転生したら狩人×狩人 作:楯樰
……原作は遠いな。
「さぁ、どこからでもどうぞ? 稽古するつもりでかかってきなさい」
審判ラディスト。
その他見学。
勝利条件は降参させるか無力化するか。
――生かさず殺さずが出来て初めて念能力者として一人前だと思ってる私にとっては他愛もないこと。……咄嗟の出来事とかにはまだ加減が効かないけど。
ほら、胸揉まれたりだとか。
そんなわけで事故を防ぐためにも降参させたいのだけど……むむむ。
……ちょっと脅そうか。
私は体の内に閉じ込めていたオーラを放出させた。
ヘブン状態とでもいうような開放感が体を走る。
ラディとの会話の後からずっとだけど、限界まで剛してたら流石に疲れた。
「……」
……ううん? なんで白目向いてるん?
「……あのー、お姉さまちょっとよろしくて?」
「なんでそんなお嬢様っぽいの? 何、目覚めちゃった?」
「違うっ! ……そんな濃密なオーラ出されたら普通、気絶するから」
……うん?
「あっるぇー」
周りを見渡すと――日常的に浴びてる二人と、それなりに人外強度が近い肉親以外が全員気絶してました。
――あ、二人が気絶した。
「さ、仕切りなおし。よし、かかってこい」
「ごべんだざい……」
気つけして起こしたら、涙流して土下座で謝られた。
一体私が何をしたというのか。ただちょっとオーラ出しただけなのに。
心底問い詰めたいから、と掴み掛かろうとしたところでラディストに止められた。
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「……ちょっと予想してたより弱すぎ。メンタル的な意味で」
「あ、あははは……」
「ネテロに伝えようかなー」
「――ごめんなさいマジでそれだけは勘弁してくださいお願いしますお姉さま」
「……はぁ……」
ラディが物凄い勢いで頭を下げたので許してやることにする。
――場所はラディストがオススメの料理店……ふむカルボナーラがあるからこの店は良い店だ。
長話になるから、と弟子二人には帰宅を促したのだが、遊びに行きたいというので一人1000ジェニー程握らせて外に出した。
……ミトちゃんがいるから死ぬことはないだろう。ジンも充分強いし。
頼んでいたカルボナーラが来たので私はフォークとスプーンを構えた。
「……ま、私にも非はあったから許しましょうか」
「姉ちゃんマジ天使」
「もっと褒めてもいいのよ?」
「姉ちゃんマジ女神!」
「……抱く?」
「はぁ!? ば、バッカじゃねーの!」
態々私はフォークを置いて、ラディストに胸を寄せて上目遣い。……むっつり助平なラディがちょっと反応しちゃうのは仕方ないね。
冗談なのにマジギレする弟可愛い。
……あー、よし。落ち着こう。
「ごめんごめん、許してラディスト。……こんなくだらない話するために呼んだわけじゃないんだ」
「はぁ……で、何の用?」
「はい、これ」
ポーチから経由して《箱庭》から取り出したのは例のアレ。
「なに、これ」
「んー……残念道具?」
「残念って……――言葉通りの意味じゃないだろ」
「勿論」
残った念の道具って意味ね、と言って私は一口食べた。
「まったく。そんな、妖しいもの何処から手に入れたのさ。言ったろ? 蒐集癖も大概にしろって。……幾ら姉ちゃんでも怨念だとかになると話が変わってくるんだから……」
「わかってるよ。心配してくれてありがと。……でもちゃんと出自もハッキリしてるし、怨念じゃなくて性質は執念だったから特に問題はないよ」
除念師として活動してるラディストが言うのだから真実味を帯びてくる。
実際怨念に憑かれた道具を見せてもらったことがあるけど……触れるだけでヤバそうだった。
でもだからって教育ママの如くしつこく言われると腹が立ってくる。
だからってなぁ、とまだ何か言いたげなラディストの口に、丸めたパスタを突っ込んで黙らせた。
「それで、こいつの名称は《邪気眼》。別名としてつけるなら煩悩の具現化装置……とでも言おうかな。――さぁ、これを君に授けよう!」
「……なんだって俺にくれるのさ」
えふん。スルー辛い。
「ま、まあ私が持ってても宝の持ち腐れだし……あと他の人に渡したくないし」
「ふーん……もしかしてそれなりにヤバかったりするの?」
「……相当。悪用すれば世界征服できちゃうかも」
「んなもん渡すなし! 返す!」
受け取って眺めていたラディストが黒い蛇の眼球の様なソレを投げつけてきた。あぁん痛い。
「もう……素直に受け取ればいいのに。……あ、じゃあお姉ちゃんが愛情込めて渡せば受け取ってくれる?」
「うっさいバカ姉! ビスケに渡せばいいだろ! ……元中二病のアイツにピッタリじゃねーかっ!」
「……ねぇ、その言葉ブーメランになってるの気づいてる?
「…………死にたい」
「……ごめん」
今から自殺します的なオーラ出してた。所謂黒歴史。
……よくよく考えれば私も人の事言えないからこのネタでからかうのは止めよう。右腕が痛くなってきた。
「……じゃ、宝石……みたいにも見えるからビスケに押し付けるという事で」
「……うん」
古傷を抉られたラディの元気づけに店員さんにハニトーの追加注文をして、食後のデザートへと洒落込む。
……むせ返りそうなくらいホイップクリームつけたら怒られた。
「糖尿で死ぬわ!」
「いいやッ! 私にはカンケーないねッ!」
弟が元気出たので良しとしよう。
※ハニトーは後で私が美味しく頂きました。
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ジンとミトの両親が事故で亡くなるという大きな分岐点になろう出来事が、いつの間にかなくなっていた。……何を言って(ポル略)
そんなわけで遠慮していた二人のご両親への顔合わせと、いつも遅くまでお預かりしている事への詫びも含めて彼らの家にお伺いした。
それが丁度三日ほど前の事。すでにあの二人と邂逅から三年。
今日はその記念日、と言ったら可笑しいけれど、一年に一回の定休日。
二人には来なくていいと言伝をしている。
そんな休日を使って私は久々に友人の元へと向かっていた。
念能力で跳んだ先。表玄関の計128tの大門を軽快な音を響かせながら開いて。
「……あ」
「あ、シルバ君だー」
目と目が合う、瞬間――
「――うわぁあああ! 化け物女が来やがったぁああああ! オヤジぃいい!!」
逃げられた。
これはひどい。
とりあえず気絶させ生け捕りにして目的地に向かった。
「ちわーっす、三河屋ーっす! シルバ君をお届けに参りましたー!」
「三河屋……ってやっぱりお前か! 来るんなら連絡くらいして来いっつったじゃねーか!」
「しーまーしーたー! したらツボネちゃんに来るなと言われたんですーぅ!」
「おま、それでかッ! それで倅は亀○縛りで抱えられてんのか?!」
「……あ、ごめん。このシルバ君、23才推定童貞は私を見て逃げ出そうとしたので捕まえました。ゲットだぜ!」
「ゲットだぜって……暗殺者舐めてんのか、お前は」
「やだ気持ち悪い。舐めるわけないじゃない……きっもー」
「何時まで経ってもガキだな……はぁ」
「……若いって言ってほしいなー」
ゼノってば失礼な奴だ。
私も人の事言えないけどさ。
「……ちなみにもうそいつ結婚してるからな」
……え。