あれから3ヶ月が経過した。
一般常識や世界観をなんとなしにつかめてきた俺だがパーティでもそれなりに役には立てていた。
というより結構正しくこの世界のレンジャーとして活躍できていた。
何故かと言うと…
「皆!正面から4匹来るぞ!隠れてるのも含めてだからな!」
そう、アークスのレーダーのおかげである。
ぶっちゃけレンジャーじゃなくても付いているものだが、この世界の隠密系のスキルなど関係なしに範囲内に来れば索敵で来てしまうのだ。
更にレンジャーのスキルのトラップサーチはどんなランクの罠だろうがミエミエである。
これは思わぬ収穫だった。
近接職マンセーだった自分だが、フォーサイトの面々は探索職専門の役目がいなかったのでそれだけ役に立てたし不満もなかった。
別に近接武器使えないわけでもないしな!
「と、アルシェ!伏せろ!」
思ったそばから、である。
慌てて伏せたアルシェの目前に現れたオーガに向けて両手のツインダガーを放つ。
弧を描いたダガーはオーガの上半身と下半身を両断し、手元に戻ってきた。
フォーサイトの面々が投げた武器がブーメランのように戻った挙句巨体のオーガを二分割したことにギョッとした表情を見せたが、いつもの様にヤレヤレと言った風に呆れた表情を皆して浮かべた。
「本当に多彩だな。ルフタは」
一段落して、二刀をしまい感心と呆れが混じった声でヘッケランが言う。
なんだそのもう馴れたみたいな表情は…
「こないだは手に炎を纏わせてオーガと殴り合ってたものね。ホントに人間?」
イミーナが感心と…ヘッケランと同じリアクションで肩をすくめる。
火竜の鉄拳は良い武器迷彩だと思う僕は。人間かどうかを疑うのひどくない!?
「たまにモンスターの攻撃を当たってるのにすり抜けてるような技といい、謎が多いですね。アレ、私にも出来ます?」
本当に真似できるとは思ってない表情でロバーデイクが笑う。
ステップアドバンスにスキル振りすれば余裕かと…アークスならな!
「ふふふ…多彩な武器を使うのはアークスの特徴なのだ!…ん?」
ふんぞり返っているとチョイチョイと服の端を引っ張られる。
その方向を振り返ればうつむいて挙動不審のアルシェ。
「そ、その…ありがとう」
「気にするな。パーティの仲間なら当然のことだ……よな?」
イマイチこの世界の常識が疎い俺は他の三人にも確認を取るように最後のキメ台詞を淀ませた。
「ま、そういうこったな」
「よかったわね。アルシェ」
「ですね」
「とんだロリコンだニャウ」
ニヤニヤしてる三人と一匹に苦笑する俺。
何か違和感が…
「ってニャウ何混じってんの!?てか口悪いな!」
トブの大森林でいつの間にか居なくなってた癖に唐突に現れたヤヤウザなマスコットの登場に動揺を隠せない俺。
「いや結構前からお前の友達だって言うから普通に一緒に行動してたぞ?」
「まっじかよ全然気づかなかったなあ!ガレリア欲しくて!」
俺の友達に謎生物が含まれていても疑問を持たないフォーサイトの皆さん。
俺への認識がよくわかりました。まる。
「今日は警告に来たニャウ!」
「話題はいつも突然なのね…はいはいなんですか?」
「同業者の世界介入を感じたニャウ!もしかしたら他のゲームの転移者がくるかもしれないニャウ」
「ワッツ!?ってか他のゲームって…バランス崩壊大丈夫かよ…」
俺TUEEEEとかまだしてないのにいきなり本気を出さなければならないのだろうか。
マターリ温いプレイにもう少し浸っていたいのだけど。
まあ特に好戦的じゃなけりゃ争うこともないが…
「ウチのシステムのパクリとか絶滅して欲しいニャウ!」
「お前のところの会社の新システムって未来に行き過ぎて誰も真似しないだろ」
「それもそうニャウね」
「あはははははは(ニャウ)」
一人と一匹で身内ネタのごとく爆笑してると話に入ってこれないフォーサイトの皆はやっぱルフタは変わってるなあ。
などと呑気に一人と一匹を眺めるのだった。
◆
そんな一人と一匹の馬鹿笑いが癪に障ったのかは不明だが、とあるオーバーロードがそう遠くはない場所で玉座にて降臨し疑問を問う。
「……どういうことだ?」
そう。とうとう、舞台は整ったのだ。
年明けちゃったね。
これも年末の各ゲーム会社のイベントが悪いんや!
今年もよろしくお願いします!