モンスターハンター 二刀を持つハンター 作:ひかみんとかカズトとか色んな名前
短い上にほぼ繋ぎ回。
新種のモンスターからなんとか逃げたカイルは急いでベースキャンプへと向かっていた。その途中、エリア2にさしかかった時。
「カイルん!!」
「エリカ…!?何で来た!?」
カイルとは逆の方向、ベースキャンプからエリカが走って迎えにきたのだ。
カイルはまさか何かあったのかとすぐに問いかける。
「は、はぁ…ベースキャンプについたら、砂漠から聞いたことのない咆哮が響いたから…それに、密林のオオナズチのこともあったから…」
再びピンチになっていたら…?
そう考えたエリカが飛び出してきたということだった。
「そうか…ありがとな。…とりあえず戻るが…マリアは?」
息を切らしつつも、カイルのことを気にかけていたエリカの行動に感謝しベースキャンプに走り出しながら、来ていないマリアに関して問う。
「マリア姉は荷物を纏めてる。もしさっきの咆哮が酷く危険なモンスターだとしてもカイルんなら大丈夫。むしろ直ぐに出発だろうからって…」
「…そうかい。ならすぐにベースキャンプに戻るぞ。」
カイルが詳しく言わずにベースキャンプに走り出したことにエリカも何かを察したのか、マリアの行動を伝え、ついていく。
「マリア!」
ベースキャンプで慌ただしく走り回るマリアに声をかけるカイル。その声に反応し、安堵した表情でマリアはカイルに駆け寄る。
「カイルさん!よかった…ご無事で…」
「済まなかったな。…直ぐに出れるか?」
「はい、そうだろうと思ってある程度は竜車に積み込みました。ただ、やっぱりというか…アプノトスがあの咆哮を聞いてから少し落ち着きがないんです。」
そう伝えながらマリアは竜車を引くアプノトスを見る。
確かにアプノトスは何かに怯えたような、そんな様子で周囲をキョロキョロしていた。
「わかった、俺が何とかする。二人はすぐに積み込んでない荷物を積め。詳しくは行きで話す。」
「らじゃー!」
「わかりました!」
カイルの指示にすぐに返事をし、行動を開始する二人。カイルも出来る限りアクシデントが発生しないように、アプノトスの調子をしっかりと確認し、ケアを行った。
姉妹二人も少しでも早くと、マイペースやらまったりやらなしで真剣に荷物を積み込んだ。
「念のためにエヴリネから預かっておいて正解だったな…」
アプノトスを落ち着かせたカイルは次に、とある鳥の足にあのモンスターのことを記した紙を結びつけていた。
「カイルん、それは?」
「俺は伝令鳥って呼んでる鳥だ。こういう緊急事態を直ぐに伝えるために、高速で飛んでいくこいつが役に立つ。さ、行け!」
カイルがエリカにそう説明しつつ結び終えると、鳥にそう指示に飛び立たせる。
「よし、荷物は積んだか?」
「大丈夫だよ!」
「ん、すぐにドンドルマに向かうぞ!」
「ふーんふふんふんふーん♪」
ドンドルマの大衆酒場。
鼻歌を歌いながらホールを片づけるエヴリネと、黙々と仕事する彼女の先輩の姿があった。
そこに、一匹の鳥が突っ込んでくる。
「…んΣぅごぁっ!?」
サクッと良い音がするくらいにエヴリネの額にくちばしが突き刺さる。
先輩がそれに気づき、エヴリネに駆け寄る。
「何をやってるのよ…」
「だ、だってこの子が…あれ?この子カイルに渡してあったはず…」
「…あれ、この紙…もしかして。」
エヴリネが不思議そうに鳥を見る中、先輩は何かに気づいたのかその鳥の足に結びつけられた紙を解きにかかる。
すぐに外れないように少々複雑に結びつけられていたが、紙を破ることなく解くことに成功した。
その紙に書かれていた内容…それは、カイルが遭遇したあのモンスターのことだった。
「エヴリネ!ギルドに緊急通達!」
「ほぁ!?どうしました!?」
「カイル君が砂漠にイビルジョーの出現を確認したの!」
「…!」
イビルジョー。
カイルが遭遇したモンスターの名称。最近確認された最高クラスの危険度を誇るモンスターであり、自身の高い体温を保つために常に補食し続けなければならないというとんでもないモンスターだった。
しかも、自身のことしか頭に入ってないため、周りの生態を絶滅に追い込むことすらあるらしい。
「マスターに報告してきます!!」
「お願い!」
エヴリネはギルドマスターのいる場所へ猛ダッシュ。先輩は迂闊に砂漠に立ち入らないように封鎖、砂漠関係のクエストを全面禁止と一時的にすべく酒場を走り回った。
数日後。
カイル達を乗せた竜車がドンドルマに到着。三人はすぐに荷物を降ろし、酒場のカウンターへと駆け込む。
カウンターでは砂漠の内容を聞こうとするハンター達の相手をするエヴリネやら先輩やらが忙しそうに働いていた。
エヴリネの手が空いたと同時に彼女の前に駆け込む。
「エヴリネ!…連絡は行ったか!?」
「カイル!マリアちゃんにエリカちゃんも…良かった…。うん、既に数日前に伝令鳥が来てギルドに通達したわ。今は砂漠は封鎖、報告のあったモンスター…イビルジョーが生態を壊さないように見張ってるわ。」
「…アレはイビルジョーと言うのか。」
カイルはその名前を聞き、納得したように頷き呟く。
「邪悪な顎、か…確かにその通りだな…」
「え、そんなにヤバそうな奴だったの…?」
「エヴリネさん、その…イビルジョー?とは一体…?」
姉妹二人は会っていないため、この緊急事態と二人の緊迫した感じについていけていなかった。
「そうね…まず大前提として、どんなフィールドでも生態系、食物連鎖というのはあるでしょう?これはこれを食らい、でもこれはこうして生きてーって。」
「ありますね。…どのモンスターが欠け、過剰に増えてもいけない。」
「そそ。もし崩れそうな時はギルドが把握し私達が伝え、ハンターが狩る。そうしてバランスを保つ。」
エヴリネが説明し始め、マリアが答える。エリカもうんうんと頷き、カイルも黙って聞いている。
「でも、最近はそれすらも完全に無視するとんでもないモンスターが確認されたの。古龍という災害とは違う形のね。」
「それがカイルんの見つけた…」
「そう、イビルジョーってわけ。」
「…少し見ただけだが、まさかあいつは自身の何らかのために、常に補食しないといけないのか?」
突然割り込むように予想を告げたカイルに、姉妹二人は驚いた表情でエヴリネの方を見た。
エヴリネも真剣な表情で頷く。
「そうよ。調べによるとね、イビルジョーは常に自分の高い体温を維持するために補食し続けなければいけない。そのために特定のテリトリーは持ってなくて、小型、大型モンスターは勿論、人どころか同族や自分の切られた尻尾すら餌と思い、貪るらしいの。」
「「…………」」
「…とんでもないモンスターだな…」
「私もこのモンスターの生態を見た時驚いたってレベルじゃなかったわよ。」
エヴリネから語られたイビルジョーというモンスターの生態に、姉妹二人は茫然とし、カイルも驚きを隠せなかった。
エヴリネもその反応は正しいという意味で自身の経験も語った。
「補食“し続ける”から、周りの生物を平気で絶滅までいかせるほどだからね…危険極まりないわ。」
「それに加え、迂闊に近寄ればその食欲と戦闘力に叩き潰される…か。」
「そう。だから三人とも、これから気をつけて頂戴。イビルジョーが現れたということは、あなた達の行く先々で乱入される場合があるということを常に頭に入れておくこと。」
「わかった。」
「りょーかい!」
「わかりました。」
エヴリネの注意喚起に、三人はしっかり了承の返事をする。
その三人の態度にエヴリネも満足げに頷く。
「…さってさて、とりあえずダイミョウザザミだっけ?は狩れたのかな?」
「そっちはキッチリ狩ってある、問題はない。」
「おっけー。じゃあこれ報酬ね。」
粗方説明を終えた後、エヴリネは真剣な表情から一転、いつも通りの緊張感のない態度に戻り、クエストクリアの確認をする。
その変わり身の早さに触れる事なくカイルも答え、エヴリネが差し出した報酬を受け取る。
「…もし仮にイビルジョーを討伐するってなった時の編成の候補に、貴方の名前もあったわよ、カイル。」
「……俺はやらなきゃいけない事があるんでな、無駄死にしに行く気はない。」
「…そ。なら無理しないことねー。」
カイルの家へ帰ろうと姉妹二人が少し離れた瞬間、小さいやりとりがカイルとエヴリネで行われた。
カイルの返答に、何かを察したエヴリネは何も言うことなく、三人を見送った。
「エヴリネさんから何かお話がありました?」
「いや、いつものバカ話だ。」
「ブレないなぁエヴリネさん。」
そんなやりとりが三人組の中であったそうな。
「はあぁただいまぁキャスリぃぃン!」
「にゃあぁぁ!お、おかえりですにゃ!」
帰宅早々エリカが武装したまま、出迎えたキャスリンに飛びつこうとして逃げられていた。
「先に整理するもん整理してこい。休むのはそれからだ。」
「はぁ~い…」
「はい。」
エリカが渋々といった感じに、マリアはテキパキと二階へ上がっていった。
カイルもまた自身の部屋へ向かう。
「何かありましたかにゃ?」
「危険モンスター出現につき砂漠一時封鎖。しばらくは監視が続くとさ。」
疲れた様子のカイルに、キャスリンが訊ねる。カイルはあった出来事を手短に話し、部屋へ入っていった。
「…なんだか、お二人に出会ってから色んな目にあってる気がするにゃあ…」
そんなキャスリンの呟きは、誰も聞くことはなかった。
はい、前回の乱入モンスターはイビルジョーでした。
人間一人ぐらい丸飲み出来そうですよねあれ…
カイルは常に様々な状況を考えて準備する用意周到な裏面があります。
次はどうしようかな…(´-`)
もう何体か狩らせて、そのあとに話に少し動きを出そうかな、とは考えております。
ですが、そのモンスターを何にするか、等を考えるのに少々時間がかかりそうです。
ではまた次回