ラディスト君?」
「ちょっと離れて貰ってもよろしくて御座いますでしょうか?」
「よろしくないですラディスト君!」
私は笑いを堪えつつ返事をし、さらに胸を押し当てる。
「ぅぐう……」
弟はぐうの音しか出ず、また真っ赤になる。
くそー…やっぱり可愛いなっ!
……しばらく街の中を歩いて私達の事を探していた妹に見つかるまで、私は顔が真っ赤なラディストとデート気分を堪能した。
見つかった時ビスケに呆れられたのはお約束。
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「はぁ……どうしようかなぁ」
「何が? ……というかお前、堂々と入って来過ぎだろう、えぇ?」
「え、私ノックして来たよ?」
「いや、試しの門ノックしても意味無いだろう!」
「まぁそうだけどねぇ~」
「お前と言う奴は……」
ズズ…とお茶を啜る。
私は今ちょっとしたお宅へ来ている。
ハンター試験から一ヶ月。のんびりと家で過ごすのもつまらなくなったので遊びに来た。
いや、一般人からしてみればちょっとどころか、一生掛かっても来れないような場所。
まぁ私の唯一の友人、ゼノ=ゾルディックのお宅なんですけどね……って
「うぇ、コレ毒入ってるじゃん。アーモンド臭がするー」
「お前なぁ……人の家に勝手に上がり込んで来て勝手に飲むなよ、というか平気なのかお前」
「はー……何が悲しくてリアル『ペロッ、これは青酸カリ!?』をやらなきゃいけないの」
「……いや、知らねえし。つか、マジでお前帰れよ」
「やだ。……だってまだシルバ君見て無いもん」
「あーもう。なんであいつこんな時に電撃の訓練してんだ」
「はは。ま、少しの間だって。それまで私の話相手になっときな」
「……はぁ」
心底つかれた様子のゼノ。
ひどいなぁ……私とていつ暗殺されるか分からないのに。
まぁ常に廻やってるからそう簡単には死なないけどね。
にしても私って交友関係少ないよなぁ……23年近く生きてきて友達が1人しか居ないって。
会長は友人にカウントしないのであしからず。
あれは好敵手であり、先生と生徒の関係だ。先生と生徒と言っても、あの応用技に関してだけなので人生感で言ったら後輩と先輩。この前、臨と廻の習得率を確かめるため、ガチでやりあったら十一勝十敗。今私が勝ちこしているが、多分次やったら負ける。なんだかそういうジンクスのような気がする。
それにしてもあのジジイ、どさくさにまぎれて私の胸やら尻を触ってこようとしやがって…!
あ、もう22とっくに過ぎちゃってるので私の体は不老不死になってます。
「永遠の二十二歳です☆」をまさか自分がやる事になるとは……どうでもいいけど。
いや、でもホントどうしようかなぁ……。
とりあえず原作開始まではトレジャーハンター兼賞金首ハンターでやっていこうと思っている。
ほかには……旅でもしようかな。
「親父ー電気への耐性訓練終わったー……あ」
銀が濡れたような髪を持った五歳児が私の居る、ゼノの私室に入って来る。
「あ、シルバ君だ」
「……親父、誰コイツ。……と言うか、いつの間にこの人の膝の上に座らされて頭撫でられてんの?!」
訳が分からないといった風に今置かれている状況を分析するシルバ。
うーん……将来美形になる子って可愛いんだよなぁ…よしよし。
「あー…覚えて無いか、俺の友達だ。ちっちゃい頃会った事あるだろう」
「一歳の頃? 流石に覚えて無いわ……あ、親父が『化け物みたいに強い女がいる』って良く愚痴ってたけど、この人のことか。……というかいい加減離して貰えません?」
「……無理かな」
ほー……ゼノの奴、そんな事言ってたのか……覚えとけよ?
「いや、その胸が頭に圧し掛かって……」
「はいはい、子供はそんな事気にしちゃ駄目だぞー…こういう体験できるのは子供の内だけなんだから」
必死に私の膝の上から抜け出そうとする、照れているシルバくん。
残念でした。そう簡単には離しませんよ?
「くぅー……親父、なんとかして!」
「無理だ。……世の中あきらめる事が必要な時も来る。それがその一つだ」
なんだか無駄に悟った顔をして息子に言い聞かせるゼノ。
「……くっそぉー!」
そしてシルバ少年の、世の中の不条理に対する叫びが屋敷の中に響いた。
……ま、全部私が原因なんだけどね。