転生したら狩人×狩人   作:楯樰

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お酒は念に変えました。

1965年九月八日。

 

一昨年ビスケットが私の元を離れて。

数え年で私は30歳となる。

 

なんというか最近憂鬱だった。

 

私が死に、この危険いっぱい&未知の生物わんさかのこの世界で生きて行く覚悟をしてから三十年。

これが丁度私が前世生きた年数でもあるわけで。

 

新たな生が歩めるようになったのは儲けもの。

しかし、戦争や貧困に困った環境で無いにしろ、歩く所を間違えれば死亡フラグが乱立する世界に来る事はないでは無いか、と何処に向けるとも無い、燻る憤りを感じていた。

 

そして、この何処にぶつけていいか分からない鬱憤を忘れるため、私は故郷と似通った景色のあるジャポンに赴き、日本酒……否、ジャポン酒の一升ビンをあおり、望郷の念に浸っていた。

 

「……嬢ちゃん、大丈夫か?」

「…………うん、大丈夫」

「とは言ってもなぁ……それ、五本目だろ?」

「家で一本空けてるから六本……」

「……すごいな、嬢ちゃん。何処にそんな入るんだよ」

 

とまぁ、人気の無い居酒屋で心配されるほど飲んでいた。

 

……だってさ。

毎日毎日、一歩一歩漫画やアニメ、読書くらいしか楽しみが無かった、あの日常があっさりと。

 

それこそコンマ三秒くらいで変わったんだもの。

 

一気に波乱万丈、逸脱したこの世界に誰の意図かもわからず赤ん坊の姿で目が覚めて。

きっと漫画やアニメのような世界だと気づかされなかったら発狂していたと思う。

そして両親が、自分という存在に理解(・・)ある人たちで無かったら、とうの昔に狂っていた。

 

言葉の憶え直しや、異なる常識の習得。

その他諸々をしっかりとした意識がある中、再度やる事になるんだから。

 

転生して女に生まれて。

男だった時の自分を捨てきれず。

かといって何だかんだと同じような境遇にあった母親に、女としての意識を植え付けられて。

それでも異性は好きにはなれなかったし、同性を愛そうという気にもなれずに。

同性の友達も作るのに抵抗があった。

 

信頼できるのはそういう関係抜きにして接してくれる家族やゼノ。

冗談半分でセクハラはしてくるけど、年齢的には一回り以上離れてるネテロとか。

 

あぁ、なんとも厄介な自分。

 

「……私、どうしたらいいんだろ」

「……」

「なんかさ、私これでも年齢的には30になるんだけど……ん」

握った一升ビンを傾け、喉を潤す。

「――ふぅ。……どうにも、これからどうしたら良いかわかんないんだよね」

 

儘なら無い。

かつて、前世でも思っていたこの気持ちは切っても切れるようなものでは無いのか。

……いや、人でなかったとしてもきっと自意識があるのならば悩むのかもしれない。

 

「……そりゃ、人生なんてそんなもんだろ」

「……はぁ」

 

酒気を帯びた息を吐いていると声が掛かる。

黙々と作業をしていた酒屋のおじさんだった。

 

「俺だって今こうして人の来やしねぇ居酒屋のオヤジやってるが……昔はアイドル目指してたんだぜ?」

「へー……」

「信じてねぇな。――家飛び出して、挫折して、情けなく帰ってきて、親父のこの店継いで、今に至るって訳さ」

「うーん……よく見れば男前だったのは判らないでもないな、うん」

「よせよせ、照れる。ま、人生色々それこそ十人十色。こんななりでも好いてくれる嫁がいて、結婚してんだ」

 

まぁ、居酒屋のおじさんも結構苦労してるみたいだ。

 

ハンターやってて、どんな職にも就けそうなのに苦労して来たとは言えないな。

私以上に嫌な想い、気苦労重ねてきた人なんて沢山いるし。

実際のところ両親との生活も楽しかったし、良い思い出しか無い。

流石に鬼のような念の修行は良かったとは言えないけど……。

 

「……ん、ちょっと元気出た。ありがとね、おじさん」

「おう、そりゃよかった」

「代金、此処置いとくから。余ったのは好きに使って下さい。それじゃ」

 

「は? ちょっと……って消えた。何がどうなってるのやら……」

 

飲んだお酒代と少しを置いて居酒屋をあとにした。

私は自分のやりたい事を探すため、此処から西へ。

ただその前に一度、私の両親のいる実家へ帰る事にした。

 

-------------------------

 

テレポートを使い、実家玄関へ。

朝とはいえ、なんだかどんよりとした空気だった。

ただいま、と声を出してみるが、返事は無い。

出かけたのだろうか、と思ったが靴があった。

 

「二人ともー……?」

 

反響する私の声。

まるで住人の住んで居ない空き家のような……そんな感じ。

 

「――!」

 

唐突に嫌な予感がした。

靴を脱ぎ少し早走りで向かうのはリビング。

 

「……ははは……マジか……」

 

思わず笑い声が出る。

リビングに入り、目に見えたソファーの上。

……そこにあったのは仲良く二人して手を繋ぎ、幸せそうに逝った両親。

今まで一度も親孝行を果たさせてくれなかった二人の抜け殻。

 

信じられない気持ちで念能力を発動。確認する。

それでも二人の灯火は感じられない。

 

「……こういう時、どんな反応したらいいんだっけ」

 

わかんない。

何も分からなかった。

ただただ、涙が目から溢れていた。

 

 

茫然自失と暫くなっていたが、ふと目を向けた先にあった手紙に気づいた。

その私宛になってた二人からの遺書らしき手紙を読み進めていく。

 

内容は、

兄弟仲良くやれ。

家は管理しといて。

それから二人が隠していたもう一つの念能力。

 

要約。

 

『二人して同じ世界に転生するから兄弟仲良く、それまで家をよろしく!』

 

……。

 

あ、あははは……。

 

「――私の悲しみを返せッ! バカップル!」

 

私の声はむなしく無人の母屋に響いた。

 

手紙に書いてあった能力は二つ。

 

 

 

 

死が二人を分かちても(エターナルエンゲージリング)

 

・特質系+具現化系

この念能力は死ぬと発動する。

同じ能力を持った者と愛し愛し合う関係にあった場合、発や経験、記憶を引き継ぎ、同世界に転生し再び愛し合う仲になる。

念系統は特質を引継ぎ、転生するごとに得意な念系統は増えていく。

 

・制約と誓約

死ぬ前に同じ能力者以外に知られると発動しない。

同能力者同士、互いに殺しあえば発動する。

死ぬ直前に具現化した指輪を嵌めていないと発動しない。

具現化させた指輪はオーラ総量の一割を使って作られ、死ぬまではずせない。

自分と相手がこの能力を持っており、愛し合う関係で無いと発動しない。

他の世界には転生できない。

 

 

七つの実がつく前に(劣化型七見式見稽古)

 

・特質系+操作系

一度見た対象の戦闘技術を記憶し、自分のものにする能力。

 

・制約と誓約

凝をしていないと発動しない。

自身が戦闘中でないと発動できない。

 

 

 

 

あぁ、なるほど。

私も私だが両親もチートだった。

それもドのつくほどのラブラブぶりで。

 

……ビスケ達になんて言おうかな…。

 

 




……とても。とても長い息抜きであった。

まずは謝辞を。
遅れてすみませんでした。
テスト期間中にやる部屋の片付けのようにポケモンを書き進めてしまいました。
まだまだ先は長いですが、完結目指してやって行こうと思います。

それでは。
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