おいでませドーソン箒専門店!-ホグワーツ魔法学校出張所-   作:Out Lazy

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早速原作弄って行くぞーっ!


商品その3-トリネコの柄、枝[無銘:チャーリーの箒]

 

「スーツケースは偉大だ。引き摺れる鞄というのは楽だ」

 

スーツケース(と言っても、空間拡張の施された)の中に衣類に安全手袋、各種教科書に予習の物も含めたノート、その他鍋だの薬瓶だの望遠鏡だの秤だの、色々詰め込んだ上で、彼の箒を含めた仕事道具一式を纏めた木箱を入れ、コレでよしと頷くアンリ。とても満足そうで楽しげですが、

 

「…………そうね。でもアンリ? この確認何回目かしら?」

 

彼の後ろにいる少女は、青筋を浮かべながら笑ってました。怖いですねぇ。

 

「んー。ざっと6回目かな?」

「えーそうね。正確には7回よ」

 

と、ここで現れた【HARISEN】。的確に、それはもう的確にアンリの頭を叩きました。

 

「荷物確認に付き合ってって言われたから付き合ったのになんなのよ!? どれだけ心配性なの!?」

「うーん、自分で思ってる以上にホグワーツ行くの楽しみみたい」

 

叩かれたのにヘラヘラと笑う彼の姿は、確かに楽しみで仕方がない子供の顔をしてはいましたが。

 

「だってさ、ホグワーツだぜ? 魔法もある程度大っぴらに使えるし、空も飛べるし、クィデッチもある! 勿論、たくさんのことも学べるだろうから最高の箒に更に前進できるかも!」

 

行きたくないと言っていたのが嘘のように目を輝かせながら、彼は両手を組み祈りを捧げ始めました。

 

「天国の父さん母さん! 僕絶対にウチの店を再興させてみせるから!!」

 

未だかつて、こんな動機でホグワーツを目指す新入生がいたでしょうか? 全くいないということはないでしょうが…………。

 

「とにかく、そろそろ行くわよ。遅刻しちゃう!」

「あいよー」

 

 

≡≡≡≡≡☆

 

 

やってまいりましたキングズ・クロス駅!! 一般人の方…………所謂マグルの方もごった返していますが、魔法使い思わしき人もそれなりに見受けられます。

 

「なーなー。たしか9と3/4番線って、9番線と10番線の間を通り抜けた先にあるんだよな?」

「そうね。初めての人はおっかなびっくり通り抜けることで有名ね」

「でもなんでこんな中途半端な数字なんだろ…………別に9と1/2番線でもいいよな、真ん中通るんだし」

「そんなこと言われても分かんないわよ」

 

そんなどうでもいいことを話しながらシールズ一家に急かされる2人は、まさにいつも通りであり。

 

「メアリ、頑張ってくるのよ!」

「うん、売り上げに貢献してくるから!」

「ついでに中途半端じゃなくてちゃんと仕留めてきてよねおねーちゃん!」

「う、うるさい!」

 

別れる際もいつも通り──────

 

「じゃあ僕は、ドーソンさん達の代わりに。『やりたいように、思うようにやってきなさい』」

「…………そりゃ反則ですよシールズさん」

「ここでは『お父さん』と言って欲しかったかな?」

 

訂正、何やらアンリ君涙ぐんでますし、シールズパパはシリアスを決め込んでます。

まあ、幾ら店を任せられる程の才能と精神力を持つ彼でも、やはり子供なのです。親を早くに亡くしてしまったダメージが無いわけではないのです。

 

「…………じゃ、行ってきますよ」

「あ、ちょっと待ってよアンリー」

 

照れ隠しのように柱に向かって走り出す彼を、慌てて追いかけるメアリ。

 

「…………やっぱり、この判断は間違っていなかったわね」

「ああ。楽しそうで、何よりだよ」

 

なんにせよ、これからだけれどね、と呟くシールズパパの顔は、これ以上なく憂に満ちていて。

 

…………何やらアンリ君の両親が亡くなったのは、何やら事情がありそうです。

 

 

≡≡≡≡≡☆

 

 

ちょっぴり情けない感じで恥ずかしかったアンリ君は、走り出したホグワーツ特急の汽車の車両の中で、空いている席を探し始めました。メアリも、そんな彼の後を慌てて付いていきます。

 

「ちょっとアンリ! さっきのコンパートメントでも良かったじゃない!」

「…………女の子ばっかだったじゃん。メアリは行ってきたら? 僕は適当なところに潜り込むから」

「で、でも…………」

「別にメアリが一緒にいても問題ないけど、これからの学校生活で離れる時間は増えるだろう? それにお互い友達も増やさないと」

「…………あー、そうね」

 

一気に渋い顔になった2人が、同時にため息をつきながら、

 

「「…………近所の同い年が2人しかいないのも悩みもの」」

 

別に、アンリとメアリの2人が、お互い以外どうでもいいと思ってるような性格破綻者というわけではありません。2人とも店を持つ家に生まれた流れで、人当たりの良さは身につけているのです。単純に、それを発揮できる同い年、さらには友達になれそうな人がいなかったのです。可哀想なことに。

 

「だからむしろ行ってこい。そんで四苦八苦しやがれチクショー。もしそうなったら盛大に笑ってやる」

「……あーはいはい。上手くいかなかったら愚痴りに行くわ」

「ケッ!」

 

天邪鬼アンリ君、絶好調です。

 

そんなこんなで別れたアンリ。実は座れるアテがなさそうなことは歩いているうちに予想をしていたので、結構ピンチに陥っていたりしてます。

 

しかし、自分も自分で友達は見つけないと意気込んだアンリは、へこたれて堪るかと、次の車両に移り──────

 

「もう少し礼儀を心得ないと、君の両親と同じ道を辿ることになるぞ?」

「……どういう意味?」

「そこにいるウィーズリー家の奴らや、ハグリッドみたいな下等な連中と同類になるってことさ」

 

(…………あのー、流石にこれはハードル高いって)

 

アンリは、その口論に出くわし、天井を仰ぎました。

 

 

≡≡≡≡≡☆

 

 

とは言え、見過ごすのはどうかと思った中途半端に善人のアンリ。取った行動は。

 

「早く来てください先生! ここで新入生達が喧嘩を!」

 

…………こすい。あまりにもこすいですアンリ君。

 

しかし、必死そうな顔も相まって効果は絶大だった様で。

 

「…………チッ。クラッブ、ゴイル! 行くぞ!!」

 

青白い肌の少年が、不本意そうに腰巾着であろう大柄な男の子2人に指示を出し、引き返しました。

 

「…………で、実際のとこどーなの?」

「「へ?」」

 

そのコンパートメントの中にいた2人は、一気に顔からやる気の抜けたアンリの様子に、思わず変な声を出した模様。

 

「え、え? じゃあ今の先生ってのは…………」

 

赤毛で、ソバカスだらけで、身長の高い男の子は、アンリに恐る恐る尋ねます。

 

「あー、うん。うーそー。つか、この列車に先生が乗ってるわきゃねーでしょ? 新任ならまだしも」

「よ、良かった…………」

 

黒髪、痩せた印象、緑色の目に、額の稲妻型の傷。かなり特徴的な見た目をした男の子が、安堵した様に胸をなでおろします。先程言い合ってた様な気もしますが、学校着く前に問題行動を咎められるのは避けたかったのでしょうね。

 

「それで、えっと…………」

 

アンリは、コンパートメントの中を見て言葉を失います。

お菓子、お菓子、お菓子。車内販売で売られてるお菓子が、ワンサカと…………

 

「……おやつぱーちー?」

「当たらずも遠からず、ってところかな。なんにせよ、助かったよ」

 

正直なところ、2対3はヒヤヒヤしたと言いながら、赤毛の男の子が礼を言います。

 

「なに、気にするこたぁないさ。でもそうだな…………もし良かったら、座っていーい?」

 

2人から、一も二もなく首肯するのは、自明の理でしょう。

 

 

≡≡≡≡≡☆

 

 

「では自己紹介から。僕はアンリ・ドーソン。君らと同じ一年生だ。普段は箒専門店を経営してる、しがない箒職人。良かったら、是非ご贔屓に」

 

のっけから飛ばしまくるアンリ君。欲望バリバリですね!

 

「あ、パパから聞いたことがある! ダイアゴン横丁の隅っこの方に、潰れそうな箒の店があるって!」

「…………本人目の前にしてよく言うね」

「え、あ、いやその……ごめん」

「…………いや、いーよ。実際潰れそうだしね、あははは、はは、はぁ」

 

乾いた笑い声に、黒髪の方の男の子が赤毛の男の子の方を少し非難めいた顔を向けます。

 

「い、いやでも話には続きがあるよ! そこのお店の箒は低価格なのに高級品だって! 僕の7つ上の兄のチャーリーが、確かそこで箒を買ったんだけど、その箒のままクィデッチのキャプテンまで登りつめたからね!」

「…………7つ上。そっか、父さん達の箒が」

 

赤毛の男の子のフォローに、頗る機嫌が良くなったアンリは、調子を取り戻します。

 

「ん”ん”。まあそういうわけだから、興味があればいつでも言ってね。仕事道具も持ってきたし、簡単な箒なら向こうでも作れると思う」

「本当!? すっげぇなぁオイ…………」

 

赤毛の男の子のアンリを見る目が英雄譚に出てくるヒーローに向けるそれになってることに、思わずアンリは苦笑いです。

 

「そ、それで君たちは」

「あ、ごめん。僕はロン・ウィーズリー。で、こっちがあの」

「ハリー・ポッター」

 

…………驚いた。そういえば、先程ウィーズリーと言ってましたね。その上、ハリー・ポッター。

 

この名前は、魔法族なら知らぬ者はいないでしょう。なにせ、ヴォル…………『名前を言ってはいけないあの人』、闇の魔法使い『死喰い人』を統べ、魔法界を恐怖のどん底に叩き落したあの人を、撃退した、『生き残った男の子』なのですから。

 

「んー。よろしくロンにハリー。…………ハリー?」

 

アンリの顔が歪みます。思い出せそうで思い出せない…………喉に小骨が刺さってる感を味わいながら、彼はウンウン唸ります。

 

「ごめん、ハリー。なんかどこかで聞いたことがある気がするんだけど、思い出せねーや」

 

ずっこけるロン。こんな人もいるのかとむしろホッとしたハリー。

 

「き、君って相当変わってるね……」

「言葉を選ばなくていいよ。単に世間知らずなんだから」

「別に僕は気にしないよアンリ」

 

でも、友達になったばかりの3人は楽しそうに、栗色の髪の毛を持つ女の子が来るまで、楽しそうにおやつぱーちーを楽しんでいましたとさ。

 

 

そしてこれが…………アンリの後の学校生活の方向を決定付ける、運命の分岐点とも言うべき瞬間でした。

 




アンリ君の両親を殺したのは一体何喰い人なんだ…………

なんて戯言は置いておいて。(伏線が使われないかもしれないので)

感想、批評、ダメだし、よろしくお願いします。
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