「……え?」
なんか小気味良い音と共に巨人さん吹き飛んじゃったんだが。
呆然とする俺と残った巨人の皆さん。
ドッキリ番組の絶頂期の頃の仕掛けられた人に漂う雰囲気と似ているものが空間を支配しかけると、激高した巨人たちが続いて襲いかかってきた。
「あ、ジャストガードか」
巨人の攻撃を軽く回避しながら先ほどの現象に気づく俺。
『ジャストガード』簡単に言うとそれは敵の攻撃に対してタイミング良くガードすると反撃で少しのダメージと自らには一瞬の間無敵状態を付与する技である。
「ぐぉぉぉ!このチビなんで当たらない!?」
驚愕に顔を歪めながら喚く巨人たち。あ、レベルの横に種族名書いてあるな。『****トロール』?表示バグかな。ココらへん適当なのが夢クオリティだよなぁ。
しかし人が考えてるのにうるさい奴らである。
だがトロールの行動を回避しながら自分に意識を集中すると解る。
自らに残る体力、HPの残量、技を繰り出すPPの残量も!
「黙ってろ!ノヴァストライク!」
大剣のフォトンアーツの一つ、ノヴァストライクを放つ。
周囲に大剣を振り回す技なのだが、本来は一定の溜めを行う事によって威力が上昇するモノである。
周りのトロール達は哀れ上半身と下半身がグッバイしてしまった。
残ったトロールは後方でビビってたのか一匹のみだった。
なんか凄い怯えてて良心が痛むのだがエネミーだし夢だし、色々実験すべきだろうか?
というよりこの感じだと特にフォトンアーツを使わなくても圧勝できそうである。
なんて色々考えていると隙ありと思ったのかは分からないが、破れかぶれに突っ込んでくるトロールくん(Lv19。頑張れ。もう少しで20だ!)
今度はフォトンアーツを使わずに上段から縦に一刀両断する。
縦に分割されたトロ ールくん。某ロボットアニメのようにポーズを取る俺。
「へえ…決められたモーションしか出来ないと思ったら随分自由度あるのな」
感心を思わず口に出す。
そうPSO2はアクションゲームで、様々な武器種、クラスがあるが流石に未来のVRゲームじゃあるまいし、攻撃モーションは決まっている。
例えば、大剣の通常攻撃は横切りのみであるとか。
「なんか楽しくなってきたな…ん?」
楽しげに大剣をブンブン振り回していて広場の隅の異変に気づく。
あそこだけ空間ゆがんでね?
いきなり目の前に黒い玉が収縮するように出現する。
縮んだり膨らんだりするソレに驚きながら目を凝らしなんとかレベルを見てみる。
『???(Lv75)』
驚愕の数字である。俺のやっているPSO2のカンストレベルと同じである。
まるでブラックホールのように収縮を繰り返すソイツから目を離さないでいると、突然収縮は止み、1個の毛玉が現れた。
「こんにちはニャウ!」
「なん…だと…!?」
現れたのは猫だか兎だかよくわからない茶色い毛並みを持つPSO2の超時空エネミー。『ニャウ』だった。
「何でニャウが…!?いや、ゲーム的には神出鬼没だし正しいのか?」
「フフフ…今回は異世界に旅だったルフタ。君のために特別に説明に来たニャウ!」
語尾のウザさがヤバいが、ニャウの言葉が事実ならばやはりここは世界なのか。
「しかし何故俺が異世界なんかに?PSO2の姿と能力で」
「実はPSO2で裏キャンペーンをやってたニャウ。誰も応募しなくて困ってたとこを君がチャット応募してくれた訳だニャウ!」
「裏キャンペーン?」
そんなものがあったとは…いや、これも多分俺の夢のなかの妄想なんだろうなあ。
ニャウのウザさに苦しめられたせいか、やけに目の前のニャウの再現度が高いが。
「チャットキャンペーンと同じだニャウ。君がチャットで『イセカイいきたい』って打ち込んだから我々が叶えたニャウ!」
「寝落ち寸前の頭でそんなの寝ぼけながら打ち込んでたのかなあ…」
「当選おめでとうニャウ!」
「なあニャウ」
「ニャウ?」
「ガレリアほしい」
「ニャウ!?」
「ガレリアほしい」
「…君のこの世界での能力の説明をするニャウ!」
誤魔化しやがって…。
尚PSO2はゲーム内チャットで決められたワードを打ち込むとプレゼントが抽選で貰えたり、ゲーム内アイテムが貰えたりするキャンペーンを時たまやるのだ。
「君のPSO2に無かった能力は『どこでもアイテムボックス』と『いつでもクラスチェンジ』だニャウ!」
「ほう、大体想像がつくが名前的に素晴らしい能力だな」
「『どこでもアイテムボックス』は名前通り念じるだけでどこでも倉庫にアクセスできるニャウ。ただ、持てるアイテム数は君の上限200個までだニャウ」
「なるほどな~」
「『いつでもクラスチェンジは』どんな時でも念じればすぐにクラスチェンジできるニャウ!」
「お、やっぱりか。メイン職だけどずっとブレイバー/ハンターじゃ飽きるかもと心配してたんだ」
「それは良かったニャウ!」
「説明はこれで終わりか?」
「そうニャウ。最後に…」
「ん?」
「僕と勝負するニャウ!」
「結構です」
まあ、ゆっくり把握しながらこの夢をもう少し楽しむとするかね。
ガレリ…イセカイいきたい