転生したら狩人×狩人 作:楯樰
下の二人がお小遣い稼ぎ……もとい、天空闘技場に参加するため家から出て行った翌年。久しく連絡が取れなかった二人が家に電話をかけてきた。
二人が電話をかけてきたということはつまり、
「200階に到達したのか~……」
『うん? そうだけど……どしたの姉ちゃん、感慨深い声出して』
「あ、いや、懐かしいなーって思っただけだから気にしなくてもいいよ。……それで、元気してた?」
『うん、元気してたよ。あ、勿論ビスケも元気にしてる。……ところで姉ちゃん昔フロアマスターだったの? ……なんか“あの幼児と知り合いか!?”とか“もしかしてあの子の御兄弟?!”とか審判の男の人とか、受付のお姉さんや解説のお姉さんが言ってたんだけど……』
うわっ! 懐かしー……。
「うん、それ私だわ。なんか迷惑かかってた?」
『……確か俺たち生まれる前には200階来てたんだよね』
「うん」
『ってことはカトリア姉ちゃん6歳の時にフロアマスターなってたの!?』
「えっと…………ごめん?」
『はぁー……ま、姉ちゃんが規格外だって事はずっと前からわかってた事だから……もうあきらめてるよ』
……電話先からため息が聞こえる。
「なんか御免ね?」
『いいよ、別に。それよりさー聞いて欲しい事があるんだよ』
「うん? お父さん達には言った事?」
『いや、まだ言ってない。それがさ……』
多分お父さんやお母さんにまだ話してないような事は重要じゃ無いだろうと、聞き流しつつ此処一年間の私を振り返る。
……弟妹二人から、200階に到達するまでは連絡はしないと言われ待ち続けること一年間。
この一年間は頭の隅でラディは元気にしているか、ビスケは悪い人に捕まっていたりしてないだろうか、と考えて修行に身が入らなかった。
初めにお父さん、次にお母さんが電話に出て、ようやく私の番がまわってきて二人の元気な声を聞いたときは泣きそうになった。
うん、でも二人が元気なら私は良いんだ。
可愛い弟と妹に会えなくてもっ……!
「うぅ~……二人に会いたいよ~…!」
『……きゅ、急にでた。姉ちゃんのブラコン・シスコン…! やめてよ、恥ずかしいんだから! …………おいビスケ! なに笑ってんだよ。ば、馬鹿! 後でかわったとき姉ちゃんに変な事言うなよ! ……って、あぁー! もう! 姉ちゃんも俺の話聞いて無いし!』
「うん…? あぁ、ごめんごめん聞いてなかった。で、なんだって?」
いかんいかん、本音がもれてた。
『はぁ…………それがさ、試合見に来てた変なお爺ちゃんに“一番弟子にならないか”って誘われてんの……どうしたらいい?』
うん? ……変なお爺ちゃん?
「あー……えっと、ちなみにそのご老人の名前は聞いた?」
『うん、なんか……ネテルだかネテラとか言ってた』
「…………ちょっとごめん。後でかけ直す…」
――ガチャリ。
ふぅー……。
「おとーさん! おかーさん! 家族会議ッー!!」
お母さんが皿を落としそうになり、新聞を広げつつソファーに座って舟を漕いでいたお父さんは『何事か!』とキョロキョロしながら目を覚ました。
全然重要な話じゃん弟よ……
「……じゃあ、二人がネテロの弟子になるのは賛成という事で。……それから、私としては不本意ながら一度顔合わせをする……で、OK?」
家族会議で議長をしていたお母さんが言う。
「OK!」
「……私も不本意ながらおーけー…」
全然不本意じゃないのはお父さんのみである。
くっ……お父さんめ、ネテロ会長と手合せしたいだなんて!
家族会議は30分ほどかかり、結果二人の様子を見ると同時にビスケとラディを一番弟子にしたいらしいネテロに会いに行く事になった。
私の予想では、ネテロが二人に声をかけた理由は、二人の事を私の親族、又は縁ある人物だと判断したためだろう。
あー……私も手合せ付き合わされるんだろうなぁ~…。
確かに可愛い息子達の預け先が本当に大丈夫なのか、気になる気持ちはわからんでも無いけども。
だからといってなんで私も会わなきゃならんのだぁー!
まだ決まった訳じゃないけど!
私の本能が“絶対手合せするだろうな”っていってるんだよぉー……
「……それじゃ、これから会いに行こう!」
「「おぉー…」」
……マジ不本意。
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二人の電話から三日ほどして天空闘技場についた私達三人は、ラディストが貰った部屋で一人の老人と対面していた。
「……一人は此処天空闘技場で最年少のフロアマスターとなり、早々に行方をくらましたカトリア=クルーガー。一人はハンターの中でも特異な運輸会社のサラリーマンをやっており、ある意味得体が知れないディライト=クルーガー。おまけにその妻も念能力者とは……ホント何者じゃよ」
言わずもがなネテロ会長である。
ラディの部屋に入ったらいたのでビックリした。
二人はビスケの部屋に移ってもらってる。
ちなみに部屋番号を聞くため受付で私の名を名乗ったら、著名人の如く扱われた。
そんなに有名になってたのか、私。
「……ははは、会長。僕はハンターのつもりは無いんですよ? 試験を受けたのはホントに戸籍が欲しかっただけですから」
「そうじゃのぅ。確かにあの時の記録にはそう書いてあったな」
うん、そうだろう。
お父さんはトリップしてきた訳だから。
そのためじゃないとお父さんはハンター試験を受けなかったと思う。
「……しかし、しかしじゃ。こうしてお前さんの近くには、双子にその娘…そしてお前さんの伴侶までもが念能力者。ハンターのお前さん以外に念が使える者が四人もいるのじゃ。
……それなのに、“お前さんが何も企んでいないと考えるな”と言われるほうが無理な話ではないか?」
……確かに。
「そうですね。……ですが私達は特に企み事なんてしてないですよ? ま、強いて言うならば、この過酷な世界を生き抜くために画策している、とでも言っておきましょうか」
今まで黙っていたお母さんは、父さんを弁護するためネテロに反論した。
「……客観的にこの世界を見れば会長でも自ずとわかります。僕も妻と同じで客観的にこの世界を見た故で子供達に念を教えてますから。念という能力の存在や、災害指定級の生物が跋扈するこの世界を生きぬく為には念能力が必要だと判断した上で。」
お父さんもお母さんに続いて自身の考えを言う。
私も同じく、客観的に見た上でこの世界で生き残るため念を習得した。
お父さんたちが言う『客観的』はハンター×ハンターを読んでいたあの時の事だろう。
言い方を変えてはいるけど確かに説得力がある。
「ふーむ……わからんでもないの。納得した事にしよう。
……よし、これでこの件はお終いじゃ。それで、あの双子についてなのじゃが、わしに預けるつもりは無いかの?」
「納得してもらいありがとうございます。二人については預けてもかまいません。ただ……」
「……ただ?」
こ、この流れは……
「その前に僕と手合せ願いますか?」
「ほう……」
やっぱりお父さんやるんだー。
……どうか私には飛び火しませんように。
「……なら後で娘さんともやらせて貰おうかの?」
――イ、イヤーッ!!